ワークフローシステムは、導入により各種ワークフローの効率化、一部作業の自動化が実現できるため、業務効率の向上を図るべく導入する企業が増加しています。
とくに、場所に関係なく申請から承認、決裁などのワークフローをスムーズにおこなえることもあり、コロナ禍によるリモートワークの増加で、より注目されるようになりました。
今回は、ワークフローシステムにはどのような製品があるのか、おすすめ10選とその特徴、選び方のポイントなどをご紹介いたします。
ワークフローシステムとは
そもそもワークフローとは、業務における一連の流れやその手順のことです。経費や交通費の精算、休暇申請などの申請・承認などもこれにあたります。
ワークフローシステムとは、このような定型業務の一連の流れをシステム上で完結できるよう電子化、一元管理するシステムです。
従来、定型業務といえば紙の書類を作成、印刷して申請、担当者の確認を待って承認をもらう必要があり、書類の作成や承認待ちに経費や時間がかかっていました。
企業の規模が大きいほど、申請書の種類が多くどれを使用するか分かりにくかったり、申請条件や承認ルートも複雑だったりして、承認まで多くの時間がかかってしまう場合もあります。
しかし、ワークフローシステムを導入すれば一連の作業を自動化できるため、書類の作成すら必要なくなり、申請はシステムから簡単に実行、いつでも承認の進捗を確認できるようになります。
ワークフローシステムの導入メリット
ワークフローシステムを導入した場合、具体的に業務上でどのようなメリットを得られるのかを解説いたします。
申請・承認の手間を削減
まず、ワークフローシステムを利用すると、申請・承認に係る業務がシステム上ですべて完結できるようになるため、つぎのような手間を削減できます。
- 申請書類の様式の選定と作成、印刷
- 記入漏れによる差し戻し
- 承認者の都合や外出での承認の遅延
- 承認済み書類を管理部門に提出
- 過去の申請書類を探す手間
また、複雑なフローであっても、システムに従って作業を進めるだけでよいため、申請者、承認者、管理部門それぞれの手間と負担が大幅に削減でき、抜け漏れも防止できます。
リモートワークなど多様な働き⽅の実現
申請・承認業務などを紙ベースでおこなっている場合、その都度、担当者の出社や手が空くのを待って対応してもらう必要があります。
しかし、ワークフローシステムを導入すれば各種ワークフローをシステム上で完結できるため、わざわざ出社する時間や手間が必要なくなります。
場所を選ばず都合のよいタイミングで申請・承認の業務が可能になるため、在宅勤務、出張や外出中のモバイルワークなど、柔軟な働き方の実現にも役立ちます。
内部統制の強化
ワークフローシステムの導入により、設定したフローに沿って処理や手続きが進められるため、適切な手順で、必要な情報が、適切な相手に正しく伝達されるようになります。 また、誰がなにを承認・非承認にしたか、誰が決裁に関与したかなど、決裁にいたるまでの記録が残るため、証跡や決裁情報の可視化、文書の改ざん防止など内部統制の強化につながります
ワークフローシステム選びのポイント
ワークフローシステムを選ぶ際、どのような部分を重視するべきか、確認しておきたいポイントを3つご紹介いたします。
クラウド型 or オンプレミス型
ワークフローシステムには、登録だけですぐ利用できるクラウド型と、システムの構築が必要なオンプレミス型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
まず、クラウド型はシステムを構築する必要がないため、初期費用が抑えられ、スピーディーに導入できます。また、社外からの申請・承認も可能です。
これに対し、オンプレミス型は導入に手間やコストがかかるものの、必要な機能を搭載でき、社員が使いやすいようにカスタマイズできるため、自社に最適なシステムを構築できます。
ただし、テレワーク中心で運用する場合、オンプレミスでは社員全員の自宅に専用回線を設置する必要があり、かなりのコストが掛かるため、中小企業はクラウド型がおすすめです。
事前に必要な機能を確認する
まず導入前に、自社の現状を把握してワークフローを整理し、現状を改善するにはどのような機能が必要なのか洗い出してみてください。
すでに、コミュニケーションツールや経費管理システムなどを導入して一部のワークフローを簡略化できている場合、機能の多すぎるものは不要といえるでしょう。
