AI導入を検討し始めたものの、「どの部署で使うべきか」「どの業務を対象にすべきか」「生成AIツールを先に選ぶべきか」と迷っている企業は少なくありません。
最初に押さえておきたい結論は、次のとおりです。
| 結論 AI導入で最初に選ぶべきなのは、最も規模が大きい業務ではありません。効果を測りやすく、失敗しても顧客や事業への影響が限定的で、現場担当者が結果を評価できる業務です。 |
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| 【画像1 挿入位置】AI導入で最初に選ぶ業務の3つの条件 alt:AI導入で最初に選ぶ業務の3つの条件 |
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事業への影響が大きい業務ほど、AI導入による効果も大きく見えます。しかし、業務が複雑だったり、AIの誤りが顧客や契約に影響したりする場合、最初の対象としては難易度が高くなります。
AI導入の入口では、ツール選定より先に、自社業務を棚卸しして、AIを使う目的と対象業務を整理することが重要です。
本記事では、AI導入の対象業務を次の6項目で評価します。
- 事業効果
- 発生量
- 標準化度
- データ準備度
- 誤りの影響
- 人間の確認
評価した業務は、最終的に次の4つに分類します。
1.社内だけで試せる
2.ベンダーへ相談した方がよい
3.自社とベンダーで共同設計する
4.現時点ではAI化しない方がよい
まだ対象業務、担当部署、AIツールを決められていない段階でも問題ありません。まずは「どの業務を、どのような進め方で検討するか」を決めることから始めましょう。

AI導入は何から始める?まずはツールではなく対象業務を決める
AI導入を検討すると、生成AIサービス、チャットボット、需要予測、画像認識、議事録作成など、さまざまなツールや機能が目に入ります。
しかし、最初からツールを比較すると、AIを導入すること自体が目的になりやすくなります。
AI導入の順番は、次のように考えるのが基本です。
1.解決したい業務課題を整理する
2.AIを試す対象業務を選ぶ
3.期待する成果と評価指標を決める
4.社内で試すか、外部へ相談するか判断する
5.必要なツールや開発方法を選ぶ
ツール選定は、対象業務と目的が決まった後に行います。
AIツールを先に選ぶと目的が曖昧になりやすい
例えば、経営層から「生成AIを導入したい」という要望が出たとします。
この時点で特定のツールを契約しても、対象業務が決まっていなければ、社員は何に使えばよいか分かりません。文章作成や要約を試して終わり、業務改善につながらない可能性があります。
また、業務に必要な機能を整理しないまま契約すると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 必要なシステム連携に対応していない
- セキュリティ要件を満たしていない
- 実際には使わない機能に費用を払っている
- 現場の業務フローに合わない
- 導入効果を測る指標が決まっていない
- 利用担当者や確認責任者が決まっていない
AIツールの料金プランや利用条件は変更されることがあります。製品を比較するときは最新の公式情報を確認する必要がありますが、その前に「何を改善したいか」を明確にしておくことが大切です。
部署単位ではなく具体的な業務単位で考える
AI導入の対象を「営業部」「経理部」「総務部」のような部署単位で考えると、範囲が広すぎて評価しにくくなります。
例えば、「営業部でAIを使う」だけでは、必要な機能やリスクを判断できません。営業部の業務を具体的に分けると、次のような候補があります。
- 商談前の企業情報収集
- 商談記録の要約
- お礼メールの下書き作成
- 提案書の構成案作成
- 過去案件の検索
- 見込み客の分類
- 売上予測
- 値引き条件の判断
同じ営業部の業務でも、AI導入の難易度は大きく異なります。
商談記録の要約やメールの下書きは、担当者が確認してから利用できます。一方、値引き条件の自動判断は、利益や取引条件に直接影響するため、慎重な設計が必要です。
対象業務は、少なくとも「入力情報」「処理内容」「出力物」が分かる単位まで細かくしましょう。
最初に選ぶ業務に必要な3つの条件
AI導入の最初の業務は、次の3つの条件を満たしていることが理想です。
