「業務効率を高めたい、人件費を抑えたい、人手不足を解消したい…」といった課題を抱える企業は少なくないと思います。
そんなときに導入を検討したいのがRPAツールです。この記事では、RPAツールとはどのようなものか、導入するメリットやおすすめの製品10選など、まとめて解説いたします。
RPA(Robotic Process Automation)とは
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、人がパソコンを使っておこなう業務をロボットによって自動化する技術のことをいいます。
ロボットといっても実態のあるマシンのようなものではなく、パソコンやクラウド上で動作するソフトウェアです。
決められたルールに従っておこなう定型業務やルーチンワークなど、基本的なキーボード入力やくり返しのクリック動作といった定常的な業務の自動化を実現できます。
RPAツール導入のメリット
ではRPAツールを導入した場合、業務においてどのようなメリットがあるのか、解説いたします。
作業効率の向上
RPAツールは、ルールや手順の決まっている単純作業を、設定したとおりに自動で処理できるものです。
しかも、間違いがないため人間のように作業をおこなってから見直しする手間も必要なく、手作業よりもスピーディーです。
これまで人間がおこなっていた単純作業をRPAツールに代行させれば、その分ほかの作業に注力できるため、負担も減り作業効率も向上させられます。
作業ミスの防止
人間が手作業で入力、転記のようなくり返しの作業をおこなっていると、つい入力を誤ったり、作業箇所を間違えたり、といったうっかりミスが起こりがちです。
しかし、ツールは決められた動作、設定のとおりに淡々と正確に業務を遂行するものなので、このようなくり返しの作業を代行させれば、作業ミスの防止につながります。
人件費の削減
企業において、もっとも掛かるコストが人件費です。その点、RPAツールであれば仮に月額3万円の場合、月20日、1日8時間稼働しても時給はたった187円で済みます。
従業員を雇用する場合、1人採用するにも求人費や教育にコストがかかり、これほど安く雇うこともできません。そう考えれば、かなりコストパフォーマンスが高いといえます。
また、ツールであれば24時間365日稼働でき、従業員の業務時間外であっても作業の継続が可能なため、残業時間の削減にもつながります。
人材不足の解消
日本では少子高齢化の進行により、生産年齢人口(労働力としての中核をなす15~64歳)が減少傾向にあり、人材不足が叫ばれています。
しかし、RPAツールを導入すれば人のおこなう業務をロボットで代行できるため、人材不足の企業に最適です。
RPAツール選びのポイント
RPAツールを選ぶときにどの部分を確認、比較するべきか、ポイントをいくつかご紹介します。参考にしてみてください。
デスクトップ型 or サーバー型 or クラウド型
デスクトップ型
個人のパソコンで稼働するRPAツールです。1台ずつに導入するため比較的低価格です。特定のパソコン内の作業を代行できます。
サーバー型
自社サーバーで稼働するRPAツールです。各パソコンを接続し、業務を横断的に管理、自動化できます。
サーバーで動作するため、ルールの一括管理や大容量データもやり取りできますが、高額になりがちです。
クラウド型
インターネットを経由し、クラウド上で稼働するRPAツールです。パソコンや自社サーバーにインストールする必要がなく、自動でシステムがアップデートされるのが特長です。
ただし、セキュリティ面に課題があり、顧客の個人情報や重要な機密情報を取り扱う場合にはあまりおすすめできません。
導入目的にあった機能か
RPAツールによって、対応できる作業の種類や機能も大きく異なります。そのため、導入してどのような作業を代行させたいか、その目的を洗い出す必要があります。
当然、機能の充実したものであるほど料金が割高になり、またプランによって、運用できる人数や業務規模に制限のある場合もあります。
機能が充実した高額なツールを導入しても、一部の機能しか使わないのであればもったいないため、利用したい機能と人数、料金を比較し、最適なものを検討されるのがおすすめです。
サポート体制は整っているか
