プロジェクト管理をおこなううえで、メンバーそれぞれの進捗を正確に把握できていないといった課題が浮上することはままあります。
このような課題を解決するのに便利なのが、プロジェクト管理ツールです。しかし、どのような製品や機能があり、どれが自社に最適だろうかと迷われることもあるでしょう。
今回は、プロジェクト管理ツールのおすすめ10選と特徴、また選び方や導入のメリットなどを解説いたします。
プロジェクト管理ツールとは
プロジェクト管理ツールとは、プロジェクトの進捗を可視化し、状況の把握や共有などがおこなえるツールです。
従来、プロジェクト管理においてメンバーの配置や進捗の把握、コミュニケーション不足などが課題となりやすいですが、プロジェクト管理ツールはそれらを解決する機能が充実しています。
搭載されている機能として、おもにつぎのようなものが挙げられます。
- スケジュール、コスト管理
- ガントチャート(進捗管理表)作成
- タスク管理
- 情報共有
- レポート自動生成
このように、プロジェクト全体に関する情報を集約できます。パソコンやスマホがあればいつでも操作、状況を確認できるため、テレワークでのプロジェクト管理にも便利です。
プロジェクト管理ツールのメリット
プロジェクト管理ツールを導入した場合、どのようなメリットが得られるのかについて、具体的に解説いたします。
進捗状況を把握しやすくなる
プロジェクトの工程表はエクセルなどで作成可能ですが、日々変更が生じる可能性もあり、その都度印刷の手間もかかるうえ、誤って前のバージョンの表を確認してしまう可能性もあります。
また、紙の工程表ではメンバー全員が各々の最新の進捗状況をつねに把握することも難しく、イレギュラーにも対応しにくいです。
その点、プロジェクト管理ツールは進捗や工数を集計し、スケジュールとあわせてガントチャート形式で全体の進捗状況を分かりやすく可視化できます。
リアルタイムで進捗状況が反映されるため、つねに最新の状況を把握できます。またわざわざ表を作成したり、各々の状況を確認して反映、といった作業も必要ないため、効率的なプロジェクト管理が可能です。
情報の共有が容易になる
チームでプロジェクトを進める際、メンバーそれぞれの進捗や伝えるべき情報を適宜共有し、不明点や問題の発生時にすぐ相談し合うなど、コミュニケーションは必要不可欠です。
エクセルデータなどで報告し合うと、メンバーそれぞれの使うフォーマットが異なっていて状況を把握しにくかったり、古いデータを参照してしまったりする場合もあるでしょう。
プロジェクト管理ツールでは、メンバーの状況がリアルタイムで反映されるうえ、互いの進捗も把握できます。そのため、進行が遅れているメンバーのフォローに回ることも可能です。
プロジェクト管理ツール選びのポイント
数多くあるプロジェクト管理ツールから自社に最適なものを選ぶには、どの部分を確認、比較すればよいのか、ポイントを3つご紹介いたします。
クラウド型 or オンプレミス型
プロジェクト管理ツールには、登録してすぐ利用できる「クラウド型」と、1から構築する「オンプレミス型」の2種類があります。
まずクラウド型は、クラウドでデータを管理するため、インターネット環境があればどこでも利用できます。社内外のメンバーと進捗を確認したい場合や、テレワークで利用するのに適しています。
ただし、オンラインで利用する必要がある分、メンバーそれぞれがセキュリティ意識を高め、セキュリティ面で配慮されている製品を選ぶのがおすすめです。
つづいてオンプレミス型は、インストール型というように社内サーバーなどにインストールする必要がありますが、その分クラウドよりもセキュリティ性能が高いです。
ただし、社内サーバーで利用するもののため、社外と情報共有する場合にはリアルタイムでの情報共有がしにくく、また初期費用が高額になりやすいという難点もあります。
課題を解決してくれる機能が備わっているか
プロジェクト管理ツールは、製品によって機能が異なることはもちろん、特定の業種や用途に特化したもの、大人数向け・少人数向けというものもあります。
そのため、まず自社やプロジェクトの状況を整理し、利用ユーザーは何人か、リモートワークや社外のメンバーも利用するのか、今後状況が変わる可能性もあるか、など検討してください。
そのうえで、ツールの導入によりいま現在抱えているどのような課題を解決したいのか、それにはどのような機能が必要かも検討する必要があります。
たとえば、プロジェクトメンバーが多いようであれば全体の進捗率が分かりやすいもの、コミュニケーションを活性化したいのであれば、社内外とで気軽に交流できるチャット機能があるものを選ぶとよいでしょう。
操作しやすいか
ツールを選定する際、費用面や機能の多さなどに注目してしまいがちですが、実際に使う社員が使いやすい製品であることも非常に重要です。