効果を数値で測りやすい
AI導入前後で、作業時間、処理件数、修正回数などを比較できる業務です。例えば、議事録作成に毎回60分かかっていたものが、AIの下書きによって30分になれば、効果を把握できます。
誤りが発生しても影響を限定できる
AIの出力をそのまま顧客へ送らず、社内担当者が修正できる業務が適しています。AIは誤った情報や不自然な表現を出力することがあります。最初は、失敗してもやり直せる範囲で使うことが重要です。
現場担当者が良し悪しを判断できる
AIの出力が正しいか、業務に使える品質かを判断できる人が必要です。評価できる担当者がいなければ、AIが有効だったのか、設定や指示が悪かったのかを判断できません。
最も大きな業務から始めると失敗しやすい理由
AI導入では、「最も時間がかかっている業務」「最も人件費が大きい業務」「売上への影響が大きい業務」から着手したくなることがあります。
しかし、事業効果が大きいことと、最初のAI導入に適していることは同じではありません。
事業効果が大きい業務ほどリスクも大きいことがある
次のような業務は、改善できれば大きな効果を期待できます。
- 顧客への問い合わせ対応
- 契約内容の審査
- 採用候補者の評価
- 商品価格の決定
- 与信判断
- 経営計画の策定
- 医療や法務に関する判断
一方で、AIが誤った場合の影響も大きくなります。
顧客対応で不正確な回答を送れば、クレームや信用低下につながる可能性があります。契約や人事に関する判断では、社内ルールや法的な観点も必要です。
こうした業務でAIを活用すること自体が不可能という意味ではありません。ただし、最初の業務として選ぶ場合は、確認体制、権限管理、データ管理、責任範囲などを慎重に設計する必要があります。
業務ルールが曖昧なままではAIにも指示できない
担当者によって処理方法が異なる業務や、経験と勘だけで進めている業務は、AIに任せる範囲を決めにくくなります。
例えば、提案書作成について、次の点が決まっていないとします。
- どの情報を必ず入れるか
- 顧客ごとに何を変更するか
- 承認が必要な表現は何か
- 過去資料をどこまで参照するか
- 完成品質を誰が判断するか
この状態でAIを導入しても、出力の良し悪しを評価できません。
AI導入の検討を通じて、業務ルールが整理されていないことが分かる場合もあります。その場合は、先に業務フローの可視化や標準化を行うことが必要です。
評価者がいない業務は改善できない
AI導入では、出力を評価する担当者が重要です。
AIが作成した文章、分類結果、予測結果などが業務に使えるかどうかは、現場の知識がなければ判断できないことがあります。
例えば、専門的な技術資料をAIに要約させても、内容を確認できる担当者がいなければ、要約が正しいか判断できません。
AI導入の最初の業務には、「現場担当者が短時間で正誤を確認できる業務」を選びましょう。
AI導入候補を見つけるための業務棚卸し方法
AI導入の対象業務を選ぶには、まず自社で行われている業務を一覧化します。
この作業を「AI業務棚卸し」と呼ぶことがありますが、特別なツールが必要なわけではありません。表計算ソフトなどを使い、業務の内容、頻度、作業時間、入力情報、出力物を整理すれば始められます。
部署ごとに日常業務を一覧化する
最初から全社の業務を洗い出すと、対象が広がりすぎます。まずは、AI導入への関心が高い部署や、業務量が多い部署に範囲を限定しましょう。
例えば、次のような部署から候補業務を洗い出します。
| 部署 | 業務候補の例 |
|---|---|
| 営業 | 商談要約、メール下書き、提案書作成、案件情報整理 |
| マーケティング | 記事構成案、広告文案、アンケート分析、競合情報整理 |
| カスタマーサポート | 問い合わせ分類、回答案作成、FAQ整理 |
| 人事 | 求人票の下書き、面談メモ要約、研修資料作成 |
| 経理 | 証憑分類、月次報告の要約、問い合わせ回答案 |
| 総務 | 社内規程検索、申請内容の確認補助、議事録作成 |
| 経営企画 | 市場情報整理、会議資料の要約、報告書の初稿作成 |
この段階では、AIに向いているかどうかを厳密に判断する必要はありません。まず候補を広く出し、その後に評価します。
業務を「入力・処理・出力」に分ける
候補業務は、次の3つに分解します。
- 入力: 業務を始めるために使う情報
