社内の業務効率を高め、情報共有の漏れ、コミュニケーション不足などさまざまな課題をトータルに解決できることから、グループウェアを導入する企業が増加しています。
この記事では、グループウェアとは具体的にどのような機能を利用できるものなのか、どのサービスを選べばよいのか、おすすめのサービス10選とあわせて解説いたします。
グループウェアとは
グループウェアとは、社内の情報共有やコミュニケーションの円滑化、業務の効率化、セキュリティ対策などが実現できるソフトウェアです。
社内専用のSNSやチャット、音声通話機能といったコミュニケーション機能や、スケジュール管理、設備予約など業務に役立つ多種多様な機能が搭載されています。
情報共有の漏れ、コミュニケーション不足による業務やスケジュール調整の遅滞、外出中の社員の所在不明など、社内の課題解決にも大いに役立ちます。
パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも利用できるため、テレワークやモバイルワークにも最適です。
グループウェアの主要機能
グループウェアには、おもにつぎのような機能が搭載されています。それぞれの概要について解説いたします。
チャット・掲示板
業務上の会話やお知らせなどを掲示できる専用のチャット、掲示板の機能です。
直接の会話やメールよりも気軽に短文で話しかけられ、また離れた場所で業務をおこなう社員同士でも交流できるため、社内のコミュニケーション活性化に役立ちます。
また、チャットはプロジェクト別にスレッドを分けることができ、会話の流れも履歴を遡ればすぐ確認できるため、使いやすいです。
ファイル共有
ドキュメントや資料、画像などの各種データをアップロードし、効率的に共有、管理できる機能です。
製品によってはグループやプロジェクトごとにアクセス制限を設けたり、つねに最新版のデータに切り替えられるバージョン管理を設定できたりします。
プロジェクト管理
メンバーを登録し、プロジェクトの最新情報や段階ごとのタスク・スケジュールの管理、進捗の共有ができる機能です。
各タスクの現在の状況や全体からみた進捗率をチャートで可視化し、終了予定日とあわせていつでも状況を確認できます。
ワークフロー
予算・休暇などの社内申請業務をペーパーレス化し、グループウェア上から簡単に申請、承認作業がおこなえます。
書類を印刷して提出する手間、承認までの待ち時間を削減でき、申請から承認、決裁までのフローを自動化、社内にいなくてもこれらのやり取りを端末上で完結できます。
施設予約
会議室をはじめとする社内の共用施設、プロジェクターなどの備品使用などの予約状況をリアルタイムに確認したり、利用申請したりできる機能です。
共用施設の利用申請時にはスケジュール管理機能と連動できるため、会議参加者の予定とあわせて日程を設定できます。
グループウェアツールを選ぶときのポイント4つ
グループウェアはそれぞれ、機能や料金体系、利用できる人数などが異なります。利用を検討している際、どの部分を比較して選べばよいのか、確認すべきポイントをご紹介します。
クラウド版 or オンプレミス版
そもそもグループウェアには、クラウド上で利用する「クラウド版」と、自社サーバーにシステム構築して利用する「オンプレミス版」があります。
クラウド版はシステム構築の必要がないため、初期費用が安く抑えられ、登録すればすぐに利用を開始できるという特長があります。
オンプレミス版はシステム構築の必要があり、初期費用が高額になりがちです。しかし、自社サーバーに設置するためセキュリティ性が高く、カスタマイズ性も高いため自社に最適な機能を自在に搭載できるのが特長です。
このような特長から、初期費用を抑えてすぐ利用したいのであればクラウド版。セキュリティの安全性を重視しており、独自の機能や自社システムと連携したい場合はオンプレミス版、などと選ぶのがよいでしょう。
利用人数
グループウェアの製品によってそれぞれ中小企業向け、大企業向けのものがあり、利用の最低人数や、上限が設けられている場合があります。
自社で利用する人数、今後増加する可能性のある人数を想定しておき、それに適した製品を選ぶと、性能を最大限に活かして利用できます。
セキュリティ
