クリーニング会社の多店舗管理では、店舗や取次店が増えるほど、本部に集計作業が集まりやすくなります。
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ある店舗からはPOSのデータが届き、別の店舗からはExcel、昔から付き合いのある取次店からはFAX、店長からはLINEで日報の写真が届く。さらに工場からは入荷点数や仕上がり状況が別の方法で報告される、といった状態です。
一つひとつの報告は難しいものではありません。しかし本部では、それらを開いて、数字を確認し、Excelへ転記し、店舗別に並べ直す作業が毎日発生します。
この状態を改善するために、すべての店舗へ新しいシステムを導入する必要はありません。
すでにデータになっているものはそのまま利用し、紙や写真しかない情報はAIで読み取り、本部で同じ形式へ揃える方法があります。
クリーニング本部の業務効率化で重要なのは、「すべての店舗を同じやり方に変えること」ではありません。
本部へ届いた情報を、できるだけ手作業を使わずに「読んで、揃えて、まとめる」仕組みを作ることです。
この記事では、クリーニングの多店舗管理で発生しやすい店舗日報集計、POSデータ活用、取次店の売上集計、工場情報の集約などを、AIを使ってどのように減らせるかを具体的に解説します。
結論:店舗からの報告の形式がバラバラでも、AIに読ませれば集計表は毎朝できる

クリーニング本部の事務を減らすために、最初から全店舗の報告方法を完全に統一する必要はありません。
重要なのは、本部が必要としている情報を決め、それをAIや既存データから同じ形式へ揃えることです。
たとえば本部で毎朝確認したい項目が、店舗名、売上、受付点数、事故件数、欠勤の有無だとします。
A店はPOSからCSVを出せる。B店はExcelの日報を送ってくる。C店は紙の日報をスマートフォンで撮影して送る。D店はLINE本文で数字を送ってくる。
入力方法は違っていても、本部で必要な項目は同じです。
そこでAIを使って、写真やテキストから必要な項目だけを読み取り、POSやExcelから取得した数字と同じ表へ並べます。
すると、本部担当者が一件ずつ転記する代わりに、毎朝確認する集計表を先に作っておく運用が可能になります。
先に「報告方法の完全統一」を目指さなくてよい
多店舗展開しているクリーニング会社では、店舗の成り立ちがすべて同じとは限りません。
直営店もあれば、昔から営業している取次店もあります。比較的新しい店舗ではPOSを使っていても、小規模な取次店では紙の帳票が中心ということもあります。
ここですべての店舗へ同じシステムを導入しようとすると、現場教育、端末準備、入力方法の変更などが発生します。
結果として、本部の業務効率化をするために店舗側の仕事が増えてしまうことがあります。
そのため最初は、店舗のやり方を大きく変えるのではなく、「本部で受け取った後の処理」を変えるほうが進めやすい場合があります。
AIの役割は「判断」ではなく「読む・揃える・まとめる」
AIを導入すると聞くと、本部業務をAIが自動で判断してくれるイメージを持つかもしれません。
しかし、クリーニング本部の事務で最初にAIへ任せやすいのは、もっと単純な仕事です。
紙や写真を読む。文章から必要な情報を拾う。店舗ごとに違う報告を同じ列へ並べる。集計結果を見やすく整理する。
こうした「読む・揃える・まとめる」作業から始めるほうが現実的です。
特に毎日同じルールで繰り返している転記作業は、AI活用を検討しやすい業務です。
本部担当者は「数字を作る人」から「数字を見る人」へ
本部担当者が毎朝30分、1時間とかけて数字を作っていると、その数字を使って考える時間が少なくなります。
本来、本部が行いたいのはExcelへ数字を入力することではありません。
昨日と比べて極端に売上が落ちている店舗はないか、事故が続いている店舗はないか、未回収が増えていないか、工場の処理が遅れていないかを見ることです。
AIによる業務効率化の目的は、人を完全に外すことではなく、本部担当者が「入力する時間」より「確認し判断する時間」を増やすことにあります。
本部に事務が溜まる構造|POSは店ごと・工場は別システム・日報は紙やLINE写真
クリーニング会社の本部業務が複雑になる原因は、一つのシステムが足りないからとは限りません。
問題は、店舗、工場、法人取引など、それぞれの場所で使われている情報の形式が違うことです。