- 処理: 担当者が行っている作業や判断
- 出力: 最終的に作成されるもの
例えば、会議議事録の作成は次のように整理できます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 入力 | 会議音声、メモ、配布資料 |
| 処理 | 発言内容の整理、要点抽出、決定事項の確認 |
| 出力 | 議事録、決定事項、担当者別のタスク一覧 |
| 【画像2 挿入位置】入力・処理・出力に分解する業務フロー alt:AI業務棚卸しで業務を入力・処理・出力に分ける方法 |
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このように分解すると、AIに任せられる部分と、人が行うべき部分を分けやすくなります。
会議音声の文字起こしや要点抽出はAIに任せ、決定事項の確定と社内共有前の確認は人が行う、といった設計が可能です。
AI業務棚卸しシートに記録する項目
業務棚卸しでは、最低限、次の項目を記録します。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 部署 | 業務を担当している部署 |
| 業務名 | 具体的な業務の名称 |
| 担当者 | 実務を行う担当者 |
| 発生頻度 | 毎日、毎週、毎月、随時など |
| 発生件数 | 1日、1週間、1か月あたりの処理量 |
| 所要時間 | 1件または1回あたりの作業時間 |
| 入力情報 | 文書、表、画像、音声、システムデータなど |
| 処理内容 | 要約、分類、検索、作成、判断など |
| 出力物 | メール、資料、回答、報告書など |
| 現在の課題 | 時間、品質、属人化、ミス、引き継ぎなど |
| 誤りの影響 | 社内限定、顧客影響、金銭的影響など |
| 確認者 | AIの出力を確認できる人 |
| 利用システム | 現在使っているシステムやツール |
| データの状態 | デジタル化、整理状況、利用条件など |
業務名は、「営業業務」「資料作成」のように広く書かず、「商談後のお礼メール作成」「月次会議資料の要約」のように具体化します。
候補は最初から1件に絞らない
最初の棚卸しでは、候補を1件に決める必要はありません。
1部署から10〜30件程度を洗い出し、その後に評価する方が、比較しやすくなります。
現場担当者への聞き取りでは、次の質問が役立ちます。
- 毎週繰り返している作業は何か
- コピーや転記が多い作業は何か
- 文章を読む、書く、要約する作業は何か
- 担当者によって品質が変わる作業は何か
- 過去の資料を探すことに時間がかかっていないか
- 判断前の情報整理に時間がかかっていないか
- 本来の業務より事務作業に時間を取られていないか
「AIで何ができるか」と質問するより、「時間がかかっている作業は何か」と質問した方が、具体的な候補が出やすくなります。
AI導入対象業務を評価する6項目
棚卸しした候補業務は、次の6項目で評価します。
各項目を1〜5点で採点し、5点ほど最初のAI導入に向いている状態とします。
ここで注意したいのは、「誤りの影響」です。誤りの影響が小さい業務を5点、影響が大きい業務を1点として評価します。
| 評価項目 | 確認する内容 | 5点に近い状態 | 1点に近い状態 |
|---|---|---|---|
| 事業効果 | 時間、コスト、売上、品質などへの効果 | 効果が期待でき、数値で測定しやすい | 効果が小さく、測定も難しい |
| 発生量 | 業務の頻度や処理件数 | 毎日・毎週発生し、処理量が多い | 年に数回など、発生が少ない |
| 標準化度 | 手順や判断基準が整理されているか | 入力・手順・出力が明確 | 担当者の経験や勘への依存が大きい |
| データ準備度 | 必要な情報が使える状態か | データが整理され、利用条件も明確 | データがない、散在している、利用条件が不明 |
| 誤りの影響 | AIが間違えた場合の影響 | 社内で修正でき、影響が限定的 | 顧客、契約、法務、経営に大きく影響する |
| 人間の確認 | 出力を人が確認できるか | 現場担当者が短時間で確認できる | 正誤判断が難しく、確認者もいない |
| 【画像3 挿入位置】AI導入対象業務を評価する6項目 alt:AI導入対象業務を評価する6項目 |
