テレワークの導入に必要なことのひとつに、従業員が社外で作業をおこなうための備品、ノートパソコンなどの購入が挙げられます。
しかし、従業員全員分のノートパソコンを購入するとなると、かなり大きな額になります。そんなとき、テレワーク導入を手助けする助成金制度の利用がおすすめです。
このような助成金制度にはどのようなものがあるのか、申請に関して知っておくべきことなどと合わせてご紹介します。
ノートパソコン購入に利用できる助成金制度
企業がノートパソコンを購入する場合に利用できる助成金制度としては、「女性の活躍推進等職場環境整備助成金」「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」が挙げられます。
いずれも、テレワーク導入にあたる備品の購入や必要経費に対して助成を受けられます。それぞれの助成対象や金額などをご紹介しましょう。
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女性の活躍推進等職場環境整備助成金
社会における女性の活躍推進を目的とした助成金制度です。企業が女性を採用、配置するための環境整備や、多様な勤務形態の実現に係る経費を助成します。
女性の活躍推進等職場環境整備助成金は「女性の活躍推進に向けた環境整備事業」「多様な勤務形態の実現事業」の2つに分かれており、テレワークの導入経費が助成されるのは後者です。
この「多様な勤務形態の実現事業」について解説していきます。
助成対象者
助成対象となるのは、以下の条件を満たす従業員数300名未満の中小企業等です。
- 都内で事業を営む中小企業等(社団、財団、個人事業主等を含む)である
- 常時雇用している労働者が2名以上かつ6ヵ月以上継続雇用している
助成対象経費
テレワーク、スマホなどで業務をおこなうモバイルワークなど、多様な勤務形態を実現させるために必要な、つぎのような経費が助成対象です。
- パソコン、モバイル端末等の購入費用
- ソフトウェア、ツール利用料
- ネットワークの整備費用
- システム構築費用
- 上記の環境構築を専門業者に委託する場合の費用
- 機器導入後のコンサルティング費用
助成額
上限250万円、助成率2分の1
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
都内の中堅・中小企業等が緊急時の事業継続対策として、テレワークを導入する際に必要なパソコンなどの通信機器やソフトウェアなどの費用を助成するものです。
助成対象
コロナウイルス感染症の拡大防止および、緊急時の事業継続対策として在宅勤務等を可能とする情報通信機器などの導入、テレワーク環境の整備など
助成対象経費
助成対象となるのは、つぎの項目に該当する経費です。
- 都内で実施する助成事業に使用する必要最低限の経費のうち、支給決定日後の実績報告時までに支払い済みの経費
- 単価、使途、規模などが確認できる経費
- 原則的に口座振込となる助成事業に必要な経費
- 財産取得となる場合、助成事業者に所有権が帰属する経費
- ほかの事業に使用した経費と明確に区別できる経費
また、具体的な助成対象の経費としてはつぎのものが挙げられます。
- テレワークの実施に必要なパソコンやタブレット、周辺機器など(税込単価1,000円以上10万円未満)の消耗品費
- パソコンやタブレット、周辺機器などをリースした場合の賃借料
- テレワークの実施に必要な機器の設定や設置、導入、保守などの委託費用
- テレワークの実施に必要なクラウドサービスやソフトウェアの利用料
助成額
上限250万円、助成率10分の10
助成対象として要件を満たす経費に関しては全額支給されます。なお、助成金額に千円未満の端数がある場合は切り捨てとします。
助成金を申請する際の注意点
助成金の申請をおこなう際、注意しておきたい部分についても解説していきます。
事前に給付されない
助成金は支給対象の要件を満たしたか、その実績を評価したうえで、支払い済みの経費に対して支給されるものです。
たとえば「女性の活躍推進等職場環境整備助成金」であれば、「多様な勤務形態の実現」が達成されたと認められなければ支給を受けられません。
また、そもそもすでに支払われた経費に対して助成をおこなうものなので、購入前に事前給付を受けられません。
よって、助成金が支給されることをあてにして一気に経費を使い切ってしまうと、支給までに資金が足りなくなってしまう可能性もあるといえるでしょう。
時間と手間がかかる
まず助成金の申請をおこなうにも、必要書類の用意、提出などである程度の時間と手間がかかります。
そのうえで支給対象の要件を満たすよう努力し、評価を受けて認められてやっと助成金の支給を受けることができます。
それまでには早くても数ヶ月、長ければ1、2年近くかかる場合もあるでしょう。そのため、前述のように助成金をあてにして一気に経費を使ってしまうのは非常に危険です。
まとめ
テレワークの導入に必要なパソコンなどの経費は、助成金制度の利用でかなりコストを抑えることができます。
「事前に給付されない」「申請には時間と手間がかかる」という2点を考慮したうえで、有効活用されてみてはいかがでしょうか。