クリーニングの多店舗管理では、この「形式の違い」を最後に本部の人が手作業で埋めているケースがあります。
店舗ごとに仕組みが違うと、本部に転記作業が集まる
店舗では、その店の営業を回すことが優先されます。
受付、商品の受け渡し、電話対応、レジ締めなどがあり、本部へ報告するためだけに複雑な入力を増やすことは好まれません。
そのため、本部へ届く情報は店舗によって違いやすくなります。
POSから売上データを出す店舗もあれば、店長がExcelへ数字を入れて送る店舗もあります。小規模な取次店では紙の日報を書き、それをFAXしたり写真で送ったりする場合もあります。
その違いを最後に吸収しているのが、本部担当者です。
つまり、本部の事務が多い原因は「データがない」ことだけではありません。
データはあるものの、形式が揃っていないため、人が毎回加工していることが問題です。
POSを入れていても本部集計がなくならない理由
クリーニングPOSを導入している場合でも、本部業務がすべてなくなるとは限りません。
POSには売上や受付点数などが入っていても、欠勤、クレーム、事故、備品不足、特別対応などは別の連絡手段で報告されることがあります。
さらに店舗ごとにPOSの種類や運用方法が違えば、本部でそのまま横並びにできない場合があります。
そのため、クリーニングのPOSデータ活用では、「POSだけを見る」のではなく、「POSで取れる数字」と「POSの外に残る情報」を分けて考えることが大切です。
POSですでに取得できる数字はそのまま利用し、POS外の報告だけAIで補う設計にすると、無理のない業務効率化につながります。
Excelそのものではなく「転記」が負担になっている
取次店の売上集計をExcelで行っている会社の場合、「ExcelをやめなければDXにならない」と考える必要はありません。
Excelが使いやすく、経営者や本部担当者が慣れているなら、最終的な集計表として残しても構いません。
見直したいのは、Excelへ入力するまでの過程です。
FAXを見ながら数字を入力する。LINEの写真を開いて数字を探す。メール添付の表から必要なセルだけコピーする。
こうした作業が毎日繰り返されているなら、AIやデータ連携を使って減らせる可能性があります。
「Excelをなくす」のではなく、「Excelへ人が転記する回数を減らす」と考えると、導入のハードルは下がります。
手順①店舗の報告を「写真1枚か1行LINE」に統一する|店側の負担を増やさない
本部業務を効率化するとき、最初に考えたいのは店舗スタッフの負担です。
本部では便利になっても、各店舗で毎日10分ずつ追加作業が発生するのであれば、会社全体では効率化になっていません。
店舗側では、できるだけ「今やっている報告方法の延長」で済む形を選びます。
店舗側に新しい入力画面を増やさない
AI導入のために、全店舗へ新しいシステムを配り、新しいIDとパスワードを覚えてもらい、新しい入力画面へ毎日入力させる方法もあります。
しかし、本部の日報集計を減らすことが目的なら、そこまで大がかりな変更が必要とは限りません。
すでに紙の日報を書いている店舗なら、その紙を使います。
すでにLINEなどで連絡している店舗なら、その連絡方法を活かします。
最初に変えるのはシステムではなく、「本部が受け取った後の処理」です。
紙の日報なら写真1枚で送る
紙の日報を使っている店舗であれば、閉店時に記入した日報をスマートフォンで撮影し、本部へ送ります。
本部側では、その画像からAIが売上、点数、事故件数など必要な項目を読み取ります。
この方法の利点は、店舗スタッフが新しい操作をほとんど覚えなくてよいことです。
ただし、写真が暗い、紙が曲がっている、数字が小さい、手書き文字が重なっている場合などは読み取り精度が下がる可能性があります。
そのため、日報用紙のレイアウトや撮影方法は、実際の店舗で何度か試しながら調整します。
LINEなら本部が必要な項目だけ1行で送る
紙の日報そのものをなくしたい場合は、さらに簡単な方法もあります。
たとえば閉店後に、「売上、受付点数、事故、欠勤」という決まった順番で数字や状況を送ってもらう方法です。
店舗側に長文を書いてもらう必要はありません。
本部で必要な項目だけに絞れば、報告は短くできます。
大切なのは、AIのために現場へ多く入力してもらうことではなく、現場の入力を少なくしたうえで、本部側で整理することです。
