LINE公式アカウントを効果的に運用するために欠かせない機能のひとつが「タグ付け」です。
タグ付けを活用することで、友だちを属性や行動にもとづいて分類し、よりターゲットに合ったメッセージ配信や顧客管理が可能になります。
本記事では、LINE公式アカウントのタグ付けの概要を詳しく解説するとともに、活用方法や運用時の注意点についても分かりやすく説明します。
LINE公式アカウントのタグ付けとは?
LINE公式アカウントのタグ付けとは、ユーザー(友だち)の属性や行動をもとにタグを付与し、分類・管理する機能です。
例えば、購買履歴、キャンペーン参加状況、関心のあるカテゴリなどに応じてタグを設定することで、特定の条件に合致するユーザーへ効率的にメッセージを配信できます。
タグ付けの具体例
●行動ベースのタグ:キャンペーンに参加したユーザーに「キャンペーン参加」のタグを付与
●属性ベースのタグ:アンケート回答で性別を聞き、「男性」「女性」のタグを付与
●購買履歴のタグ:特定の商品を購入したユーザーに「〇〇商品購入」のタグを付与
チャットタグの活用方法
それでは、チャットタグをどのように設定し、どう活用すると効果的なのかについてご紹介いたします。
タグ付けした友だちに絞り込み配信する
チャットタグを利用することで、特定の条件にもとづいて友だちを絞り込み、ターゲットに最適化されたメッセージを配信できます。
絞り込みによって配信の精度が向上し、開封率や反応率の改善、さらにはブロック率の低下につながります。
購買履歴や行動にもとづく配信
例えば、特定の商品を購入したユーザーを「〇〇商品購入済み」に設定し、関連商品のキャンペーン情報や効果的な使い方などを配信するといったことができます。
ユーザーは自分に関連のある情報を受信できるためメッセージを開封しやすくなり、また無関係なユーザーにメッセージを送らずに済みます。
イベント参加者へのフォローアップ
イベント参加者にタグづけをおこない、「イベント後の特典情報」や「アンケート」などを配信することで、フォローアップを強化できます。
未利用者へのリマインド配信
クーポンをまだ使用していないユーザーに「クーポン未使用」のタグを付与し、利用期限のリマインドを配信することで、対象ユーザーのみに効率的に情報を届けられ、販促をおこなえます。
顧客管理に使用する
チャットタグを顧客管理ツールとして利用することで、ユーザーの属性や行動履歴を可視化し、より戦略的なアプローチが可能になります。
タグによって顧客データを蓄積・活用することで、ユーザーの属性ごとの状況を把握したり、データ管理で施策の成果を測定したりできるようになります。
ユーザー属性の分類
「性別」「年代」「居住地域」などの情報に基づいてタグを付与し、顧客層ごとの特徴を把握できます。
行動履歴のトラッキング
「メールマガジン登録済み」「過去1年に〇回購入」「特定イベントに参加済み」といった行動を記録するタグを設定し、行動履歴を記録しておくことが可能です。
LTV(顧客生涯価値)の向上
リピート購入が多い顧客には「ロイヤル顧客」といったタグを付与し、特別なキャンペーンや限定情報を提供することが可能です。
ステップ配信の分岐条件に使用する
LINE公式アカウントのステップ配信機能では、チャットタグを分岐条件として活用することで、より細かいターゲティングを実現できます。
これにより、一人ひとりのニーズに応じた配信ができるようになり、ユーザーの満足度が向上します。また配信結果を分析しやすく、次回以降の施策改善にもつながります。
条件分岐によるパーソナライズ配信
商品購入後のステップ配信で、「購入済み」タグを付与したユーザーにはお手入れ方法のガイド、「未購入」タグのユーザーには購入を促す特典案内を送るなど、配信を分けることができます。
ユーザーの興味にもとづくカスタマイズ
例えば、アンケート回答で「アウトドア好き」と回答したユーザーにタグを付与し、配信内容をアウトドア製品に特化したものに変更できます。
配信のタイミング調整
ユーザーに「クーポン利用済み」タグが付与された時点から7日後にサンクスメッセージを配信するなど、柔軟なスケジュール設定がおこなえます。
チャットタグを使うメリット
つづいて、チャットタグを使って絞り込み配信をおこなうと、具体的にどのようなメリットがあるのかについても解説いたします。
メッセージの開封率が上がる
ユーザーの属性や行動に応じたパーソナライズされたメッセージを配信できるため、開封率の向上が期待できます。
興味や関心に基づく配信
例えば、アウトドア製品に興味を示したユーザーにのみ、新商品情報やイベント案内を送ることで、メッセージが「自分に関連している」と認識され、開封率が上がります。
タイミングの最適化
タグを活用することで、購入直後のフォローアップやキャンペーン終了直前のリマインドなど、適切なタイミングでのメッセージ配信が可能になります。
メッセージ内容の精度向上
ユーザーごとに求められる情報が異なるため、一斉配信ではなくニーズに合った内容を届けることで、開封率が高まります。
無駄なメッセージ配信の削減
特定のユーザーをセグメント化して必要な情報だけを届けられるため、不必要な配信を削減できます。
既存顧客への不要な案内を回避
すでに商品を購入したユーザーをタグで設定しておくことで、購入を促すメッセージの配信を除外できます。
興味のない情報を排除
例えば、スキンケアに関心のあるユーザーには美容関連の情報のみ配信し、家電の情報を送らない、といった配信の仕分けが可能です。これによりユーザーの反応率も高まります。
配信コストの削減
LINE公式アカウントのメッセージは、配信数が多いほどより上位のプランに加入する必要があります。そのため、無駄な配信を減らせばコスト削減になります。
ブロックされにくい
チャットタグを活用することで、ユーザーにとって役立つ情報だけを配信できるため、不要なメッセージで煩わしさを感じさせることが減り、ブロックされにくくなります。
関連性の高い情報提供
ユーザーにとって興味のある情報や必要な案内だけを届けることで、「自分に役立つ情報が来る」という信頼感を構築できます。
過剰な配信を回避
タグを使って頻度を適切に調整することで、「配信が多すぎる」と感じさせるリスクを低減できます。例えば、特定のタグがあるユーザーには週1回以上配信しないといったルールを設定可能です。
顧客体験の向上
配信内容が的確であれば、ユーザーがメッセージをブロックする動機が減り、LINE公式アカウントへの信頼性や好感度を維持できます。
チャットタグの設定方法
では、チャットタグはどのような手順で設定するのか、パソコンのブラウザ版での方法を解説いたします。
①LINE公式アカウントの管理ツール「LINE official Account Manager」にログインし、「チャット」タブをクリックします。

