給与計算ソフトは、導入すると従業員の給与計算や、給与明細の作成を自動化できるため、担当者の負担を削減でき、業務効率化に役立つ非常に便利なソフトです。
では、給与計算ソフトにはどのような製品があり、どの部分を見て選べばよいのか、この記事ではおすすめの製品10選と、選び方についてご紹介いたします。
給与計算ソフト選びのポイント
もそも給与計算ソフトは、製品の数が多いだけでなく、それぞれ種類が異なったり、対象とする企業の規模などが異なったりします。
では、どのような部分を見て比較すればよいのか、知っておきたい選び方のポイントからご紹介していきます。
種類で選ぶ
給与計算ソフトは、おもに「クラウド型」「インストール型」「オンプレミス型」の3種類に分類されます。
これはソフトをクラウドで利用する形式か、自社サーバーにインストールか構築の必要があるかの違いですが、これにより特徴も変わります。
クラウド型
インターネット上のクラウドにログインして利用するタイプです。インストールやソフトを構築する手間がないため、すぐ利用できます。
インターネット環境があればリモートであっても、パソコンだけでなくスマホ、タブレットなどさまざまな端末で利用できます。
インストール型
パソコンにソフトをインストールするタイプです。買い切りのためやや導入費用が高額ではありますが、ランニングコストの掛からない点がメリットになります。
インターネットに接続する必要がありませんが、インストールしたパソコンでしか利用できません。また、法改正などで計算方法が変わった場合は再度インストールが必要です。
オンプレミス型
自社サーバーにソフトを構築するタイプです。1から構築する必要があるため、導入費用がもっとも高額になりますが、ランニングコストは低いです。
カスタマイズ性が高く、自社の環境に合わせた最適な機能を選んで搭載し、自社開発のシステムと連携させることも可能です。
企業規模に適したものを選ぶ
給与計算ソフトには、少人数でリーズナブルに利用できる中小企業向けのものから、大人数の社員に対応でき、機能の充実した大企業向けのものもあります。
大企業となると社員が多いだけでなく、さまざまな勤務形態の社員を抱えるため、給与計算も煩雑です。そのため、機能が充実し、カスタマイズ性の高い製品がよいでしょう。
その点、中小企業であれば社員数も少ないため、機能もあまり多すぎない、シンプルで使いやすい製品のほうがおすすめです。
勤怠管理の方法で選ぶ
給与計算ソフトは、従業員の勤務時間、日数などの勤怠データも必要です。ソフトによっては、勤怠管理ツールと連携して勤怠情報を取り込むものもあります。
そのため、すでに勤怠管理ツールや人事ツールなどを導入しているのであれば、それらと連携できるものを選ぶのがおすすめです。
また、いずれのツールも未導入の場合は、今後なにを導入する可能性があるかについても検討したうえで、相性がよいソフトを選ぶとよいでしょう。
【クラウド型】給与計算ソフトおすすめ5選
まず、クラウド型の給与計算ソフトのおすすめを5種類、ご紹介いたします。
ジョブカン給与計算
勤怠管理、ワークフロー、経費精算などバックオフィス業務を効率化するさまざまなサービスを提供している「ジョブカンシリーズ」の給与計算ソフトです。
導入実績は累計12万社、ITトレンド2021上半期 主要6部門ですべて第1位を獲得しているなど、利用者が多く人気のサービスであることが分かります。
もちろんジョブカンシリーズ同士で連携でき、ボタンひとつで従業員の毎月の勤怠情報、経費精算情報を読み込み、自動計算できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- Web上で給与明細を発行、公開日時の予約設定も可能
- 複数口座の振込にも対応
- 税率や保険料率は最新の状態に自動アップデート
- ジョブカンシリーズとシームレスに連携可能
マネーフォワード クラウド給与
個人、利用者30名以下の法人、30名以上の法人向けと3種類のプランがあり、さまざまな業種、規模の企業に対応している給与計算ソフトです。
マネーフォワードもクラウド会計、クラウド勤怠などのサービスがあり、これらと連携するとよりスムーズに給与計算が可能になります。
サイト上では、マネーフォワード クラウド給与を導入すると、業務コストがどれだけ削減できるか分かる、無料シミュレーションも公開されているため、導入前に計算されてみるとよいかもしれません。
特徴
- 無料トライアルあり