手順②AIが写真・テキストから売上・点数・事故・欠勤を読み取り、本部の集計表へ
クリーニング店舗の日報集計でAIを使う場合、最初に「何でも読み取らせる」のはおすすめできません。
まず、本部で毎日確認している項目を決めます。
その項目だけをAIに抜き出させ、同じ列へ並べる形から始めます。
AIが読み取る項目を最初に決める
たとえば毎日の店舗管理で必要な項目を、次のような表で定義しておきます。
| 項目 | 本部で確認する目的 |
|---|---|
| 店舗名 | どの店舗の報告か特定する |
| 営業日 | 日別集計を行う |
| 売上 | 店舗別の売上推移を見る |
| 受付点数 | 来店・受付状況を見る |
| 事故件数 | 品質・対応上の問題を確認する |
| 欠勤 | 人員不足の店舗を確認する |
| 未回収 | 長期保管や連絡漏れを確認する |
項目を決めておけば、報告方法が違っていても最終的な集計表は揃えられます。
AIに長い文章を自由にまとめさせるより、「店舗名はどこか」「売上はいくらか」「事故報告があるか」と項目を指定したほうが、本部業務では扱いやすくなります。
店舗名・日付・項目名を揃えて表にする
たとえばA店からは写真、B店からはLINE、C店からはExcelが届いたとします。
本部担当者が確認したいのは、情報が届いた形式ではありません。
今日のA店、B店、C店の数字が横並びになっていることです。
そこでAIに、それぞれの情報から必要項目を取り出し、決められた列へ配置させます。
最終的には、店舗名、営業日、売上、点数、事故、欠勤などが一つの表に並ぶ形にします。
クリーニング本部の事務へAIを導入するときは、この「入口は違っても出口は同じ」という考え方が重要です。
Excelやスプレッドシートは集計先としてそのまま使える
現在、店舗日報の集計をExcelで行っている会社であれば、最終的な集計表まで一気に別のシステムへ変更する必要はありません。
まずは既存のExcelや表計算シートへ、AIが整理した数字を渡せるようにします。
この方法であれば、経営者や本部担当者が見慣れている集計表を大きく変更せずに済みます。
最初の目標は「ツールを最新化すること」ではなく、「手入力を減らすこと」です。
既存のExcelで経営判断ができているなら、それを残しながら前段階だけ自動化する方法も十分に検討できます。
手順③異常値をAIが目立たせ、本部が電話する店を決める
集計表が自動で作れるようになったら、次に考えたいのが「どの数字を見るか」です。
全店舗の日報が一つの表になっても、本部担当者が毎朝すべての数字を細かく確認していては、まだ時間がかかります。
そこで、通常と違う数字だけを目立たせます。
前年比だけでなく「いつもと違う店」を見る
売上を見るとき、前年比は分かりやすい指標です。
ただし、本部で毎日確認する場合は、「その店舗にとって通常と違うか」という視点も有効です。
普段10万円前後の売上がある店舗が突然大きく下がった場合と、もともとの売上規模が小さい店舗では、同じ金額でも意味が違います。
AIや表計算のルールを使って、通常の範囲から大きく外れた店舗を目立たせると、本部担当者は確認先を絞りやすくなります。
事故率・未回収・急な売上減を確認対象にする
クリーニング本部の場合、売上だけを見ればよいわけではありません。
受付点数に対して事故件数が急に増えている店舗や、未回収品が増えている店舗、欠勤が続いている店舗などは、本部から確認が必要になる場合があります。
重要なのは、「AIが異常だと判断したから問題がある」と決めつけないことです。
AIや集計ルールは、確認候補を絞るために使います。
AIに電話する店を決めさせず、人が確認する
たとえば集計表でA店の売上だけが大きく下がっていたとします。
実際には臨時休業があったかもしれません。近隣工事の影響かもしれません。単純な入力ミスかもしれません。
その理由まで数字だけで判断することはできません。
AIには、「いつもと違う数字を見つけるところ」までを任せます。
その後、店長へ電話するか、工場へ確認するか、翌日まで様子を見るかは本部担当者が判断します。
本部業務の効率化は、判断そのものをなくすのではなく、「判断が必要な場所を早く見つける」ことだと考えると運用しやすくなります。
工場側:入荷点数・仕上がり遅延の集計も同じ流れで減らせる
店舗日報を集約できるようになると、同じ考え方を工場側へ広げることができます。
