コミュニケーションを見直す
テレワーク環境が整い、企業内でテレワークという働き方が広がると、「コミュケーションが不足しているのでは?」と不安に感じる人が少なくありません。従来のようなオフィスワークとは違い、それぞれが違う場所で業務を行うテレワークでは、コミュケーションが減ることは仕方ないと考えている人も多いでしょう。
しかし、チャットシステムやテレビ会議システム、グループウェアを上手に活用できれば、対面でやり取りしていたことをオンラインで行うことは、そこまで難しくはありません。ITツールを活用することで、社内コミュニケーションは十分に確保できるのです。
もし、テレワークを始めた途端にコミュニケーションの不足を感じたとしたら、オフィスワークであっても意思疎通が十分ではなかったとうことが考えられる場合があります。どんな働き方でも、活発に意見交換したり不安や悩みを打ち明けられる環境であることは重要なポイントです。
環境の変化によって、隠れていたコミュニケーション問題に気付いたのであれば、これを機にチーム内のコミュニケーションについて見直してみましょう。そうすれば、オフィスワークでもテレワークでも円滑にコミュニケーションが取れ業務効率にもつながっていくでしょう。
コミュニケーションの確保
もちろん、オフィスワークとテレワークで全く同じコミュケーションが取れるというものではありません。
同じチームであっても、働く場所はそれぞれ違うのがテレワークです。テレワークでは、オフィスワークのように対面で会話ができなくなるので、気軽に話しかけることが難しくなります。また、表情や声のトーンなど対面することで得られる情報がないオンラインは、メールやチャットシステムなど文字の送受信によるテキストコミュニケーションが主体となります。対面に比べると情報量が減ってしまうというのも事実です。
テレワークを継続するためには、オンラインコミュニケーションの難点を補って、コミュケーションが不足しないよう工夫する必要があります。
コミュニケーションを意識
テレワークではオフィスワークのように気軽に話しかけることができないので、業務以外の雑談などができる機会を作ったり、オンラインであっても、相手に遠慮せずチャットを使って質問するなど、普段より積極的にコミュニケーションを取るように心がけてみましょう。
オンラインコミュニケーションに慣れていない世代では、円滑なコミュニケーションは対面でないと難しいと感じる方も多いと思います。しかし、SNSを日常的に使っている世代では、対面よりもテキストコミュニケーションの方が得意な人もいます。ITツールを抵抗なく使いこなせるようになると、円滑にオンラインコミュニケーションが取れることは間違いないでしょう。
文字だけで簡単にやり取りをするテキストコミュニケーションは便利ですが、文字だけでは伝わりづらいニュアンスを読み取ることが難しくなります。すべてのコミュニケーションをメールやチャットで行うと情報量が少なく、誤解が生じることがあります。それを補うツールとして、テレビ会議システムがあります。映像と音声によってやりとりするテレビ会議システムは、相手の表情や声のトーンがわかるので、テキストコミュニケーションより多く情報を得ることができます。それによって、コミュニケーションのすれ違いを防ぐことができます。
メールやチャットなどのテキストコミュニケーション、顔を見ながらリアルタイムに会話ができるテレビ会議システム。それぞれの特性を理解して、うまく使い分けて活用していくことで、テレワークでのコミュニケーションを意識的に確保しましょう。
コミュニケーションツール
チャット
テレワークでは直接顔を合わせないので、日常的なやり取りはチャットで行うことになります。
多くのビジネス用チャットツールでは、複数のユーザーとやり取りができるチャットルームを作成することができますので、目的やプロジェクト別にメンバーを指定したルームを作成すると情報を整理しやすくなります。
オフィスワークのように気軽に会話することが難しいテレワークでは、雑談ができるルームを作ることをお勧めします。業務以外の会話ができる場があることで、テレワークにありがちな孤独感が解消されたり、チーム内の良好な人間関係を築くことが期待できます。
チャットをうまく活用し、情報格差が起こりづらい環境を作ることでチームワークが高まり、テレワークでも円滑に業務を進めることができるでしょう。
テレビ会議システム
テキストコミュニケーションだけでは伝わりづらい、表情や言葉のニュアンスなどを伝えることができるのが同期型コミュニケーションツールのテレビ会議システムです。テレビ会議システムは画面を共有することで、資料を参照することも可能です。
チャットでやりとりをしていたが時間がかかかる、話が入り組んできたという場合や、新たにチームに加わった人に業務を教える場合などは、テレビ会議システムに切り替えるといいでしょう。
特に新入社員が加わったときは、入社後いきなりテレワークで業務するとなると、コミュニケーションの機会が得られず孤立してしまうことが懸念されます。そんなときはテレビ会議システムを使って、毎日決まった時間に相手の顔を見ながら会話する機会を作れば、新入社員の精神面でのフォローにもつながっていきます。また、画面共有して資料を参照しながら業務説明もできるので、一度に多くの情報を伝えることができます。
グループウェア
業務で使用するデータベース、従来の紙の書類、日常的なコミュニケーションなど、あらゆる情報をグループウェアで共有・蓄積することができます。そうすることで、オフィスワーク・テレワークに関係なく、どこからでも必要な情報にアクセスして業務を行えるようになります。また、業務中に生じたやり取りを公開すると、一連の工程全てがスタッフに共有され、プロジェクトの進捗状況や結果をだれでも確認することができます。
グループウェアを継続して使うことで、業務に関する情報がオンライン上に集約できるので、テレワークでも情報にアクセスすれば不便なく業務を行うことができます。
オンラインでの情報共有
