近年、多くの企業がLINE公式アカウントを活用し、ビジネスの成長につなげています。国内で圧倒的なユーザー数を誇るLINEは、集客や販促、顧客とのコミュニケーションを円滑にする強力なツールです。
LINE公式アカウントをビジネスで活用する目的としては、以下の点が挙げられます。
- 企業の情報発信とブランディング
- 顧客とのダイレクトコミュニケーション
- マーケティング施策やプロモーションの実施
- 問い合わせ対応や顧客サポートの強化
- 顧客のエンゲージメント向上
- データ収集と分析による戦略最適化
ただし、これらの目的を達成し、効果的に運用するためには、具体的な活用方法や成功のポイントを理解することが欠かせません。
本記事では、LINE公式アカウントのビジネス活用事例を5つ紹介し、そのメリットや運用のポイントについて解説します。LINEをビジネスに活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。
LINE公式アカウントのビジネス活用事例
それでは、LINE公式アカウントをビジネスに活用したことでどのような効果があったのか、LINEヤフー for Businessで紹介されている実際の導入事例をご紹介いたします。
第一生命保険株式会社
第一生命保険株式会社は、創業当時から対面営業を主軸とした営業活動をおこなっていましたが、コロナ禍を契機にLINE公式アカウント運用を本格始動。
LINEで友だち登録したユーザーにスタンプを配布するスタンプ施策を二度実施し、500万人以上の友だちを獲得しました。
おもなターゲット層である20~30代のリーチ数は20倍に増加し、ブロック率はほぼ横ばいで推移している状態です。
LINEとメールで同一の内容を配信した結果、LINEの開封率はメールの約2倍、CV率は8倍となり、まさに「LINEビジネスの成功事例」と言えるでしょう。
公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」は、所属する全38クラブのターゲットリーチ数が1年間で220%アップした事例を紹介しています。
試合会場では、LINEミニアプリを活用したフードのモバイルオーダーやシートデリバリーを実施。また、オールスターゲームの開催都市では、スタンプラリーイベントなどをおこない、友だち数は2023年から2024年の1年間で約240万人増加し、820万人を突破しました。
モバイルオーダー施策では、一部の時間帯で試合前日に売り切れが出るなど大好評。さらに、スタンプラリーには3,000人以上が参加し、飲食店や開催都市の地域経済に貢献するなど、Bリーグのみならずその周囲にもよい影響をもたらしました。
株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONS
全国73店舗を展開する大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」の運営会社である株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONSの事例では、広告コストや運用負荷を削減し、来店客数の増加を実現しています。
これまではおもに折り込みチラシで店舗への集客や商品の告知を実施していましたが、制作コストが課題でした。そこで、2020年3月にLINE公式アカウントを導入。
「LINEで予約」の機能を活用したり、閑散期や繫忙期など店舗の状況に応じてメッセージを配信したりすることで、幅広い年齢層のユーザーの来店を促進し、来客客数の増加につながりました。導入から1年間で「LINEで予約」経由の予約数は約6倍に増加しています。
株式会社IDEA
医療クリニックの開業・運営支援、マーケティング戦略の立案などを展開する株式会社IDEAによる、ニキビ治療専門皮膚科「アクネクリニック」での活用事例です。
これまで、治療は完全予約制でありながら、新規の予約受付は電話かメールが中心で、人員や営業時間の問題から効率的に予約管理がおこなえないときもありました。
そこで、LINE公式アカウントとビジネスツールの導入により、チャットボットで予約を24時間対応にし、友だち追加広告も活用したことで、友だち数が約350%、予約数も約120%増加に至っています。
株式会社SABON Japan
天然由来素材のボディケア・ヘアケアアイテムなどを販売する株式会社SABON Japanでは、LINE公式アカウントの導入により、EC売り上げの約3割がLINE経由となりました。
会員情報とLINEアカウントを連携したユーザーに対し、購買履歴をもとにしたメッセージのセグメント配信や、リッチメニューのコンテンツを充実させるなどの施策を実施。
これによりLINE公式アカウント経由の売り上げは、メール経由の約5倍、ROAS(費用対効果)は約1,000%を記録。また、メッセージ配信した日のオンラインでの売り上げは、通常時の約3倍を記録するなど、ユーザーのニーズに合致した情報やコンテンツの提供に成功しています。
LINE公式アカウントをビジネス活用するメリット
LINE公式アカウントをビジネスに活用することで、企業は顧客との接点を増やし、効果的なマーケティングを展開できます。
ここでは、LINE公式アカウントを導入することで得られる、おもな5つのメリットについて詳しく解説します。
利用者数が多く・年齢層が幅広い
LINEは日本国内でもっとも多くの人に利用されているメッセージアプリであり、2025年1月時点のアクティブユーザー数は9,700万人以上にのぼります。
とくに、10代から60代以上まで幅広い年齢層に浸透しているという強みがあり、ビジネスのターゲットに応じた適切なマーケティングが可能です。
そのため、若年層向けのファッションブランドからシニア層向けの健康食品まで、さまざまな業種で活用されています。
