労務管理システムは、各従業員の情報や労働時間の管理、社会保険や福利厚生の加入手続きといった労務管理の業務の負担を減らし、必要なデータを一括管理できるものです。
しかし、労務管理システムを導入すると具体的にどのようなメリットがあるのか、また数多くある製品のなかで、どれが自社の現状に合っているのか、選ぶのに悩まれるかもしれません。
そこで、当記事では労務管理システムとはなにか、導入のメリットや選び方、おすすめ7選をまとめて紹介します。製品選びの参考にしてみてください。
労務管理システムとは
労務管理システムとは、各従業員の情報や労働時間の管理、社会保険や福利厚生に関する加入手続きといった労務管理の業務を効率化させるシステムです。
労務管理の業務は幅広く煩雑ですが、システムを利用すれば労務関連のデータを一元管理でき、社会保険や福利厚生の申請は電子申請が可能になるため、システム上で完結できます。
従業員のデータがさまざまなツールやファイルに散在している場合に必要なデータを探す手間、各種手続きを紙でおこなう場合の書類作成、印刷、提出の手間が掛からなくなります。
また、従業員の情報は各自入力してもらうこともできるため、人事担当者の作業の負担を削減でき、さらに入力の誤りも起こりにくくなります。
労務管理システムのメリット
労務管理システムを導入した場合、業務効率の向上などさまざまな効果が期待できます。導入した場合、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説いたします。
書類作成の効率化
紙ベースでの労務管理は、まず担当者が必要書類を従業員に提出してもらい、転記する必要がありました。しかし、このとき書類の抜け漏れ、転記ミスが生じる場合もあります。
その点、労務管理システムでは従業員本人に必要情報を入力してもらえばよいため、従業員側も書類提出をする必要がなくなり、管理側も転記、ミス修正の作業がなくなります。
さらに、このデータをもとに書類を自動生成できるため、書類作成の手間がなくなり、業務効率アップが期待できます。
とくにテレワークなど従業員それぞれが別の場所で勤務している場合であっても、書類を作成、印刷して手渡しする必要がないため、効率的です。
役所への書類提出の手間削減
前述のように、労務管理システムによっては社会保険や福利厚生の手続きなど、役所やハローワークへの届け出をシステム上で完結できる「電子申請」が利用できます。
さらに、電子申請APIに対応している製品であれば、システム内のデータから電子申請できるうえに、審査状況の確認や到達番号の管理もおこなえます。
近年は、労務管理システムがなくても政府の提供する電子総合窓口「e-Gov」から申請は可能ですが、操作が複雑なためあまり普及していないのが現状です。
労務管理システムであれば、多くの製品が直感的に分かりやすいレイアウト、操作性になっているため「e-Gov」よりも使いやすく、書類提出の手間を大幅に削減できます。
従業員情報の一元管理
従業員の労務に関する情報を紙で管理していると、必要な情報を探すのが大変なだけでなく、社員が増えるほど書類の保管場所が必要になり、さらに紛失リスクもあります。
また、パソコンでいくつかのシステムやファイルに保管している場合も、必要な情報を発見するのにも一苦労です。
しかし、労務管理システムでは、従業員のさまざまな情報をシステム上で一元管理できます。このため、必要な情報を探したい場合も、検索機能を使って即座に見つけられます。
また、情報に変更が生じた際も従業員に入力してもらうだけのため、変更の手間がないという点もメリットといえるでしょう。
労務管理システム選びのポイント
つぎに、自社の状況に適した労務管理システムはどのように選べばよいのか、比較・確認すべきポイントについて紹介します。
カバーしたい業務の明確化
労務管理システムによって、入退社の管理や年末調整、電子申請などすべてに対応している製品もあれば、一部に対応、もしくは追加オプションで対応可能というものもあります。
そのため、システムを導入してどの業務をカバーしたいか、どのような課題を解決したいのかを明確化し、それにはどの製品が向いているのかをもとに選ぶとよいでしょう。
たとえば、年末調整の手間を減らしたい場合は年末調整を簡略化できる機能があるもの、社会保険の申請など、役所への届け出の負担を減らしたいのであれば電子申請に対応しているものがおすすめです。
このほか、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「関東ITソフトウェア健康保険組合」など、自社が加入する健康保険に対応しているかも確認しておくとよいでしょう。
他システムとの連携
労務管理システムの多くは、同一ベンダーの提供するシリーズ製品や、ほかの給与計算ソフト、勤怠管理システムなどと連携が可能です。
連携するとそれぞれのシステムに同様のデータを入力、参照する必要がなくなり、計算など一部の作業を自動化してくれる場合もあります。
すでに利用しているシステムがある場合、それと連携できる製品であればさらに作業の手間を減らせるため、確認しておくとよいでしょう。
なお、連携にはCSVデータで出力して別システムで読み込んで連携させるタイプと、API連携といってシステム同士でデータを連携できるものがあるため、手間を減らすことを優先する場合は後者がおすすめです。
労務管理システムおすすめ7選
労務管理システムのおすすめ7選を特徴とともに紹介していきます。
SmartHR
労務管理クラウドとして3年連続ナンバーワン、クラウド型人事労務システム満足度ナンバーワンを受賞した、実績豊富な製品です。電子申請にも対応しています。
従業員にとっては毎年面倒な年末調整も、簡単なアンケートに回答するだけで、自動的に書類を作成できる機能があります。印鑑も印刷も不要です。
