テレワークを導入するには、従業員に対するパソコンなど周辺機器の支給やネットワーク環境の構築、各種ツールの導入といった、あらゆる経費が必要です。
そこで、働き方改革の後押しとして国や都道府県が補助金の支給をおこなっています。この記事では「はじめてテレワーク」という補助金事業について、解説していきます。
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)とは?
東京都が取り組む「スムーズビズ」の一環として、都の実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた中堅・中小企業などに対し、テレワーク導入の環境構築経費、制度整備費を補助する事業です。
スムーズビズとは
快適な通勤環境や企業の生産性の向上を図るため、東京都がテレワークや時差出勤などの取り組みを「スムーズビズ」と総称しています。
また、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、大会中のスムーズな交通を確保することも一体的な目的としています。
テレワーク導入に向けたコンサルティングとは
「はじめてテレワーク」の補助金対象となるには、都の実施する「ワークスタイル変革コンサルティング」を受ける必要があります。
これは、業務改善とICTに精通した専門コンサルタントが、テレワーク導入に必要な業務の洗い出し、ワークスタイルの見直しや改善を支援するものです。
はじめてテレワークの補助内容
はじめてテレワークの補助金額や対象事業者など、補助内容について概要をご紹介します。
補助金上限額
- 従業員数300人~999人の企業:110万円
- 従業員数100人~299人の企業:70万円
- 従業員数100人未満の企業:40万円
※いずれも制度整備費10万円を含む。
補助対象経費
1:テレワーク環境の構築に係る費用
- 東京都の「テレワーク導入プラン」サイトより選定したテレワーク環境構築のための機器、関連ソフトなどの導入費用
- モバイル端末などの整備費用
2:就業規則へのテレワーク整備費用
就業規則に、テレワークに関する規定を定める際に必要な専門家への委託費用
補助対象事業者
- 都内に勤務する常時雇用の従業員を2人以上999人以下、また6か月以上継続雇用していること
- 東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けていること
- 就業規則にテレワーク関連の規定がないこと
- 東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」(後述)に参加していること
はじめてテレワークに申請するための流れ
では、はじめてテレワークはどのような流れで申請をおこなうのか、その流れをご紹介します。
1.東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加
はじめてテレワークを申請するには、「2020TDM推進プロジェクト」への賛同、参加が必要です。
プロジェクトへの参加条件をすべて満たし、取り組みに賛同したうえで参加申請をおこなうと、参加企業として登録されます。
2020TDM推進プロジェクトとは
東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、大会中のスムーズな交通を確保し、都市活動・経済活動を安定させるための取り組みです。TDMとは交通需要マネジメントの略です。
2.テレワーク導入コンサルティングの実施
「テレワーク導入に向けたコンサルティングとは」でご紹介した、ワークスタイル変革コンサルティングを受ける必要があります。
コンサルティングは無料、業務改善とICTに精通した専門コンサルタントが事業所に5回訪問、テレワーク導入に向けたアドバイスやサポートをおこなうものです。
3.テレワーク導入機器の選定
東京都が管理・運営する「テレワーク導入プラン」サイトで紹介されている機器・ソフトが補助対象です。「テレワーク導入パッケージ提案書」に基づき、導入するものを選定してください。
このサイトで、はじめてテレワークの申請時に必要な「導入予定機器等一覧表」を作成できます。
4.はじめてテレワークの申請
「テレワーク導入パッケージ提案書」、「導入予定機器等一覧表」、そのほか申請に必要な様式・証明書類をすべて用意したうえで、東京しごと財団に提出します。
支給申請の内容が審査され、支給の可否が決定します。
はじめてテレワークの申請に関して
はじめてテレワークの申請期間や補助対象期間など、申請に関する概要をご紹介します。
申請期間
令和2年4月8日~令和3年3月31日(必着)
※予算終了により打ち切り
補助対象期間
令和2年4月8日以降、支給決定日から3ヶ月以内
申請方法
郵送または持参
※郵送の場合、追跡可能な配送方法で発送してください。封筒に必ず「はじめてテレワーク申請書類在中」と記入します。
※持参の場合、事前に電話予約が必要です。
宛先・お問い合わせ先
公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課
職場環境整備担当係(はじめてテレワーク担当)
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-2-1
住友不動産千代田ファーストビル南館5階
補助金を活用する際のポイント
補助金は融資などと異なり、基本的に返済が不要な資金調達の手段です。
しかし、申請に際し条件が設けられていたり、審査によって支給の可否が決定されたりするため、誰でも容易に支援を受けられるわけではありません。
そこで、はじめてテレワークなど、補助金を活用する際に確認しておきたい、注意すべきポイントについて解説します。
対象経費を確認する
補助金ごとに補助対象となる経費は細かく規定されています。
自社の経費が補助対象となるのかよく確認し、不明点があれば事務局に確認することをおすすめします。
交付スケジュールの確認
補助金は予算や交付数が決まっており、申請しても審査が通らないことも珍しくありません。
また、予算決定~1ヶ月程度の期間で公募がおこなわれるため、一度逃すとチャンスがなかなか巡ってきません。交付スケジュールはよく確認しておいてください。
交付通知後も確認される
補助金の使途は厳しい制限があります。
事業内容と経費が補助金の条件と合致しているか審査されるほか、交付通知後も計画書の通りに事業が進められているか、経費の内容を報告する義務があります。
まとめ
はじめてテレワークは補助金を受け取れるだけでなく、テレワーク導入に向けたコンサルティングまで受けられるため、テレワーク導入の際には利用しておきたい制度です。
全従業員のテレワーク環境を整えるとなると、結構な出費になりかねません。補助金や助成金を活用して、企業と従業員双方が納得できる、働きやすい状態に整えてみてはいかがでしょうか。