従来の勤怠管理といえば、従業員が出退勤の際にタイムカードで打刻したり、Excelデータに入力したりして自己申告するなどの方法を採っていた企業も多いでしょう。
タイムカードや入力での打刻は不正が起こる場合もあり、また管理側も手間のかかる転記作業や勤務時間の計算をする必要があり、ミスが生じる場合もあります。
しかし勤怠管理システムは、従業員側も簡単に打刻できるうえに、リアルタイムで出退勤時間や勤務時間の合計が反映され、作業の手間を大幅に減らすこともできます。
では、勤怠管理システムとはどのようなものなのか、またどういった機能を利用できるのか、おすすめの製品7選と選び方などまとめて紹介していきます。
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、タイムカードと同様に出勤・退勤時刻の記録、休暇・残業・休日出勤の申請やシフト管理など勤怠管理業務を支援するシステムです。
従業員側もパソコンなど端末上から簡単に打刻でき、各種申請も書類を作成して直接提出する必要もなく、システム上ですべて完結できるため、手間いらずになります。
また管理側も、従業員全員の出退勤データやシフト管理が一目瞭然で分かり、労働時間の集計や有給管理、給与計算もスムーズにできるため、業務効率の改善にも役立ちます。
勤怠管理システムのメリット
企業が勤怠管理システムを導入するとどのようなメリットがあるのか、詳しく紹介いたします。
勤怠情報を正確に管理できる
勤怠管理システムでは、従業員の打刻がリアルタイムに反映され、毎日正確に時刻が記録されます。
勤怠管理を従業員の手入力やタイムカード方式にしていると不正が起こる可能性があり、また集計の際に表計算ソフトなどへ転記している場合、入力ミスが生じるおそれもあります。
勤怠管理システムであれば誰も時刻を手入力する必要がないためミスも防止でき、勤怠情報を正確に把握・管理できます。
不正な打刻を防止
手入力やタイムカードなどで出退勤の時間を記録している場合、実際と異なる時刻を入力したり、ほかの従業員に依頼したりして、不正に打刻する可能性もあります。
その点、勤怠管理システムは本人が直接自身のパソコンから打刻する必要があり、異なるIPアドレスで打刻できない仕様の製品もあります。
ほかにも本人のICカードや生体認証、GPS記録を使って打刻できるものもあるため、不正防止に効果的です。
また製品によっては打刻漏れアラートなどの機能も搭載されており、打刻漏れの防止にも役立ちます。
法令順守の徹底
タイムカードで勤怠管理をおこなっている場合、実際に集計するまで従業員の勤務状況が分からず、時間外労働の上限規制を超過してしまうおそれがあります。
しかし、勤怠管理システムは勤務状況が日々リアルタイムに反映されるため、月末でなくても集計することなく、ひと目で合計の勤務時間、時間外労働時間を確認可能です。
また、アラート機能の搭載された製品であれば、36協定で規定された労働時間の超過が近づくと通知されるため、労働基準法の違反も未然に防げます。
労働条件に関する法改正が実施された際も、企業側が設定する必要もなく自動でアップデートされ、つねに最新の法令に適した状態になるため、法令遵守の徹底にも役立ちます。
勤怠管理システム選びのポイント
多くの勤怠管理システムのなかから自社に最適なものを選ぶには、どのような部分を見ればよいのか、選び方のポイントを紹介いたします。
自社の勤務形態に対応しているか
雇用形態
- 正社員
- 契約社員
- パートタイム
勤務時間
- 週5日勤務
- 時短勤務
- シフト制
- フレックスタイム制
勤務場所
- オフィス勤務
- テレワーク
- モバイルワーク
異なる勤務形態の従業員が在籍している場合、それぞれの働き方でも問題なく勤怠管理がおこなえる製品であるか確認することも重要です。
システムを検討される際は、自社の従業員の就業形態が何パターンあるか、今後導入する予定の制度に対応できるか、などを洗い出したうえで適したものを選ぶとよいでしょう。
打刻方法
勤怠管理システムには、パソコンでブラウザもしくはツールを立ち上げて打刻ボタンをクリックするタイプが多いです。
このほかにもスマホから打刻できるもの、専用リーダーに交通系ICカードをタッチするもの、指紋や顔認証のものなどさまざまな種類があります。
