テレワークのメンタルヘルス対策
新型コロナウイルスの感染拡大を受けてテレワークを導入した企業も多く、テレワークは当たり前の働き方として定着しつつあります。
テレワークには、ワーク・ライフ・バランスの確保、業務効率化による生産性の向上等のメリットがある一方、「長時間労働になりやすい」「コミュニケーションが取りづらい」等、メンタルヘルス不調につながる恐れも指摘されており、テレワークに対応した適切なメンタルヘルス対策の推進が求められています。
事業者は労働安全衛生法等の関係法令に基づき、過重労働対策やメンタルヘルス対策を含む健康確保のための措置を講じる義務を負っています。
なかでもストレスチェック、法定の健康診断、長時間労働者に対する面接指導の実施とその結果を受けた措置が重要となります。
しかし、テレワークを実施している企業からは「労働者の様子が見えづらく、メンタルヘルスの不調の予兆に気づきにくい」といった課題が指摘されています。
テレワークの実施形態によって、企業側の課題意識が異なることも報告されており、労働者や事業場の実情に応じた対策が必要と考えられています。
テレワークにおけるメンタルヘルス対策ポイント
メンタルヘルス対策では3つの予防を円滑に行う必要があります。
一次予防 | ストレスチェック制度の活用や職場環境等改善を通じてメンタルヘルス不調を未然に防止 |
二次予防 | メンタルヘルス不調を早期発見し、適切な措置を行う |
三次予防 | メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援等を行う |
これらの予防を行うためには、メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供等を通じて4つのケアを効果的に推進することが重要です。
セルフケア(一般労働者)
- ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
- ストレスチェックなどを活用したストレスへの気づき
- ストレスへの対処
ラインによるケア(管理監督者)
- 職場環境等の把握と改善
- 労働者からの相談対応
- 職場復帰における支援
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
- 具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
- 個人の健康情報の取り扱い
- 事業場外資源とのネットワーク形成やその窓口
- 職場復帰における支援
事業場外資源によるケア
- 情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
- ネットワークの形成
- 職場における支援
事業者は管理監督者に対して、メンタルヘルスケアに関する方針、ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識、管理監督者の役割及び心の健康問題に対する正しい態度等を内容とする教育研修、情報提供を行う必要があります。
なお、小規模事業場では、衛生推進者又は安全衛生推進者を事業場内メンタルヘルス担当者に選任するとともに、地域産業保健センター等の事業場外資源の提供する支援を積極的に活用することも重要です。
具体的な進め方
1⃣ メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供(一次.二次.三次予防)
一般労働者や管理監督者、事業場内産業保健スタッフに対し、それぞれの職務に応じた教育研修や情報提供を
行う
2⃣ 職場環境等の把握と改善(一次予防)
日常の職場管理や労働者からの意見聴取の結果やストレスチェック制度の集団分析の結果等を活用し、問題点
を把握するとともにその改善を図る
3⃣ メンタルヘルス不調への気づきと対応(二次予防)
●労働者による自発的な相談とセルフチェック
●管理監督者、事業場内産業保健スタッフによる相談対応
●労働者の家族による気づきを促す支援 等
4⃣ 職場復帰における支援(三次予防)
メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業継続できるよう職場復帰支援プログラム
の策定
ストレスチェック制度
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的に創設されました。
労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、 職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを 未然に防止する一次予防を主な目的としています。
この趣旨を踏まえ、労働者本人のセルフケアを進めるとともに、職場環境の改善に取り組むことが重要です。
【セルフチェックをしよう】
厚生労働省が運営する「こころの耳」は、メンタルヘルスケアに関するさまざまな情報や相談窓口を提供している、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。
このサイトには「5分でできる職場のストレスセルフチェック」「3分でできる(簡易版)職場のストレスセルフチェック」「疲労蓄積度セルフチェック」などが掲載されていますので活用してみてください。