結論から言えば、営業担当を雇う前にやるべきことがあります。発注者が検索する言葉で、加工事例を出すことです。発注者は「金属加工」では検索しません。「SUS304 薄板 レーザー 小ロット」のように、材質と加工方法と条件で探しています。その言葉で自社の事例が出てくれば、向こうから問い合わせが来ます。事例の文章化は生成AIが担えるため、写真さえあれば着手できます。
「元請けへの依存を減らしたい」。この課題を持たない町工場は、ほとんどないと思います。しかし同時に、「営業ができる人がいない」「社長が現場に入っているので営業に回る時間がない」という制約があります。
この記事は、その制約の中でできることを整理したものです。人を雇わず、現在の人数のまま、新規の引き合いを増やす方法を扱います。中心になるのは、加工事例をWebに出すことと、問い合わせ後のフォローを仕組み化することの2つです。
発注者が本当に調べていること
まず、こちらを探している人が何を検索しているかを理解します。ここを誤ると、努力が空振りします。
「金属加工」では探していない
発注側の担当者、たとえば設計者や購買担当が新しい加工先を探すとき、「金属加工」という言葉では検索しません。その言葉で探しても、業界団体のサイトやポータルサイトが並ぶだけで、自分の案件を頼めるかどうかが分からないからです。
実際に使われるのは、もっと具体的な言葉です。材質、板厚や径、加工方法、公差、ロット数、納期、地域。これらの組み合わせで検索されます。
検索されている言葉の型
| 検索の観点 | 実際の検索例 | 発注者が知りたいこと |
|---|---|---|
| 材質+加工 | チタン 切削加工 依頼 | その材質を扱えるか |
| 精度 | 公差 5ミクロン 研削 加工先 | その精度が出せるか |
| ロット | 単品 試作 金属加工 1個から | 少量に対応するか |
| 納期 | 金属加工 短納期 即日 見積 | どのくらいで出せるか |
| 設備 | 5軸マシニング 受託加工 | その設備を持っているか |
| 形状・難易度 | 薄肉 深穴 加工 難削材 | 難しい加工ができるか |
| 地域 | 埼玉 精密板金 加工業者 | 近くにあるか |
| 二次加工 | アルマイト 一貫 対応 加工 | まとめて頼めるか |
自社のWebサイトに、これらの言葉が具体的な形で載っているかを確認してください。「高精度加工に対応します」という抽象的な表現では、検索には引っかかりません。
発注者は「頼めるかどうか」を判断したい
発注者が事例ページを見る目的は、感心することではなく、自分の案件を頼めるかを判断することです。したがって必要なのは、美しい写真より、具体的な条件の記載です。
材質、寸法、公差、数量、納期、使用設備、表面処理の有無。この7点が書かれていれば、発注者は自分で判断できます。逆にこれがないと、問い合わせる前の段階で候補から外れます。

加工事例ページの型
では、どう書くか。型を決めてしまえば、量産できます。
1事例あたりの構成
1つの事例につき、次の構成で書きます。
| 項目 | 内容 | 文字数の目安 |
|---|---|---|
| タイトル | 材質+加工方法+特徴を含む | 30字前後 |
| 写真 | 完成品、加工中、必要なら治具 | 2〜4枚 |
| 基本情報 | 材質・寸法・数量・公差・納期・使用設備 | 表形式 |
| 課題 | お客様が何に困っていたか | 200字前後 |
| 対応 | どう加工したか、工夫した点 | 400字前後 |
| 結果 | 何が解決したか | 200字前後 |
| 対応可能範囲 | 同様の加工でどこまで対応できるか | 200字前後 |
最後の「対応可能範囲」を必ず入れてください。この事例と完全に同じ案件を持っている人は稀ですが、「近い案件なら頼めそうだ」と思ってもらうために効きます。
写真から事例文を生成AIで作る
事例を書くのが負担で続かない、という声をよく聞きます。ここを生成AIで解決します。
手順は次のとおりです。完成品の写真を撮る。基本情報(材質、寸法、数量、公差、納期、設備)をメモする。加工上の工夫を口頭で説明し、音声入力かメモで残す。この3つを生成AIに渡し、「上記の型に沿って加工事例のページ原稿を作ってください。発注者が検索しそうな言葉をタイトルと本文に自然に含めてください」と依頼する。
これで、1事例あたり10分程度で原稿ができます。あとは事実確認をして公開するだけです。
最初は10事例を目標にする
いきなり50事例を目指すと続きません。まず10事例を目標にしてください。週1本のペースなら3か月弱で到達します。