ただし、店舗と工場では見る数字が違います。
店舗側では売上や受付点数が中心ですが、工場では入荷点数、処理量、仕上がり予定、遅延状況などが重要になります。
工場は売上より「入荷量」と「処理状況」を集める
工場管理では、今日何点入ってきたのか、どの程度処理できたのか、予定どおり店舗へ戻せそうかを見る必要があります。
こうした情報が紙やExcel、別システムに分かれている場合も、本部側で必要項目だけを集める方法が考えられます。
店舗側の日報集計と同じく、「全部の情報を一つのシステムへ移す」ことより、「本部で判断するための数字だけを揃える」ことから始めます。
仕上がり遅延の兆候を本部で早く見つける
たとえば繁忙期に入荷点数が急増している一方で、処理点数が追いついていなければ、仕上がり遅延につながる可能性があります。
本部がこの状況を早く把握できれば、店舗への案内方法を調整したり、工場内の人員配置を確認したりできます。
AIの役割は、「明日必ず遅延する」と断定することではありません。
入荷と処理の数字をまとめ、本部が確認すべき状況を見つけやすくすることです。
店舗と工場を同じシステムに統一しなくてもよい
店舗のPOSと工場の管理システムが別々でも、それ自体が問題とは限りません。
それぞれの現場に適したシステムを使いながら、本部で必要な情報だけを取り出して一つの表へまとめる方法があります。
現場システムをすべて統一する大規模なDXだけが業務効率化ではありません。
既存環境を残したまま、本部へ集まる情報の流れを整える方法もあります。
法人リネン・ユニフォームの取引先別集計にも使える
クリーニング会社によっては、一般店舗だけでなく、法人向けのリネンやユニフォームクリーニングを扱っている場合があります。
この場合は、店舗別ではなく取引先別の集計が必要になります。
店舗売上とは別に法人取引をまとめる
法人取引では、取引先ごとに回収日、納品日、数量、追加対応などを管理していることがあります。
店舗売上とは性質が違うため、同じ表へ無理に入れる必要はありません。
ただし、情報を読み取り、必要項目を同じ形式へ揃えるという考え方は店舗日報と同じです。
納品点数・回収点数・追加対応を取引先別に揃える
紙伝票、Excel、担当者からの連絡などに分かれている場合、AIを使って取引先名、回収点数、納品点数、追加対応などを抽出し、取引先別の表へまとめる方法があります。
月末になってから複数の伝票を見直すのではなく、日々の情報を同じ形式で蓄積しておけば、月次集計もしやすくなります。
月末請求前の確認作業を減らす
法人取引では、金額に直結する情報を扱います。
そのため、AIが読み取った結果をそのまま請求額として確定するのではなく、請求前の確認材料として使う方法が安全です。
AIに一次集計を任せ、人が伝票や契約条件と照合して確定する運用にします。
特に単価が取引先ごとに違う場合や、追加料金、特別対応などがある場合は、人による確認を残すことが重要です。
AIか連携か|POSがCSV出力できるなら連携、できないなら写真→AI

AI活用という言葉を聞くと、すべての情報をAIに読ませる必要があるように感じるかもしれません。
しかし、すでにデータになっている情報まで画像にしてAIへ読み取らせる必要はありません。
原則として、データで取れるものはデータのまま使います。
紙や画像しかない部分だけをAIで補います。
CSVを出せる店舗は写真に戻さない
POSからCSVを出力できるのであれば、そのデータを活用するのが基本です。
CSVは表形式のデータなので、写真から数字を読み取るよりも扱いやすく、誤読の可能性も減らせます。
クリーニングのPOSデータ活用では、まず「どの項目をCSVで出せるか」を確認します。
売上、受付点数、会員数など、本部が欲しい情報がすでに出せるのであれば、その数字を再入力する必要はありません。
CSVを出せない取次店だけ写真読み取りを使う
一方、昔から付き合いのある取次店や小規模店舗では、CSV出力できるシステムがない場合があります。
その店舗だけのために新しいPOSを導入するより、現在の日報を撮影して送ってもらうほうが現実的なこともあります。
つまり、全店舗で同じ方法を選ぶ必要はありません。
本部で一つの集計表へまとめられるのであれば、入口は店舗によって違っていても構いません。
現在の状態から方法を決める
