「最近、周りの飲食店がインスタグラムを頑張っているみたいだけど、正直何から手をつけていいかわからない…」
「本当にインスタで集客なんてできるのだろうか?」
多くの飲食店経営者が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。
スマートフォンの普及とともに、お客様がお店を探す方法は大きく変わりました。今や、美味しそうな料理写真が並ぶインスタグラムは、新たな顧客と出会うための重要なツールとなっています。 この記事では、飲食店にとってインスタグラム集客がなぜ重要なのかを解説。具体的なメリットから、初心者の方が今日から実践できる成功のコツまで、分かりやすくお伝えします。

飲食店がインスタグラムで集客すべき5つの理由【メリット】
なぜ今、多くの飲食店がインスタグラムを集客に活用し、成果を上げているのでしょうか。その具体的なメリットを5つの視点から解説します。
無料で始められる費用対効果の高さ
飲食店が集客を考える際、グルメサイトへの掲載料やチラシの印刷・配布費用など、さまざまなコストが発生します。
しかし、インスタグラムのビジネスアカウントは無料で作成・運用できるため、初期投資をほとんどかけずに集客活動をスタートできるのが最大の魅力です。
株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトの共同調査によれば、国内のソーシャルメディアマーケティング市場は年々拡大を続けており、2029年には2兆円を超える規模に達すると予測されています。
これは、多くの企業がSNSの費用対効果の高さを認識し、投資を強化していることの表れと言えるでしょう。
まずは無料で始めてみて、効果を実感しながら必要に応じて広告費を投下するなど、柔軟な戦略を立てられる点が強みです。
料理写真で視覚的にアピールできる
インスタグラムは、写真や動画といったビジュアルコンテンツが主役のSNSです。
これは、料理の「見た目」が持つ力を最大限に発揮できる飲食店にとって、非常に有利なプラットフォームであることを意味します。
湯気の立つパスタ、肉汁あふれるステーキ、彩り豊かな前菜盛り合わせなど、シズル感のある写真はユーザーの食欲を刺激し、「このお店に行ってみたい」という来店動機に直結します。
地域のお客様と直接つながれる
インスタグラムには、地域に根ざした集客を強力に後押しする機能が備わっています。その代表が「ハッシュタグ」と「ジオタグ(位置情報)」です。
たとえば、渋谷でイタリアンを営んでいるなら、「#渋谷グルメ」や「#渋谷イタリアン」などのハッシュタグを付けて投稿します。そうすることで、渋谷エリアで飲食店を探す潜在顧客に投稿を見つけてもらいやすくなるでしょう。
さらに、投稿に店舗の位置情報を追加するジオタグを設定すれば、ユーザーは投稿から直接お店の場所を地図で確認できます。
これにより、お店の周辺や特定の地域で食事をしたいお客様へ、効果的にアプローチできるのです。
リピーター獲得につながる
新規顧客の獲得と同じくらい、一度来店いただいたお客様に再び足を運んでもらうことは、飲食店の経営において極めて重要です。
インスタグラムは、このリピーター育成の面でも大きな力を発揮します。
お客様がお店のアカウントをフォローしてくれれば新メニューや季節限定キャンペーン、イベントの告知などを継続的に届けられます。これにより、お客様の記憶からお店が忘れ去られるのを防ぎ、再来店のきっかけを作れるのです。
情報発信だけでなく、コメントやDM(ダイレクトメッセージ)でお客様と直接交流することも大切です。お店への親近感が育まれ、長期的なファンになってもらいやすくなります。
口コミ(UGC)効果で新規顧客が増える
現代の消費者は、企業からの広告よりも、実際にサービスを利用した他の消費者の「リアルな声」を重視する傾向にあります。
アライドアーキテクツ株式会社の「生活者のUGCに対する意識調査 2022」では、約6割が、生活者のクチコミやレビューを信頼すると回答。