テレワークであればパソコンやスマホから打刻できるものがよいでしょうし、営業職などで交通費が必要な場合はICカードをタッチするものであれば、残額も把握できて便利です。
このように、自社の勤務形態や環境に合う打刻方法が利用できるシステムを選ぶとよいでしょう。
サポート体制
システムを導入する際には、問い合わせ窓口や導入支援、利活用セミナーなどどのようなサポートがあるのか、体制が万全であるかどうかも重要です。
ベンダーによって、サポート対応の方法や対応時間、初期設定の代行や運用サポートなどの対応範囲が異なります。有料でより手厚い対応をしてくれるところもあります。
自社で勤怠管理システムをはじめて導入する場合や、運用や活用に関して不安がある場合は、とくにサポート体制の万全な製品を選ぶのがおすすめです。
勤怠管理システムおすすめ8選
では、勤怠管理システムでおすすめの製品を7種類、特徴とあわせて紹介いたします。
ジョブカン勤怠管理
勤怠管理システムのみならず、経費精算や給与計算など業務効率の向上に役立つ各種システムを提供するジョブカンシリーズの製品です。
変形労働・フレックス・裁量労働などの勤務形態や、所属・雇用形態ごとに細かい設定、運用ができる点が大きな特長で、あらゆる勤務形態の従業員に対応できます。
打刻方法も、一般的なブラウザからクリックするものだけでなく、ICカードや指静脈認証、LINE・Slackのツール上でも打刻でき、自社に最適な方法を選べます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 社会保険労務士の監修した機能を多数搭載
- ジョブカンシリーズ製品と連携でき、給与計算なども可能
- 必要な機能の表示、非表示を選べて使いやすくカスタマイズできる
- 36協定超過は自動でアラート
KING OF TIME
誰もが使いやすいと感じられるシンプルでわかりやすい画面構成が魅力、市場シェア・認知度・顧客満足度ナンバーワンの勤怠管理システムです。
企業ごとに異なる複雑な就業ルールに対応できる機能が充実しているほか、海外対応・英語対応もできるため、海外拠点の社員の勤怠管理もおこなえます。
各種給与ソフトとの連携も可能なため、既存のシステムをそのまま利用できるほか、Excelデータとして出力し、資料としても活用できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- シフト作成業務も効率化できる
- 管理者権限の割り当て、管理者の操作ログの確認も可能
- 月の残業時間が30時間を超えた場合など、条件を設定してアラートが可能
- 人事、労務データも一元管理できる
マネーフォワード クラウド勤怠
上記の勤怠管理システムと同様、さまざまな就業ルール、勤務形態に対応でき、煩雑なシフト管理にも利用できる製品です。
また、出退勤時刻の管理だけでなく、休日出勤や休暇の申請・承認といったワークフローの機能や、種類豊富なアラート機能もあります。
さらに異動履歴も確認でき、旧組織、旧雇用形態による変更前のデータ出力も可能なため、組織改編時の勤怠・ワークフロー承認者の変更もスムーズにおこなえます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- シフト作成業務も効率化できる
- 既存ソフトからの乗り換え、勤怠データのエクスポートによる給与ソフトへの取り込みも可能
- 不正な打刻、打刻漏れ、勤務時間の超過などのアラート機能あり
- マネーフォワード クラウド給与との連携が可能
jinjer勤怠
契約継続率99.4%、サポート満足度91.6%、操作の分かりやすいシンプルな操作画面が特長の勤怠管理システムです。サポート担当が伴走して設定支援までしてくれます。
勤怠データはリアルタイムに自動集計されるため手間いらず、ワークフローも各種申請、承認に対して最大10段階までフローを設定でき、どこからでも申請・承認がおこなえます。
勤怠管理のほか人事管理、給与計算など、企業の課題に合わせて複数のプロダクトを組み合わせて利用することも可能です。
特徴
- 無料トライアルあり
- 法改正に自動で対応する勤怠管理システム
- サポート担当が伴走しながら業務効率化実現をお手伝い
- 誰でも使えるシンプルな画面
- 企業に合わせて細かく設定できるワークフロー機能あり
- 英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語など対応可能
