LINE公式アカウントを活用して、ユーザーとのコミュニケーションを強化する企業が増える中、さらに効率的な運用を実現する「Lステップ」が注目を集めています。
Lステップとは、LINE公式アカウントと連携することで、その機能を大幅に拡張し、売上向上や顧客管理を効率化できるツールです。
しかし、LINE公式アカウントだけの運用とLステップを連携した場合とではどのような違いがあるのでしょうか?
本記事ではLステップの概要と機能、またLINE公式アカウントとの違いや、Lステップを導入することのメリットについて詳しく解説します。
Lステップとは
LステップはLINE公式アカウントと連携することで、より高度で柔軟なコミュニケーションを可能にするマーケティングオートメーションツールです。
主に、LINE公式アカウントを使った顧客対応やプロモーションを効率化する目的で開発されています。
LINE公式アカウントにLステップを組み込むことで、セグメント配信、ステップ配信、アンケート作成、タグ管理など、LINE公式アカウント単体では難しい機能を追加できます。
なお、Lステップは株式会社Maneqlが提供するツールであり、LINEの運営会社であるLINE株式会社が提供しているものではありません。
Lステップを利用するには、LINE公式アカウントの利用登録をおこなったうえで、別途Lステップ公式や代理店から申し込む必要があります。
LステップとLINE公式アカウントの違い
LINE公式アカウントとLステップは、どちらも顧客とのコミュニケーションを円滑にするためのツールですが、その機能や運用の自由度には大きな違いがあります。
LINE公式アカウントがシンプルに情報を届けるための基本機能を提供するのに対し、Lステップはさらに高度なマーケティングや顧客管理を実現するためのオプションツールです。
以下に具体的な違いを示します。
自動化・ステップ配信の違い
LINE公式アカウントでは、ユーザーに一斉配信や定期的なメッセージ配信が可能ですが、特定の行動や属性に応じたステップ配信機能はありません。
一方でLステップは、顧客の行動や属性に応じて自動でメッセージを段階的に送る「ステップ配信機能」が充実しており、リードナーチャリングやカスタマージャーニーに合わせたフォローが自動で可能です。
顧客セグメント・ターゲティングの違い
LINE公式アカウントでは、全体のユーザーに一括配信を行うことが多く、顧客の細かい属性に基づいた配信には限界があります。
Lステップを使うと、顧客をタグや行動データにもとづいて細かくセグメント化し、それぞれの属性に合わせたメッセージを配信できます。これにより、特定の顧客グループに対してよりパーソナライズされたアプローチが可能となります。
顧客データ収集・分析の違い
LINE公式アカウントでは、メッセージの開封率や友だち数などの基本的なデータを確認することはできますが、ユーザー行動や反応の詳細な分析まではおこなえません。
Lステップは、アンケート機能や行動分析機能を活用して、顧客がどのメッセージに反応したか、どのリンクをクリックしたかといった行動データを蓄積・分析することができます。このデータは顧客理解を深め、次の施策に活用するための有効な情報源となります。
顧客対応の効率化の違い
LINE公式アカウントでは、基本的な自動応答やメッセージ配信は可能ですが、より個別のニーズに応じた細やかなフォローアップが難しい場合があります。
Lステップでは、シナリオに基づく自動応答やユーザーごとに異なるシナリオを設定できるため、顧客ごとのニーズやタイミングに合わせた柔軟な対応が可能です。これにより、顧客満足度の向上や離脱防止につながります。
このように、LステップはLINE公式アカウントをベースにしながらも、より細やかなマーケティング施策や顧客対応を可能にする高度なツールです。
顧客とより深く関わりたい、ターゲティングを強化したい企業にとって、Lステップの導入は大きな差別化要素となるでしょう。
Lステップの主な機能
Lステップには、マーケティングや顧客対応の自動化・効率化を可能にし、企業のコミュニケーション戦略を強力にサポートするさまざまな機能があります。
シナリオ配信(ステップ配信)
Lステップのシナリオ配信、またはステップ配信は、顧客の行動や登録状況に応じて段階的にメッセージを送信する機能です。
例えば、新規登録後の顧客に対して「ウェルカムメッセージ」から始まり、1週間後には「追加のおすすめ商品情報」を配信する、といったシナリオを設定できます。
各シナリオは顧客のアクションに基づいてカスタマイズが可能で、購買意欲を引き出すためのナーチャリングやリテンション施策として有効です。
これにより、企業は一人ひとりの顧客に合わせた自動フォローアップができ、効率的に顧客との関係を築けます。
セグメント配信
Lステップのセグメント配信は、顧客を属性や行動履歴に基づいてグループ分けし、それぞれのグループに合わせたメッセージを送ることができる機能です。