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6項目の採点基準
採点する人によって点数が大きく変わらないように、1点、3点、5点の基準を決めておきます。
| 評価項目 | 1点 | 3点 | 5点 |
|---|---|---|---|
| 事業効果 | 効果が不明確で測定も難しい | 一定の時間削減が期待できる | KPIへの効果が明確で測定できる |
| 発生量 | 年に数回程度 | 月数回から週数回 | 毎日または大量に発生する |
| 標準化度 | 手順がなく属人化している | 基本手順はあるが例外が多い | 入力・処理・出力が定型化されている |
| データ準備度 | 必要データがない、利用可否が不明 | 一部整理されている | データが整理され、権限や利用条件も明確 |
| 誤りの影響 | 顧客、契約、金銭、法務に重大な影響 | 人の確認で一定程度防止できる | 社内限定で、簡単に修正・再実行できる |
| 人間の確認 | 正誤を判断できない | 専門担当者による確認が必要 | 現場担当者が短時間で確認できる |
2点と4点は、それぞれ中間の状態として評価します。
事業効果は大きさだけでなく測りやすさを見る
事業効果では、「重要な業務か」だけでなく、「導入効果を測定できるか」を確認します。
例えば、次のような指標が考えられます。
- 1件あたりの作業時間
- 月間の総作業時間
- 処理件数
- 修正回数
- 入力ミスの件数
- 顧客への回答時間
- 外注費
- 担当者の残業時間
- 資料作成に必要な日数
「社員の負担が減るはず」といった曖昧な目標では、AI導入の成果を判断できません。導入前に現在の数値を記録し、導入後に比較できる業務を優先しましょう。
発生量が多い業務ほど効果を積み上げやすい
1回あたりの削減時間が短くても、毎日発生する業務であれば、年間では大きな効果になります。
例えば、1件あたり5分を削減できる業務が、1日100件発生している場合、1日あたり500分の削減余地があります。
一方、年に1回しか行わない業務では、AIの設定や確認にかかる時間の方が大きくなる可能性があります。ただし、発生量が多くても、誤りの影響が大きい業務は慎重に判断します。
標準化されていない業務は先に業務整理が必要
AIは、入力情報と期待する出力が明確な業務で活用しやすくなります。
担当者ごとに手順が違う場合や、正解の基準が共有されていない場合は、AI導入前に次の整理が必要です。
- 業務手順の可視化
- 入力項目の統一
- 出力フォーマットの決定
- 判断基準の言語化
- 例外処理の整理
- 承認ルールの明確化
AI導入の検討によって、業務の属人化が見つかることもあります。その場合は、AIツールを入れるより、業務標準化を先に進めた方が効果的です。
データ準備度には品質と利用条件を含める
データ準備度では、データが存在するかだけでなく、実際にAIで使える状態かを確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
- 紙ではなくデジタルデータになっているか
- ファイル形式や項目名が統一されているか
- 重複、欠損、古い情報が多くないか
- 保存場所が整理されているか
- 利用権限が明確か
- 個人情報や機密情報を含んでいないか
- 外部AIサービスへ入力してよい情報か
- 著作権や契約上の利用制限がないか
自社データを外部のAIサービスで扱う場合は、サービスの利用規約、データ利用方針、保存設定、管理機能などを確認する必要があります。
誤りの影響は小さいほど高得点にする
誤りの影響は、AIが間違えたときに何が起こるかを考えます。
最初のAI導入に適しているのは、次のような業務です。
- 社内だけで使う
- 担当者が修正してから利用する
- 元データと比較できる
- 再実行できる
- 誤りがあっても金銭や契約に直接影響しない
反対に、次の業務は低い点数になります。
- 顧客へ自動送信する
- 価格や契約条件を決める
- 採用や人事評価の最終判断に使う
- 法務、税務、医療などの重要判断を行う
- 誤りを後から修正しにくい
AIを完全に使わないという意味ではありません。人間の承認、利用範囲の限定、専門家の確認などを含めた設計が必要という意味です。
人間の確認は容易なほど高得点にする
AIの出力を確認できるかどうかは、最初の業務選定で特に重要です。
