「フォロワーが増えない」
「売上に直結している実感がない」
企業のSNS担当者であれば、誰もが一度はこの壁に直面するのではないでしょうか。
特に2024年から2025年にかけて、Instagramを取り巻く環境は過去10年で最も劇的な変化の只中にあります。かつて主流だった「映え」だけの写真は通用しなくなり、運用担当者に求められるスキルも根本から変わりつつあるのです。 本記事では、単にフォロワーが多いだけでなく、インスタ運用がうまい企業の戦略を解説します。

インスタ運用がうまい企業の評価基準とは?
Instagram運用の「うまさ」を測る基準は、ここ数年で劇的に変化しました。この章では、2025年現在のアルゴリズム環境を踏まえ、本当に評価すべき指標と運用の考え方を解説します。
今のインスタ運用は映えよりも「検索性」と「保存数」
かつて「インスタ映え」が流行語になった時代、企業アカウントの成否は視覚的なインパクトで決まっていました。しかし、その競争ルールは終わりを迎えています。
2025年7月、Instagramに大きな転換点が訪れました。プロアカウントの公開投稿が、GoogleなどのWeb検索結果に自動表示される仕様へと変わったのです。これにより、Instagram内だけでなく、Googleで検索した人にも、投稿が届く可能性が生まれました。
この変化は、Instagramが「閉じたSNS」から「検索可能なWebメディア」へ進化したことを意味します。
では、何が評価されるのでしょうか。Instagram責任者のアダム・モッセーリ氏は、検索アルゴリズムが重視する要素について「キャプション > 動画 > 音声 > コメント」の順であると明言しています。
つまり、投稿のキャプション(説明文)に、検索されそうなキーワードを自然に織り込むことが必須のスキルとなりました。「おしゃれなカフェ」ではなく「渋谷 カフェ ランチ おすすめ」のように、検索意図を意識した設計が求められています。
加えて、「保存数」の重要性が急上昇しています。ユーザーが「後で見返したい」と保存する行為は、アルゴリズムに対し「実用的な価値がある」という最も強いシグナルを送ります。単に「いいね」を集めるだけでは、もはや発見タブには載りにくいのが現実です。
アルゴリズムが評価するのは「深いエンゲージメント」
フォロワー数や「いいね」の数は、かつてInstagram運用の成否を測る王道の指標でした。しかし、この常識も過去のものになりつつあります。
現在のアルゴリズムが最も重視するのは、ユーザーの能動的で深い関与です。評価指標の重み付けは、以下のように変化しています。
| 評価指標 | 2023年以前 | 2025年現在 | 戦略的意味 |
| シェア数 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | 【拡散】ユーザーがDMやストーリーズで共有する行為は、「他者に推奨すべき価値がある」という最強のシグナルです。 |
| 保存数 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | 【実用】実用的価値の証明。後で見返したいコンテンツは、発見タブへの露出率が劇的に向上させます。 |
| 視聴完了率 | ★★★★☆ | ★★★★★ | 【質】リール動画が最後まで視聴されたか、ループ再生されたかが、コンテンツの質を担保します。 |
| いいね数 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 【反応】瞬発的な反応に過ぎず、エンゲージメントの「深さ」を測る指標としては相対的に低下しました。 |
この変化が企業に突きつけているのは、「綺麗な写真」から「誰かに教えたくなる情報」へのシフトです。
例えばファッションブランドなら、単なる着用写真ではなく「身長155cmの人向けコーディネート術」のような、保存したくなるノウハウを発信する。
飲食店なら、料理写真に加えて「予約が取りやすい曜日と時間帯」など、実用情報を添える。こうした視点の転換が、エンゲージメントを大きく左右します。
さらに見逃せないのが「つながりのないリーチ」の台頭です。AIによるレコメンデーション精度の向上により、フォロー外の投稿が頻繁にフィードやリールタブに表示されるようになりました。
フォロワーが少ない新規参入企業でも、コンテンツの質さえ高ければ、一夜にして数十万リーチを獲得するジャイアントキリングが可能になっているのです。
