社内研修をおこなうとき、会場を借りて講師が授業をおこなう集合研修が一般的ですが、このほかにeラーニングシステムを利用する方法もあります。
eラーニングシステムは自宅や電車内など、スキマ時間を使っていつでもどこでも気軽に学習でき、また企業側にも導入メリットが多いため人気が高まっています。
この記事では、このeラーニングシステムとはどのような学習方法なのか、またおすすめのサービスにはどのようなものがあるのか、などまとめて解説いたします。
eラーニングシステムとは
eラーニングとは「electronic learning(電子学習)」の略で、インターネットを利用して学習できるシステムのことです。オンライン学習やWebラーニングともいいます。
通信教育サービスでよく用いられる手法ですが、最近は一般企業においても社内研修の一環として取り入れているところが増えています。
学習形式としては、講師による授業やアニメーションやスライドでの解説を動画で視聴するものや、問題に回答するドリル形式のものなどがあります。
eラーニングの市場規模は拡大中
市場調査をおこなう株式会社矢野経済研究所は、2020年度の国内eラーニング市場規模について、前年度比22.4%増の2,880億5,000万円を見込むとしています。
市場規模の拡大している理由として、コロナウイルス感染症の流行による企業の集合研修の自粛、テレワークの推進などで、遠隔教育の需要が高まったことが考えられるでしょう。
2021年度も引き続きコロナウイルスの流行が収まっていないこともあり、さらに市場規模が拡大していくと予想されています。
eラーニングシステムおすすめ10選
では早速、おすすめのeラーニングシステム10種類を、特徴とあわせてご紹介いたします。
eden LMS
特別な知識が必要なく、PowerPointデータや動画からでも学習教材を配信できるシステムです。AIによるナレーション追加や字幕追加もできます。
また、エクセルファイルから受講者一覧を取り込み、部署や職種別で異なる教材の配信や、未受講者への自動アラート、受講履歴の分析など管理面でも利便性が高くなっています。
特徴
- 無料トライアルあり
- 初期費用0円、月単位でプラン変更可能
- Webブラウザのみで操作できる
- 学習状況の把握や受講催促も可能
- カルテによる受講者データ一元管理
Schoo for Business
オンライン学習サービス10社を対象にした比較イメージ調査2020・2021において、4部門で1位を獲得した注目サービスです。導入企業数も大手を含め2000社にのぼります。
サイトでは職種・階層にあわせた研修パッケージも無料公開されており、100種類以上の研修パッケージから自社に最適な研修を設計できます。
特徴
- デモアカウント利用可能
- 月額1,500円で6,200本以上の動画が見放題
- 365日、生放送で授業が配信され講師にコメントや質問も可能
- オンライン集合学習機能では社員同士でコミュニケーションを取りながら視聴可能
- 動画を組み合わせて研修の作成も可能。管理機能や100以上のテンプレートもあり
playse eラーニング
導入実績1,000社、初期費用+一人あたり月額300円~(ユーザー数により変動)で、3,000レッスンの教材動画が見放題のサービスです。
配信されている動画の視聴だけでなく、成長のための目標を可視化した、独自のトレーニングマップ作成や、動画、スライド、PDFなどで自社教材やテストを作成することもできます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 受講者ごとの進捗をレポートで確認可能
- 自社教材やテストの作成可能
- IPアドレス制限可能
- 複数の支店やチームごとに管理可能
- eラーニング 導入から軌道に乗るまでサポート制度あり
LearnO
法人700社、35万人以上の利用実績があるeラーニングシステムです。初期費用0円、月額4,900円で1ヶ月からでも、気軽に利用できます。
動画配信なしの最安プラン、動画配信が可能な標準プラン、人材育成コンテンツ動画を視聴できるプラン、要望に合わせて設計できるプランの4つから最適なものを選べます。
特徴
- 1ヶ月無料トライアルあり
- 4つのプランから選べる
- SSL暗号化、IDとパスワードによる認証あり
- 受講者の管理や未受講者へのメール配信機能もあり
- 講座ごとにテストの作成が可能
Smart Boarding
プロ講師とライブレッスンもできる、法人向けeラーニング+オンライントレーニングサービスです。研修会社として5000社以上の社員研修を担当したノウハウを結集した、さまざまな学習コースが用意されています。