RPAツールはある程度の知識が必要な部分もあり、はじめて導入するツールであれば、導入や運用について疑問点やトラブルが発生する可能性も考えられます。
このような場合、すぐ解決してくれるようなサポート体制があるのか、どのように解決してもらえるか、についても調べておくことをおすすめします。
また、RPAツールによっては海外製品もあり、言語が英語のみのもの、日本語であるものの翻訳が不自然なものもあるため、このような部分についての確認も重要です。
カスタマイズは必要か
RPAツールには、特定の事務作業を効率化させる「特化型」と、業務フローの設定次第で多種多様な作業を実行でき、カスタマイズ性の高い「汎用型」があります。
汎用型は対応できる業務が多く、カスタマイズ次第で複数の業務を自動化できます。しかし、有効活用するにはRPAやプログラミングに関する専門知識が必要な場合もあります。
その点、特化型は汎用型ほどカスタマイズ性がないものの、特定の分野に関しては面倒な設定不要でそのまま使えるため、導入もしやすいです。
このように、カスタマイズする必要があるかどうかで、「特化型」「汎用型」どちらを選ぶか検討されるとよいでしょう。
RPAツールおすすめ10選
それでは、人気が高く使いやすいおすすめのRPAツール10選をご紹介いたします。
Blue Prism
イギリスのBlue Prism社が提供しているRPAツールです。海外製ですが日本法人があり、日本語に対応しています。オンプレミス/クラウドに対応。
ドラッグ&ドロップとクリックの簡単操作でフローの作成、AIなど数千もの最新技術と連携させられるのが特長です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- ドラッグ&ドロップでフローが作成できる
- 現場のセッションログ、作業ログなどをデータベースで一元管理可能
- コントロールルームでRPAを一元管理可能
- 組織、役職別などでアクセス制御可能
BizRobo!
国内2,200社以上の導入実績がある、日本製RPAツールです。BizRobo! Basic/Lite/mini/DX cloudなどの種類があり、ソフトによってサーバー型か、デスクトップ型か運用方法や導入規模にあわせて最適な製品を選べます。
Basicは1ライセンスで無制限にロボットをつくれるため、ツールを使うほど費用対効果が高くなっています。また、ロボットとユーザーの集中管理もできるため、管理者が設定したルールのとおりに作業を実行させられます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 4種類のソフトを運用方法や導入規模によって選べる
- 1ライセンスで無制限にロボットをつくれる
- ロボットとユーザーの集中管理もできる
- ユーザー独自でステップ開発ができる
Automation Anywhere
クラウド型RPAツールとして、複数の製品があります。RPA プラットフォーム「Automation 360」はAI搭載で、通信会社から銀行、医療など幅広い業種に対応しています。
通信・保管時のデータ暗号化や、編集できない監査ログなどセキュリティの機能もあるため、クラウド型ツールであっても高いセキュリティ性が特長です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 自己学習能力を備えた AIを搭載
- AI が自動的に対象ロセスを特定し、Bot作成
- ユーザーが作成したシンプルなBotに、開発者が高度な処理を追加することも可能
- 通信・保管時のデータ暗号化、編集できない監査ログなどセキュリティ機能あり
Autoジョブ名人
業務課題と自動化を知り尽くして開発された、シンプルなインターフェースが特長の国産RPAソリューションです。
営業職の受注業務や出荷管理・出荷報告から、総務の経費精算、業務全般の勤怠管理やシステム連携など、さまざまな業務を代行させることが可能です。
特徴
- スケジュール、カレンダーの管理もできる
- スクリーンレコーダー(ドラレコ機能)機能あり
- 複数のパソコンのジョブ集中管理も可能
- 作成したシナリオを外部アプリからコマンドによる呼び出し可能
- 遠隔地のRPA実行用端末に対する即時の実行指示も可能
NICE
