RPAの活用事例(埼玉県某運送会社)
この運送会社では、運輸業務ソフトと Excel を併用して、配車実績を管理していましたが、配車担当者が数十台ある車両の配車データを Excel に一旦登録し、登録された Excel をもとに運輸業務ソフト入力担当者が転記する作業を行っていました。
そして当社に業務の効率改善のご相談があり、RPAによる自動転記のご提案をいたしました。自動転記により運輸業務ソフトへの入力が自動化され作業効率を改善することができました。
RPA導入前の課題
Excelの配車データ表の担当者と運輸業務ソフトへの転記担当者が違っているため、転記をする際に転記内容について確認作業が発生すること、またデータ量が多く転記作業に時間がかかり、他の事務作業に影響が出ていた。またExcelの配車データ表が社員・車輛・取引先の変更に対応していないことにより、手作業による項目修正が頻繁に発生し作業効率が悪くなってきていた。
RPA導入後のありたい姿
Excelの配車データ表が社員・車輛・取引先の変更に柔軟に対応できるようにシステム変更を行うことで、作業効率をUPさせること。また、転記処理をRPA導入により自動化し事務作業の軽減を図ること。
RPA導入の準備
1.まずはデータの整理
現行はExcelの配車データをもとに運輸業務ソフトに転記する処理を手作業で行っていました。Excelの配車データが省略されていても作業者が確認・判断して正しいデータを入力できますが、RPAによる自動転記をする場合は配車データを正確に入力しておく必要があるため、運輸業務ソフトのマスターデータをExcelに取り込んでおく必要がありました。
マスターデータの更新も行われるため、Excelマクロで常に最新のマスターデータを取り込めるようにしておかなければなりません。また、Excelの配車データを運輸業務ソフトのどこに紐づけるかを決定します。
2.Excelの配車データ表の作成
Excelの配車データ表はもともと利用していたものをカスタマイズして、任意の項目以外は運輸業務ソフトから取り込んだマスターデータを参照し自動入力中心に変更し、マスターデータの変更があった場合も都度最新データに更新できるように作成します。
3.転記位置(項目)の確認
Excelの配車データを運輸業務ソフトに転記するわけですが、 運輸業務ソフトの起動方法や画面の遷移順、転記する場所(項目名)を確認しておきます。
これでRPAによるシナリオ作成の準備が整いました。
今回はアシロボRPAというツールを使ってシナリオを作成していきます。
アシロボRPAのご紹介
まずは アシロボRPAをご紹介します。
ディヴォートソリューション株式会社が提供する中小企業向けのRPA(RoboticProcessAutomation)システムで、中小企業や大企業の部署単位向けに開発された、低価格×簡単操作を可能にした次世代型RPA製品です。
1.アシロボRPA 4つの特徴
- 現場担当者が使えるカンタン操作
利用者目線で開発し、分厚いマニュアルも必要のない、現場担当者が使いやすい簡単設計です。専門職ではなく誰でも使える触れるUI(ユーザーインターフェース=画面やボタン構成)これが他社とは違う圧倒的特徴です。
フローチャートが書けるとシナリオ作成がやりやすいと思います。 - 低コスト
RPA本来の導入目的は、コストダウンと効率化。そのコスト感覚に寄り添える範囲に。そしてロボットの仕事場は現場であり、それらの環境下で社内承認される範囲で用意されている。 - インストール型
RPAには、サーバー型、クラウド型、インストール型の3種類が存在しています。
サーバー型:大企業や1分1秒を争う同時大量複数作業に向いている反面、高額な導入費用や約10~20倍のメンテナンス費用がかかります。
クラウド型:あらゆる環境からアクセスできる優位性を持っているものの、その分、ID・パスワード・処理手順・ファイルの保管場所など社内秘密をRPAベンダー(=メーカー)へ渡すリスク及びRPAベンダーへのサイバー攻撃時に全業務が停止するリスクを抱えています。
インストール型:社内の専用PCに直接インストールして使用する為、銀行はじめ金融機関で採用される程にセキュリティ面での安全性が高く、また導入費用・メンテナンス費用ともに安価です。