- いつでもどこでも給与明細、源泉徴収票を受け取り可能
- 料率、法令改正時は自動アップデート
- ジョブカン、KING OF TIMEなど外部サービスとも連携可能
- 銀行との振込連携が可能、ワンクリックで振り込みも可能
給与奉行クラウド
会計ソフト・勘定奉行シリーズで知られるOBCの提供する、正確で効率的な給与計算とペーパーレス化を実現するクラウド給与計算システムです。
給与業務における社員情報の確認や更新などの計算準備、データ入力と計算、専門家への確認依頼、明細書の発行・振り込みなどの業務をすべてデジタル化し、コストも削減できます。
1ライセンス無償で「専門家ライセンス」が付属されるため、社労士・税理士と一緒に利用でき、給与データの参照や直接対応してもらうことも可能です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 自動バックアップあり
- 専門家ライセンス付属で社労士・税理士と一緒に利用できる
- 奉行シリーズ各製品と連携可能
- MicrosoftAzureで24時間365日の運用監視、月間稼働率99.9%保証
やよいの給与明細 オンライン
会計ソフトの「弥生会計」などが有名な弥生シリーズの給与計算ソフトです。期間限定で月に従業員10名までの給与明細作成を1年無料で試せるキャンペーンを実施しています。
プランによっては従業員一人あたり月額約33円で利用できるなど、料金はリーズナブル。専門的な設定も不要で、導入も簡単です。
業界最大規模のカスタマーセンターがあり、チャットや電話での相談はもちろん、画面共有による分かりやすい操作説明や労務相談までできるなど、サポート制度も充実しています。
特徴
- 1年間無料トライアルあり
- 明細書のテンプレートあり
- 日本マイクロソフト株式会社のセキュリティセンターと24時間監視の物理セキュリティデータセンターによる高いセキュリティ性
- 入力データは賃金台帳、従業員台帳に自動反映
- 業界最大規模のカスタマーセンターによる充実のサポート体制
freee人事労務
給与計算のほか年末調整、勤怠管理、入退社管理など、定型的な労務管理を大幅に効率化できる機能が充実している人事労務ソフトです。
クラウドのシステムだからこそ、法令改正や料率変更も自動アップデートですぐ対応でき、データも自動バックアップ、入社手続きや給与明細配布、年末調整もデジタル化も実現できます。
Smart HR、オフィスステーションなど他社システムとの連携ができ、またそれ以外のサービスでも、任意の形式に加工すればデータをfreee人事労務に取り込んで利用できます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 給与計算だけでなく人事労務に関わるさまざまな機能を搭載
- 最新の状態を自動でバックアップ
- 他社システムとの連携可能
- 全通信を暗号化、国際認証 TRUSTe 取得製品
【インストール型】給与計算ソフトおすすめ3選
続いて、インストール型のソフトについて3種類ご紹介いたします。
やよいの給与計算 22
クラウド型の項でご紹介した弥生シリーズの製品で、給与計算・年末調整業務の効率化に特化したシステムです。
給与計算ソフトがはじめての方、20名までの事業所向けで、BCN AWARDで22連続ナンバー1、GfK売上ナンバー1を受賞しています。
設定や操作方法を音声とともに分かりやすく解説する動画「スタートアップガイド」、給与計算の操作を解説する「クイックナビゲータ」があり、初心者でも簡単に利用できます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 最新のプログラムを無償提供
- 賃金台帳も自動集計
- 一括振込サービスあり
- 製品操作だけでなく業務相談もできるあんしん保守サポートあり
給料らくだ
月給・日給・時給などの給与計算はもちろん、残業・休日出勤・日割り通勤費などの自動計算機能も搭載の、社労士の作った給与ソフトです。
基本機能を搭載した「給料らくだ22普及版」と、年末調整の計算や全銀協フォーマットのデータ作成などの機能もある「給料らくだプロ22」があります。
明細書の作成は実際の給与明細書と同じレイアウトなので分かりやすく、社員情報を設定して必要な数値を入力するだけで、自動計算により簡単に明細書を作成できます。
特徴
- 正社員、パートやアルバイトの時給、日給計算など、あらゆる給与計算に対応
- 産休、育休、介護休業にも対応