選ぶ事例は、自社が今後も受けたい仕事を優先します。過去にたまたま受けただけで、本当は受けたくない加工の事例を載せると、その種の問い合わせが増えてしまいます。事例は、集めたい仕事の種類を宣言する行為でもあります。
NDAで事例を公開できない場合の見せ方
金属加工では、多くの案件が秘密保持契約の対象です。「事例を出せないから無理だ」と考える会社が多いのですが、方法はあります。
出せないのは「顧客の情報」であって「自社の技術」ではない
NDAで守られているのは、顧客が誰か、何に使う部品か、図面の形状といった顧客側の情報です。自社がどの材質をどの精度で加工できるか、どの設備を持っているかは、自社の情報です。
したがって、次のような形であれば公開できるケースが多くあります。顧客名と用途を伏せる。実際の部品ではなく、同等の加工を施したサンプル品を作って撮影する。形状を単純化した代替形状で加工する。数値を丸める。写真の角度を変えて、特徴的な形状が分からないようにする。
判断の目安
| 情報 | 公開の可否 | 条件 |
|---|---|---|
| 顧客名 | 原則不可 | 顧客の書面承諾があれば可 |
| 用途・製品名 | 原則不可 | 同上 |
| 図面そのもの | 不可 | ― |
| 部品の外観写真 | 案件による | 形状から用途が特定できない場合は可のことが多い |
| 材質・公差・数量 | 多くは可 | 特定につながる組み合わせは避ける |
| 使用設備 | 可 | 自社の情報 |
| サンプル品の写真 | 可 | 自社で作成したもの |
判断に迷う場合は、顧客に一言確認するのが最も確実です。「加工事例として、顧客名と用途を伏せた形で紹介させていただけませんか」と聞くと、許諾が得られることは珍しくありません。
サンプル品を作るという投資
最も安全で効果が高いのが、公開用のサンプル品を自社で作ることです。難削材の薄肉加工、深穴、複雑形状など、自社の得意分野を示す形状を1つ作り、それを事例として使います。
材料費と加工時間はかかりますが、一度作れば長く使えます。展示会に持って行くこともできますし、動画の題材にもなります。営業担当1人分の人件費と比べれば、はるかに安い投資です。

ショート動画で設備と加工を見せる
写真より伝わるのが動画です。そして、いまは高価な機材が要りません。
何を撮るか
撮る対象は3種類です。1つ目は加工の様子。切削中の切り屑の出方、レーザーが走る様子、曲げの瞬間。これらは動画でしか伝わりません。2つ目は設備の紹介。機械の型式と、何ができるかを30秒で説明します。3つ目は完成品の紹介。手に持って角度を変えながら、仕上がりを見せます。
いずれも30秒から60秒で構いません。長い動画は最後まで見られません。
スマートフォンで十分
専用の機材は不要です。スマートフォンを三脚に固定し、明るい場所で撮れば、十分な品質になります。重要なのは、手ブレを抑えることと、音を拾いすぎないことです。工場の騒音が入る場合は、後からナレーションを付けます。
台本とナレーションは生成AIに作らせられます。「この設備で何ができるかを、発注者向けに40秒で説明する台本を作ってください」と依頼すれば、話す内容がすぐにできます。ナレーション音声の生成ツールを使えば、話すのが苦手でも動画になります。
どこに載せるか
作った動画は、自社サイトの該当ページに埋め込むのが基本です。加えて、YouTubeやSNSにも投稿します。ここで重要なのは、動画単体で拡散を狙うのではなく、あくまで「頼めるかどうかの判断材料」として置いておくことです。
発注者は、問い合わせる前に必ず相手を調べます。そのとき動画があると、安心して問い合わせられます。再生数が少なくても、必要な人に見られていれば役割を果たしています。
展示会と問い合わせ後のフォローを自動化する
新規開拓で最も惜しいのが、せっかく接点を持った相手を放置してしまうことです。
展示会後に起きていること
展示会で名刺を100枚集めたとします。しかし、その後にお礼のメールを送るのは翌週になり、そこで力尽きる。これが典型的なパターンです。
発注者側の記憶は、展示会から3日で急速に薄れます。1週間後のメールは、ほとんど効果がありません。ここを仕組みで解決します。
その日のうちに送る仕組み
会期中、名刺をスマートフォンで撮影してデータ化します。生成AIに、その場での会話内容のメモと名刺情報を渡し、個別の内容を反映したお礼メールの下書きを作らせます。そして当日中に送ります。
「先ほどお話しした薄肉部品の件、当社では板厚0.5ミリからの実績がございます」という一文が入っているだけで、記憶に残ります。テンプレート一斉送信とは効果がまったく違います。
その後のフォロー設計