上記理由から、アシロボではインストール型を採用しています。 - 充実したサポート体制
無償 導入サポート(導入初期)
業務整理などの直接的支援は行っておりませんが、どのような業務がRPA化に向いているか等のご相談ができます。
無償 操作説明会(導入中期)
初級~上級まで、操作説明会を無料で開催している。
無償 ご質問サポート(導入後期)
無償サポート後でも、引き続き無償で当社専門スタッフが、お電話やオンライン上で、シナリオ作成のご相談に乗らせていただきます。
2.アシロボRPAの便利な機能(コマンド)
- アプリ・画面
アプリケーションを起動する、最前画面を覚える・切り替えるなどができます。 - 待機・終了・エラー
指定した秒数の間、待機する、作業強制終了、エラー確認とリトライができます。 - マウス
座標や距離での移動、画像認識、ドラッグ&ドロップ、クリック、スクロールなどができます。 - キーボード
文字を指定してキーボード入力・貼り付け、パスワード入力、ショートカット入力などができます。 - 記憶
文字や環境情報(コンピュータ名等)・日付・時刻・曜日を記憶することなどができます。 - 文字抽出
括弧・引用符号内の文字、改行・空白を削除など他にも様々な抽出ができます。 - 分岐
文字列や数値を比較、ファイルやフォルダの有無を確認して分岐することができます。 - 繰り返し
指定した回数分もしくは無限に繰り返す、また繰り返しを抜ける、最初に戻ることができます。 - ファイル・フォルダ
ファイルやフォルダを開く、コピー、削除、名前の変更などができます。 - エクセル・CSV
ブックを開く・保存・閉じる、シートの作成・削除・切り替え、セルの操作などができます。 - ウェブブラウザ
ブラウザを起動し、指定したURLへアクセスできます。 - メール
メールの送信・受信ができます。 - シナリオ整理
連続したコマンド群をグループ化できます。 - 別シナリオ実行・継承
別のシナリオを呼び出すことができます。
これらのコマンドを組み合わせながらシナリオを作成していきます。
実際のシナリオ作成
1.Excelの配車データ表から運輸業務ソフトの配車処理画面へ転記
Excelの配車データ表は1か月分のデータが日別のシートに保存されています。また日別のシートには1日分の配車データが行単位で保存されていますので、1日分の配車データを運輸業務ソフトの配車処理画面に行単位で転記する必要があります。データの記憶・繰り返し・カーソル位置の移動や改行をうまく組み合わせてシナリオを作成しなければなりません。
- 最初にデスクトップ画面を記憶させます。
- 転記する日付を入力する画面を表示させ、入力された日付を記憶させます。
この時、年・月・日に分けて記憶させておくと後で便利に使えます。 - 運輸業務ソフトを起動させます。待機時間を設定しておきます。
ここから、実際に転記する画面までファンクションキー等を使って画面を遷移させます。
転記する日付を入力し、ウインドウ最大化し画面を記憶させます。 - Excelの配車データ表を開き、転記する日付のシートに移動します。
- シート内のデータがなくなるまで以下の処理を繰り返します。
転記するデータをそれぞれ参照IDをつけて記憶していきます。
記憶した運輸業務ソフト・転記画面に切り替えます。
転記する最初項目の位置にカーソルを移動し、該当する転記データを入力します。
次の項目へカーソルを移動して、同様に転記します。
転記する項目がなくなるまで続けます。
次の行に移動し、転記処理を繰り返します。 - 全てのデータの転記が終了したら、Excelの配車データ表を閉じます。
運輸業務ソフトも終了させます。
詳しいシナリオの作成方法やコマンドの使い方については、別途投稿いたしますのでお持ちください。
最後に
こちらの運送会社では、今まで手作業で数時間かけて行っていた転記作業が自動化により20分~30分でできたことにより、人的資源を他の業務に振り分けることができたため、大変ご好評をいただきました。RPAによる業務の効率化・自動化は定型業務で得意とする部分となりますので、RPAの導入支援~開発までサポートさせていただきます。
ITツールのご提案だけではなく、補助金・助成金の申請サポートやアドバイスも行っております。
お気軽にお問合せください。