Instagramを活用する企業にとって、他者の投稿を自社アカウントで紹介する「リポスト」は、欠かせない運用手法です。
しかし、いざ始めようとすると「リポストの正確な定義は?」「著作権を守り安全におこなうには?」と疑問を持つ担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、Instagramのリポストに関する基礎知識から、プロが実践する具体的な活用手順までを詳しく解説します。

Instagramのリポストとは?
リポストとは、他のユーザーの投稿を自社アカウントで再投稿することです。自分のタイムラインやストーリーズに掲載し、情報を広く共有できます。
X(旧Twitter)のリポストと役割は似ていますが、大きな違いがあります。それは、Instagramのフィード投稿には公式の「リポストボタン」がない点です。
そのため、多くのユーザーは以下の方法でリポストをおこなっています。
- 外部アプリの利用
- 手動での画像保存と投稿
- ストーリーズの共有機能
リポストは、ユーザーの声であるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用に最適です。自社サービスのファンを増やすための、非常に強力な武器となります。
リポストとシェアの違い
Instagramでは「シェア」と「リポスト」が混同されがちです。厳密には以下のように性質と用途が異なります。
| 項目 | シェア | リポスト |
| 主な表示場所 | ストーリーズ、DM | フィード投稿 |
| 手軽さ | ボタン一つで完結 | 外部アプリや許可取りが必要 |
| 保存性 | ストーリーズは24時間で消える | 削除しない限り残る |
| 主な目的 | 一時的な情報の拡散 | コンテンツの蓄積・ブランド強化 |
一般的に「リポスト」と呼ぶ場合、他者の投稿を自身の「フィード」に掲載することをさします。プロフィールに半永久的に残るため、コンテンツとしての価値が高まります。
対して「シェア」は、ストーリーズなどを通じた一時的な紹介に特化したアクションです。「今、この投稿を見てほしい」という速報性の高い活用に向いています。
Instagramでリポストする3つの方法
Instagramで他者のコンテンツを紹介する方法は、主に3つあります。目的や運用の手間に合わせ、自社に最適なものを選びましょう。
Instagram公式機能を使ったやり方
最も手軽で、公式に推奨されているのがストーリーズの活用です。相手の投稿にある「紙飛行機アイコン」をタップし、「ストーリーズに追加」を選択するだけで完了です。
メリットと注意点
- メリット:投稿元のリンクが自動で付与され、元の投稿へ誘導できる
- 注意点:フィード(プロフィール画面)には残らない
- 対策:長期保存したい場合は、プロフィールの「ハイライト」に保存する
外部アプリを使ったやり方
フィード投稿として残したい場合、専用の「リポストアプリ」が使われます。「Repost for Instagram」などが代表的です。投稿のURLをコピーしてアプリに貼り付けると、画像や文章を抽出できます。
メリットと注意点
- メリット:投稿元のアカウント名を画像に自動で入れられる(クレジット表記)
- 注意点:非公式ツールのため、セキュリティ面に注意が必要
- 必須事項:アプリ使用時も、投稿主への事前承諾は必ずおこなう
投稿者から素材提供を受けるやり方
企業が最も安全かつ高品質に運用できるのが、この「マニュアル型」です。DM(ダイレクトメッセージ)を送り、掲載の許可を直接依頼します。
| 【依頼文の例】 「素敵な投稿を拝見しました。ぜひ弊社の公式アカウントで紹介させていただけないでしょうか?」 |
承諾を得た後、元の写真データを送ってもらうのが理想的です。アプリ経由による画質の劣化や、ロゴの映り込みを防げます。手間はかかりますが、ユーザーとの交流が深まる絶好の機会となるでしょう。
企業がInstagramのリポストを活用する5つのメリット
リポスト運用は、単に「他人の写真を借りる」作業ではありません。ユーザーの熱量を自社のブランド価値に変える、重要なプロセスです。
具体的な5つのメリットを、マーケティング視点で解説します。
コンテンツ制作コストの大幅削減