インスタ運用がうまい企業8選
理論を踏まえた上で、実際に変化を先取りし、成果を上げている8社の事例を見ていきましょう。
北欧、暮らしの道具店
株式会社クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」。同社はInstagramを単なる集客チャネルではなく、ブランドの世界観を伝える独立したメディアとして確立しました。
運用のポイント
運用の巧みさは、「日常への浸透」と「アプリへの誘導」に特化させている点です。投稿画像は、単なる商品紹介ではありません。
「その商品がある朝の風景」といった文脈を付与し、読み物としてユーザーの生活時間に溶け込ませています。
これにより、押し売り感なく、自然なアプリ起動を促進。結果、アプリ経由の売上は全体の約8割に達し、長きにわたる増収増益のビジネスモデルを支えるエンジンとなっています。
Mr. CHEESECAKE
「世界一じゃなく、あなたの人生最高に。」を掲げるMr. CHEESECAKE。オンライン専業ブランドとして、画面越しに味や香りを伝える高度な表現を実現しました。
運用のポイント
特筆すべきは、クリエイティブの解像度への執着です。ブランドのトーンを統一するため、具体的なカラーコードを規定し、写真や色のブレを排除しています。この徹底管理が、洗練された雑誌のような世界観を構築しています。
また、「日曜・月曜の朝10時からのみ販売」という限定モデルと、投稿タイミングをシンクロさせているのも特徴です。フォロワーの待機行動を誘発し、熱狂的なエンゲージメントを生み出しています。
Soup Stock Tokyo
「食べるスープの専門店」であるSoup Stock Tokyo。食品系アカウントが陥りやすい「シズル感の欠如」という課題を、技術的なアプローチで解決しました。
運用のポイント
スープのような液体は、写真だと色が沈み、暗く重たい印象になりがちです。そこで同社は、高精細な画像処理を追求し、湯気の向こうにある温度感や、具材の質感を忠実に再現することに成功しました。
この妥協なきビジュアル表現は、「画像のクオリティ=味の信頼性」と定義づけられ、ブランドのプレミアム感をSNS上で可視化しています。
UNIQLO(ユニクロ)
日本を代表するグローバルブランドであるユニクロは、2025年に向けてSNSポートフォリオの大胆な刷新をおこないました。「選択と集中」のお手本とも言える事例です。
運用のポイント
ユニクロは、Z世代の利用率が低下傾向にあるFacebookへのリソース配分を見直し、InstagramやTikTokへ注力しました。
特にリール動画の活用法は秀逸です。機能性商品を訴求する際、派手な演出を排除し、生地の伸縮性だけを見せるシンプルな実験動画を展開。情報のノイズを嫌う現代のユーザー心理に対し、この「引き算」のクリエイティブが機能美として刺さっています。
GRL(グレイル)
ファストファッションブランドのGRLは、ユニクロのようなブランド主導型とは対照的です。数千人規模のインフルエンサーを動員する「ユーザー主導型」の戦略で市場を席巻しています。
運用のポイント
強さは、マイクロインフルエンサー(フォロワー1,000人〜10万人)への大量ギフティング(商品提供)にあります。データによると、金銭が発生しないギフティング投稿は、有償PRよりもエンゲージメント率が高い傾向にあります。
大量の一般ユーザーが「#GRL」などのタグで投稿することで、検索結果は常に最新の着用画像で埋め尽くされます 。自分と似た体型のリアルな着用感(UGC)に必ずたどり着く「SEO支配」とも言える状態を作り出しています。
Salesforce Japan
BtoB企業にInstagramは不向きという定説を覆したのが、Salesforce Japanです。無形商材であるSaaSを、人間味のあるパートナーとして表現することに成功しています。
運用のポイント
彼らは「ハードセル(強引な営業)」を排除し、見込み客の課題解決にフォーカスしています。導入企業の成功事例や「営業効率40%改善」といった成果を、視覚的にわかりやすいスライド形式(カルーセル投稿)で発信。
堅苦しいビジネス情報を「保存したくなるノウハウ」に変換することで、業界リーダーとしての権威性と信頼を蓄積しています。
タムロン
光学機器メーカーのタムロンは、メーカー発信の情報よりも「ユーザーの実証」が信頼される心理を巧みに利用しています。
運用のポイント
