民間企業のテレワーク導入事例(生命保険業)
生命保険業
生命保険業のD社では、労働時間削減の一環として、午後7時にパソコンがシャットダウンされる仕組みや男性の育児休業の取得推進など、働き方を変えるための改革が多数実行されています。
在宅勤務制度は、2014年に働き方改革の一環として導入され、現在までに1,000人以上が利用しています。また、携帯用端末を用いたモバイルワークは、在宅勤務制度よりも早く導入し、有効活用されています
概要
対象者 | 本社所属の社員のうち、自らの裁量で業務遂行が可能なものとして 所属長が認めた職員 |
利用条件 | 週3日を上限 |
労働時間管理 | ・原則、所定勤務時間内での業務を指示 ・事業場外みなし労働時間制 |
利用環境 | ・専用端末貸与 ・貸与機器は更改を迎えた営業端末の在庫を活用 ・通信カードを貸与し、本人の通信負担を抑制 |
在宅勤務の流れとしては、①在宅勤務利用申請 ②上司へ勤務計画提出・専用PC貸与 ③在宅勤務当日の始業終業をメールまたは電話で上司へ報告 ④在宅勤務翌日にPC返却 となっています。
情報セキュリティ
- 専用端末を使うことによって、社内と同様の情報セキュリティを確保
- 個人情報等の管理に関する誓約書の提出を義務付けている
導入ポイント
D社では、在宅勤務制度の正式導入の前年度に、2か月間のトライアルを実施しました。トライアル実施後のアンケートでは、8割の人が生産性の向上やワークライフバランスの実現に効果ありと回答しています。
トライアル期間に、業務遂行や組織運営面でも特段の問題がなかったため、就業規則やシステム面等を整備の上、法覚的に導入することになりました。
また、D社では経営トップによる健康経営宣言のもと、全社的に効率よく働いて早く退社する企業文化の醸成に取り組んだり、生産性の向上を目的にペーパーレスやWeb会議などの新しい働き方の浸透・定着を推進しています。こうした取り組みやそれに伴う役員の意識の変化が下地となり、スムーズに在宅勤務制度の導入できたと考えられます。
モバイルワーク
D社では、営業ツールとして営業担当者にノートパソコンを貸与していまいたが、本体が重い、起動までに時間がかかるなど、定着には至りませんでした。
その後、すべての営業担当者に軽量で起動の早いタブレット端末を導入しました。これにより、コンサルティングから商品の提案、申し込み手続き、契約の保全対応に至るまで、ワンストップの対応が可能になりました。さらに、書類の記入・押印なども大幅に削減できたためお客様の負担軽減にもつながりました。
また、タブレットを活用することで、外出先での業務報告や直帰が可能となり、モバイルワークによる労働時間削減に寄与しています。
働き方改革後の業績
D社一人当たりの月平均残業時間は、取り組みを開始した年と比べて半減していますが、契約業績面では新契約高が順調に推移しており、2016年度末には保有契約高も過去最高を記録しています。
D社は、在宅勤務を含む働き方改革が生産性やワークライフバランスの向上に効果を上げることを証明する好事例といえます。
【参考:テレワーク導入・運用の教科書】