オンラインスタートアップミーティングやフォロー担当によるサポート(お電話)、お役立ち情報の共有などのサポートサービスは無料で利用できます。
特徴
- 14日無料トライアルあり
- 月額1ID 980円(※30ID/29,400円から提供)
- 無料期間から「自社オリジナルコース」にカスタマイズしてもらえる
- 1コンテンツ2~10分と短く、ちょっとしたスキマ時間でも視聴可能
- 階層別にプロ講師おすすめコースがあり、研修設計なしでプログラムが組める
MENTER
パソコンの操作や各種ビジネスツール、プログラミングなどの知識とスキルを学習できる、ITの学習に特化したeラーニングシステムです。
ネット検索やGoogleの活用といった基礎知識から、Excelのスキル、情報セキュリティなど10種類のコースが用意されており、演習問題を通して学習できます。
特徴
- 7日間無料トライアルあり
- 初期費用15万円+月額料金は要相談
- 実践的な演習問題でスキルが身につきやすい
- 10種類の学習コースから必要なものを選べるほか、カスタマイズも可能
- ダッシュボードで個人別のレポートとして成績や評価が確認できる
ひかりクラウド スマートスタディ
映像教材の視聴、全48通りの問題形式・解答形式テンプレートが使えるドリル機能、片方向最大200名、双方向最大100名が同時接続可能なWeb会議もおこなえる、多機能なサービスです。
eラーニングの機能も充実していますが、資料の配信やストレスチェックの機能もあり、ライブ機能を活用することでWeb会議ツールとしても活用できます。
特徴
- 2週間無料トライアルあり
- 印刷やダウンロードを制限できる独自ビューワーでセキュアに資料を配信できる
- 多人数が同時接続できるWeb会議機能あり
- 自動正誤判定では判定ができない長文記述やコメントに対し、手動採点やコメントを添えられる機能もあり
- 言語変換機能もあり、外国人労働者が在籍するグローバル企業でも利用可能
AirCourse
動画研修コースが受け放題、自社動画も簡単に共有できる社員教育クラウドサービスです。自社でコースを作る企業向けプランと、全機能を利用し放題のプランがあります。
動画配信やテスト機能のみならず、「出欠管理」「リマインド」「資料配布」「アンケート集計」「受講履歴」などの業務もすべてAirCourseでシステム化できるため、手間がかかりません。
特徴
- 無料トライアルあり
- 初期費用0円、1ユーザー月額360円~(ボリュームディスカウントあり)
- 研修に係る業務や管理をシステム化、効率化できる
- 管理レポート機能で受講者の成績を確認、フォローもできる
- ナレッジ共有SNS機能あり
Cloud Campus
学習コンテンツの制作、成績管理、学習データの管理、またデータの抽出など、eラーニングに必要な機能がすべて揃っているクラウドサービスです。
学習コンテンツの作成は、科目名や各章のタイトルを入力するだけでコース設計ができ、Webカメラでライブ撮影したり、ブラウザ上でスライドと組み合わせて簡単にコンテンツを作成、配信できます。
特徴
- 3週間無料トライアルあり
- 製品として販売されているコンテンツを購入しての配信も可能
- カンタン操作でコース設計やコンテンツ作成ができる
- 自社で制作した学習コンテンツの販売も可能
- 顔認証システムも導入可能
KnowledgeC@fe
富士通のもつ「研修効果を高めるノウハウ」、豊富な「研修運営業務の経験」をフル活用した人材育成プラットフォームです。導入社数は2,160社、ユーザー数81万人以上にのぼります。
コンテンツ変換オプションにより、PowerPointの原稿をカンタンに学習コンテンツ化できるため、作成した資料をタイムリーに教材として配信可能です。
特徴
- デモ利用可能
- 教材の作成と登録、受講者の受講割当、受講、履歴抽出が一括管理できる
- 富士通ラーニングメディアで開催している1,500以上の講習会、eラーニングコースも受講できる
- フォローメールやフォーラム機能により、休職者のフォローや情報共有にも利用できる
- SaaS型クラウドによる強固なセキュリティ環境
eラーニングシステムの選定ポイント
利用するeラーニングシステムを選ぶ時、どのようなポイントを見て選べばよいのかを解説いたします。
教材の内容
eラーニングで社員教育をおこなう場合、教材を用意する方法として「自社で制作する」「外注する」「システムで配信されている教材を利用する」3種類があります。
自社で制作する場合、たとえば既存の動画やPowerPointなどでカンタンに教材を作成できるサービスを選ぶのがおすすめです。
配信されている教材を利用する場合、社員教育で扱いたい知識やスキルに関するコンテンツを配信しているか、どのような内容なのかを確認し、サービスを選ぶとよいでしょう。