オンラインコミュニケーションは、業務にかかわる情報の共有と記録を同時に行うことができます。
対面の会議だと、他の人に会議内容を共有するためには、議事録を書き残すなどして記録を形にする必要がありますが、チャットは会話がそのままテキストとして残るのでメモを取る必要もありませんし、テレビ会議システムなら会議の様子を動画として保存しておくことも可能です。
チャットのやり取りが業務フローとして記録に残ると、別の人が同じ業務をする際にその記録にアクセスして参考にすることができます。オンラインでコミュニケーションを取ることで、業務のノウハウが蓄積されるので、人材育成にも役立ちます。また、オンラインでは一斉に情報を伝達ができるので、業務内容が可視化され、属人化を防ぎ、より効率的に業務に取り掛かることができるようになります。
コミュニケーションの目的
職場におけるコミュニケーションの目的は、業務上の情報伝達と、チームワークを高めるためのコミュニケーションという大きく二つに分けられます。
業務上の情報伝達とは、業務を進める上で必要な指示や確認んといったやりとりをいい、チームワークを高めるためのコミュニケーションは、意見や感情、解釈などを伝えて、お互いの考えを理解しあうためのコミュニケーションをいいます。
情報の伝達
業務上の指示を出す場合などは、端的に用件のみを伝えることができるチャットを使うといいでしょう。チャットは複数人に同時に情報伝達が容易にできるので、スピーディな情報伝達が可能です。また、上司や先輩に質問があった場合でも、チャットは非同期型コミュニケーションツールなので、相手の仕事を遮ることなくメッセージを送ることができます。
内容やその量によっては、テレビ会議システムを使うなど、ツールを使い分けることで、より効果的なコミュニケーションを取ることができます。
しかし、従来の対面でのコミュニケーションとは違うので、慣れるまでは時間や手間がかかり、効率が下がるように感じられることがあるかもしれません。
チームワークを高める
チーム内のコミュニケーションは、業務上の伝達の他に、スタッフ同士がお互いのことを知り、良好な人間関係を築くためのコミュニケーションも重要になります。
チームワークがいい状態とは、チーム内の満足度が高く、仕事を通じて成長を感じられる状態だと考えられます。チームワークを高めるためには、「会話」する機会を作ることがポイントです。
対面で会話ができないテレワークでは、チャットを使って取り留めもない会話を気楽にできる場を作る必要があります。特に返信を求めるものではなく、独り言やつぶやきでもいいので気軽に書き込んでみましょう。そのつぶやきを見た人と会話に発展することもあるかもしれません。
気軽なやり取りによって感情を共有することは、離れた場所で仕事をしていても孤独感や不安の解消につながっていきます。また、困っていることやその時の気分を書き込むことで、自身の気持ちが楽になったり、誰かからのアドバイスで解決することもあるでしょう。感情を共有できれば、ストレスをため込むこともなく、メンバー同士の相互理解も深まるのではないでしょうか。
更に、自身の状況を書き込むことでチーム内に存在意義をアピールできたり、他のスタッフの状況を知ることでチームの雰囲気もわかってきます。このような積み重ねで、自分もチームの一員であるという意識が持てるようになります。
チーム内で自分をさらけ出せるようになると、心理的安全性が高まり、安心して仕事に集中することができるのでチームワークを高めることにつながっていくのです。
一対一のテレビ会議
じっくりとコミュニケーションをとりたいのなら、テレビ会議システムを利用しましょう。
スタッフそれぞれの状況や社内で起きている問題、不安や悩み事などを責任者が把握するには、一対一のテレビ会議が効果的です。責任者と一対一で話すとなると、面談のように評価されると思われがちなので、コミュニケーションの機会を増やすための雑談であるという目的を共有するようにしましょう。
いきなり上司と雑談といわれても難しいと思うので、そんなときは事前に話したい話題を簡単に伝えあうと心の準備ができるので話しやすくなります。
責任者との雑談に慣れたら、チームの内外でも雑談をしてみましょう。話たい人同士がテレビ会議を使って会話します。一緒にランチを食べながら会話するような感覚でいいと思います。
チーム内にとどまらず、会社全体にコミュニケーションの輪が広がるよう、気軽に話せる機会を作ってみましょう。
テレビ会議での雑談が定着すれば、テレワークでのコミュニケーションは格段に向上すると思います。
コミュニケーションの切り口
他にもオンライン勉強会やオンラインランチ会、オンライン飲み会など、コミュニケーションができる機会を増やしましょう。
お互いをあまり知らなくても、同じことに興味がある人同士のコミュニケーションを取るきっかけにするため、「これについて話しませんか?」「こんな人集まれ!」など、テーマを決めてオンラインランチ会やオンライン勉強会をやってみるのも一つの方法です。
テレワークでは、会社帰りに飲みに行ったり懇親会を開くことができないので、その代わりにオンライン飲み会を開催することもいいコミュニケーションの場となるでしょう。
チームワークには人間関係の構築が欠かせません。雑談しながらお互いへの理解を高めあうことができれば、チームワークの向上につながっていくと考えらえるので、コミュニケーションを取れる場を設けて集まることに価値があるのではないでしょうか。
対面のコミュニケーション
テレワークを経験すると、対面でのコミュニケーションが重要だということに気づく人も少なくないでしょう。
時々オフィスワークをすると、「隣の席の人と当たり前に雑談できることがうれしい」と感じる人が多いようです。
オンラインでコミュニケーションを取ることはできても、やはりそれだけでは十分ではないのでしょう。同じ空間で体験したり、面と向かって会話をして初めて伝わることもあるのです。
これからの時代は、バーチャルオフィスとリアルオフィスを行き来しながら仕事をするという働き方になっていくのかもしれません。