| タイミング | 送る内容 | 手段 |
|---|---|---|
| 当日 | 会話内容を反映したお礼 | メール |
| 1週間後 | 会話に関連する加工事例を1つ紹介 | メール |
| 1か月後 | 新しい設備や事例の紹介 | メール/LINE |
| 3か月後 | 困りごとがないかの確認 | メール |
| 以後 | 事例の追加を定期的に案内 | メール/LINE |
この流れを1度作っておけば、次回以降の展示会でも使い回せます。文面の個別化だけを生成AIに任せる形にすると、負担がほとんどありません。
LINE公式アカウントの活用
相手によっては、メールよりLINEのほうが届きます。とくに小規模な事業者や、現場の担当者と直接やり取りする場合に有効です。
展示会のブースにQRコードを置き、登録してもらう。その後、加工事例の更新を月1回程度配信する。この形であれば、営業担当がいなくても接点が維持できます。配信の文面も生成AIで作れます。
自社サイトに必ず載せるべき4つの情報
事例と並んで、発注者が判断に使う情報があります。ここが抜けている会社が非常に多いので、確認してください。
情報1:設備一覧
保有設備を、型式まで含めて一覧にしてください。発注者、とくに設計者は、設備の型式を見れば加工範囲の見当がつきます。「マシニングセンタ3台」ではなく、メーカー名と型式、テーブルサイズ、主軸回転数まで書きます。
この情報は、検索でも効きます。「〇〇 受託加工」という型式名での検索は、実際に行われています。
情報2:対応できる材質と加工範囲
扱える材質を具体的に列挙します。鉄、ステンレス、アルミ、銅合金、チタン、樹脂。それぞれについて、どの程度の寸法・板厚まで対応できるかを書きます。
「難削材も対応」ではなく、「インコネル、ハステロイの切削実績あり」と書けば、探している人に届きます。
情報3:ロットと納期の目安
1個からの単品試作に対応するのか、最小ロットがあるのか。標準的な納期はどのくらいか。特急対応の可否。この3点は、問い合わせ前に最も知りたい情報です。
書いていない会社が多いため、書くだけで差がつきます。数字を明記することに抵抗があるかもしれませんが、「単品1個から対応、標準納期は図面確定後7営業日」と書くと、条件が合う人だけが問い合わせてくるようになり、結果として対応の効率も上がります。
情報4:認証・品質体制
ISO9001などの認証を取得しているなら明記します。取得していない場合でも、検査体制、使用している測定器、検査成績書の発行可否を書いてください。
大手からの発注では、ここが確認事項になります。書いていないだけで候補から外れることがあります。
掲載情報のチェック表
| 情報 | 掲載の有無 | 具体度の目安 |
|---|---|---|
| 設備一覧 | 必須 | メーカー・型式・加工範囲まで |
| 対応材質 | 必須 | 材質名を具体的に列挙 |
| 寸法・板厚の範囲 | 必須 | 数値で明記 |
| 最小ロット | 必須 | 1個からか、最小数量があるか |
| 標準納期 | 必須 | 営業日で明記 |
| 特急対応 | 推奨 | 可否と条件 |
| 認証・品質体制 | 必須 | 認証名、測定器、成績書発行可否 |
| 二次加工の対応 | 推奨 | 熱処理・表面処理の一貫対応可否 |
| 所在地・アクセス | 必須 | 地域検索で使われる |
この表を埋めるだけで、事例を書く前でも問い合わせが増えることがあります。すでにサイトがある会社は、まずここを確認してください。
問い合わせを受けた後の対応速度
新規開拓の成否は、実は問い合わせを受けた後で決まっています。
初回返信の速さが最重要
新規の問い合わせをする発注者は、たいてい複数社に同時に連絡しています。そして、最初に返事をくれた会社と話が進むことが多いのが実情です。
したがって、内容の詳細な回答より先に、受領の連絡を速く返すことが重要です。「お問い合わせありがとうございます。内容を確認し、明日中に回答いたします」という一文でも、届く速さに意味があります。
自動返信と一次回答を分ける
フォームからの問い合わせには、自動返信を設定しておきます。そのうえで、担当者が内容を見て一次回答を返す。この2段構えにすると、受領の速さと回答の質を両立できます。
生成AIに問い合わせ内容を読ませ、「対応可能か、追加で確認すべき事項は何か」を整理させると、一次回答の作成が速くなります。ただし、対応可否の判断は人が行ってください。
見積回答までの日数を短くする
問い合わせから見積回答までの日数も、選ばれるかどうかを左右します。発注者にとって、回答が早い会社は「仕事も早そうだ」という印象につながります。