お客様が「#(お店の名前)」といったハッシュタグを付けて料理の写真や感想を投稿してくれることは、信頼性の高い強力な口コミとなります。 このお客様による投稿は「UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)」と呼ばれます。このUGCが自然に増えれば、広告費をかけずにお店の認知度が高まります。そして、新たなお客様を呼び込む好循環が生まれるのです。
飲食店がインスタグラム集客を成功に導く8つのコツ

インスタグラムのメリットを理解したところで、この章では具体的な成功の秘訣を8つご紹介します。これらのコツを実践することで、あなたのアカウントは単なる情報発信ツールから、強力な集客エンジンへと進化するでしょう。
リール動画をフル活用して「発見タブ」を狙う
インスタグラムで新規顧客にアプローチする上で、今もっとも重要と言えるのが「リール」です。リールとは最大90秒のショート動画を作成・投稿できる機能です。フォロワー以外のユーザーに表示される「発見タブ」に載りやすい点が最大の特徴。
静止画よりも情報量が多く、シズル感やお店の活気ある雰囲気を伝えやすいリールは、飲食店と非常に相性が良いと言えます。
たとえば、以下のような動画はユーザーの興味を引きやすいでしょう。
- 調理風景のタイムラプス
- スタッフが笑顔で働く様子
- 完成した料理を美しく見せる動画
これらはアカウントへの訪問やフォロー、さらには来店へとつながる強力なきっかけになります。
ストーリーズでファンとの距離を縮める
24時間で消えるストーリーズは、日常のできごとや舞台裏など、リアルタイムな情報を発信するのに最適な機能です。
完成度の高いフィード投稿とは対照的に、ストーリーズでは少しラフで親しみやすいコンテンツが好まれる傾向にあります。
「本日の日替わりランチ」の紹介や厨房での一コマ、お客様への感謝のメッセージなどを投稿することで、お店をより身近に感じてもらえます。
また、質問スタンプやアンケート機能を活用すれば、フォロワーと双方向のコミュニケーションが生まれ、エンゲージメントを高めることができます。
この積み重ねが、お店のファンを増やし、リピート率の向上に貢献するのです。
戦略的なハッシュタグ選定で新規顧客に見つけてもらう
ハッシュタグは、あなたのお店をまだ知らない潜在顧客とつながるための重要な架け橋です。しかし、やみくもに付けても効果は期待できません。
重要なのは、投稿数の規模が異なるキーワードを戦略的に組み合わせることです。
- ビッグキーワード:投稿数が非常に多い(例: #イタリアン)
- ミドルキーワード:地域名などを組み合わせたもの(例: #恵比寿グルメ)
- スモールキーワード:より具体的でターゲットを絞ったもの(例: #チーズたっぷりパスタ)
このように複数のキーワードを組み合わせることで、競争が激しい中でも投稿が見つけられやすくなります。
ジオタグ(位置情報)を必ず付けて投稿する
投稿にジオタグ(位置情報)を追加することは、地域に根ざした飲食店にとって必須のアクションです。
ジオタグを設定すると、ユーザーがその場所を検索した際にあなたの投稿が表示されるようになります。たとえば、観光客が「渋谷駅」周辺の飲食店を探している場合、ジオタグ付きの投稿は有力な候補となり得ます。
また、ユーザーが投稿のジオタグをタップすると、同じ場所で投稿された他の写真や動画の一覧が表示されます。ここにお店の魅力的な投稿が並ぶことで、お客様が来店する際の安心感や期待感を高める効果も期待できるのです。
いいね・コメントに積極的に返信し、交流を深める
インスタグラムは一方的な情報発信の場ではなく、ユーザーと交流するための「ソーシャル」なプラットフォームです。
投稿に寄せられたコメントには、できる限り丁寧に、そして個別に返信することを心がけましょう。自分のコメントにお店から心のこもった返信があれば、ユーザーは「大切にされている」と感じ、お店への好感度や信頼感が格段に高まります。
こうした地道なコミュニケーションの積み重ねが、熱心なファンを育て、結果として安定した集客へとつながっていきます。
