「LINE公式アカウント」と「LINE(個人アカウント)」、この二つの違いをご存知でしょうか?
どちらも同じLINEという名称ですが、実は目的や機能が全く異なります。お店や会社でLINEの活用を考えたとき、「いつも使っている個人のLINEではだめなのだろうか?」と疑問に思われる方も少なくありません。
この違いを理解することは、ビジネスでLINEを有効活用するために非常に重要です。なぜなら、目的に合わせて適切に使い分けなければ、期待する効果が得られなかったり、かえって運用に手間がかかってしまったりするからです。 本記事では、「LINE公式アカウント」と個人の「LINE」の違いをわかりやすく解説します。

LINE公式アカウントとLINE個人アカウントの違い
はじめに、LINE公式アカウントと個人アカウントが「何のために」作られたのか、その根本的な目的の違いから見ていきましょう。ここを理解することで、それぞれの特徴や機能の違いが明確になります。
LINE公式アカウント:企業や店舗向けの「ビジネスツール」
LINE公式アカウントは、企業や店舗がお客様とのコミュニケーションを目的として利用する、ビジネス用のLINEアカウントです。
例えば、よく利用するカフェやアパレルショップから「新メニューのお知らせ」や「お得なクーポン」がLINEで届いた経験はないでしょうか。それこそが、LINE公式アカウントから配信されたメッセージです。 このアカウントは、情報発信やクーポン配布による集客・販促、さらには顧客からの問い合わせ対応まで、ビジネスにおける様々なコミュニケーションを効率化するために開発されました。
LINE個人アカウント:プライベートな交流のための「コミュニケーションツール」
一方、個人アカウントは、皆さんが普段、友人や家族との連絡に使っている、いわゆる「いつものLINE」を指します。
その主な目的は、あくまでプライベートな間柄でのコミュニケーションです。学校の友人とグループで連絡を取り合ったり、趣味の仲間と写真や動画を共有したりと、親しい間柄でのやり取りを楽しむために使われます。
ビジネス利用を想定したものではなく、あくまで日常生活における個人のつながりを深めるためのツール、という位置づけです。
【比較】料金・機能・分析力の違い
基本的な目的の違いがわかったところで、次は「料金」「機能」「分析力」という、さらに具体的な3つのポイントを比較していきましょう。
料金プランの比較
基本的な目的の違いがわかったところで、次は「料金」「機能」「分析力」という、さらに具体的な3つのポイントを比較していきましょう。
料金プランの比較
プラン | 月額費用 | 無料メッセージ数 | 追加メッセージ |
コミュニケーション | 0円 | 200通/月 | 不可 |
ライト | 5,000円 | 5,000通/月 | 不可 |
スタンダード | 15,000円 | 30,000通/月 | ~3円/通 |
引用:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」
このように、LINE公式アカウントは、ご自身のビジネスの規模やメッセージ配信数に合わせて、柔軟にプランを選べるのが大きな特徴です。まずは無料プランから始め、友だちが増えたり、より積極的な情報発信が必要になったりした際に、有料プランへ移行することも可能です。
ビジネスを加速させる「機能」の違い
機能面では、それぞれの目的に合わせた大きな違いがあります。
LINE公式アカウント
「1対多」の一斉情報発信によって、お客様の来店や購買を後押しするツールです。ビジネスに役立つ、以下のような機能が標準で備わっています。
- メッセージ一斉配信:登録されている友だち全員に、同時にお知らせを送る機能
- クーポン・ショップカード:再来店を促すデジタルクーポンやポイントカードを発行する機能
- リッチメニュー:トーク画面下部にオリジナルのメニューを固定表示させ、Webサイトや予約ページへ誘導する機能
- ステップ配信:「友だち追加から3日後にクーポンを送る」など、設定したシナリオに沿って自動でメッセージを段階的に送る機能
個人アカウント
一方、個人アカウントは「1対1」または少人数のグループでの会話が中心です。スタンプやビデオ通話といった日常的な機能は充実していますが、上記のような集客・販促機能や、配信結果を分析する機能は備わっていません。 そのため、多くのお客様へ効率的に情報を届け、来店や購入につなげるための仕組みを作りたい場合は、LINE公式アカウントの活用が不可欠です。
成果を可視化する「分析力」の違い
ビジネスで成果を出すには、施策の効果測定と改善が欠かせません。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントには、「LINE Official Account Manager」という専用の管理画面が用意されており、配信の効果を測るための様々なデータを確認できます。
- 友だち追加数の推移
- メッセージの開封率やクリック率
- クーポンの利用率や開封者数
- どのメッセージがきっかけで友だちがブロックしたか など
個人アカウント
一方、個人アカウントでわかるのはメッセージの「既読/未読」程度で、配信の成果をデータで客観的に振り返ることはできません。 「どのくらい売上につながったか」「どんなメッセージが好まれるのか」といったビジネス上の成果(KPI)を分析し、改善のサイクル(PDCA)を回していくためには、LINE公式アカウントの分析機能が強力な武器となります。

LINE公式アカウントと個人アカウントのメリット・デメリットを比較
LINE公式アカウントと個人アカウントの料金や機能の違いが分かったところで、それぞれのメリットとデメリットについても見ていきましょう
LINE公式アカウントのメリット・デメリット
まずは、ビジネス活用におけるLINE公式アカウントのメリット・デメリットです。