特定の年齢層に偏らず、多様な層にリーチできるため、BtoCビジネスにおいて非常に強力なツールとなります。
メールマガジンよりも開封率が高い
従来のマーケティング手法としてメールマガジンがありますが、開封率は平均10〜20%程度と低いことが課題です。
一方、LINEのメッセージ開封率は50%以上とされており、メールと比べて圧倒的に高い開封率を誇ります。
これは、LINEの通知はスマートフォンに直接届き、ユーザーがリアルタイムで確認しやすいためです。そのため、情報が見逃されにくいという大きなメリットがあります。
新商品のお知らせやキャンペーン情報など、確実にユーザーへ届けたい情報の発信に、最適なツールといえるでしょう。
集客や販促に便利な機能が備わっている
LINE公式アカウントには、ビジネス向けに多くの便利な機能が搭載されています。
- クーポン配信:割引クーポンを発行して来店や購入を促進
- ショップカード:ポイントカード機能を提供し、リピーターを増やす
- リッチメニュー:画面下部に固定メニューを設置し、商品ページや問い合わせ先に誘導
- LINE広告との連携:ターゲットに最適な広告を配信
これらの機能を活用することで、新規顧客の獲得からリピーターの定着まで一貫したマーケティング施策を実施できます。
友だちとコミュニケーションがとりやすい
LINE公式アカウントは、企業とユーザーが気軽にコミュニケーションを取れる点が強みです。
友だちへのメッセージ一斉配信はもちろん、1対1のチャット機能を活用すれば、問い合わせ対応をスムーズにおこなえます。
また、AIチャットボットを導入すれば、よくある質問への自動応答や営業時間外の対応も可能です。これにより、ユーザーの満足度を向上させつつ、企業側の業務負担を軽減できます。
リアルタイムで情報を発信できる
LINEはリアルタイムで情報を届けられる点も大きなメリットです。例えば、以下のような活用ができます。
- 飲食店が「本日限定のお得なメニュー」を告知
- アパレルブランドが「新作アイテムの入荷情報」を配信
- 小売業が「在庫セールやキャンペーン情報」を即時発信
とくに即時性が求められる業界では、LINEのリアルタイム性を活かすことで、売上向上や集客増加につながります。
LINE公式アカウントのビジネス活用を成功させるためのポイント
LINE公式アカウントを効果的に運用するには、単に友だちを増やすだけでなく、ビジネスの目的に応じた戦略が必要です。
ここでは、LINEを活用したマーケティングを成功に導くための3つの重要なポイントを解説します。
運用の目的を明確にする
LINE公式アカウントの運用を始める前に、どのような目的で活用するのかを明確にすることが重要です。
目的が曖昧なまま運用を開始すると、適切な施策が打てず、思うような成果を上げることが難しくなります。目的の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 新規顧客の獲得:広告と連携し、新しい友だちを増やす
- リピーターの育成:クーポンやショップカードを活用し、リピート率を向上
- 売上向上:期間限定セールや新商品情報をリアルタイムで配信
- 顧客サポートの強化:チャット機能を活用し、問い合わせ対応をスムーズに
例えば、ECサイトを運営する企業が「リピーターの育成」を目的とする場合、クーポン配布やポイント制度の導入が効果的です。
一方、飲食店が「売上向上」を目指す場合は、限定メニューの告知や予約の受付機能を活用するとよいでしょう。このように、目的にあった施策をおこなうことがポイントです。
KPIを設定する
目的を明確にしたら、それを達成するための具体的な指標(KPI)を設定しましょう。KPIを定めることで、運用の成果を定量的に評価しやすくなります。
具体的な目的とそれに対応するKPIの例として、以下のようなものがあります。
目的 | KPIの例 |
---|---|
新規顧客の獲得 | 友だち追加数、ブロック率の低下 |
リピーターの育成 | クーポンの利用率、ショップカードの利用回数 |
売上向上 | メッセージ経由の購入数、来店予約数 |
顧客サポートの強化 | 問い合わせ対応件数、チャット満足度 |
PDCAを回す
LINE公式アカウントの運用は、一度設定したら終わりではありません。友だちを増やし、減らさないようにするには、継続的な改善が必要です。そのために、PDCAサイクルを意識して運用しましょう。
- Plan(計画):ターゲットを決め、配信内容や施策を企画
- Do(実行):実際にメッセージ配信やキャンペーンを実施
- Check(評価):KPIを基に効果を測定(開封率・反応率・売上への影響など)
- Action(改善):結果を分析し、次回の施策に反映
例えば、クーポンを配信した場合、どのくらいの人が使用したか、来店につながったかをチェックし、次回の配信内容やターゲットを調整します。
また、開封率が低い場合は、配信時間の変更やメッセージの内容を見直すことで改善できる可能性があります。
このように、定期的にデータを分析し、施策をブラッシュアップすることで、LINE公式アカウントの効果を最大限に高めることができます。
まとめ
LINE公式アカウントは、幅広い年齢層にリーチでき、高い開封率や多彩なマーケティング機能を活用できる強力なビジネスツールです。
クーポン配信やチャット機能などを活かせば、新規顧客の獲得からリピーターの育成、売上の向上まで幅広く対応できます。
ただし、効果的に運用するには、明確な目的設定・KPIの設計・PDCAの継続的な実行が重要です。単にメッセージを配信するだけではなく、データを分析し改善を繰り返すことで、より高い成果が期待できます。
導入事例を参考にしつつ自社に合った活用方法を見つけ、LINE公式アカウントをビジネスの成長に役立ててみてください。