- 労働者名簿や離職証明書資料の作成も可能
- CD-ROMドライブが無いコンピューターにもインストール可能
- OneDrive、Dropboxなどクラウドストレージでのバックアップ対応
Cells給与
システム提供開始から18周年を迎えた、社労士事務所監修の「社労士とその「顧問先のための給与計算システム」です。
Microsoft Excelの数式を利用できるため、これまでExcelで給与計算していた場合、そのままスムーズに移行できます。また、サポートセンターに数式作成の依頼も可能です。
専用帳票不要でA4用紙があれば給与明細を作成でき、顧問先と給与データを共有できるため、ミスがあればすぐ確認できます。
特徴
- 遠隔ソフト体験デモ、導入無料相談会あり
- 社会保険料変更対象者リストを表示、給与計算のミスを防ぐ機能あり
- 年の途中からでも必要項目を入力するだけで年末調整が可能
- 顧問先へ提案するための帳票も用意できる
- 給与計算業務に役立つ書類テンプレートが豊富
【オンプレミス型】給与計算ソフトおすすめ2選
最後に、オンプレミス型のソフトについて2種類ご紹介いたします。オンプレミスは企業ごとの希望にあわせて機能を追加したり、セキュリティ性を高めたりできる中堅~大企業向けのソフトです。
PCA給与DX
サブスクリプション形式のクラウド版とオンプレミス版、パッケージ形式のオンプレミス版と3種類のなかから、自社に合うものを選べる給与計算システムです。
オンプレミスのため、とくに充実した機能が魅力で、給与計算も分かりやすく、100におよぶ給与項目を自由に設定してさまざまな勤務形態の従業員に対応できます。
APIによる他製品とのシームレスな連携が可能で、既存のツールもそのまま活用可能。PCA人事管理DXと連携すると、昇給・賞与シミュレーションも容易におこなえます。
特徴
- 3ヶ月無料トライアルあり
- 日常の給与処理だけでリアルタイムに計算可能
- 画面上から直接電子申告が可能
- 他製品とシームレスに連携可能
- 専用ツールでマイナンバーを安全安心に管理
MJSLINK DX 給与大将
財務会計に関して35年以上の実績がある、ミロク情報サービス(MJS)が提供する、管理会計機能を搭載した、定型業務の自動化ができる給与計算ソフトです。
給与や賞与の計算はもちろん、年末調整にも対応しているほか、給与差額管理、給与控除額管理、退職金管理など豊富なオプションが利用できます。
特徴
- 支給・控除項目、勤怠項目は各400項目まで登録可能
- 複数事業所に対応
- 標準項目以外に必要な管理項目を9,999まで自由に追加できるフリー項目機能あり
- 人事採用管理、昇給賞与シミュレーション、人事構成シミュレーションなど充実したオプション
- 転勤時の「転勤準備金」、入社時の「入社時準備金」など、給与賞与と別タイミングでの支給にも対応
給与計算ソフトのメリット
では、給与計算ソフトを導入すると具体的にどのようなメリットが得られるのか、についてもご紹介いたします。
業務の効率化
給与計算をおこなう際、基本給と税金の計算はもちろん、法律に基づく保険料、残業代の算出も必要となり、多くの労力が掛かります。
また、計算結果をもとに社員の数だけ給与明細を作成して印刷しなくてはならず、年末になれば年末調整に係る書類作成の業務も必要になるでしょう。
しかし、給与計算ソフトは事前に必要な設定をしておけば、自動で計算処理をおこないます。また、上記のような保険料や残業代、年末調整などの複雑な計算も可能です。
もちろん、ソフトによる自動計算なのでミスがないという点も特長のひとつでしょう。
コストの削減
給与計算に関する業務の自動化・効率化を実現できるため、担当者の負担、業務時間を減らし、人件費の削減も可能になります。
また、給与明細のデジタル化も可能になるため、これまで紙で印刷していた手間や時間、用紙・印刷代などのコスト削減にもなります。
法令改正への対応
法律や税制の改正がおこなわれると、就業規則や勤務形態の異なる従業員の給与計算に影響が出る場合もあるでしょう。
しかし、給与計算ソフトを導入していれば、適宜バージョンのアップデートがされるため、つねに最新の法令に対応した状態で利用できます。
まとめ
給与計算ソフトの導入にはもちろん費用がかかり、操作の慣れも必要ですが、ある程度利用すれば、その利便性を実感できるでしょう。
「給与計算ソフト選びのポイント」を参考にして、どの製品が自社に最適なのか比較して選ぶことをおすすめします。