自社でスタジオやカメラマンを手配すると、膨大な費用と時間がかかります。リポストなら、ユーザーが撮影した高品質な素材を活用できます。その結果、制作コストを劇的に抑えることが可能です。
現在は、スマートフォンの性能が向上し、プロ顔負けの投稿も増えています。こうした生きた素材を活用し、社内リソースを戦略立案などの本質的な業務に割くことが可能になるでしょう。
UGCの増加でブランド認知が拡大
UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは、一般ユーザーによる投稿のことです。リポストで「実際に使われている様子」を紹介すると、他のユーザーも「自分も投稿すれば紹介されるかもしれない」という心理が働きます。
2022年にアライドアーキテクツ株式会社が実施した調査によると、消費者の約6割が購入時にSNSの口コミを参考にしているという結果も出ています。リポストが活発なアカウントは、多くの人に支持されている「社会的証明」となり、認知拡大を加速させます。
広告感を抑えた訴求が可能
現代のユーザーは、企業からの売り込みに敏感です。リポストは第三者の視点による発信のため、広告特有の嫌悪感を抱かれにくいのが特徴です。
日常生活の中で撮影された写真は、フィード画面に自然に馴染みます。作り込まれた写真よりも、生活感のある投稿の方が「自分も使ってみたい」という具体的なイメージを想起させやすいのです。
顧客ロイヤリティの向上
公式アカウントに自分の投稿が紹介されることは、ファンにとって特別な体験です。この「認められた」という実感が、ブランドへの愛着(ロイヤリティ)を強めます。
リポストされたユーザーは、その後も熱心に応援してくれる「アンバサダー」のような存在になるでしょう。これは単なるフォロワー数の増加以上に、LTV(顧客生涯価値)の向上に影響を与えます。
投稿のリーチと保存数の向上
リポスト投稿は、投稿主のフォロワーにも注目されるため、通常よりも広い範囲にリーチが届きやすくなります。
また、実際の活用術が盛り込まれた投稿は、役立つ情報として保存されやすい傾向にあります。
Instagramのアルゴリズムでは、保存数は「価値が高い」と判断される重要な指標です。保存数が増えれば発見タブに掲載されやすくなり、新規層への露出も期待できるでしょう。
| 分類 | 主な効果 | 期待できる変化 |
| コスト面 | 制作費・人件費の削減 | 運用効率の最大化 |
| 信頼面 | 社会的証明の獲得 | 購入ハードルの低下 |
| 関係面 | ファンとの絆づくり | 熱狂的なファンの育成 |

リポストする前に必ず守るべきマナーと注意点
リポスト運用の土台となるのは、投稿者への敬意です。Instagramの利用規約においても、他者の知的財産権を尊重することが明記されています。作品を「お借りする」という姿勢が、炎上を防ぐ最大の防御策となるでしょう。
実務レベルで守るべき、具体的な注意点を解説します。
必ずDMやコメントで相手に「許可」を取る
リポストをおこなう際、投稿主からの事前承諾は必須です。自社のハッシュタグが付いた投稿であっても、無断転載は避けましょう。
まずはDMやコメントで、丁寧に依頼をおこないます。「〇〇様の素敵な投稿を、ぜひ弊社の公式アカウントでご紹介させていただけないでしょうか」といった誠実な言葉で伝えましょう。
許可を得る際は、掲載場所(フィードかストーリーズか)も明確に伝えます。詳細を共有することで、相手も安心して許可を出しやすくなるでしょう。
キャプションに引用元を記載し、タグ付けをおこなう
誰のコンテンツか一目でわかるよう、明示する必要があります。キャプションの冒頭などに「Photo by @ユーザー名」といった形式で引用元を記載しましょう。
併せて、画像自体にも相手のアカウントを「タグ付け」するのがマナーです。これにより、閲覧者がスムーズに元の投稿へ移動できるようになります。
引用元の表記は、ハッシュタグの中に埋もれさせてはいけません。投稿主へのリスペクトを示し、視認性の高い場所に配置しましょう。
元の画像や動画を加工・改変しない
自社の世界観に合わせるための過度な加工は、原則として控えましょう。投稿主は、その構図や色味にこだわりを持って発信しているからです。
勝手な改変は、クリエイターの意図を無視した権利侵害と見なされるリスクもあります。もしトリミングなどが必要な場合は、許可を取る段階で必ず相談しましょう。