| 現在の報告方法 | 本部側の基本方針 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| POSからCSVを出せる | CSVデータをそのまま取り込む | すでにデータ化されているため再入力を避けやすい |
| Excelで報告している | Excelの必要項目を集約する | 写真へ変換せず既存データを利用できる |
| 紙の日報を使っている | 写真をAIで読み取る | 店舗側の運用変更を抑えやすい |
| LINE本文で報告している | テキストをAIで整理する | すでに入力された情報を再利用できる |
| FAX中心 | 画像データ化したうえでAIで読み取る | 現在の報告方法を残しながら本部作業を減らしやすい |
この判断基準を持つだけでも、「AIを導入するために何から変えればよいか」が整理しやすくなります。
AIを使うことが目的ではありません。
人が転記しなくて済む方法を、それぞれの店舗に合わせて選ぶことが目的です。
人が確認する箇所|金額・事故報告はAI任せにしない
AIで店舗日報や伝票を読み取れるようになっても、すべてを自動確定する運用には注意が必要です。
特に金額と事故報告は、人による確認を残しておいたほうがよい領域です。
売上金額は元データとの照合を残す
画像から数字を読み取る場合、撮影状態や手書き文字によって誤認識が起きる可能性があります。
「8」と「3」、「1」と「7」のような数字が読み取りにくいこともあります。
そのため、売上金額など重要な数字については、一定の条件に当てはまったものだけ人が確認する方法が考えられます。
たとえば前日や通常値から大きく外れている金額だけ元画像を確認する、といった運用です。
すべての数字を毎回見直すのではなく、「確認が必要な数字を絞る」ことがポイントです。
事故報告は要約だけAI、対応判断は人
クリーニングの事故報告では、衣類の状態、受付時の説明、作業工程、顧客とのやり取りなど、数字だけでは判断できない情報があります。
AIに事故内容を短く整理させたり、店舗別に一覧化したりすることはできます。
しかし、弁償するかどうか、顧客へどう説明するか、再洗いするかなどの対応は、人が確認して判断する必要があります。
AIは事故情報を集める役割、本部責任者は対応を決める役割、と分けておくと運用しやすくなります。
AIが読み取りにくい画像をそのまま採用しない
紙の日報をAIで読み取る場合は、実際の店舗で読み取りテストを行います。
写真が斜めになっていないか、照明が反射していないか、文字が小さすぎないか、日報の欄が複雑すぎないかを確認します。
読み取り精度が低い場合、AIを変更する前に、日報用紙のレイアウトや撮影方法を変えるだけで改善することもあります。
AI導入時には、システムだけでなく「AIが読みやすい入力方法」を作る視点も重要です。
導入の順番|本部の1業務から始める
クリーニング本部の業務効率化を進める場合、店舗日報、工場管理、法人取引、事故報告などを一度に変える必要はありません。
むしろ、最初は本部で毎日発生している一つの業務に絞ったほうが効果を確認しやすくなります。
最初は「毎日発生している転記作業」を選ぶ
AI導入の対象を選ぶときは、「大変そうな仕事」ではなく、「繰り返し発生している仕事」に注目します。
たとえば、毎朝20店舗の日報をExcelへ入力している業務であれば、毎日発生するため改善効果を確認しやすくなります。
月に一度しか発生しない複雑な作業より、毎日同じように繰り返している単純な転記作業のほうが、最初のAI活用に向いています。
まず2〜3店舗で試して読み取り精度を確認する
全店舗を一斉に切り替えるのではなく、報告方法が異なる2〜3店舗で試します。
たとえば、POSがある店舗、紙日報の店舗、LINE報告の店舗を一つずつ選びます。
その3店舗の情報を一つの集計表へまとめられるか確認します。
この段階で、読み取りミスが起きる項目、店舗側が面倒に感じる作業、本部で確認が必要な数字が見えてきます。
問題があれば、小さい範囲で修正できます。
問題なければ工場・法人取引へ広げる
店舗日報で運用方法が固まったら、次に工場の入荷点数や仕上がり遅延、法人リネンの取引先別集計などへ広げます。
同じAIを使うことが重要なのではありません。
「情報を受け取る」「必要項目を抜き出す」「同じ表へ揃える」「人が確認する」という業務設計を横展開します。
