業務改善は、「やりっぱなし」にするとうまくいかないものです。振り返ってフィードバックしながらチームをバージョンアップさせていきましょう。
振り返り
継続的な改善活動を進めるために、代表的な改善サイクル手法として「PDCA」があります。
PDCAサイクルとは、プロジェクト管理や業務における品質や生産管理の改善手法の一つで、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を一つのサイクルとして、これを繰り返すことで業務を継続的に改善するというものです。
しかし、PDCAを回していくことは簡単ではありません。現状の把握無しに計画からスタートしてしまうと、計画自体に無理が生じ、失敗に終わってしまうこともあります。
そこで最近では、PDCAを進化させた「CAPDo」という考え方も生まれています。CAPDo(キャップ・ドゥ)とは、難度の高い計画を最初に立てるPDCAに対し、PDCAの順番を変えて「C(=Check)」を最初にもってきた改善サイクル手法です。C(=Check)である振り返りと現状把握から始めることで、現実的かつ即効性のある改善、生産性向上を期待します。
数字と感覚
意思決定をするには、主観・客観の両方が必要です。
改善すべき現状に対して、どのレベルに達すれば成功といえるのか。これがないことには、改善の良し悪しや継続の要否を判断することは難しいでしょう。成功への道を作るには思いや感覚が必要ですし、改善が順調に進んでいるのか、成果が出ているかなどを察知するには「おや?」と思う感覚が大切なのです。
【感覚的に「おかしい?」と思うことを数字で証明する。】【数字の変化を見て改善の手ごたえを感じる。】【成功しているように思っていたが、数字を見ると成功とはいえない。】というように、数字は感覚を客観的に裏付けてくれます。また、【月次報告の数字によって残業が大幅に増えていることに気づく。】【アンケート結果から社員の満足度が低下していることを知る。】など、数字によって異変や異常に気付くこともできます。
- 「おや?」と思って数字を確かめる。
- 数字を見て「おや?」と思う。
この数字と感覚の相互補完こそが改善を成功に導き、定着させるポイントになるでしょう。
しかし、数字でチェックするということは思いつくでできるものではありません。数字はあらかじめ測ることを意識しないと結果として出てくることはないのです。ですから、改善活動をする前に、何をどのように測定するのかを決めておく必要があります。もちろん、細かく測定するとなれば手間も時間もかかりますから、数字の変化をとらえるように意識するだけでもいいかもしれません。
人間の強みである直観を過信せず、うまく数字を活用していきましょう。
フィードバック
振り返りを良いものにするためには、メンバー同士の気づきや反省などの相互フィードバックも大切です。ポジティブ・ネガティブを含めて、定期的にメンバー間の意見交換はやっておくといいでしょう。
チーム内で意見を否定したり聞き流したりせず、チーム内でフィードバックしやすい雰囲気を作ることが大切です。リーダーの意識と行動次第で、フィードバックは起こりやすくも起こりにくくもなります。リーダーが一人で悩んでも正しい道に進むとは限らないので、チーム全体の力で改善を進めていきましょう。
失敗を次に生かす
「失敗」といっても原因はさまざまです。原因を分析する際は、①知らなかった②できなかった③気づけなかったのどこに問題があったのかを振り返りましょう。
知らなかったことは、これを機会に既知化します。できなかったことはスキルアップして克服または別の方法を考えます。気づかなかったことは、これを機に有識者を入れたり、チームで学習します。
同じ失敗を繰り返さないように講じていきましょう。
成功事例の共有
どんなゴールを目指し、どんな計画を立て、どんなプロセスを設計をしてどんな変化や軋轢が生まれ、それをどう克服して成功に至ったのか。そこから得た教訓、リーダーやメンバーはどう成長したのか。次に同じことをやるとしたら、どんな工夫をするか。
このような成功事例の全体像を共有することで、組織全体に学びを提供し、成功を共有しようという意識や環境を作り出すことができます。
成功は一人で成し遂げられるものではありません。そこに携わった人たちの本音、本気、工夫、努力。その総力があってこそ成功へとつながっているのです。成功の裏にある一人一人の貢献と成長に光を当てることで、リーダーとメンバーの信頼感、相互リスペクトが強固なものとなり組織の宝になります。そして個人の自信につながって新たなチャレンジへと向かっていけるでしょう。
どんなことでも「やりっぱなし」はダメです。次に進むためにも、一度立ち止まり振り返ってフィードバックすることが大切です。これこそがチームや組織をバージョンアップさせるエネルギーになるでしょう。