見積を速くする方法そのものは、見積業務を扱った関連記事で詳しく整理していますが、新規開拓の観点では「初回だけは特に急ぐ」ことを意識してください。初めての相手には、社内の優先順位を上げて回答します。ここで良い印象を持ってもらえれば、次からの引き合いが継続します。
断るときも丁寧に返す
自社では対応できない案件も来ます。このとき、返信せずに放置するのは最も避けるべき対応です。
「今回は対応が難しいのですが、○○のような加工であれば実績があります」と返すと、次の案件で思い出してもらえます。断り方が丁寧な会社は、記憶に残ります。この文面も生成AIで用意しておけます。
続けるための運用設計
新規開拓の取り組みが止まる理由は、ほぼ例外なく「続かないから」です。仕組みで解決します。
事例作成を業務に組み込む
事例を書く時間は、空いたときに取るものではありません。空く時間はないからです。
有効なのは、出荷の作業に紐づけることです。「出荷前に写真を1枚撮る」「金曜の午後、30分だけ事例を1本作る」と決めてしまいます。30分で1本というのは、生成AIを使えば十分に可能な時間です。
担当を分ける
写真を撮る人、基本情報をメモする人、事例文を作る人、公開する人。これらは同じ人である必要がありません。
現場が写真とメモを残し、事務担当が生成AIで原稿を作り、社長が事実確認をして公開する。この分担であれば、1人あたりの負担は数分です。1人で全部やろうとすると必ず止まります。
3か月で振り返る
3か月に1度、次の点を確認してください。事例は何本増えたか。問い合わせは何件来たか。どの事例のページがよく見られているか。問い合わせの内容は、載せている事例と関連しているか。
とくに4つ目が重要です。載せた事例とまったく関係ない問い合わせばかり来る場合、狙っている領域と発信内容がずれています。事例の題材を見直してください。

元請け依存を減らす現実的な目標設定
最後に、目標の置き方について触れます。
一気に構成を変えようとしない
売上の8割を1社に依存している状態から、いきなり分散させることはできません。無理に減らそうとすると、単に売上が落ちます。
現実的なのは、既存の売上を維持したまま、新規の上積みを作ることです。年間で新規2社から3社、売上構成比で5%から10%を目標にすると、無理がありません。3年続ければ、依存度は目に見えて下がります。
誰に来てほしいかを決める
新規開拓を始める前に、どんな会社と取引したいかを決めてください。ここが曖昧だと、発信内容もぼやけます。
考える観点は、業種、企業規模、発注ロット、要求精度、支払条件、地域の6つです。たとえば「半導体製造装置メーカーの一次下請け、月10万円から50万円のロット、公差10ミクロン級、関東圏」といった具合に、具体的に描きます。
決めると、載せるべき事例が絞れます。そして、その領域の発注者が使う言葉で書けるようになります。すべての人に向けて書かれた文章は、結局誰にも刺さりません。
数字で追う
| 指標 | 測り方 | 最初の目標の目安 |
|---|---|---|
| 加工事例の公開数 | 累計本数 | 3か月で10本 |
| サイトからの問い合わせ数 | 月間件数 | 半年後に月2件 |
| 初回返信までの時間 | 平均時間 | 3時間以内 |
| 新規取引開始社数 | 年間 | 年2〜3社 |
| 新規売上比率 | 全体に占める割合 | 年5〜10%ずつ増加 |
事例の公開数だけは、自分の努力で完全にコントロールできる指標です。まずここを守ることに集中してください。問い合わせは、事例が溜まった後から遅れてついてきます。
進め方と期間の目安
| 期間 | やること | 到達点 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 1〜2週目 | 発注者が検索する言葉を洗い出す。事例の型を決める | 何をどう書くかが決まっている | ゼロ |
| 3〜4週目 | 事例2本を写真とメモから作成し公開する | 型が固まり、作業時間が読める | ゼロ〜 |
| 2〜3か月目 | 週1本のペースで事例を追加。動画を2〜3本作る | 事例10本、動画3本 | ゼロ〜数万円 |
| 4か月目 | 問い合わせ後のフォロー設計と自動返信を整備 | 初回返信が3時間以内になる | ゼロ〜 |
| 5か月目以降 | 展示会フォローの仕組みを組み込む。LINE配信を開始 | 接点が維持される状態 | 数千円/月 |
半年で、問い合わせが入り始める土台ができます。効果が出るまでに時間がかかる取り組みですので、早く始めるほど有利です。
よくある質問
Q. ホームページが古く、更新の仕方も分かりません。