- 有給休暇など申請もカンタン、各休暇の付与履歴や消化履歴など確認できるため、休暇管理も可能
- 必要なプロダクトを選んで利用でき、連携も可能
MIMINAGINE就業管理NAGINE就業管理
30年以上、あらゆる企業の労務問題を解決に導いてきた実績・ノウハウが凝縮された、開発から10年以上もアップデートを続けているクラウド型勤怠管理システムです。
社労士が複数在籍している労基対策チームを常設しており、キャリア40年の人事労務コンサルティングのノウハウをもって労務管理体制の立て直し・安定稼働も実現できます。
厚労省ガイドラインに準拠した仕様のため、「客観的打刻記録」を担保でき、IPOを目指している企業にも最適です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- パソコンのほか、ICカード(felicaカード、mifareカード)、スマホやタブレット端末から打刻可能
- Windows、MacのPCログも取得可能
- 打刻改ざん防止機能により「客観的打刻」を実現
- 弥生給与や給与奉行などの給与ソフトと連携可能
kincone
ITreview Grid Awardにて「Leader」を連続受賞、年間TOP50に入賞したほか、BOXIL SaaS AWARD人事・給与部門においても入賞した実績ある勤怠管理システムです。
1ユーザー200円と料金がリーズナブルでありながら、Web上での打刻のほかアプリやICカード、SlackやChat Work、LINE WORKSからの打刻にも対応しています。
社外からの打刻の場合は位置情報を取得できるため不正打刻も防止でき、交通費情報や訪問先情報を自動登録できるため、経費精算業務にも役立ちます。
特徴
- 2ヶ月間無料トライアルあり
- 社外からWEB打刻した場合、打刻した場所の位置情報も記録できる
- 打刻漏れ、申請漏れ、残業時間の超過、遅刻などをアラートできる
- 交通系ICカード(Suica、PASMOなど)、モバイルSuicaから交通費の情報を自動登録でき、現金支払いのデータ登録、修正も操作可能。
- Googleカレンダー、Office365、ガルーンと連携して訪問先の情報も自動登録でき、交通費精算の手間も削減
Touch On Time
導入企業数31,000社以上、利用者数は210万人以上という、継続率99.7%のクラウド勤怠管理システムです。
拠点ごとの就業ルールに合わせた設定が可能なため、複数拠点、異なる就業ルールや勤務形態である場合でも一括管理がおこなえます。
使用場所やシーンに合わせたさまざまな打刻方法が用意されており、ICカードや指静脈認証、Web環境がない場所であれば専用のタイムレコーダーが利用できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 労働時間の合計や各種休暇の保有状況、当月の勤務実績など自分の勤怠状況をシステム上で即座に確認できる
- スケジュール、シフト管理も可能
- 長時間労働や休暇取得の期限などをシステム上、もしくはメールでアラートできる
- マネーフォワード クラウド給与や人事労務フリーなど各種システムとAPI連携可能
F-Chair+(エフチェアプラス)
法改正に自動で対応する勤怠管理システム。勤務時間、PC画面、勤務場所がひと目でわかる。在宅勤務の管理、過剰勤務抑制におすすめのツール
子育てで中抜けしても、働いた時間をしっかり記録。過剰労働も防止でき、勤務時間を一覧表示されます。
本人が着席中としている時間のみ、パソコン画面をランダム保存され、移動経路が地図上に表示できます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 法改正に自動で対応する勤怠管理システム
- 勤務時間、PC画面、勤務場所が一目でわかる
- 着席中はパソコンの作業画面を自動記録
- スマホ用アプリから着席をすると、勤務位置情報を自動取得
- 残業や深夜労働の抑止
まとめ
今回は勤怠管理システムを紹介しました。勤怠管理システムを選ぶ際は、解説のとおり「自社の勤務形態に対応しているか」「打刻方法」「サポート体制」などを比較するとよいでしょう。
多くの製品で無料トライアルが用意されているので、これを利用したうえで使い勝手がよいものを検討されることをおすすめします。