業務効率化とは?取り組むメリットや業務改善の手法
企業が業務効率化をおこなうと生産性向上や売上げアップ、コスト削減につながります。給与アップや職場環境改善にもなるため、従業員の満足度も上がります。
業務効率化のためのサービスもあり、クラウドシステムやITツールの導入もその1つです。ここでは業務効率化について、具体的な取り組むメリットや、業務改善を進める方法を紹介します。
業務効率化とは
業務効率化とは、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を省き、売上げアップやコスト削減、働きやすさ改善を目指すことです。具体的に、次のようなことを改善します。
ムリ:こなせない仕事量、過密スケジュールなど
ムダ:省けるはずの作業に時間を取られている、余計に生産しているなど
ムラ:一部の人に仕事が集中しているなど、効率の良いやり方が定着せずムリとムダの間を行き来している状況
仕事をする上でこのような非効率的な部分を排除し、限られた時間とコストの中で、社内全体で業務効率化に取り組むことが重要です。
業務効率化のメリット
業務効率化を実現すると、次のようなメリットがあります。
- 生産性アップとコスト削減により、「利益率が上昇」
- 労働時間の短縮で時間に余裕ができ、「新事業進出の機会ができる」
- 利益率アップにより給与や福利厚生が向上し、「従業員の満足度が上昇」
- 職場環境や待遇が向上し、「離職を防止、優秀な人材を獲得」
業務を効率化・合理化することで、経営者と従業員ともに大きな利点があります。働き方改革にもつながり、社会全体にとってもプラスです。
6割の人はムダな業務があると感じている
2018年にディップ株式会社が「はたらこねっと」でおこなったアンケートでは、「勤務先で無駄な業務や作業はあるか?」という質問に対しての回答が「たまにある」36%、「非常にある」27%となり、合計63%の人が「ある」と回答しています。
無駄と感じる内容については、次のとおりです。
「企業の慣習から抜け出せず、非効率的に業務が回っている」(63%)
出典:https://www.hatarako.net/pr/2018/1220/
「自動化できそうな業務なのに手作業している」(41%)
「必要性の感じられない残業」(32%)
「ゴールの見えない会議」(24%)
「使用目的が曖昧な書類作成」(19%)
「上司が書類承認しないと進まない」(16%)
このように二度手間やアナログ作業など、長年続く非効率的な慣習が、業務の妨げになっているケースが多いようです。
非効率な業務が発生する理由
ムダな仕事や業務量の増加は、次のようなことが原因で発生します。
- 課題を会社全体で共有していない
- ムダを洗い出す意識がない
- 優先順位を把握していない
- スケジュール管理ができていない
- 慣習を変えたがらない
情報の共有・管理不足、意識の低さ、頭の固さなどがあると、非効率な業務が発生します。業務効率化をするには、社内全体が効率化への意識を持って取り組む必要があります。
業務効率化のポイント
業務効率化を進めるための重要ポイントを紹介します。
長期視点で継続して取り組む
業務効率化を実現し、効果を実感できるようになるには、ある程度長い期間がかかります。一見効率化できたように見えてもそこで止めずに、根気よく続ける必要があります。
協力し合える体制を作る
業務効率化は、今まで通りで十分という考え方は捨て、従業員全員が一丸となって取り組みます。情報共有などをスムーズにおこない、全員が協力し合う必要があります。
ITの導入は必須
業務効率化には、ITツールの導入が必須です。特に効果が高いのがクラウドシステムです。タスクや顧客の管理、作業の自動化、業務の進捗状況やムダの洗い出しなどがおこなえます。様々なITを活用し、効率化を進めます。
多数の方法を組み合わせ、PDCAサイクルを回す
1つの施策だけをおこなうのではなく、いくつかの施策を組み合わせて実施するのが重要です。実施したら結果を確認し、その後の施策方針を決め、また施策を実施するPDCAサイクルをしっかりおこない効率化を確実に実現します。
業務効率化するための取り組み・手法
すでに成功事例のある、業務効率化の方法を紹介します。
資料の書式をそろえる
部署ごとにバラバラの書式では、内容をチェックするのに時間がかかります。誤表記があると、修正作業も必要ですよね。資料のフォーマットを統一すると、ムダな作業を省けます。
また、入力ミスの自動修正や警告システムのあるフォームを使うのもおすすめです。
業務マニュアルの作成・整備
マニュアルがないと複雑な作業や頻度が低い業務は特に、進め方がわからず時間がかかり、ミスも増えます。
マニュアルがあればそれに従って進められ、効率的です。新人や他部署の人でもできるようになるため、担当者がいないと進まないこともありません。
マニュアルは、「何を・どのように・誰が・いつまでに」がわかるようにし、業務フローチャートの図も作り、作業の全体がわかるようにするのがポイントです。
ムダな会議の廃止
だらだら続く定例会議は、参加者が多いほどムダな時間が膨らみます。何も決まらない、意見が出ないといったムダな会議は廃止しましょう。
会議をやる場合は事前準備をしっかりおこない、何を決めるかはっきりさせゴールを設定し、終了時間を決めて開催します。
人員の再配置
個人の能力を活かせる配置になっているかどうか、見直します。苦手な業務についていると進みが遅く成果にもつながりにくく、従業員のストレスも大きいです。
得意・不得意は人により異なるため、能力を活かせる部門に配置し、社内にこなせる人がいない場合は外注に依頼すると効率的です。
アウトソーシング
自社の業務を専門業者に外部委託するアウトソーシングをおこなうと、生産の効率アップになります。自社にないノウハウのアウトソーシングでは、より専門的な業務や新規事業の開始にもつながります。
また、最近ではクラウドソーシングの利用も増えています。依頼後は、効率化の妨げにならないようしっかり管理するのが大事です。信頼関係を築けたら、自社へスカウトするケースもあります。
従業員の教育
効率化には、従業員一人ひとりのスキルアップも重要です。社内教育や外部の教育機関の活用で能力を上げ、業務のレベルとスピードを改善します。
ITツールの導入
ITツール導入で、様々なムダをカットできます。様々なツールがあるので自社に合ったものを選び、効果を検証することも重要です。
営業支援ツール
営業活動は、会社の売上を左右する重要な業務です。そのため、ツールを導入し効率化することで、企業の成長を促進します。
営業効率化には様々なツールがあり、営業活動分析の営業支援ツール(SFA)や、顧客管理システム(CRM)、オンラインで商談できるWeb会議システムなど自社に合う製品を選べます。
RPA
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、経理やデータ分析などをソフトウェアのロボットが代行することです。
人工知能を備えたものもあり、今までは手作業でしていたオフィスワーク全般で、ロボットによる操作代行が可能です。単純作業の自動化などで、業務時間の短縮や負荷の軽減ができます。
まとめ
業務効率化すると、単に仕事が効率的になるだけでなく、企業と従業員の幸福を実現できます。まずはムダな作業を洗い出し、やめても問題ない会議や日報の提出は、思い切ってやめるのもおすすめです。
やめるのが難しい場合は、他の効率的な方法で代用する、頻度を下げるといった工夫をしましょう。
導入したもののうまく使いこなせていない、課題が解決できていないなどの場合は、ITやコンサルティングのプロにアドバイスを求めるのがおすすめです。
様々な企業の事例を持つ専門家に、第三者の視点から業務改善のアドバイスを受けることで、業務効率は確実に上がります。課題も浮き彫りになり、従業員の意識も改善されます。