さらに50以上の外部サービスとAPI・CSVで連携できるため、使い慣れた既存のシステムをそのまま一緒に利用できます。
特徴
- 15日間無料トライアルあり
- 電子申請に対応
- 50以上の外部サービスと連携可能
- カンタンなアンケートに回答するだけで年末調整が完了
- 従業員サーベイや分析レポート機能があり、あらゆる人事情報の集計、可視化、分析が可能
ジョブカン労務HR
すべての労務業務を自動化・効率化できる、クラウド型労務管理システムです。従業員の個人情報から人事や給与、各種手続きなど幅広いデータを一元管理できます。
SmartHRと同様、こちらも紙不要で簡単な質問に答えるだけで年末調整ができる機能があります。Web上にて完結するため、印刷も不要です。
入退社や扶養、氏名変更手続きなどを含むさまざまな手続きにおいて、簡単に帳表作成できるうえに、提出の必要な書類に関してはワンクリックで電子申請も可能です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 電子申請に対応
- 申請や契約社員の更新日、在留期間の満了日をメールでアラートできる
- ストレスチェックの実施、分析も可能
- IPアドレス制限や操作履歴などセキュリティ機能あり
freee人事労務
一気通貫でまるごとIT化、勤怠から給与明細まですべてペーパーレス化を実現できる「5日の業務がたった1日で終わる」労務管理システムです。
料金プランは基本機能を利用できる「ベーシック」、裁量労働・フレックス制も対応も可能な「プロフェッショナル」、人事管理・統制に活用できる「エンタープライズ」の3種類。
このほか、人事労務を丸投げできるアウトソースプランと設立したて・小規模法人向けのミニマムプランがあり、自社の状況や解決したい課題に合わせて最適なものを選べます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 電子申請に対応
- ステップに沿って進めるだけでカンタンに年末調整が完了
- 既存業務の見直しから要件定義の助言、操作方法のレクチャーなど専任担当者が継続的に手厚くサポート
- 9種類の他社サービスとデータ連携が可能
jinjer労務
ジンジャーは労務管理のほか「人事管理」「電子契約」など必要なプロダクトを選択し、組み合わせて利用できるクラウド型システムです。労務管理は1ユーザー月額300円で利用できます。
労務管理のオペレーションを効率化し、手続き書類の作成から申請までシステム上で完結。入退社手続きも1クリックでおこなえるようになります。
各種手続きのスケジュールや必要なことをTODOで可視化でき、いつでも進捗管理ができて作業の漏れを防げます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 電子申請に対応
- 必要なプロダクトを選んで追加できる
- データ暗号化機能あり
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)、関東ITソフトウェア健保に対応
オフィスステーション
ゼネラルリサーチ調べによる労務管理クラウド シェアNo.1、継続率99.3%のアラカルト型 人事労務クラウドソフトです。
ジンジャーと同様、必要な機能だけアラカルト導入できる製品で「オフィスステーション 労務」のほか、「年末調整」「給与明細」「有休管理」などのラインナップがあります。
国内の代表的な給与・勤怠・行政の各システム30種類以上とAPIもしくはデータの連携が可能で、登録料+従業員1人あたり月額400円で利用できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 必要な機能を選んで追加できる
- 労務ライトで電子申請に対応(無料)
- 法令改正や様式変更などは自動更新、バージョンアップ無料
- 30以上のシステムと連携可能
楽楽労務
ITトレンド上半期ランキング・労務管理システム部門で1位を獲得。電子請求書発行システム「楽楽明細」で培ったノウハウを活かした製品です。
従業員情報の収集はワンクリック、手続きの進捗管理や電子契約の機能も利用できます。このほか、ユーザー権限や承認フローの設定やアラートなど管理に便利な機能も充実しています。
無料でサポートスタッフが導入から運用まで、電話とメールで丁寧にサポートしてくれるため、はじめて利用する場合も安心です。
特徴
- デモあり
- 電子契約が利用可能
- 入力漏れを防ぐ機能あり
- データは毎日バックアップ
- 24時間365日の監視体制あり
クラウドハウス労務
煩雑で作業の多い入社手続きは自動化、社員からの申請業務もワンクリックで完結できる、セミオーダー型・クラウド業務⽀援サービスです。
セミオーダー型のため、自社に必要な機能を選んで搭載でき、カスタマイズ支援までしてもらえるのが特長です。どの機能をつければよいか分からない場合も、事例をもとに提案してもらえます。
ペーパーレス化&デジタル化により、雇用契約や年末調整などの面倒な手続きもシステム上で簡単に解決できるようになります。
特徴
- 入社手続きを自動化可能
- 雇用契約の電子化が可能
- 申請業務もワンクリックで完了
- 従業員の最新データのみならず、新入社員、退職者のデータも確認可能
- 年末調整を簡略化、デジタル化できる機能あり
まとめ
今回は、労務管理システムを紹介しました。いずれも導入実績が豊富で使いやすく、必要な機能の揃ったものばかりなので、多くの企業に適していることでしょう。
無料トライアルやデモなどを利用して、選び方で紹介した項目や料金、使い勝手なども確認しつつ、最適なものを見つけてみてください。