【メリット】圧倒的なユーザー数とリーチ力
LINEは日本国内で月間9,800万人以上(2025年3月末時点)が利用する巨大なプラットフォームです。
これだけ多くの人が日常的に使うツールだからこそ、性別や年齢を問わず幅広いお客様に直接情報を届けられる点が最大の強みと言えます。
【メリット】高いメッセージ開封率
メールマガジンなどに比べて、LINEのメッセージはスマートフォンの通知で気づかれやすく、手軽に読んでもらいやすい特徴があります。
そのため、配信した情報が埋もれにくく、高い開封率が期待できます。
【メリット】集客・リピート促進に直結する機能
「クーポン配信」や「ショップカード」といった、お客様がお得に感じる機能を簡単に使えます。
これらはお客様の「またお店に行きたいな」という気持ちを引き出し、集客やリピーター獲得に大きく貢献してくれます。
【デメリット】配信数に応じたコスト
無料プランでも利用できますが、友だちの数が増えたり、配信頻度が高まったりすると、無料メッセージ数の上限を超える場合があります。
その際は有料プランへの移行が必要となり、配信数に応じたコストが発生します。
【デメリット】継続的な運用の手間
効果を出すためには、メッセージ内容の企画・作成、クーポン等の設定、配信後のデータ分析といった継続的な運用が必要です。
多機能な分、慣れるまでは作業に手間がかかると感じるかもしれません。ただし、管理画面は直感的に操作できるよう工夫されています。
LINE個人アカウントのメリット・デメリット
次に、ビジネスでの利用を想定した場合の、個人アカウントのメリットとデメリットです。
【メリット】無料で手軽に利用できる
最大の利点は、すべての基本機能を無料で、誰でもすぐに利用開始できる手軽さでしょう。プライベートな間柄での密なコミュニケーションには最適です。
【デメリット】ビジネスに不可欠な機能がない
個人アカウントには、「一斉配信」「ステップ配信」「自動応答」「分析機能」といったビジネスに必要な機能が一切搭載されていません。
例えば、100人のお客様にセール情報を送る場合でも、一人ひとり手作業でメッセージを作成・送信する必要があり、非効率的です。
【デメリット】社会的信用の欠如
企業や店舗が個人アカウントで情報発信をおこなうと、お客様に「公式のアカウントではないのか」という不信感や、「個人情報の管理は大丈夫か」といった不安感を与えかねません。 ビジネスの顔としては、認証済みアカウントの取得も可能なLINE公式アカウントが適しています。
あなたに合うのはどっち?利用シーン別・最適な選び方
ここまで、LINE公式アカウントと個人アカウントの様々な違いを見てきました。最終的に「結局、自分はどちらを使えばいいのか?」という疑問に答えるため、それぞれのLINEがどんな場面で力を発揮するのかを具体的に解説します。
LINE公式アカウントが最適なケース
LINE公式アカウントは、不特定多数のお客様やファンに向けて、効率的に情報を届け、ビジネスの成果につなげたい場合に最適です。
ケース1:飲食店・小売店・美容院などの店舗ビジネス
新メニューの紹介、セール情報、営業時間の変更などを「友だち」登録してくれたお客様全員に一斉配信できます。また、クーポン機能で再来店を促したり、来店客の属性データを分析して次の施策に活かしたりと、店舗運営を強力にサポートします。
ケース2:ECサイト(ネットショップ)
購入履歴に合わせてトーク画面のリッチメニューを出し分けたり、商品をカートに入れたまま購入しなかったお客様へ自動でメッセージを送ったりすることが可能です。こうした施策により、メールマガジン以上に高いCVRを実現した事例も増えています。
ケース3:イベントやセミナーの告知・運営
BtoBの展示会や採用説明会などでも活用されています。開催前のリマインダー通知、当日の資料配布、来場後のフォローアップまでをLINEで完結させることで、参加者の満足度を高め、質の高い見込み顧客の情報を効率的に獲得できます。
個人アカウントで十分なケース
個人アカウントは、クローズドな少人数コミュニティでの円滑なコミュニケーションに向いています。
家族や友人同士の連絡
日々の連絡や写真・動画の共有など、プライベートなコミュニケーションが目的であれば、個人アカウントで十分です。
部活動・サークル・小規模なコミュニティ運営
数十人規模までのコミュニティで、スケジュール共有や気軽な会話が中心であれば、グループトーク機能で対応可能です。ノートやアルバム機能を使えば、情報のストックもできます。
ただし、上記のような小規模コミュニティでも、イベントの出欠管理が煩雑になったり、重要な連絡が他の会話で流れてしまったりする場面が増えてきたら、注意が必要です。
その際は、無料プランからでも始められるLINE公式アカウントに切り替えることで、一斉連絡や管理の手間が大幅に軽減されるでしょう。
まとめ
本記事では、LINE公式アカウントと個人アカウントの違いを、目的・料金・機能など様々な角度から解説しました。
もっとも重要なポイントは、この二つが「全く異なる目的を持つツール」であるという点です。
- LINE公式アカウント:企業や店舗が、集客・販促・顧客対応といったビジネス課題を解決するためのツール
- 個人アカウント:家族や友人など、親しい間柄でプライベートなコミュニケーションを取るためのツール
もしあなたが、
- お店や会社の情報を、より多くの人に届けたい
- お客様にリピーターになってもらいたい
- 問い合わせ対応や予約管理を効率化したい
このようにお考えなら、選ぶべきはLINE公式アカウントです。
「設定や運用が難しそう」という不安があるかもしれませんが、LINE公式アカウントには無料プランがあり、管理画面も直感的に操作できるよう設計されています。 まずはアカウントを無料で作成し、どのような機能があるかを実際に試してみてはいかがでしょうか。あなたのビジネスを、さらに大きく成長させるきっかけになるはずです。