グループウェア上では社内機密や顧客情報といった重要なデータを取り扱うため、セキュリティ面も重視する必要があります。
製品によっては通信の暗号化やログイン時の多要素認証、アクセス制限、操作監視ログなどの機能を搭載しています。
また、情報セキュリティに関する国際規格、ISO27001(ISMS認証)を取得しているか、なども確認するのがおすすめです。
料金
料金体系は基本的に、利用する人数に応じた課金制が主流です。また、当然ながら機能の充実した製品であるほど料金は高額になります。
人数が多いほど一人あたりの単価が安くなるものもあるため、将来的に何人が利用しそうか、どの機能が自社には必要か、予算も考慮して最適なものを選ぶとよいでしょう。
また、クラウドのデータ容量によっては追加課金が必要となる場合もあるため、他社の利用しているデータ容量を参考にし、これも考慮してプランを選ばれることをおすすめします。
グループウェアおすすめ10選
それでは、おすすめのグループウェアを10種類、特徴とあわせてご紹介いたします。
Google Workspace
Googleの提供する、グループウェアとして利用可能な組織向けのクラウドアプリケーションのセットです(旧G Suite)。
Gmailやカレンダー、スプレッドシート、フォームなど60を超えるGoogleのサービスと連携でき、PC ではブラウザから、スマホでは専用アプリから利用できます。
最新鋭のクラウド セキュリティを謳っており、厳格なプライバシー基準とセキュリティ基準に準拠するよう設計されています。
特徴
- 14日間無料トライアルあり
- 1ユーザーあたり月額680円~
- ユーザー数の下限、上限なしの「Enterprise」プランあり
- 60以上のGoogleサービスが利用できる
- Microsoft officeとの互換性もあり
Microsoft 365
Microsoftの提供する、 Office アプリ、クラウド サービス、最高水準のセキュリティを搭載したビジネスソリューションです。
稼働率99.9%保証と返金制度も設けており、サービスの安定した稼働に自信をもっています。
最先端の防御機能を利用できる Microsoft Defenderの搭載、デバイス紛失や盗難時に遠隔操作でデータを消去できる機能、転送制限など、セキュリティ対策の機能も充実しています。
特徴
- 1ユーザーあたり月額540円~
- 使い慣れたOffice製品をそのまま利用できる
- つねに最新のOffice製品を使用できる
- 複数デバイスが常時同期され、つねに最新の状態で作業可能
- 遠隔操作でデータを消去できる
LINE WORKS
利用者も多い人気のSNS、LINEのビジネス版ツールです。2020年度の有料ビジネスチャットシェアNo.1、導入企業も25万社を突破しています。
LINEの使い勝手そのままのチャット機能はもちろん、カレンダーやファイル共有などグループウェアに必要な機能も充実しています。
運用者の導入の負担を減らす「社内説明のためのスターターキット」も用意されており、すぐ活用できるよう配慮されています。
特徴
- フリープランあり
- 有料プランは1ユーザーあたり月額300円~
- 使い慣れているLINEの感覚で利用できる
- 通常のグループウェア同等の機能が充実している
- 連携ツールによるカスタマイズも可能
- セキュリティ専門スタッフが365日24時間モニタリング
サイボウズ Office
業務改善プラットフォーム「kintone」などで知られる、サイボウズ提供の中小企業向けグループウェアです。
国産グループウェアのため、日本のビジネスにおける使い勝手を追求した機能が充実しているのが大きな特長です。1997年の発売以降、累計導入70,000社を突破しています。
グループウェアに搭載されているスケジュールや掲示板、ファイル共有機能はもちろん、ToDoリストやタイムカード、プレミアムコースでは必要なアプリを追加できる「カスタムアプリ」機能も利用できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 1ユーザーあたり月額500円~
- 1ヶ月単位での解約やユーザー数変更も可能
- ログイン時間と連動して勤怠管理できるタイムカード機能