A. 事例を追加できる仕組みだけは整えてください。多くの場合、WordPressなどで作られていれば、記事を追加する形で事例を載せられます。制作会社に依頼するとしても、更新権限は自社で持っておくことが重要です。事例は継続的に増やすものなので、都度依頼する形では続きません。
Q. 事例を出すと、競合に手の内を見せることになりませんか。
A. 加工の詳細な条件(切削速度、送り、工具など)まで書く必要はありません。何をどの精度で加工できるかという結果を示せば十分です。競合が知りたいのはノウハウであり、発注者が知りたいのは対応可否です。書き分けは可能です。
Q. 写真を撮る余裕がありません。
A. 完成品を出荷前にスマートフォンで1枚撮るだけなら、10秒です。この習慣を作ってください。撮り溜めておけば、時間のあるときにまとめて事例化できます。撮っていない過去の案件は事例にできませんが、これから作るものは全部候補になります。
Q. 生成AIが書いた事例文をそのまま載せてよいですか。
A. 事実確認は必ずしてください。材質、公差、数量、納期といった数値が正しいか、加工方法の説明に誤りがないかを確認します。AIは、それらしい表現を補ってしまうことがあります。技術的な誤りが載っていると、かえって信用を失います。
Q. 展示会に出る余裕がありません。
A. 出なくても構いません。この記事の中心は、事例をWebに出すことです。展示会のフォローは、出る場合の話です。展示会に出ずに事例だけで問い合わせを増やしている会社は多くあります。
Q. 問い合わせが増えたら、対応しきれなくなりませんか。
A. その心配は、実際に増えてからで十分です。多くの会社では、まず問い合わせがゼロに近い状態から始まります。仮に増えた場合は、受ける案件を選べるようになるということであり、それ自体が良い状態です。対応できない案件は丁寧に断れば構いません。
Q. ポータルサイトや受発注マッチングサービスに登録するのはどうですか。
A. 選択肢の1つですが、自社サイトの整備と並行して考えてください。マッチングサービスは価格競争になりやすく、また掲載をやめると接点が消えます。自社サイトで集めた問い合わせは、条件が合う相手から直接届くため、価格以外の要素で選ばれやすくなります。両方やる場合でも、優先順位は自社サイトです。
Q. 動画を作っても誰も見てくれません。
A. 再生数を目的にしないでください。動画の役割は、問い合わせを検討している人が「この会社は大丈夫か」を確認するための材料です。100人に見られる必要はなく、検討中の3人に見られれば役割を果たしています。自社サイトの該当ページに埋め込んでおくことが最も重要で、SNSでの拡散は副次的なものと考えてください。
Q. 補助金は使えますか。
A. ホームページの改修やITツールの導入については、デジタル化・AI導入補助金や小規模事業者持続化補助金などの対象となる場合があります。要件は年度ごとに変わりますので、内容が固まってから確認してください。ただし、事例を書いて公開する作業自体には費用がかかりません。
まとめ
営業担当を雇う前にやるべきことは、発注者が検索する言葉で加工事例を出すことです。発注者は「金属加工」ではなく、材質、精度、ロット、納期、設備の組み合わせで探しています。
事例は型を決めれば量産できます。写真と基本情報と工夫の口頭説明があれば、生成AIが原稿を作ります。1事例10分程度です。まず10本を目標にしてください。
NDAで事例を出せない場合も、顧客名と用途を伏せる、サンプル品を作る、といった方法があります。「出せないから何もできない」という結論にはなりません。
そして、問い合わせを受けた後の初回返信の速さが成否を分けます。自動返信と一次回答を分け、3時間以内の受領連絡を目標にしてください。展示会に出る場合は、当日中に個別内容を反映したお礼を送る仕組みを作ります。
元請け依存の解消は、一気にはできません。既存を維持しながら年2社から3社の新規を積み上げる。この現実的な目標で、3年続ければ構成は確実に変わります。
最後に付け加えると、この取り組みの本当の効果は、新規の引き合いが増えることだけではありません。自社が何を得意としているのかを言葉にする過程で、社内の共通認識ができます。「うちはこういう仕事を取りに行く」という方向が定まると、設備投資の判断も、人の採用も、教育の内容も決めやすくなります。事例を書くことは、営業活動であると同時に、自社の輪郭を描く作業でもあります。
発注者が検索する言葉の洗い出しから、加工事例の型づくり、写真からの事例文作成、問い合わせ後のフォロー設計まで、新規開拓の仕組みづくりをご支援します。まずはお気軽にご相談ください。
