テレワークとは会社以外の場所で、たとえば自宅やカフェ、移動中の交通機関など、場所に縛られない働き方のことです。
近年は国や政府もテレワーク導入を推進しており、厚生労働省がテレワーク導入マニュアルを公開したり、国を上げて「テレワーク・デイ」という働き方改革運動なども実施されたりしています。
テレワーク制度を導入した企業は、特定の要件を満たせば国や地方自治体の助成金・補助金制度を利用することが可能です。
この助成金・補助金制度にはどのようなものがあるのか、解説していきます。
テレワーク導入を支援する助成金・補助金制度
テレワークの導入には、社内制度を整備するほか、社外での勤務を実現するため、業務の棚卸しや設備投資などが必要となります。
とくに設備投資はテレワークに適したツールの導入やセキュリティ面での整備など、ある程度のコストがかかるため、助成金・補助金制度を積極的に利用したいところです。
この助成金・補助金は、国や自治体の定める要件を満たしたテレワーク制度を導入することで支給対象となります。次で、この詳細について解説していきます。
国によるテレワーク導入の助成金・補助金制度
まず厚生労働省や総務省など、国が主体となって実施している助成金・補助金制度について、どのようなものがあるかご紹介します。
厚生労働省
厚生労働省は「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」という助成金制度をおこなっています。
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
時間外労働の制限や労働時間等の設定改善、仕事と生活の調和推進を目的とし、テレワーク(在宅もしくはサテライトオフィス勤務)を認める中小企業に対し、実施に要した費用の一部を助成する制度です。
支給要件を満たすには、厚生労働省の定める「支給対象となる取り組み」を一つ以上実施し、「成果目標」を達成する必要があります。支給額はこの達成度により変動します。
評価期間:交付決定の日から1ヶ月~6ヶ月で目標達成度の評価を実施 支給額:10万円~150万円
総務省
総務省では、地方のサテライトオフィスなどでテレワークを活用する「ふるさとテレワーク」の推進・補助事業を実施しています。
ふるさとテレワーク
地方でも都市部と同様に働ける環境を整備し、地方創生と働き方改革の両方を実現するという取り組みです。この取り組みを実践する地方自治体や民間企業に対し、必要経費の一部補助をおこなっています。
候補先の選定:書類審査後に外部有識者が評価をおこない選定
支給額:最大3,000万円
地方自治体によるテレワーク導入の助成金・補助金制度
テレワーク導入の助成金・補助金制度は国によるものだけではありません。地方自治体が実施する制度についてもご紹介します。
東京都
東京都ではテレワークに関して、次のような助成金・補助金制度があります。
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
都内の中堅・中小企業のうち、東京都が実施する「テレワーク導入に関するコンサルティング」を受け、要件を満たすとテレワークをトライアルするための環境構築経費などが補助されるというものです。
都内に勤務する従業員が2人以上999人以下、6か月以上継続して雇用しており、また就業規則にテレワークに関する規定がない、などが補助対象事業者となります。
補助金額:40~110万円(従業員数による)
テレワーク活用・働く女性応援助成金
働き方改革の推進に向けたテレワーク環境の整備、また女性の新規雇用の拡大を推進するため、これらに必要な社内の整備を支援する助成金です。
「テレワーク活用推進コース」「女性の活躍推進コース(女性専用設備の整備)」とあり、それぞれ助成対象事業と助成象となるものが異なります。
◆テレワーク活用推進コース
助成対象事業:テレワーク機器導入事業、サテライトオフィス利用事業 助成金上限: 250万円
◆女性の活躍推進コース
助成対象事業:女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備等の整備 助成金上限: 500万円
神奈川県
神奈川県では、2つの自治体が実施している助成金事業についてご紹介します。
起業支援・店舗再活性化事業
愛甲郡愛川町が実施している支援事業です。個人事業者または法人設立者を対象に、テレワークを含む町内での起業を支援し、また空き店舗を起業の拠点とした場合、改造・改築費用を補助するものです。
一般起業補助:10万円上限、起業にかかる経費の5分の1以内を補助
テレワーク起業補助:15万円上限、起業にかかる経費の5分の1以内を補助
店舗改造、改築補助:20万円上限、改造・改築にかかる経費の3分の1以内を補助
横浜市中小企業職場環境向上支援助成金
つづいて、横浜市が実施する助成金制度です。市内中小企業において、テレワークなどのシステム整備、女性など多様な人材が活躍するための設備整備PRなどに取り組む費用の一部を助成するものです。
助成対象者:市内に本社を置き、常時雇用する従業員が2名以上の中小企業
>>令和元年度 横浜市中小企業職場環境向上支援助成金(平成30年度中小企業女性活躍推進助成金がリニューアルしました) 横浜市
愛媛県
愛媛県は、松山市の事例についてご紹介します。
松山市テレワーク在宅就労促進事業(就労奨励金及び発注奨励金)
松山市は平成19年度から「松山市テレワーク在宅就労促進事業」を実施、平成30年度からは在宅就労者に「特定医療費(指定難病)受給者証をお持ちの方」を加えるなど、年々要件が緩和されています。
◆就労奨励金
支給対象:指定事業所
支給額:指定事業者の受給実績年数に応じて変動
◆発注奨励金
支給対象:全国の事業所
支給額:発注額(消費税及び地方消費税は除く)×10%
>>松山市テレワーク在宅就労促進事業(就労奨励金及び発注奨励金) 松山市公式ホームページ PCサイト
長野県
長野県は松本市の補助金制度についてご紹介します。
松本市テレワークオフィス設置支援事業補助金
企業などが松本市内に新しくテレワーク実施のサテライトオフィスを開設する場合、その経費を補助する制度です。
支給対象となるのは、市内に新規サテライトオフィスを開設したか賃借中、また開設から1年以内などの事業者です。
補助対象経費:サテライトオフィスの賃借料(敷金・礼金は含まない)
補助率等:サテライトオフィスの賃借料2分の1以内(上限7万5千円) 補助期間:12ヶ月
>>松本市テレワークオフィス設置支援事業補助金 松本市ホームページ
富山県
富山市が実施している補助金制度についてご紹介します。
テレワーク拠点開設支援事業補助金
子育て世帯の仕事と子育ての両立支援、また働き方改革として、法人がテレワーク拠点施設を開設する際、それに必要な費用を富山市が補助するというものです。
対象経費:内装工事、電話・インターネット回線工事、備品購入、セキュリティ対策などの費用 上限額:100万円
テレワーク助成金のまとめ
テレワークの導入には、社内の整備をおこなう必要があるほか、コスト面がネックになっているという企業もあることでしょう。
要件を満たせば大きな金額を受給できる可能性もあるので、国や自治体のおこなう助成金制度で、利用できそうなものがないか、調べてみてはいかがでしょうか。