例えば、年齢、性別、購入履歴、興味のある商品カテゴリなどで細かくターゲティングし、最適なタイミングで効果的なメッセージを届けることが可能です。
この機能により、メッセージがよりパーソナライズされ、顧客にとって価値のある情報を提供できるため、エンゲージメントが向上し、より高い成果が期待できます。
リマインド配信
リマインド配信機能は、特定のイベントや期限に合わせて自動でリマインドメッセージを送信する機能です。
例えば、商品のカート放置対策として「カートに残っている商品を購入しませんか?」とリマインドしたり、予約日が近づいた際にリマインドをおこなったりすることができます。
リマインド配信により、顧客がアクションを忘れることなく行動を促すことができ、購買や利用頻度の向上が可能です。
回答フォーム
Lステップの回答フォーム機能では、アンケートや登録フォームを作成し、LINE上で顧客から情報を収集できます。
例えば、顧客のニーズや興味関心を探るアンケート、キャンペーンへのエントリーフォームなどを作成でき、顧客データを手軽に集めることが可能です。
さらに、回答内容に応じてタグ付けをおこない、セグメント配信やステップ配信に活用することもでき、データに基づいたターゲット施策の実施が可能になります。
友だちリスト(タグ管理)
友だちリスト機能は、顧客ごとにタグを付けて管理することができる機能です。
Lステップでは、アンケートの回答や行動履歴に応じて自動的にタグを追加することができ、顧客のニーズや興味に基づいてリストを整理できます。
タグ管理を活用することで、特定の顧客群に絞ってメッセージを配信したり、施策の効果を分析したりすることが可能です。結果として、顧客ごとにきめ細やかな対応ができ、満足度の向上にもつながります。
リッチメニュー
Lステップのリッチメニューは、通常のLINE公式アカウントのリッチメニューと同様、LINEトーク画面の下部にメニューを表示できる機能です。
Lステップでは、顧客ごとに異なるリッチメニューを出し分けることができ、ユーザーの興味や行動に合わせたカスタマイズが可能です。
例えば、ある特定の商品に興味を持つ顧客には関連商品のメニューを表示するなど、柔軟な設定が可能で、顧客に応じた訴求ができるため、コンバージョン率を高めるのに役立ちます。
予約管理
Lステップの予約管理機能では、LINE上で予約の受付から確認、リマインド送信までを一括でおこなえます。
予約の取り消しや変更も可能で、予約内容は自動で記録され、顧客管理システムと連携して一元管理できます。
この機能により、店舗やサービス業においては、顧客の手間を省きつつ確実な予約管理ができるため、効率化と顧客満足度の向上が期待できます。
流入経路分析
流入経路分析機能では、LINE公式アカウントへの友だち追加がどの経路から発生しているかを分析することができます。
例えば、QRコード、URLリンク、他のSNS広告などからの流入元を把握することで、効果的な流入経路が特定できます。
これにより、広告やプロモーションの改善に役立ち、最も効率的なチャネルに注力してリソースを最適化することが可能です。
Lステップのメリット
Lステップの導入には以下のようなメリットがあり、それぞれが企業のマーケティング活動や顧客対応をより効率的かつ効果的にするためのポイントとなっています。
コストを削減できる
Lステップを導入すると、特定の顧客対応を自動化できるため、スタッフの作業負担が軽減され、人件費の削減につながります。
例えば、顧客からのよくある質問に対して自動返信を設定したり、商品購入後のフォローアップメッセージを自動で送信したりすることが可能です。
従来は人手で対応していた部分を自動化することで、スタッフはほかの業務に集中でき、全体的なコスト効率が向上します。
ユーザーの行動分析ができる
Lステップでは、ユーザーがLINE上でどのような行動をとっているかを細かくトラッキングできます。
例えば、メッセージの開封状況やリンクのクリック率、アンケートの回答内容などが記録され、マーケティング施策の効果を数値で確認できます。
このデータをもとに、ユーザーの興味やニーズを深く理解し、ターゲットに合わせたプロモーションやコンテンツを提供することが可能になります。結果として、顧客エンゲージメントの向上が期待でき、施策の改善にも役立ちます。
サポート体制が充実している
Lステップはサポート体制が充実しており、導入初期の設定方法から、活用にあたっての疑問や不安に関するサポートまで幅広く対応しています。
具体的には、マニュアルやFAQ、カスタマーサポートチームによる個別相談が提供されているため、初めての導入でも安心です。
また、Lステップにはさまざまな事例や活用例が共有されており、それを参考にすることで、自社に適した運用方法や効果的な活用方法を見つけることができます。