同社のアカウントでは、自社製品(レンズ)を使ってユーザーが撮影した美しい写真を積極的に紹介しています。
メーカーが「高性能です」と謳うよりも、実際にユーザーが撮った息をのむような写真を見せるほうが、レンズの性能を雄弁に物語ります。エンドユーザーを巻き込み、その成果物をコンテンツ化することで、客観的な製品力を証明する賢い戦略です。
サイバーエージェント
採用難易度が高まる中、サイバーエージェントはInstagramを採用ブランディングの主戦場と位置づけ、求職者とのミスマッチ解消に役立てています。
運用のポイント
採用アカウントでは、社員のファッションやデスク周り、社内イベントの熱量などを極めて高い透明度で公開しています 。
これは、転職市場の大半を占める「受動的候補者(良い話があれば聞きたい層)」の日常に入り込む施策です。公式サイトの美辞麗句ではなく、リアルな社風を可視化することで、入社後の未来を想像させ、内定辞退を防ぐ役割も果たしています。

インスタ運用がうまい企業に共通する7つの特徴
運用がうまい企業は、Instagramを単なる写真置き場ではなく、雑誌や店舗、あるいはコミュニティとして捉えています。
彼らに共通するのは、ユーザーに対する解像度の高さと、アルゴリズムへの適応力です。具体的に7つの特徴を見ていきましょう。
ターゲットとペルソナが明確に設定されている
成功しているアカウントは、「誰に届けたいか」が明確です。「20代〜30代の女性」といった人口統計的なターゲット設定(デモグラフィック)だけでは不十分です。
運用がうまい企業は、さらに踏み込んだ「ペルソナ設定」をおこなっています。
- 【ターゲット】30代の働く女性
- 【ペルソナ設定例】都内在住、メーカー勤務の32歳。仕事は楽しいが責任も重くなり、平日は自炊をする気力がない。週末は少し贅沢をしてリフレッシュしたいが、遠出する体力はない。最近、肌の曲がり角を感じている。
ここまで具体的に人物像を描くことで、コンテンツの切り口が鮮明になります。「平日夜に見るなら、凝った料理よりも5分でできるスープが良い」「週末前には、近場でできるご褒美体験を提案しよう」といった発想が生まれるからです。
反応が薄いアカウントの多くは、この「たった一人の架空の読者」が曖昧です。結果として、万人に受けようとして誰にも刺さらない投稿に陥っています。
世界観・デザインに統一感がある
ユーザーがプロフィール画面を訪れ、フォローするかどうかを決める時間は「平均3秒以内」と言われています。この一瞬の判断を左右するのが、グリッド(投稿一覧)の統一感、すなわち「トーン&マナー」です。
うまい企業は、以下の要素を徹底してルール化しています。
- メインカラー:ブランドカラーを基調とした色味の統一
- フォント:文字入れ投稿で使用するフォントの固定
- 構図:引きの写真と寄りの写真のバランス、余白の取り方
- 表紙のデザイン:雑誌のように、タイトルと画像の配置をパターン化
これらが統一されていると、ユーザーは「どんなメリットがあるアカウントか」を瞬時に理解できます。逆に、色味やフォントがバラバラだと素人っぽさが出てしまい、企業の信頼性を損なう要因になりかねません。
UGCを積極的に活用している
前述したタムロンやGRLの例にもあるように、現代では企業発信の広告よりも、一般ユーザーのリアルな投稿(UGC)の方が信頼されます。これをマーケティング用語で「ウィンザー効果」と呼びます。
賢い企業は、自社で全てのコンテンツを作るのではなく、ユーザーが自社製品について投稿したくなる仕組みを作っています。
- 独自のハッシュタグを用意する:例:#〇〇のある生活
- リポストを前提としたキャンペーンをおこなう:「素敵なお写真は公式で紹介します」と告知
- 投稿しやすいフォトスポットやパッケージを作る
これにより、第三者視点の信頼性の高いコンテンツを確保しつつ、運用担当者の制作コストを下げるという、一石二鳥の効果を生み出しています。
「保存」「シェア」されるコンテンツを設計している
現在のアルゴリズムにおいて、発見タブに掲載され、フォロワー外へリーチするために最も重要な指標が「保存数」です。
運用がうまい企業は、単に「綺麗な写真」ではなく、「あとで見返したくなる情報」を意図的に作成しています。
| コンテンツの種類 | ユーザーの心理 | アクション |
| ノウハウ型 | 「勉強になる」「忘れたくない」 | 保存 |
| カタログ型 | 「比較検討したい」「欲しい」 | 保存 |