この流れを作れば、本部内でAI活用のルールも統一しやすくなります。
最後に「自動化する業務」と「人が見る業務」を固定する
AI活用が定着しない会社では、どこまでAIに任せてよいのかが曖昧なまま運用していることがあります。
担当者によって確認方法が違うと、結局すべての数字を人が見直す状態へ戻りやすくなります。
そのため運用開始後は、業務ごとに役割を決めます。
| 業務 | AI・自動処理の役割 | 人が確認する内容 |
|---|---|---|
| 店舗日報 | 必要項目の読み取り・集計 | 読み取りエラー、異常値 |
| POSデータ | 店舗別・日別に集約 | 大きな売上変動 |
| 事故報告 | 内容を整理・一覧化 | 対応方針、顧客対応 |
| 工場報告 | 入荷・処理状況を集約 | 遅延時の対応 |
| 法人取引 | 数量・伝票情報を整理 | 請求額、契約条件 |
この線引きを決めておくと、「AIを入れたのに確認作業が増えた」という状態を避けやすくなります。
まとめ|クリーニング本部の業務効率化は「店舗を変える」より「本部の集め方を変える」から
クリーニング本部の業務効率化では、すべての店舗や取次店へ同じシステムを導入することから始める必要はありません。
POSからCSVを出せる店舗なら、そのデータをそのまま使います。
Excelで報告されているならExcelのデータを活用します。
紙しかない店舗なら、日報を撮影してAIに必要項目を読み取らせます。
LINEで報告されているなら、その文章から必要な数字や連絡事項を整理します。
大切なのは入口を完全に統一することではなく、最終的に本部で必要な情報を同じ形式へ揃えることです。
そうすれば、本部担当者は「FAXを見ながらExcelへ入力する」「LINEの写真から数字を探す」といった作業から少しずつ離れられます。
そして、売上が急に変わった店舗、事故が増えている店舗、未回収が増えている店舗、工場の処理が遅れている状況など、本当に確認が必要なところへ時間を使えるようになります。
クリーニング本部にAIを導入するときは、大きなシステム刷新から始めるのではなく、まず毎日繰り返している一つの転記業務を選んでください。
2〜3店舗で試し、「AIに任せる部分」と「人が確認する部分」を決める。
そこから店舗、工場、法人取引へ広げていく方法が、中小規模のクリーニング会社には取り組みやすい進め方です。
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FAQ
クリーニング店の日報が紙でもAIで集計できますか?
紙の日報をスマートフォンで撮影し、画像から必要な項目を読み取る方法があります。ただし、手書き文字や撮影状態によって読み取り精度は変わります。最初から全店へ展開せず、実際の日報を使って読み取り結果を確認してから運用範囲を広げる方法が安全です。
クリーニングPOSを入れ替えないとAI活用はできませんか?
必ずしも入れ替える必要はありません。現在のPOSからCSVなどのデータを出せるのであれば、その情報を利用できます。POSで取れない紙の日報や事故報告などだけAIで補う方法もあります。
LINEで届く店舗日報も集計できますか?
決まった形式でテキスト報告してもらえば、店舗名、売上、点数、事故、欠勤などの項目へ整理しやすくなります。長い報告を求めるより、本部で必要な項目だけを短く送ってもらう運用のほうが店舗側の負担を抑えられます。
AIに売上金額の確認まで任せても大丈夫ですか?
重要な金額をAIの読み取り結果だけで確定する運用は避けたほうが安全です。通常値から大きく外れた金額や読み取りに自信がない箇所だけ元データを人が確認するなど、確認ルールを決めて運用します。
何店舗くらいから始めるのがよいですか?
最初は店舗数よりも報告方法の違いを意識するとよいでしょう。たとえばPOS店舗、紙日報店舗、LINE報告店舗など、方式の違う2〜3店舗で試せば、本部でどのように集約できるかを確認しやすくなります。
複数店舗・取次店・工場から届く日報を、毎日本部で手入力している場合、すべてのシステムを入れ替えなくても改善できる可能性があります。
現在使っているPOS、Excel、紙の日報、FAX、LINEなどを整理すると、「そのまま利用できるデータ」「AIで読み取るとよい情報」「人が確認すべき項目」を切り分けられます。
まずは、本部で毎日最も時間がかかっている一つの業務から整理してみてください。