インサイト機能を活用して分析と改善を繰り返す
ビジネスアカウントで利用できる「インサイト」は、インスタグラム運用における羅針盤のような存在です。
この無料の分析ツールでは、以下のような貴重なデータを詳細に把握できます。
- どの投稿が人気だったか(リーチ数やエンゲージメント率など)
- フォロワーの層(年齢、性別、地域など)
- フォロワーがアクティブな曜日や時間帯
これらのデータを定期的に確認し、「なぜこの投稿は反応が良かったのか」「次はどんなコンテンツが求められているのか」を分析し、次の投稿に活かしましょう。
このPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回し続けることが、集客を成功させるための最短ルートです。
プロフィールからの予約導線を確保する
ユーザーがあなたのアカウントに興味を持ったとき、次に見るのはプロフィール画面です。
ここが分かりやすく整備されていなければ、せっかくの来店機会を逃してしまいます。
お店のコンセプトや営業時間、住所といった基本情報を分かりやすく記載。その上で、予約サイトや公式サイトへのリンクを必ず設置しましょう。
インスタグラムのプロフィールにはリンクを一つしか設定できません。しかし、「リットリンク(lit.link)」のような無料ツールを使えば、複数のリンクをまとめたページを作成できます。
さらに、グルメサイトと連携できる「アクションボタン」を設定するのも有効です。ユーザーはアプリを離れることなく、数タップで予約を完了させることが可能になります。
少額から試せるインスタグラム広告でブーストをかける
オーガニックな投稿だけでは、届けたい層に情報が届かないこともあります。そんな時に有効なのが、インスタグラム広告です。
インスタグラム広告は、1日数百円といった少額からでも出稿でき、地域、年齢、性別、興味・関心といった非常に細かいターゲティングが可能です。これにより、お店のターゲット顧客層にピンポイントで情報を届けられます。
まずは、過去の投稿の中で特に反応が良かったものを「宣伝(ブースト)」することから始めてみるのがおすすめです。少ない予算で広告の効果を試し、本格的な集客の加速につなげましょう。
飲食店のインスタグラム集客における3つの注意点

インスタグラムは強力な集客ツールですが、使い方を誤るとお店の評判を損ねてしまう可能性も秘めています。
この章では、運用を始める前に必ず押さえておきたい3つの注意点を解説します。リスクを正しく理解し、健全なアカウント運用を心がけましょう。
ネガティブな印象を与える投稿は避ける
お店の公式アカウントは、いわば公の「顔」です。
そのため、個人的な愚痴やお客様への批判、内部事情の暴露といった内容は投稿すべきではありません。たとえそれが事実であっても、ネガティブな発信は避けましょう。
見る人に不快感や不信感を与え、お店のブランドイメージを大きく損なう原因となります。
常にポジティブで、お店の魅力が伝わるような発信を徹底することが、ファンを増やし、集客へつなげるための基本姿勢です。
著作権や肖像権を侵害しない
投稿に使用する写真、動画、音楽には、著作権や肖像権が関わってきます。
他人が撮影した写真を無断で使用したり、市販のCD音源をBGMとしてリール動画に使用したりすると、著作権侵害にあたる可能性があります。
さらに、お客様が写り込んだ写真を本人の許可なく投稿することは、肖像権の侵害となる恐れがあります。
権利関係には細心の注意を払い、投稿では以下の素材を使用することを徹底しましょう。
- 写真・動画:自身で撮影したもの
- 音源:インスタグラムが提供しているもの
- 人物写真:お客様やスタッフの許可を得たもの
すぐに結果が出なくても諦めずに継続する
インスタグラムの運用は、一朝一夕で成果が出るものではありません。
フォロワーがなかなか増えなくても、投稿への反応が薄くても諦めないでください。すぐにやめてしまうのは、非常にもったいないことです。