②チャット画面が開くので、左のメニューから「チャット設定」→「タグ」をクリックします。ここでタグの新規作成、作成済みタグ一覧を確認できます。タグの作成には、緑色の「+作成」ボタンを押してください。

③タグ名を入力し、「保存」をクリックし、タグを作成します。

④左のメニューから「チャット」→タグ付けしたい友だちを選択し、名前の下にある「+タグを追加」をクリックします。

⑤タグの編集画面では、すでに作成済みの既存のタグをクリックして設定したり、入力欄に新しいタグを入力して追加したりできます。

チャットタグを使う際の注意点
チャットタグを利用するうえで、知っておきたい注意点についても説明いたします。
タグの作成数・付与数には上限がある
LINE公式アカウントでは、作成可能なタグの数や、1ユーザーに付与できるタグの数に制限があります。この上限を意識しないと、運用に支障をきたす可能性があります。
そのため、不要になったタグは削除または統合し、運用開始時に適切なタグ設定をおこなうことで、効率的な管理を心がけましょう。
作成数の上限
タグ作成数が上限に達すると、新たなタグを作成できなくなり、タグによる分類や管理が滞るおそれがあります。また必要以上にタグが増えると運用が複雑化し、作業効率の低下も招きます。
付与数の上限
1ユーザーに対して付与できるタグの数にも制限があります。重要度の高い情報を優先してタグを設定しましょう。
タグを細かく分けすぎない
タグを細分化しすぎると運用が煩雑になり、かえって非効率になる可能性があります。
例えば、複数の商品を購入したユーザーに「商品A購入」「商品B購入」「商品C購入」など細かくタグを設定すると、配信条件の設定が増えすぎてしまい、またどのタグをどう活用すべきかが分かりにくくなります。
そこで、商品を購入したユーザーは「購入者」といったように、類似の属性や行動を1つのタグにまとめ、メッセージ配信時に細かい条件で絞り込むとよいでしょう。
また、運用目的にもとづいて、タグの作成前に優先順位を設定するのも有効です。
絞り込み配信は友だち登録100人から
LINE公式アカウントでは、友だちが100人未満の場合、タグを利用した絞り込み配信をおこなうことができません。
100人に満たない状態では一斉配信で価値のある情報の提供に努め、キャンペーンやクーポンの提供、SNS連携など、友だちを増やす施策を優先的に実施する必要があります。
タグ付けは手動でしか行えない
LINE公式アカウントの標準機能では、タグ付けは手動でおこなう必要があり、友だちの数が多い場合、管理に手間がかかる場合があります。
作業の手間を削減するには、自動タグ付け機能を利用できるL Message(エルメ)などの外部ツールを活用するのも有効です。
タグ付けできるのはチャットができるユーザーのみ
LINE公式アカウントでは、ブロックしたユーザーや設定でメッセージ受信を無効にしているユーザーなど、チャットが利用できないユーザーにはタグ付けができません。
タグ付け機能を有効に活用するためにも、不要な配信を避け、ユーザーの求める情報を配信するなど、ブロックされないための適切な運用を心がけましょう。
まとめ
このように、LINE公式アカウントのタグ付けは、友だちを属性や行動にもとづいて細かく分類し、効果的な配信や顧客管理を実現できる強力な機能です。
タグを活用すれば、メッセージの開封率向上や無駄な配信の削減、ブロック率の低下といった多くのメリットを得られます。
また、ステップ配信の分岐条件や絞り込み配信にも応用できるため、パーソナライズされたコミュニケーションが可能になります。
LINE公式アカウントを活用したマーケティングにおいて、タグ付けは顧客満足度を高め、リピーターを育成する重要な手段です。
以上の内容を参考にタグを有効活用し、運用効果を最大化できるよう、自社ではどのように設定・運用していくのが最適か、検討されてみてはいかがでしょうか。