結果として、運用上の問題解決がスムーズになり、ツールを最大限に活用できる環境が整います。
顧客情報を収集できる
Lステップでは、ユーザーとのやりとりから顧客情報を蓄積し、データベース化することが可能です。
例えば、アンケートを通じて趣味や興味、購入履歴などの情報を収集し、それに基づいたタグを付けることで、セグメントごとのマーケティングが可能になります。
収集した情報を基に、個別のニーズに対応したメッセージを送信したり、特定のターゲットに絞ったキャンペーンを展開したりすることで、顧客一人ひとりに合わせた接客が実現します。
こうしたパーソナライズドな対応により、顧客満足度が向上し、リピート率や顧客ロイヤルティの強化が期待できます。
LINE公式アカウントだけでも十分な企業の特徴
Lステップは、多機能で高機能なツールですが、企業の規模や配信目的によっては、LINE公式アカウントだけで十分な場合もあります。
以下に該当する企業は、Lステップを導入せず、LINE公式アカウントの基本機能だけで目的を達成できる可能性があります。
一斉配信がメイン
もし、LINEの配信がキャンペーン情報やお知らせなどの一斉配信が中心であり、ユーザーごとの個別対応や細かなセグメント配信が不要であれば、LINE公式アカウントの基本機能だけで十分なケースが多いです。
Lステップのステップ配信や顧客ごとにカスタマイズされたメッセージ配信がかならずしも必要ではなく、シンプルに情報を広く届けたい場合には、公式アカウントの一斉配信機能だけで目的が達成できます。
顧客・配信数が少ない
顧客数や配信対象が少ない場合も、Lステップはかならずしも必要ではありません。
例えば個人経営や小規模事業者で、登録ユーザーが限られており、個別に手動で対応できるような場合、Lステップの多機能がかえってオーバースペックとなる可能性があります。
少数の顧客に丁寧な対応ができる場合、LINE公式アカウントの基本機能で十分な管理ができ、費用対効果を考えるとLステップ導入の優先度は低くなります。
クーポンやポイントカードがメイン
クーポンやポイントカードの発行がLINE活用の主な目的である場合も、Lステップの導入は必要ないケースが多いです。
LINE公式アカウントにはクーポンやポイントカード機能が標準で搭載されており、これらの機能だけで来店促進や顧客ロイヤルティ向上の効果を十分に得られます。
複雑な顧客管理やステップ配信などのマーケティング施策を展開する必要がなければ、公式アカウントの機能だけでコストを抑えつつ、シンプルに運用する方が効果的です。
Lステップの導入がおすすめな企業の特徴
Lステップは、顧客対応やマーケティング施策を自動化し、効率的に運用できることから、LINE公式アカウントだけでは物足りないと感じる企業に大きなメリットをもたらします。
とくに、次のような特徴を持つ企業にはLステップの導入がおすすめです。
運用・配信コストを抑えたい
Lステップの自動化機能により、メッセージの送信や顧客対応が効率化できるため、人件費や運用コストを削減したい企業にとって非常に有効です。
例えば、問い合わせ対応を自動返信で行ったり、顧客の行動に合わせてフォローアップメッセージを自動送信したりすることで、スタッフの手間を大幅に削減できます。
これにより、少人数での運用でもスムーズに対応が可能となり、コスト削減と顧客満足度向上の両方が期待できます。
顧客を細かく分析したい
Lステップは、顧客の行動履歴やアンケート回答などのデータをもとに、顧客ごとの興味やニーズを把握するための詳細な分析機能を提供しています。
とくに、セグメントごとの配信や行動に基づいたメッセージのパーソナライズが重要な企業にとって、Lステップの導入は効果的です。
例えば、特定の商品に興味を示した顧客に対してのみキャンペーンを案内したり、購買行動をもとに再来店促進のメッセージを送信したりと、精度の高いマーケティング施策が可能となります。
こうしたデータにもとづくアプローチにより、顧客エンゲージメントの向上や売上増加が見込まれます。
まとめ
LINE公式アカウントは、シンプルに情報を届けるための基本的な機能を備えており、一斉配信や簡単な自動応答など、少人数で運用する企業やシンプルな顧客対応を目的とする企業に適しています。
一方で、Lステップは高度なシナリオ配信、セグメント配信、リマインド配信などの自動化機能を備え、顧客ごとのデータ管理や行動分析に基づいたパーソナライズドな対応が可能です。
この違いにより、Lステップは顧客に合わせた詳細なマーケティング施策を展開したい企業にとって、強力なマーケティングツールとして活用できるでしょう。
Lステップの導入は企業の規模や顧客数、運用目的によって慎重に判断することが重要です。
利用するか検討中であれば、Lステップの30日間無料トライアル制度を利用し、自社の事業とマッチするかどうか確認してみてはいかがでしょうか。