| 共感・代弁型 | 「私の気持ちと同じ!」「友達に言いたい」 | シェア |
| ニュース・速報型 | 「知らなかった」「みんなに教えたい」 | シェア |
このように、投稿ごとに「これは保存を狙う」「これはシェアを狙う」といった明確な役割を持たせています。なんとなく投稿するのではなく、ユーザーのアクションを逆算してコンテンツを設計しているのです。
購買・来店・採用への導線が設計されている
どれだけフォロワーが増えても、最終的なビジネス成果につながらなければ意味がありません。成功している企業は、集めたアクセスをゴールへ誘導する「導線設計」が秀逸です。
- リンクの最適化:Linktreeなどを使い、ECサイト、予約ページ、LINE登録などへ迷わず誘導する。
- ハイライトの活用:「初めての方へ」「人気ランキング」など、Webサイトのメニューのような役割を持たせる。
- ショッピング機能:画像に商品タグを付け、タップするだけで購入ページへ遷移させる。
「いいな」と思った熱量が冷めないうちに、最短距離でアクションを完了させるUX(ユーザー体験)を提供しています。
ユーザーとの双方向コミュニケーションを重視している
Instagramは一方的な発信媒体ではなく、双方向のコミュニケーションツールです。アルゴリズムも、コメントのやり取りやDMでの対話を「親密度の高いシグナル」として評価します。
運用がうまい企業は、以下のような人間味のある運用を徹底しています。
- コメントへの返信:定型文ではなく、相手の内容に合わせた個別の返信をおこなう。
- ストーリーズ活用:「質問スタンプ」や「アンケート」でフォロワーに参加してもらう。
- キャプションでの問いかけ:「あなたはどっち派?コメントで教えて!」と促す。
これらの活動が、フォロワーを単なる「数字」から、ブランドを応援してくれる「ファン」へと育て上げます。エンゲージメント率が高まれば、結果としてアルゴリズムに優遇される好循環が生まれます。
継続的な投稿とデータ分析で改善を続けている
最後に、最も地味ですが重要な特徴が「継続と改善」です。どんなに優れた戦略も、実行し続けなければ意味がありません。
成功企業は、感覚に頼らず「インサイト(分析データ)」に基づいて運用しています。
- 勝ちパターンの発見:「文字入れの方が保存される」「18時より21時の方が反応が良い」といった傾向を把握する。
- 仮説検証:「リール動画の冒頭をこう変えてみよう」と仮説を立てて実行し、結果を振り返る。
- 飽き防止:同じような投稿ばかりでクリエイティブが陳腐化しないよう、定期的に新企画をテストする。
彼らは「なぜ伸びたのか」「なぜ伸びなかったのか」を常に言語化し、PDCAサイクルを回し続けています。Instagram運用は、一発逆転のマジックではなく、こうした泥臭い改善の積み重ねなのです。
インスタ運用を成功させるための実践テクニック
Instagram運用に魔法のような裏技は存在しません。しかし、「これをやれば確実にスコアが上がる」という定石は存在します。各機能を最大限に活用し、アカウントの評価を底上げしましょう。
プロフィールの最適化
プロフィール画面は、アカウントの「顔」であると同時に、WebサイトにおけるLP(ランディングページ)の役割を果たします。
ユーザーがフォローするかどうかを判断する時間は、わずか数秒です。以下の4つの要素を見直し、一目で「自分にとって有益だ」と認識させる必要があります。
アカウント名
単に社名やブランド名を入れるだけでは不十分です。Instagramの検索機能は、この「名前」部分を強く参照します。「【公式】株式会社〇〇」だけでなく、「株式会社〇〇|時短レシピ・お弁当」のように、検索されそうなキーワードを盛り込んでください。
アイコン画像
視認性が命です。スマホの小さな画面でも認識できるよう、シンプルなロゴや、象徴的な商品の写真を使用します。円形にトリミングされることを考慮し、余白を適切に持たせることが重要です。
自己紹介文
「誰に向けた」「何を発信している」アカウントなのかを3行以内で要約します。箇条書きを活用し、権威性(実績や創業年数)や、フォローするメリット(お得情報やノウハウ)を明記しましょう。
URL
投稿文にリンクを貼れないInstagramにおいて、プロフィールのURLが生命線です。Linktreeなどのまとめツールを活用し、ECサイト、LINE公式アカウント、問い合わせフォームなど、複数の導線を整理して配置します。
