可視化
プレイングマネージャーは、マネジメントに重点を置くことを認識したうえで、自分の働き方を見つめなおす必要があります。一番わかりやすいやり方は、記録に残すことです。
毎朝、その日のスケジュールを見積り、実際にどう仕事を進めたのかを記録していくというものです。
おそらく、多くのプレイングマネージャーは、「仕事に追われてマネジメントが十分ではない」「チーム内の突発的な案件対応に追われて、予定通りにいかない」などの問題意識を抱きながらも、本当の状態や改善点について気づけていないのではないでしょうか。
2週間から1か月の間、自分がどう実際に働いたかを記録し、それを集計・分析することで、どのような仕事にどれだけの時間を要しているか、どのように予定がずれているか、優先すべき業務にどれだけ時間を使えているかなど、自分の働き方を客観的にみることで働き方の癖や問題点が見えてくるでしょう。
初めて自分の働き方を可視化してみると、自分が思い描いていたものとは違う働き方をしていたことが見えると思います。おそらく、マネージャーとして働いている時間が想像以上に少ないことに気が付くでしょう。これは、現状を受け止め、マネジメントに費やす時間を増やさなくてはならないという問題意識を持つチャンスです。
マネージャー業務の時間を作るには、プレイヤーとしての時間を圧縮する以外にはありません。
それには、仕事の効率を上げる、部下に仕事を任せる、不要な仕事を洗い出すなどの方法があります。
さらに、定時出社・定時退社を常態化し、ワークライフバランスを実現させたいと思いませんか?
目の前の仕事に追われて疲弊してしまっては、人生100年時代といわれている現代を生き抜くことは難しいでしょう。
自身の知識の幅を広げるためにインプットする時間が欲しいと思ったり、人生後半に備えて身体を鍛えておきたいと考える人は少なくないと思います。
また、マネージャーが日々の仕事に追われ疲弊した姿を見ているメンバーは、「マネージャーにはなりたくない」とキャリアアップへの意欲を失ってしまうかもしれません。マネージャーが充実した生活を送っている姿を見せることで、メンバーのモチベーションアップにもつながるのです。
そのためには、仕事以外についても充実させることが大切です。
充実した生活を送っている自分をイメージして、そのためにはどのような働き方をするべきか、どう変えていきたいかを具体的に考えてみてください。
見積りと実績
自分の働き方を記録することで、見積もった時間と実際にかかった時間の差に気づくことができます。
見積りと実績に激しい差がある場合には、そこに何らかの問題がある可能性があります。
例えば、突発対応。仕事にはトラブルはつきものですから、ある程度の突発対応は仕方がありません。しかし、突発対応があまりにも多い場合には、そこに仕事を非効率的にする重要な問題があると考えられます。
では、なぜ突発対応が多いのでしょうか。そこで働き方の記録を見返すと、特定のメンバーにトラブルが頻発していることがわかるかもしれません。もしそうであれば、トラブルの要因を整理し、再発防止の改善策を練って実行する必要があります。もしくは、そもそもメンバーの育成に十分な時間を割けなかったことに原因があるかもしれません。それなら、意識的にメンバー育成の時間を増やす工夫が必要です。
PDCAサイクル(Plan→ Do→ Check→ Act)
どのタスクに多くの時間を割いているかを分析することも有効です。
働き方を集計・分析することで、自分の働き方の問題点を明確にし、具体的な改善策を打つことができます。
もちろん、改善策がうまくいかないこともあるでしょう。その場合には、また別の方法を試せばいいのです。
大切なのは、働き方の記録と分析を継続し、PDCAサイクルを回していくことです。そうすれば、目指すべき働き方に近づいていくはずです。
【働き方の記録について】
●始業前に行うスケジュールの見積もり
- 15分単位で考える
- 業務内容とそれにかける時間見積をセットで考える
- 終業時間内で終わるようスケジュールを組み立てる
- 業務の優先順位を明確にする
前日の終業時に翌日の業務をピックアップしておくとスムーズに行えます。
業務と時間を見積もることで時間を意識するようになり、上手な時間の使い方ができるようになります。
●終業時の業務記録
- 時間見積と実際にかかった時間の差異を明確にする
- 一日の振り返り(良かった点・反省点)
- 翌日の業務をピックアップする
①の実際にかかった時間は、それぞれの業務が終わった時点でチェックしていけばよいでしょう。
振り返りが重要
業務を見積もるときは残業をしないことが前提ですが、実際には予定通りにいかないこともあって当然です。
残業してしまったことだけに注目せず、なぜ予定通りにできなかったか、優先順位は間違っていなかったかなど、一日を振り返ることで改善を積み重ねていくことが重要です。
仕事をしていれば、トラブルなどの突発的な業務が起こる場合があります。
もし、上司に頼まれた突発的な業務なら、納期を確認し必要に応じて交渉することでスケジュールを管理することが可能です。
また、取引先からの問い合わせが入り時間を取られてしまった場合は、それまでの取引先への情報提供が十分だったかなどを振り返り、改善点を見つけるようにします。
業務上の様々なタスクを効率よくこなしていくためには、そのタスクの所要時間や優先順位を正確に見積り、スケジュールを組み立てる感覚を磨く必要があります。一日一日を振り返って改善点を見つけていくという日々の習慣が、仕事の効率化、働き方に改善を積み重ねていくことになるのです。
スキマ時間の使い方
移動時間やアポイントとアポイントの間、人を待っている時間などちょっとしたスキマ時間を上手に使える人は、仕事を効率的に進めることができる人だと思います。
メイン業務に関する資料や情報を集めたり、関係者への確認など、業務に取り掛かる前にスキマ時間を使って下準備ができれば、時間のロスを防ぐことができます。
重要な業務こそ、スキマ時間を利用して少しずつ進めておくことで全体像も見えやすくなり、その先の業務をスムーズに行うことができます。
スキマ時間を意識しながら15分単位の記録をすることで、時間のロスを防ぎ、仕事の効率を上げることができます。