50万台以上のロボット、400以上の顧客、15年以上の実績があるNICE社のRPAツールです。全自動型「NICE Robotic Autiomation」、半自動型(アシスト型)「NICE Advanced Process Automation」があります。
人間のおこなうコピー&ペースト作業の、じつに245倍のパフォーマンスで人間30人分以上の処理能力をもつうえに、24時間稼働でき、ミスもありません。
特徴
- プログラミングの知識不要で操作設定ができる
- PC操作記録ツール「リアルタイムデザイナー」により人間の操作を記録、その通りに操作させることが可能
- ExcelなどのMicrosoft製品や、Salesforceなどのツールと連携可能
- 適業業務の選定~運用開始後の保守にいたるまでトータルにサポート
BizteX cobit
大手・中小企業を問わず国内の導入実績が豊富。商品管理や顧客・取引先の管理、レポートやリスト業務まで反復した作業の自動化を実現できる、クラウドRPAツールです。
難しい知識が必要なく、ワンクリックで定型業務を代行させられます。作成支援やトレーニング、コンサルティングなどサポートも手厚いです。
特徴
- 7日間無料トライアルあり
- タイマー予約機能あり
- フォルダ内の一括実行も可能
- プログラミングの知識は必要なし
- Google スプレッドシートと連携可能
Robotic Crowd
クラウド型RPAによる、業務自動化プラットフォームです。導入後すぐにロボットが稼働するため、インストールやシステム構築の手間いらず。ブラウザから簡単に操作できます。
プライベートクラウド環境への構築やさらに詳細な権限設定、ローカルアプリケーション操作がおこなえる、エンタープライズ版もあります。
特徴
- 2週間無料トライアルあり(要打ち合わせ)
- プログラミングの知識は必要なし
- 業務フローを共有可能
- Web上の情報収集、レポート業務、勤怠システム管理など幅広い業務の代行が可能
- より高度な機能を使えるエンタープライズ版もあり
Pega Robotic Process Automation
タスクの実行にとどまらず、反復作業の自動化やレガシーシステムの統合など、幅広い機能を搭載したRPAツールです。
自然言語処理(NLP)とAIを活用し、自動的にメールを返信するEメールボットや、デスクトップマイニングを活用してなにを自動化すればよいか検討できるワークフォースインテリジェンスなどの機能が利用できます。
特徴
- デモ利用可能
- 有人RPA/無人RPAが利用できる
- Eメールボットにより自動的にメール返信可能
- アプリケーションの変更に応じてオートメーションを自己修復するX-ray Vision機能あり
RoboTANGO
「初心者でもカンタンに使いこなせる」が特徴のRPAツールです。遠隔地の拠点・部署でも、1ライセンスを複数のパソコン端末で使うことができます。
最低利用期間1か月から始められ、繁忙期のみライセンスを増やすといった使い方も可能。録画機能+Shiftボタンで操作を記録させてロボを作成できるため、特別な知識も必要ありません。
特徴
- 無料トライアルあり
- 1ライセンスを複数のパソコンで利用可能
- 録画機能からロボを作成可能
- Webからの情報収集、収集データを加工して出力も可能
- ネットバンクからの入出金データを抽出、加工し会計システムにインポートできる
Robo-Pat
2021年日本マーケティングリサーチ機構調べ、「初心者でも導入が簡単だと思うRPA」「導入時のサポート満足度が高いと思うRPA」「取引先に勧めたいRPA」の各部門で1位の人気RPAツールです。
プログラミング・専門知識不要で使えて、全てのソフト、ブラウザアプリを利⽤可能なうえ、1ヶ月単位で契約できるため、利用しやすく導入の敷居も低いのが魅力。
特徴
- 1ヵ月3アカウントまで無料トライアルあり
- プログラミングの知識は必要なし
- 自社開発ツール、独自の管理画面の操作も代行可能
- 導入コンサル、作成代行/支援や実務サポートなどサポートが充実
まとめ
RPAツールについての概要と、おすすめのツール10選をご紹介しました。
それぞれ機能はもちろん、デスクトップ型かサーバー型か、など特徴も異なります。自社に最適なのはどれか、トライアルも利用しつつ、よく比較して検討されるとよいでしょう。