リール動画の活用でフォロワー外へリーチする
現在、Instagramが最も注力している機能が「リール」です。Meta社は、ショート動画の露出を優遇しており、フォロワー以外の新規層にリーチするならリール一択という状況です。
ポイントは「映像美」よりも「情報の密度とテンポ」です。
伸びるリールの構成テンプレート
- 冒頭3秒(フック):「これ知ってる?」「〇〇な人必見」など、強力な引きで指を止めさせる。
- 本編(展開):結論から述べ、早回しやカット割りを多用して間延びさせない。
- オチ(CTA):「詳細はキャプションで」「保存して見返してね」など、次のアクションを明確に指示する。
最初からプロ並みの動画を作る必要はありません。まずはスマホで撮影した動画を繋ぎ合わせ、トレンド音源に乗せることから始めましょう。アルゴリズムは、視聴完了率やループ再生数を評価するため、初期段階では15秒〜30秒程度の短尺動画が効果的です。
ストーリーズ・ハイライトの効果的な使い方
フィードやリールが「新規獲得」なら、ストーリーズとハイライトは「ファン化(教育・検討)」の役割を担います。
重要な情報は、24時間で消えるストーリーズだけで終わらせず、「ハイライト」にまとめてプロフィール下に固定しましょう。初めて訪れたユーザーへのナビゲーションとして機能します。
おすすめのハイライト構成
- 自己紹介:ブランドの想いやコンセプト
- 商品紹介:カテゴリ別の商品一覧や人気ランキング
- お客様の声:実際の利用者のレビューやUGCの紹介
- よくある質問:発送、サイズ感、店舗へのアクセスなど
- キャンペーン:現在開催中のイベントやクーポン情報
これらを整備することで、ユーザーは過去投稿を遡らずに必要な情報へアクセスでき、機会損失を最小限に抑えられます。
ハッシュタグ戦略の基本と選び方
かつてのように「関連ワードを30個限界までつける」手法は、現在推奨されていません。AIの画像認識技術が向上し、ハッシュタグのみに頼らずとも内容を理解できるようになったからです。
現在のハッシュタグは、検索流入に加え「アカウントのジャンルをAIに正しく認識させるためのタグ付け」という意味合いが強まっています。
効果的なハッシュタグ選定のバランス
- ビッグワード(10万件以上):#カフェ #ランチ など。ジャンルの大枠を示すために少数入れる。
- ミドルワード(1万〜10万件):#渋谷ランチ #オムライス など。検索ボリュームがあり、ターゲットを絞り込める語句。
- スモールワード(1万件未満):#渋谷オムライス #〇〇店 など。ニッチだが、来店意欲が高い語句。
- オリジナルタグ:#(ブランド名) #(独自の企画名) など。UGCを集約するために必須。
これらを組み合わせ、合計10個程度を目安に厳選しましょう。投稿と無関係なタグの乱用は、スパム判定を受けるリスクがあるため避けてください。
インフルエンサー・ギフティング施策の活用
アカウントパワーが弱いうちは、影響力を持つインフルエンサーの力を借ります。特に有効なのが、ギフティング(商品提供)施策です。
自社商品を無償提供し、気に入ってもらえたら投稿してもらう手法ですが、法令順守が必須です。
| 【重要】ステマ規制への対応 投稿を依頼する場合、金銭の授受がなくても「商品提供」=「利益提供」とみなされます。必ず「#PR」「#タイアップ」等の表記をおこなうよう、インフルエンサーへ依頼してください。 |
ねらい目は、フォロワー数千人〜数万人規模の「マイクロインフルエンサー」です。特定ジャンルに特化しており、フォロワーとの信頼関係が深いため、高いコンバージョン率が期待できます。また、彼らの投稿を自社でリポストすることで、質の高いコンテンツ確保にもつながります。

まとめ
Instagram運用は、一朝一夕で劇的な成果が出るものではありません。
今回ご紹介した「北欧、暮らしの道具店」や「UNIQLO」といったインスタ運用がうまい企業であっても、その裏側には数えきれない試行錯誤と、地道な改善の積み重ねがあります。
彼らに共通しているのは「ユーザーへの徹底した理解」と「ブレない世界観の構築」です。
フォロワー数という数字だけを追うのではなく、「画面の向こうにいる一人のユーザー」にどのような価値を届け、どのような感情を抱いてもらいたいのか。その本質さえ見失わなければ、アルゴリズムがどのように変化しようとも、選ばれ続けるアカウントになれるはずです。 まずは、自社アカウントの現状を分析することから始めてみましょう。