機能が多いシステムは、それだけ料金も高くなってしまうため、使わない機能が多いと費用対効果が下がってしまいます。
その場合、現状を改善できる機能が最低限揃っているもの、もしくは機能のカスタマイズができるシステムを選ぶことをおすすめします。
既存システムとの連携は可能か
ワークフローシステムによって、あらゆるグループウェアや経費管理システム、自社開発のシステムなどと連携できます。
既存システムと連携できれば、いちいちそれぞれに同様のデータを入力する手間がなく、自動的にデータが反映されるため、非常に便利です。
よく利用しているシステムがあれば、それと連携可能なのか、連携により作業の自動化が可能か、なども確認しておくとよいでしょう。
ワークフローシステムおすすめ10選
おすすめのワークフローシステムを10種類、特徴とあわせてご紹介いたします。
ジョブカンワークフロー
勤怠管理システムが有名な、ジョブカンシリーズのワークフローシステムです。ITトレンド上半期ランキング2021のワークフローシステム部門で1位を獲得しています。
申請・承認にかかる時間を約3分の1削減できるとしており、マウスでドラッグするだけで稟議書などの申請フォーマットを作成できます。スマホからでも申請・承認が可能です。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- 最短即日で運用開始できる
- スマホからでも操作可能
- マウスでドラッグするだけで申請フォーマットを作成可能
- 50種類以上の申請書テンプレートを利用可能、カスタマイズもできる
rakumo ワークフロー
ITreview Grid Award ワークフロー 部門で9期連続受賞、Google Workspace/Googleドライブと連携、社内外の稟議・契約締結、業務フローを完全電子化できる電子稟議システムです。
スマホやタブレットでも利用できるため、テレワークや外出時であっても「ハンコ出社ゼロ」を実現できます。なお、利用にはGoogle Workspaceが必要です。
特徴
- 2週間無料トライアルあり
- Google Workspace/Googleドライブと連携可能
- rakumo ケイヒで作成した経費精算書とシームレスに連携
- ノーコードで様々な業務フローに対応
- 申請データの保管期限は契約期間中であれば無制限
コラボフロー
ITreview Grid Award 2021 Fall「ワークフロー」カテゴリにおいて、2期連続で顧客満足度ナンバーワンを受賞している製品です。
コードなど専門の知識がなくてもExcelなどでフォームが作成でき、現在の運用を変えずにワークフローシステムを構築できます。kintoneやサイボウズ Officeとも連携可能。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- クラウド版とパッケージ版あり
- 決裁データは改ざんされない形式で保管
- 自動でほかの申請書からデータ転記
- シングルサインオン連携
X-point Cloud
紙の書類を扱うのと同様の「直感的な操作」を実現したワークフローシステム。ワークフロー市場の売上金額や市場占有率で1位を受賞し、2021年で10周年を迎えた製品です。
ドラッグ&ドロップでフォーム作成や承認ルート設定ができ、特別な知識は必要ありません。申請書サンプルも1,000以上あり、簡単にカスタマイズや作成がおこなえます。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- ドラッグ&ドロップでフォーム作成や承認ルート設定が可能
- 体制変更の際も組織設定機能で即座に対応可能
- クライアント証明書サービスやIP接続制限などのセキュリティ機能あり
- グループウェア連携が可能
Agile Works
システムを停止せずワークフロー設定の変更が可能な、組織改編や業務変更時も柔軟に対応できるワークフローシステムです。
Google workspaceやサイボウズGaroonなどのグループウェアのほか、入館システムや契約管理システムなど、幅広く多種多様なシステムと連携できるのも大きな強みです。
特徴
- デモサイトあり
- 検証環境「ステージング」を利用して運用前の検証も可能
- 書類の移管や権限移譲など組織改編時も適切に書類管理が可能
- 日本語、英語、中国語に対応
- グループウェア/会計システム/人事システムと連携可能