- 標準機能にはないアプリを作成、カスタマイズできるカスタムアプリ機能
サイボウズ Garoon
こちらも、上記でご紹介したサイボウズ製品です。10名から数万名まで、中小企業から大企業まで、幅広い規模、業種で利用できるグループウェアです。
これまでサイボウズOfficeを利用していて、利⽤規模の拡⼤、ガバナンス強化が必要になった場合にGaroonへの移行を推奨しています。
APIやプラグインによる高い拡張性と連携性があり、kintoneやMicrosoft365など他システムと連携も可能です。
特徴
- 30日間無料トライアル、デモ版あり
- クラウド版とパッケージ版あり
- クラウド版は1ユーザーあたり月額800円~
- 3か国語対応
- APIやプラグインによる高い拡張性と連携性あり
NotePM
ナレッジ情報を一元管理できる、社内版ウィキペディアです。社内の情報やノウハウ、マニュアルなどを編集、カンタンに検索、閲覧できるのが特長です。
Webでマニュアル作成、ファイル共有など社内の情報共有に特化しており、このほかにもドキュメント作成機能や履歴管理、ブックマークなどさまざまな便利機能が充実。
また、アクセス制御やページロックなどの制限機能、2段階認証やIPアドレス制限など、セキュリティ機能も搭載されています。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 1ユーザーあたり月額500円~(閲覧のみのユーザーは無料)
- マルチデバイス対応
- チャット連携・API対応
- 変更履歴、閲覧履歴あり
desknet’s NEO
あらゆる規模・業種・業態で使える27の基本アプリケーションのほか、オプションの追加によりさらに必要な機能を付け足せるグループウェアです。
また、業務アプリ作成ツール「AppSuite」でオリジナルの業務アプリを手軽に作成でき、独自業務もシステム化して業務効率を高められます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- クラウド版とパッケージ版あり
- クラウド版は1ユーザーあたり月額400円~
- オンライン導入相談あり
- Amazonビジネスと連携可能
- 会議資料を参加者にリアルタイム配信、共有できる「SmartViewer」機能
J-MOTTO
日本最大級の導入実績を誇るグループウェア「desknet’s NEO」を元に、同等の機能を提供するASP・クラウドサービスです。
1ユーザーあたり税込165円と非常に低価格で、1ヶ月単位に契約を見直せるため、まず導入してみたいという企業にも最適です。
基本料金のみで日々の業務に使える25の機能がすべて利用でき、フィーチャーフォンにも対応。マウスのクリック操作やタブレットのタッチパネルで、直感的に操作できるのも特長です。
特徴
- 無料トライアルあり
- 1ユーザーあたり月額165円~
- マルチデバイス、フィーチャーフォンにも対応
- Microsoft Office365とのSAML連携可能
- 専門スタッフによる手厚いサポート
NI Collabo 360
必要な情報を自由にカスタマイズし、自分専用のポータル画面(トップページ)を作成できる、ポータル型グループウェアです。
全部で33もの豊富な機能を搭載しており、社内SNSとしての「UP!」機能では、気軽に社員同士のコミュニケーションが図れます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- クラウド版とパッケージ版あり
- クラウド版は1ユーザーあたり月額360円~
- 自由自在なポータル
- 経費精算、支払管理機能あり
- SFA、SQA、データベースなどほかのシステムと連携可能
Aipo
社内外の日程調整を自動化し、メール往復をなくすことができる、スケジュール調整に特化したグループウェアです。
基本的な機能に、追加で掲示板やタイムカード、ワークフローなど必要なアプリを追加することもできます。機能が多すぎないため、シンプルなグループウェアを求めている企業に最適です。
特徴
- 14日間無料トライアルあり
- 1ユーザーあたり月額350円~
- 全プラン共通で操作ログ管理、SSL暗号化、IP制限あり
- 容量10GB追加は月額1,000円