機能が多いものは便利な部分もあるかもしれませんが、その分使いこなすのが難しくなり、結果的にツール自体が使われなくなってしまうケースもあります。
そのため、導入前にいくつかの製品のトライアルを利用し、各メンバーに使用感をヒアリングして、評判のよかったものを選ぶのもよいでしょう。
また、製品によってはベンダーが直接出向いて導入研修を実施したり、電話やチャットでいつでも相談できたりするなど、手厚いフォローをおこなっている場合もあります。
プロジェクト管理ツールおすすめ10選
では、プロジェクト管理ツールにはどのような製品があるのか、おすすめ10選とそれぞれの特徴についてご紹介いたします。
Backlog
ソフトウェア開発、Web制作、大手広告代理店などでの導入実績がある、さまざまな業種で利用できるタスク・プロジェクト管理ツールです。
課題の書かれたカードをドラッグ&ドロップで直感的に操作して状態を変更できる、カンバンボード機能、会議議事録やマニュアルなどの記録、共有に使えるWikiなど便利な機能が充実。
SVNとGitを利用してチームのソースコードを管理できる機能もあるため、システムエンジニアやプログラマーにとっても便利で使いやすいでしょう。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 会議議事録、マニュアルなどの保存、共有に使えるWiki機能あり
- ドラッグ&ドロップで直感的にカンバンボードを操作できる
- Subversion・Git バージョン管理システムあり
- 更新お知らせ機能あり
- IPアドレス制限機能あり
Jooto
有料導入企業数は約1,600社。「BOXIL SaaS AWARD 2021」コラボレーション部門を受賞した、カンバン方式のタスク・プロジェクト管理ツールです。
タスクの全体量が視覚的に分かりやすく、初めてでも使いやすいタスク管理機能、プロジェクト横断管理機能やチームを跨いでも管理できる機能もあり。
データ上限が少なめではありますが、ユーザー数4人まで無料、基本機能をすべて利用できる無料プランも用意されています。
特徴
- 無料プランあり
- プロジェクト横断管理機能あり
- ファイル添付、絵文字、メンションが利用できるコミュニケーション機能
- プロジェクトとタスクに紐づいて検索しやすいファイル共有/管理機能
- Googleカレンダー、Slack/chatworkと連携可能
Wrike
世界中で2万社、国内でも1000社以上の導入実績がある、グローバルなワークマネジメントツールです。
G Suite、Salesforce、Githubをはじめとする400以上ものツールと連携できるのが魅力で、連携すれば各ツールに情報を入力する必要がなく、自動反映されるため、複数のツールを利用している企業に最適です。
特徴
- 無料トライアルあり
- 実業務のデータに基づいてBI ツールのような高度な分析も可能
- 作業時間の計測と自動集計ができるタイマー機能あり
- 400以上もの外部ツールと連携可能
- 強力な認証とデータ暗号化、ロールベースのアクセス制御など高いセキュリティ性
Trello
世界中で100万を超えるチーム、2,500万人以上のユーザーが導入しているプロジェクト管理ツールです。付箋を貼るように、ドラッグ&ドロップで簡単にカンバンボードを操作できます。
ボードではタスクの割り当て、カレンダー、生産性メトリクスといった機能を直感的に操作でき、Power-Up(アドオン)による豊富な拡張機能でGoogle Drive、Slackなどの外部ツールとも連携可能。
フリープランでも充実した基本機能を使えるほか、メンバー数、ストレージ容量が無制限、など無料の範囲が広いことも大きな魅力です。
特徴
- フリープランあり
- Google Drive、Evernote、Slackなどのツールとの連携も可能
- 自動化機能「Butler」によりプロジェクトボードの単純作業を自動化できる
- さまざまな業種のTrelloボードのテンプレートとサンプルが公開されている
- 作業をアプリ間で接続可能
Lychee Redmine
ガントチャート満足度No.1、業界不問で開発設計(ソフト/ハード/建築)から経理部門にも使える、日本企業向けプロジェクト管理ツールです。
基本機能とタスク管理、ガントチャート、カンバン機能が利用でき、10ユーザーまで無料で利用できるフリープランもあります。
幅広い業界で利用できるツールですが、人と機械の状況を同時に見える化する機能もあるため、機械を稼働する必要がある製造業にもおすすめです。
特徴
- フリープランあり
- 納期短縮の手法であるCCPMをカンタン導入できる
- プロジェクトの進捗・コストにおける健全性を予測し、問題をいち早く察知するEVM(出来高管理)機能あり
- 稼働時間、稼働率、生産性をグラフと表でリアルタイムで把握できるリソースマネジメント機能あり
- 人と機械の状況を同時に見える化できる