SmartDB
IT reviewのユーザーレビュー評価において、クラウドサービスで唯一、3部門リーダー・パフォーマー賞を受賞。大企業を中心に50万名が利用している製品です。
1,000名以上の企業・団体の利用を想定した機能が充実しており、フォーム、データベース、セキュリティなど大企業の業務デジタル化に必要な要素をすべて満たしています。
特徴
- 約50種類のすぐに使えるテンプレートあり
- ドラッグ&ドロップで並べるだけでデータベース作成完了
- 追加オプションでRest APIの利用やBCP対応などが可能
- 基幹システム、購買情報の管理、顧客情報など数多くのシステムと連携可能
- 資料、セミナー動画、Webコンテンツなど豊富に用意、支援サービスもあり導入から活用までサポート充実
Create!Webフロー
紙の申請/決裁業務をそのまま電子化したワークフローシステムとして、承認ルートと進捗が一目でわかり、直感的に入力して簡単に操作できる製品です。
稟議書(決裁伺い)や経費精算はもちろん、工場への申請や対応、店舗からの申請などさまざまな場面で幅広く活用できます。クラウド版とパッケージ版があり、利用環境に合わせて選択可能。
特徴
- 30日間無料トライアルあり
- クラウド版とパッケージ版あり
- ユーザーの氏名、メールアドレス、印影画像、システム管理権限などの詳細情報を管理し、人事異動や組織変更時もドラッグ&ドロップでカンタン
- アカウントロックアウト設定、二要素認証などセキュリティ機能あり
- APIを使うことで外部システムとの連携や機能の拡張も可能
Gluegent Flow
業務に必要な各種申請・承認・決裁・共有といった一連の業務プロセスを、クラウドですべて完結できるワークフローシステムです。
Google Workspace または Microsoft 365 に組み込まれたアプリケーションとして利用できる「Gluegent Flow」と、単体でも利用でき、セキュリティなどの管理機能を強化した上位版「Gluegent Flow Plus」もあり。
特徴
- ワークフローの経路設計は、権限による条件分岐や中間承認者が複数いる場合など、企業独自のルールにも柔軟に対応できる
- スマホやタブレットにも対応、ログインせずブラウザでも利用可能
- テンプレートも充実
- 電子契約サービスともシームレスに連携、契約業務も効率化できる
- さらに機能の充実した上位版「Gluegent Flow Plus」もあり
ワークフローEX
現在使用している既存のExcelデータを活用して申請フォームとして利用、自動で電子捺印もできるExcelベースのワークフローシステムです。
使い慣れたデータをそのまま利用できるため入力も申請も簡単なままに電子化を実現、ブラウザで動作するためインストール不要、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できます。
特徴
- デモあり
- 承認フローの経路は条件により分岐させることも可能
- 印影を作成し、指定の位置に自動捺印も可能
- スマホ、タブレットからも各種申請、承認が可能
- 承認の停滞などへのメール通知やワークフロー処理も自動で完了
承認Time
最短1週間で導入できる、1アカウント月額300円から使える、リーズナブルなワークフローシステムです。10ID単位で契約できるため、中小企業でも利用しやすいことでしょう。
申請書や稟議書に限らず、議事録や報告書の電子化も可能なため、書類作成や管理、探す手間も削減できます。経費精算システム「経費BankII」とも連携でき、決裁金額を超えた経費精算は申請不可にもできます。
特徴
- 無料トライアルあり
- 可変承認やOR承認、AND承認など属性を組み合わせて柔軟に承認ルートを設定できる
- マウス操作だけで入力項目を組み合わせ、簡単に文書フォーム作成、移行可能
- 書類の閲覧、保管権限を自由に設定可能
- WordやExcel、PDF、決裁済み文書の添付も可能
まとめ
ワークフローシステムを導入することで、承認をスムーズにでき、リモートワークを実現しやすくなります。
ご紹介したように、ワークフローシステムにはシンプルなものから多様な機能を搭載している製品があります。
自社や導入部署にとって最適なのはどのサービスか、「ワークフローシステム選びのポイント」を参考にしつつ、実際トライアルを利用して検討されてみてはいかがでしょうか。