働き方改革や新型コロナウイルス感染症の世界的流行といった影響があり、テレワークを導入する企業も増えてきています。
そのなかで、東京都はテレワークに必要な機器の導入、環境構築などの費用を支援する「テレワーク定着促進助成金」という制度をスタートしました。
テレワーク定着促進助成金とはどのようなものなのか、概要や助成内容、申請に関してなど、わかりやすく解説します。
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テレワーク定着促進助成金とは
「新しい日常」の働き方であるテレワークの定着・促進を図るための助成金事業です。
東京都内の中堅・中小企業に対し、在宅勤務やモバイルワークの実現に必要な情報通信機器、ソフトなどの費用を最大250万円まで支援します。
テレワーク定着促進助成金の助成内容
テレワーク定着促進助成金は、どのような助成をおこなっているのかについてご紹介します。
助成対象経費
テレワーク勤務実績に応じて、以下の経費を助成します。
勤務実績とはテレワーク実施対象者全員に、助成金の支給決定日~3ヶ月以内でテレワーク勤務を6回以上実施させることです。6回未満だと減額になります。
- パソコン、タブレットや周辺機器の購入費用
- 機器の設置、保守などの委託費用
- 機器のリース料金
- 各種ソフトウェアの利用料金
- 販売管理、財務会計といったソフトウェア購入費用
助成限度額と助成率
助成の限度額は1事業者250万円、助成率は3分の2です。
助成対象事業者の要件
つぎの要件を満たした事業者が助成対象になります。
1.東京都内で事業を営む中堅・中小企業(常時雇用する労働者の人数が999人以下)であること
2.東京都内に勤務する常時雇用の労働者が2名以上であること
3.都税の未納がないこと
4.過去5年間に重大な法令違反を犯していないこと
5.労働関係法令について、以下を満たしていること
- 従業員の賃金が、就労する地域の最低賃金額を上回ること。
- 固定残業代等の時間あたり金額が時間外労働の割増賃金に違反しないこと、また固定残業時間を超えて残業をした場合、その超過分について割増賃金が追加支給されていること。
- 法定労働時間を超えて労働者を勤務させる場合、「時間外・休日労働に関する協定(36 協定)」を締結し、遵守していること。
- 労働基準法に定める時間外労働の上限規制を遵守していること。
- 労働基準法第39条第7項(年次有給休暇について年5日を取得させる義務)を遵守していること。
- 前記以外の労働関係法令について遵守していること。
- 厚生労働大臣の指針に基づき、セクシュアルハラスメント等を防止する措置を実施していること。
6.風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律で規定する、風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業およびこれに類する事業をおこなっていないこと。
7.暴力団員等(東京都暴力団排除条例に規定する暴力団員、暴力団および法人その他の団体の代表者、役員または使用人その他の従業員もしくは構成員が暴力団員等に該当しないこと。
8.就業規則を作成し、労働基準監督署に届出をおこなっていること。
9.中堅・中小企業等の代表者が本助成金をすでに利用、申請したことがないこと。
10.都が実施する「2020TDM 推進プロジェクト」に参加していること。
その他、財団理事長が適当でないと判断した場合は助成金の対象外になります。
2020TDM推進プロジェクトとは
助成対象事業者の要件に、都が実施する「2020TDM 推進プロジェクト」に賛同・参加していることが含まれています。
これは、東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、大会中のスムーズな交通を確保し、経済活動を安定させる取り組みです。TDMとは交通需要マネジメントのことです。
助成事業の実施期間
支給決定日~3ヶ月以内に、以下の取り組みを完了する必要があります。
- 様式第1号で申請したテレワーク導入にかかる機器の購入・設定などがすべて完了しており、テレワーク環境が構築された状態であること
- 構築されたテレワーク環境を活用し、テレワーク実施対象者の全員がテレワーク勤務を6回以上(※)実施していること
※2時間単位や半日も実績1回として認められるが、1日に複数回のテレワークを実施した場合も1回として扱われます。
助成事業の流れ
助成金の申請から振り込みまでは、つぎのような流れになっています。なお、★印は申請企業側が実施する部分です。
- 支給申請書類の作成★
- 事業計画書兼支給申請書およびほかに定める書類の提出(郵送)★
- 審査・支給決定通知
- 助成事業の実施・完了★
- 実績報告書類の作成★
- 実績報告書およびほかに定める書類の提出(郵送)★
- 審査・助成額の確定通知
- 助成金請求書兼口座振替依頼書の提出★
- 助成金の振り込み
なお、受付期間中であっても予算が終了次第、受付を終了してしまうため注意が必要です。
テレワーク定着促進助成金の申請に関して
テレワーク定着促進助成金の申請に関する概要をご紹介します。
申請受付期間
令和2年8月24日(月) ~ 令和3年2月26日(金)
支給申請書類の提出方法
上記「申請受付期間」内に郵送で提出します。持参での提出は受け付けていません。
消印有効、郵送による受付・締切日消印有効です。
申請書類の入手先
「東京しごと財団 雇用環境整備課」のサイトから様式をダウンロードできます。
助成金を申請する際の注意点
助成金を申請する際に気をつけたいポイントについて解説します。
事前給付ではない
助成金を受けるには多くの場合、受け取るための条件が課されます。その条件を満たしたと認められたときにはじめて支給されるものです。
たとえば、労働環境の改善に関する助成金の場合、労働環境を改善するために計画を立案して申請をおこない、環境が改善されたと認められると支給されます。
「労働環境を改善するために金銭が必要なので、助成を受けたい」ということはできません。
時間や手間が掛かる
前述のように助成金は事前給付でないため、申請をおこない、条件を満たしたと認められるまで支給されません。
条件を満たしても、それを認めてもらうには当然時間が掛かるため、支給されるにはおよそ半年~1年半は時間がかかると考えておいたほうがよいでしょう。
助成金をあてにした資金繰りは危険です。
まとめ
テレワーク定着促進助成金は環境を整えたうえで、テレワーク対象者が「6回」テレワークを実施することで要件を満たせます。
テレワークを導入しようにも、従業員分の通信機器やソフトの購入など、大きな出費となるため二の足を踏まれていたのであれば、助成金の活用を検討してはいかがでしょうか。
予算が終了次第、受付も締め切ってしまうためご希望の企業さまは早めに申請されることをおすすめします。