基本的には投稿主が表現した、そのままの魅力を伝えるのが、リポスト本来の目的です。
Instagramでリポストができない原因と対処法
「シェアボタンが出てこない」「アプリが動かない」といったトラブルは頻繁に発生します。多くは不具合ではなく、仕様や設定によるものです。代表的な3つの原因と、その切り分け方を確認しましょう。
投稿元アカウントが非公開設定
相手が「非公開(鍵垢)」の場合、公式機能でのシェアはできません。非公開投稿は、フォロワー以外に見せないことが前提だからです。
この場合、スクリーンショットでの保存・投稿は絶対に避けましょう。クローズドな投稿を公開の場に出すことは、プライバシーの侵害にあたります。
別の公開されている投稿を探すのが、企業としての賢明な判断です。
ストーリーズシェアが許可されていない
公開アカウントであっても、設定で「再シェア」をオフにしている場合があります。この設定では、紙飛行機アイコンをタップしても「追加」の選択肢が出ません。
これはユーザー側の権利であり、企業側で解決する方法はありません。どうしてもリポストしたい場合は、DMで設定変更を相談する手もあります。ただし、相手の負担を考え、慎重に判断しましょう。
アプリのバージョンが古い
機能が表示されない、外部アプリがエラーを吐く場合は、バージョンを確認しましょう。Instagramは仕様変更が多いため、古いバージョンのままでは正常に動作しません。
外部アプリが、Instagram側の最新の仕様に追いついていないケースもあります。
トラブル時のチェックリスト
- App StoreやGoogle Playで最新版に更新する
- アプリを一度終了し、再起動する
- スマートフォンのOS自体が古くないか確認する
これらをおこなうだけで、不具合の多くは解消されるはずです。
企業が失敗しないリポスト運用のコツ
リポスト運用を成功させる鍵は、ユーザーが投稿したくなる「空気感」作りです。また、運用負荷を抑えるためのルール化も欠かせません。一貫性のある運用でアカウントの質を高める、3つのポイントを解説します。
UGCを集める導線(ハッシュタグ・声かけ)
良質な素材を確保するには、ユーザーに投稿する動機が必要です。最も効果的なのは、独自の指定ハッシュタグを明示することです。
例えば、「#(ブランド名)をつけて投稿してください!素敵な写真は公式で紹介します」と一言添えましょう。これだけで投稿の心理的ハードルは大幅に下がります。
また、自社に関連するキーワードで検索し、積極的に「いいね」やコメントを残すことも重要です。地道な交流が、将来的なリポスト素材の確保につながります。
リポストの見せ方(ハイライト・カテゴリ分け)
リポストが増えてきたら、それらを整理して資産にしましょう。ストーリーズで紹介した投稿は、ハイライト機能で固定します。
ポイントは、閲覧者の目的に合わせてカテゴリ分けすることです。
- お客様の声
- スタイリング事例
- 活用アイデア
整理された情報は、ユーザーに「愛されているブランド」という安心感を与えます。投稿を点ではなく線でつなげる意識を持ちましょう。
社内で迷わないチェックリスト
リポストは、担当者によって判断基準がブレやすい業務です。リスクを回避し効率的に回すため、社内用の判定チェックリストを作りましょう。
以下の項目を最低限の基準として設けておくと、迷いのない運用が可能になります。
| 確認項目 | チェック内容 |
| 許諾の有無 | DMやコメントで明確な合意を得ているか |
| ブランド親和性 | 写真の世界観が自社のトーン&マナーに合うか |
| クレジット表記 | 投稿主のIDが正しく記載されているか |
| 加工の有無 | オリジナルの構図や色味を維持しているか |
| 権利関係 | 他者の顔や著作物が映り込んでいないか |
リストがあれば、担当交代時や複数名での運用でも安心です。ブランドイメージを常に一貫して保てるようになります。
まとめ
Instagramのリポストは、企業とユーザーが共にブランドを作る対話そのものです。単なる効率化の手段ではなく、ユーザーへの感謝を形にするアクションと捉えましょう。本記事で解説した「正しい手順」と「相手への敬意」は、運用の大前提です。これらを守ることで、リポストはブランドの信頼を築く強力な味方になります。
まずは、自社製品を愛用しているユーザーの投稿を探すところから始めてみてはいかがでしょうか。
