部分的なテレワーク
テレワークをやってみませんか?と言っても、テレワークには向かない業種もあります。
例えば、対面で行うサービス業や飲食業、専用設備が必要な製造業、物理的な移動を伴う配送業などはテレワークで業務するのは難しいでしょう。
しかし、一部の職種を考えるとテレワークが可能になることをお気づきでしょうか。
経理や会計、総務、庶務、人事、システム管理部門など、企業の売上を後方支援する業務はテレワークに向いている職種です。他にも、打ち合わせや採用面接もテレビ会議システムを利用することでテレワークが可能になります。
実際に、遠隔業務が難しいとされる業種においても、テレワークの導入がされている例もあります。
例えば、金融業界。従来は各種手続きに押印が必須だったため、電子化することが困難と言われてきました。しかし、最近では押印文化からの脱却を図り、テレワーク活用に成功している金融機関も出てきているのです。
テレワークに向かない業種だからとあきらめずに、テレワークを活用できる業務がないか検討してみませんか。一部の業務をテレワークに置き換えるだけでも、十分な効果が得られるでしょう。
オフィスワークとの併用
テレワークを導入する際、すべての業務をテレワークに変える必要はありません。
テレワークに向いているとされる業種や職種であっても、すべてをテレワークにしてオフィスを無くすことは現実的ではありません。
出社することがなくテレワークで業務を続けていると、企業やチームから孤立しているような感覚に落ちる場合があります。孤立感が高まるとチーム全体の生産性が下がってしまう恐れがあります。
テレビ会議システムを利用したランライン会議などは、相手の顔を見ながら会話ができますが、画面を通したやり取りと対面でのコミュニケーションは異なります。やはり、リアルなコミュニケーションがあってこそ、人とのつながりを感じやすく、組織に所属している実感が持てるのです。この「所属意識」は、仕事のモチベーションを維持するためにはとても重要になります。
オフィスワークとテレワークにはそれぞれの利点があります。これらを併用することで働きやすい環境を作り、社員がより健康的に働くことができるでしょう。
業務の変化
テレワークは、従来の働き方とはどう変わってくるのでしょうか。離れた場所で仕事を進めるにあたり、新しいルールなどを考える必要があります。
オンラインコミュニケーション
対面でのコミュニケーションを主とするオフィス環億と違って、テレワークではメールやチャットなどの使用頻度が上がります。また、業務の進捗報告や日報、成果物の提出など多くの業務連絡が文章で行われることになります。
同じチームでも、出社している人だけで打ち合わせを行ってしまうと、テレワークをしている人には情報が届かなくなるため、資料を電子データにしてオンラインで情報共有する必要があります。
テレワークを行う際は、あらゆる情報を電子化し共有することが、業務を円滑に進めるために最も重要なポイントになります。
勤怠管理
テレワークではそれぞれが違う場所で業務を行うため、お互いが仕事をしている様子を直接見ることができません。管理者は、メンバーがしっかり仕事をしているのか気になったり、テレワークをしている人はさぼっていると疑われていないかなど不安に思うかもしれません。
勤務の実態を可視化するために、テレワーク開始や休憩、終了時に逐一報告し、青果物や日報の提出を義務化する方法があります。しかし、たくさんの義務を課して管理することで日々の負荷が増え、テレワーク業務を避ける人も出てくるかもしれません。
ただ義務化するのではなく、目的を明確にしてメンバーに納得してもらう必要があります。テレワークではメンバーを縛り付けるのではなく、ある程度本人に委ねることも必要かもしれません。勤怠管理の方法は、自社に合ったやり方を模索するのが一番です。
仕事の段取り
てテレワークとオフィスワークを併用すると、仕事の段取りを見直す必要が出てきます。オフィスでしかできないこととテレワークでできるものを区別することによって、仕事の効率も上がります。
また、オフィスでしかできない仕事を見直すことで、これまで見えていなかった作業の無駄を見つけることもできるでしょう。テレワークをきっかけに仕事が整理され、不要な業務を削減し業務効率の改善にもなります。
テレワークならではの働き方
オフィスで勤務する場合の平均通勤時間は2時間といわれています。自宅勤務なら通勤時間はなく、毎朝の身支度の時間も削減されます。仕事終わりも同様に移動時間がないので、パソコンを閉じればすぐにプライベートの時間へと切り替わります。また、取引先との打ち合わせをオンライン会議にすると、削減された移動時間を業務に充てられるので、より質の高い仕事ができるようになります。
テレワークは場所に縛られることなく、どこでも仕事をすることができるので、必ずしもオフィスの近くに住まいを置く必要がありません。家庭の事情で引越しを余儀なくされたとしても、テレワークを利用することで転職や離職をする必要がなくなります。
旅行中や帰省中に勤務日を設けて、滞在先で仕事をすることもできます。休暇中の旅先で仕事をする「ワーケーション」をするとリフレッシュになり、生産性の向上に期待できます。万が一、休暇中に交通トラブルで帰れなくなったとしても、テレワークで予定通り勤務することもできます。また、帰省先で仕事ができれば、長期帰省が可能になったり、帰省ラッシュを避けることもできます。
理想の共有
テレワークで働いているときは、自分たちがどの方向に向かって仕事をしているのか、何をしたいのか共通の理想を共有する必要があります。離れた場所にいる上にチームが別の方向に向かっていては、話がかみ合わなかったり、認識のずれが起きて仕事が滞ってしまいます。そうなると、せっかく導入したテレワークをうまく運用できずに、継続できなくなってしまうでしょう。
テレワークをする際は、自分たちが大切にしていることを言語化して共有することが必要です。テレワークは、チームの理想、仕事の本質を見直すことができるよい機会となるでしょう。
仕組みづくり
テレワークを運用し続けるためには、自社に合ったスタイルを見つけて仕組みを作る必要があります。
業務内容、マネジメント方法、組織文化など、企業ごとに違うので、これといった正解はありません。社内アンケートやヒアリングを行い、根気よく積み重ねていくことで、試行錯誤しながら自社に合った仕組みを構築していきましょう。
テレワークはBCP対策や業務効率化を目指すことはもちろんですが、社員の働きやすさを実現させることがその前提にあります。テレワークを希望する人が制度を使いやすいように、仕組みや運用方法を見直すことが大切です。