大切なのは、インサイト機能でデータを分析することです。どのような投稿がターゲット顧客に響くのかを学び、試行錯誤を繰り返しましょう。 まずは「3ヶ月間、週に2〜3回の投稿を続ける」といった具体的な目標を立て、コツコツと継続することが重要です。その地道な努力が、将来的に大きな集客効果となって返ってきます。
飲食店のインスタグラム集客の始め方
ここまでの内容で、インスタグラム集客のメリット、コツ、注意点をご理解いただけたかと思います。
この章では、今日から始められる具体的な5つのステップを解説します。この手順に沿って進めれば、初心者の方でも迷うことなくスタートを切れるはずです。
ステップ1:ビジネスアカウントに切り替える
まずは、インスタグラムのアカウントを「ビジネスアカウント」に切り替えましょう。
個人アカウントでも投稿は可能ですが、ビジネスアカウントにすると、集客に不可欠な以下の機能がすべて無料で使えるようになります。
- インサイト機能:投稿の閲覧数やフォロワー層を分析できるツール
- 問い合わせボタン:電話番号やメールアドレスをプロフィールに表示
- インスタグラム広告:ターゲットを絞って投稿を宣伝
切り替えは設定画面から数タップで簡単におこなえますので、必ず設定してください。
ステップ2:お店のターゲット顧客を明確にする
次に、お店が「誰に」情報を届けたいのか、ターゲット顧客(ペルソナ)を具体的に設定します。
たとえば、以下のように具体的にイメージしてみましょう。
- 仕事帰りに友人と少し贅沢なディナーを楽しみたい20代後半の女性
- 休日に子連れで安心してランチをしたい30代のファミリー層
このように年齢、性別、ライフスタイルなどを詳細に思い描きます。ターゲットが明確になることで、その人に響く写真の撮り方や文章のトーンが決まり、投稿内容に一貫性が生まれます。
ステップ3:プロフィールを最適化する
プロフィールは、あなたのアカウントを訪れたユーザーが最初に目にする「お店の看板」です。
アイコンは、お店のロゴや看板メニューの写真にしましょう。一目でどんなお店か分かるものが理想です。
自己紹介文には、お店のコンセプトやこだわり、名物メニューを記載します。最寄り駅からのアクセスや営業時間なども、簡潔に分かりやすくまとめましょう。
そして最も重要なのが、予約サイトや公式サイトにつながるURLの設置です。興味を持ってくれたユーザーを、スムーズに来店予約へと導くことができます。
ステップ4:投稿の「世界観」を統一する
魅力的なアカウントには共通点があります。それは、写真一覧の「世界観」に統一感があることです。
写真の色味や明るさ、構図のパターンなどを揃えましょう。そうすることで洗練された印象を与え、アカウントの専門性やブランドイメージを高められます。
毎回同じ写真加工フィルターを使ったり、背景や小物に統一感を持たせたりするだけでも、全体の雰囲気は大きく変わります。どのような世界観を目指すかは、ステップ2で設定したターゲット顧客が好むスタイルを意識して決めましょう。
ステップ5:まずは最初の投稿!基本の投稿を作成してみよう
さあ、いよいよ最初の投稿です。難しく考えすぎず、まずは「お店の自己紹介」と「一番の看板メニュー」を投稿してみましょう。
【投稿文の例】
「はじめまして!〇〇駅徒歩3分のイタリアン、△△です。
当店自慢は『濃厚カルボナーラ』。シェフ厳選のチーズと卵をたっぷり使った自慢の一品です!
ぜひ一度ご賞味ください。」
そして、これまでに学んだことを活かし、「#(店名)」「#(地域名)グルメ」「#カルボナーラ」といったハッシュタグと、お店のジオタグ(位置情報)を忘れずに付けて投稿しましょう。 これが、成功への大きな第一歩です。
まとめ
本記事では、インスタグラムを活用した集客を網羅的に解説。メリットから実践のコツ、注意点、そして具体的な始め方のステップまでをお伝えしました。
インスタグラムは、現代の飲食店にとって非常に強力な武器です。無料で始められ、料理の魅力を視覚的に伝え、地域のお客様と直接つながることができます。 すぐに大きな結果が出なくても、諦めずにコツコツと投稿を続けましょう。お客様との交流を楽しみながら運用していくことが成功の鍵です。