セキュリティ機能
社員教育の際には機密事項を扱う場合もあり、その場合はセキュリティ対策の万全なサービスを選ぶことが重要です。
セキュリティ対策としては、SSLによる暗号化通信をおこなうもの、顔認証やIPアドレス制限、ユーザーごとの権限管理のできるものがあります。
なかには、資料の印刷やダウンロードを制限できる、独自ビューワーで配信できるものもあるため、社外秘の資料をやり取りする場面が多く想定されるのであれば、このようなサービスを導入するとよいでしょう。
対象人数
eラーニングシステムには、1ユーザーごとの課金制と、費用固定で何人でもユーザー追加が可能なものがあります。
また、サービスによっては最低利用人数を設けているもの、反対に同時アクセス可能なユーザー数に制限があるものもあり、利用対象の社員数を事前に確定しておき、最適なものを選ぶとよいでしょう。
eラーニングシステムを導入するメリット
eラーニングシステムで学習した場合に、どのようなメリットがあるのかもご紹介します。
時間や場所を調整する手間が減る
集合研修の場合、運営側は講師のスケジュールと会場の空きを加味して時間と場所を設定する必要があり、また受講側も特定の日時に会場へ赴く必要があり、ときに都合が合わないこともあるでしょう。
しかし、eラーニングシステムはインターネットに接続できる端末があれば、好きな時間、好きな場所で気軽に学習ができます。
スマホからであれば持ち運びも容易なため、自宅はもちろん喫茶店や、仕事帰りの電車でも学習でき、忙しい方でも時間を有効活用できます。
教育の質を統一できる
集合研修やスクールだと、教材が同じでも担当講師によって教え方が異なり、また受講者も座席によってスライドが見にくい、聞き取りにくいなどあり、内容を理解しにくい場合もあるでしょう。
その点、eラーニングシステムであれば、何十、何百人もの受講者に対して同じ教材を配信するため、教育の質を統一できます。
研修コストを抑えられる
通常、研修の実施には講師の雇用や会場の確保にコストがかかります。社員数が多いと、大きな会場を借りたり、人数を分けて複数回開催したり必要もあり、それにあわせてコストも膨大になっていきます。
eラーニングの場合、システムの導入や教材の用意に初期投資が必要ではありますが、一度準備すれば同じ教材を使い回すことができます。
eラーニング導入の先駆である株式会社オートバックスセブンの試算によれば、同社が実施していたeラーニングでの社員教育を集合研修でおこなった場合、その4倍ものコストがかかるとしています。
学習の進捗状況や成績を管理しやすい
多くのeラーニングサービスには、受講者の学習の進捗状況や成績データを確認、管理できる機能が搭載されています。
研修の場合、受講者一人ひとりの出席状況や成績を管理するには、各データをスプレッドシートなどにまとめる必要があり、かなり手間がかかるため、この点においてもメリットは大きいです。
eラーニングシステムを導入した場合のデメリット
反対に、eラーニングシステムのデメリットといえる部分についてもご紹介します。
モチベーションの維持が難しい
eラーニングシステムは受講者が好きなタイミングで学習できる一方、研修のようにその時間その場所に行って強制的に学習するものと違い、各々が意欲をもって学習しなくてはなりません。
一人だとやる気が起きない、業務が忙しいなどを理由にして学習を疎かにしてしまう場合も考えられます。
これを防ぐために、ゲーム感覚で競争するイベントの開催、受講者たちが交流できるコミュニティや掲示板を用意するといった対策を用意するのがおすすめです。
インターネット環境が整っていないと学習が困難
eラーニングの学習には、その受講に適したインターネット環境が必要です。
社員がインターネットを利用できない、もしくは速度制限がかかっていて通常利用のできない状況だと、学習が困難になります。
その場合、たとえば社内でオンラインによりコンテンツをダウンロードしてもらい、受講者はオフラインで受講、社内で学習履歴を送信してもらうという方法もあります。
実習はできない
eラーニングは面と向かって実施する講義ではないため、実技を伴う項目に関しては内容が伝わりにくい部分もあるため、あまり適しません。 実習映像を配信するのであれば、たとえばWEBカメラとマイクを使ってライブ機能を活用し、直接受講者をフォローできる体制にするとよいでしょう。
まとめ
eラーニングシステムの概要やおすすめのサービス、メリット・デメリットなどをご紹介しました。
eラーニングにはデメリットもありますが、うまく活用することで研修を効率化でき、またコストカットも可能になるなど、大きなメリットを得られます。
自社の状況・環境を考慮し、導入した場合のメリット感を想定し、比較検討されてみてはいかがでしょうか。