民間企業のテレワーク導入事例(建設業:電気設備工事業)
建設業(電気設備工事業)
電気設備工事業を展開するC社では、工事部門を含む全従業員が在宅勤務を実施しています。2008年に介護により時間制約のある社員が採用されたことがきっかけで、テレワークにより経営効率の向上と改善に着手しました。
施工現場が遠方になることも多く、工事現場から本社への長距離移動に社員が疲弊するという課題があったため、現場と本社の情報共有を効率化し、自宅からもアクセス可能にしたところ、生産性が2倍にアップし、残業時間は9割の削減となりました。
テレワーク導入後は、男性従業員も育児休業を取得したり、在宅勤務制度を利用して、積極的に育児や介護に参加できる環境整備に尽力しています。
このような取り組みにより企業のイメージが向上し、新入社員も安定して採用でき、中途採用の求人にも継続して応募があるので、人材の確保ができています。
概要
テレワークの形態は、在宅勤務のみ。自宅以外でのテレワークは不可としています。
対象者 | 全従業員 |
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利用条件 | ・在宅勤務の環境「家族にパソコンを触らせない・見せない」を厳守できる環境であること ・上限利用日数の定めなし |
申請方法 | 事前に総務部長に口頭で申請し、仕事の状況や実施内容を把握してもらう |
労働時間管理 | 通常の労働時間管理性を適用 労働時間は在席管理システムで把握 |
打合せ、工事進捗管理、資材管理、仕様書作成などのシステムを自社で構築し、社内や現場だけでなく、自宅で利用できる仕組みを整えています。
導入時の工夫
- 育児や介護に直面していない従業員にも在宅勤務の必要性を理解してもらうため、それぞれがライフステージや業務に合わせて効率的に在宅勤務を活用できるよう個別にアドバイスをしました。また、新しいシステムを全従業員が使えるように、IT担当者が一人一人丁寧に説明して理解を得ました。
- コストを抑えるためフリーソフトを導入し、在宅勤務中のコミュニケーションや労働時間管理、マニュアル作成等で利用しています。
選べるパターン
業務の進捗状況や育児・介護等の理由によって在宅勤務が必要な時間帯が違うため、3つのパターンから選べるようになっています。
終日制 | 基本的に7.5時間 事前申請により業務の中断(中抜け)も15分単位で可能 |
時間制 | 1時間単位で使用可能 ただし、残業目的の使用は不可 |
緊急制 | 事前申請が基本だが、緊急対応も可能 |
情報セキュリティ
- 個人所有の端末の業務使用は認めない。代わりに、携帯端末を支給し通信費を負担
- 全員共通のノートパソコンを支給し、不具合等の対応をスムーズに行えるようにしている
- テレワークセキュリティガイドラインに沿って運用。上司と本社担当の双方でクロス監視を行い、端末は毎月現物をチェックする
会社が目指す職場づくり
社員のワークライフバランスを推進することが、CS(顧客満足)向上・ES(従業員満足)向上・FS(家族満足)向上・PS(個人満足)向上の好循環として、テレワークは重要な役割を果たしています。
効果の一例
- 移動時間が減り、ガソリン代や交通費、保険料を大幅に削減
- 会社の電気代や水道代が削減でき、テレワークの設備投資に充てることができた
- 従業員が資格取得に取り組む時間を確保でき、スキル向上につながった。有資格者が増え、公共工事の際の経営事項審査の評価点が高まっている
- 余暇が増え、従業員のワークライフバランスが向上