Asana
世界195カ国、数百万人のユーザーが利用している、企業の規模を選ばず利用できるプロジェクト管理ツールです。50 個以上のプロジェクトテンプレートがあるため、設定にも悩みません。
ルーチン作業を自動化する機能もあるため、プロジェクトやタスクの管理を効率化するだけでなく、作業のムダを削減して業務全体の効率を高めることができます。
このほか、メンバーごとの仕事量をひと目で把握できるワークロード、200以上の外部ツールとの連携機能もあり、これひとつで多くの作業や管理を集約できます。
特徴
- フリープランあり
- 反復作業を自動化できる
- 仕事のリクエストを送信しやすいフォームの作成もできる
- 50 個以上のプロジェクトテンプレートを利用可能
- 200以上の外部ツールと連携可能
Microsoft Project
専門知識は不要、誰でもシンプルに利用できるプロジェクト管理ツールです。Microsoft製品のため、Microsoft Teamsのツールと連携し、チャットやミーティングなどをシームレスにおこなえるのが大きな特徴です。
クラウド版とオンプレミス版の両方があり、企業規模別にプランが用意されているため、利用する企業やチームに合わせて最適なものを選べます。
特徴
- クラウド版とオンプレミス版あり
- 柔軟にカスタマイズ可能
- 業界の成功事例を使用したさまざまなテンプレートを用意
- ガントチャートとスクラム ボード、フィードバックツールなど5つのプロジェクトマネジメントツールが利用できる
- Microsoft Teamsのツールと連携可能
Time Krei
管理職、従業員、経営者の3者の視点で、情報を管理・分析ができる、グループウェアとプロジェクト管理をオンラインで一元管理可能なツールです。
プロジェクトや作業者の予定作業・工数を視覚化してひと目で把握できるのはもちろん、実績を登録して予定とのギャップや業務の偏りを認識できる機能もあります。
また、作業効率の状況確認やEVMを用いて、プロジェクトのコスト分析もできるため、課題の解決にも役立ちます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- クラウド版と、大規模企業やカスタマイズが必要な企業向けのシングルテナント版あり
- コストパフォーマンスを視覚化できる
- 各メンバーの実績を可視化し、残業など業務の偏りや工数超過も視覚的に把握できる
グループウェアとしての機能もあり
クラウドログ
工数からプロジェクトの損益を自動で視覚化できる、クラウド型工数管理・プロジェクト管理ツールです。急成長企業から大手まで500社以上の実績があります。
カレンダーでのドラッグ&ドロップの直感的操作で工数入力ができ、GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携できるため、入力の手間が少なく、漏れも起きにくいです。
データ移行機能もあり、これまでエクセルでプロジェクト管理していて、ツールに乗り換えたい場合もスムーズに移行がおこなえます。
特徴
- エクセルデータをスムーズに移行
- 組織や権限、プロジェクトや工程などのマスタデータを管理画面で柔軟に設定可能
- カレンダーや勤怠システム、販売管理システムなどと連携可能
- スマホでの表示が最適化されており、スマホ利用も快適
- 工数予実やガントチャートの進捗では気づきにくいアラートも察知
OBPM Neo
プロジェクトマネジメント強化を目指す、統合型管理ツールです。IT業界向け「OBPM Neo for IT」と製造業や工事業向け「OBPM Neo for 製造・工事業」があり、機能範囲で3つのプランがあります。
機能別にアクセスコントロールができるため、最初は機能を絞り込んで、慣れてきてから徐々に利用範囲を拡大するスモールスタートでの使い方もできます。
プロジェクトの進捗管理のみならず、システム管理、調達管理、品質管理など幅広い分野での管理、課題の解決が図れます。
特徴
- 無料トライアルあり
- Basic Editionは「進捗管理」、Limited Editionは「進捗管理」と「品質管理」、Enterprise Editionは「原価管理」を含むフル機能が利用できる
- アクセスコントロール機能により利用する機能のカスタマイズが可能
- 無料で利用できるセルフBI(Google Data Portal)を使った分析テンプレートあり
まとめ
プロジェクト管理ツールは、「プロジェクトの情報共有に課題を感じている」「進捗が把握できていない」などの悩みを解決してくれる製品です。
ご紹介したように、プロジェクト管理ツールには多くの製品があります。どのように選定すればよいか悩んでいる方は、「プロジェクト管理ツール選びのポイント」を参考に、無料トライアルなどを利用して検討されてみてはいかがでしょうか。