- 必要なアプリを追加可能
グループウェア導入のメリット
グループウェアを導入すると、数多くのメリットがあります。具体的にどのような効果があるのかご紹介いたします。
テレワークの実現
テレワークでは社員が各々離れた場所にいるため、対面でのコミュニケーションが困難になりやすいです。
しかし、グループウェアであればリアルタイムにコミュニケーションをとれるツールが豊富に揃っており、Web会議機能もあるため、ネットワーク環境さえあれば通常業務とほとんど変わりなく情報共有、会議ができます。
情報共有がスムーズになる
グループウェアのメール機能は一般的なメールのように1件ずつ宛先を指定して送信する手間もなく、グループや部署ごとの一括送信が可能です。
またチャットや掲示板、ファイル共有の機能もあるため、離れた場所にいる相手に対してもスムーズかつ容易に、情報共有できる機能が充実しています。
さらにスケジュール共有機能もあるため、予定変更が発生した場合もグループウェア上ですぐ呼びかけられ、各々がいつでも予定を確認、調整できます。
ペーパーレス化
これまで、会議のたびに資料を人数分印刷して配布したり、各種申請をおこなう際には専用の用紙を印刷、記入して提出したり、紙主体の企業は少なくないかと思います。
しかし、グループウェアであれば資料はファイル共有の機能、各種申請はワークフロー機能によりすべてWebで完結するため、用紙や印刷のコスト、手間をなくしペーパーレス化も実現できます。
事務作業の効率化
ワークフロー機能で事前に設定しておけば各種申請も用紙の印刷、記入、提出といったアナログな作業が必要なく、申請後は承認者に通知されるため遅滞なく、Web上ですべて完結します。
また、会議室などの施設予約の機能を利用すれば、施設を電話で予約したり、空き状況と参加者のスケジュールとを照らし合わせて、日程調整に難儀する手間もありません。
さらに、メンバーの業務の進捗、勤務状況をリアルタイムで把握できるため、労務管理も可能です。このように、多方面において事務作業を効率化できます。
グループウェア導入のデメリット
グループウェアを導入するうえで、デメリットとなる部分についてもご紹介いたします。
導入に費用がかかる
無料のグループウェアもありますが、やはり機能の十分揃っているものとなると有料の製品を利用することになることでしょう。
しかし、情報共有がスムーズになり、業務効率を高められるなど多くのメリットがあるため、結果的に経費削減につながる部分もあります。
ただ、高額のツールを導入したものの、使わない機能も多くてムダだった、ということのないように、自社に必要な機能はなにかを検討し、最適なものを選ぶ事が重要です。
実際にトライアルを利用し、導入費用とメリットが見合うかを見極め、導入可否を決定されるとよいでしょう。
部門や役職を越えたコミュニケーションは難しい
グループウェアの多くは、グループチャットや掲示板を作成する際、管理者の許可が必要です。そのため、部門や役職を越えたコミュニケーションには不向きといえます。
企業によっては、業務システムとしてのみの使用を想定しており、このようなチャットや掲示板の作成を許可しない可能性もあるでしょう。
コミュニケーションのツールとして活用したいのであれば、社内SNSを利用したほうがよいかもしれません。
ツールの使い方など教育が必要
せっかく導入しても、使ったことがなく操作が難しい、機能が多すぎて使いこなせない、などの理由で結局現場が使わないようではもったいないです。
そうならないためにも、使い方のマニュアル動画を視聴してもらったり、ベンダーによる導入サポートのサービスを利用したり、使い方を学ぶ機会を作るとよいでしょう。
まずは試しに機能の少ないプラン、製品を導入してみて、少しずつ慣れてもらうという方法もあります。
また、なぜグループウェアを導入したのか、導入することで業務効率が改善されるなど、利用した際のメリット感を伝えることも重要です。
まとめ
グループウェアの概要やおすすめ10選、導入のメリット・デメリットなどを解説しました。
色々な製品があるので、どれにすべきか悩まれるかもしれません。そんな方は「選ぶときのポイント」を参考に、トライアルなどを利用して自社の課題を解決できそうなものを選んでみてはいかがでしょうか。