例えば、会議に参加した担当者であれば、AIが作成した議事録の誤りを確認できます。営業担当者であれば、顧客へのメール下書きが適切かを判断できます。
一方、正解を判断するために別の専門家へ毎回確認しなければならない業務では、かえって確認コストが増える場合があります。
「AIが自動で処理できるか」ではなく、「人が安全に確認しながら使えるか」を評価しましょう。
6項目の評価表からAI導入の優先順位を決める方法
6項目を採点したら、合計点を使って候補業務を比較します。
ただし、合計点だけで最終決定してはいけません。
一次選定では合計点の高い業務を抽出する
6項目を各5点で評価すると、満点は30点です。まずは合計点の高い業務を3〜5件程度抽出します。
点数の目安は次のように考えられます。
| 合計点 | 一次評価の目安 |
|---|---|
| 24〜30点 | 優先候補として詳しく検討する |
| 18〜23点 | 条件を確認し、改善や外部相談を検討する |
| 12〜17点 | 標準化やデータ整備を先に進める |
| 6〜11点 | 現時点でのAI化は慎重に判断する |
この点数は絶対的な基準ではありません。自社の方針や業務特性に合わせて調整してください。
誤りの影響と人間の確認は安全条件として扱う
合計点が高くても、次の両方に当てはまる業務は、最初のAI導入から外した方が安全です。
- 誤りの影響が大きい
- 人が短時間で確認できない
例えば、顧客問い合わせへの自動返信は、発生量や事業効果の点数が高くなることがあります。しかし、誤った回答をそのまま送る設計では、顧客への影響が大きくなります。
この場合、最初から自動返信を目指すのではなく、AIが回答案を作成し、担当者が確認して送信する形に変更すれば、リスクを下げられます。
AI導入では、対象業務を変えるだけでなく、AIに任せる範囲を狭くする方法も検討しましょう。
効果の測定方法を決められる業務を優先する
候補業務ごとに、導入効果を測る指標を設定します。
| 業務例 | 評価指標の例 |
|---|---|
| 議事録作成 | 作成時間、修正回数、共有までの時間 |
| メール下書き | 作成時間、修正文字数、送信までの時間 |
| 問い合わせ分類 | 分類時間、分類精度、振り分けミス |
| 社内FAQ | 回答時間、検索時間、担当部署への問い合わせ件数 |
| レポート要約 | 読解時間、要約作成時間、修正回数 |
| 提案書作成 | 初稿作成時間、修正回数、完成までの日数 |
導入前の状態を記録していないと、AIによって本当に改善したか分かりません。
最初の候補は1〜3業務に絞る
複数部署で一斉に始めると、利用ルール、教育、問い合わせ対応、効果測定が複雑になります。最初は1部署、1〜3業務程度に絞りましょう。
小さく試すことで、次の情報を得られます。
- 現場がAIを使えるか
- どのような指示が必要か
- 出力のどこを修正するか
- どのデータを入力してよいか
- どの程度の時間削減になるか
- 継続利用に必要な教育は何か
- 他部署へ展開できるか
最初の導入は、全社展開ではなく、次の判断材料を得るための検証と考えることが重要です。
AI導入の優先順位表の例
以下は、業務候補を6項目で評価した例です。
| 【画像4 挿入位置】AI導入対象業務の優先順位マトリクス alt:AI導入対象業務の優先順位を決めるマトリクス |
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| 業務名 | 事業効果 | 発生量 | 標準化度 | データ準備度 | 誤りの影響 | 人間の確認 | 合計 | 一次判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会議議事録の初稿作成 | 4 | 5 | 4 | 5 | 5 | 5 | 28 | 優先候補 |
| 社内FAQの回答案作成 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 25 | 優先候補 |
| 月次報告書の要約 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 5 | 24 | 優先候補 |
| 顧客問い合わせへの自動返信 | 5 | 5 | 3 | 4 | 1 | 2 | 20 | 最初は避ける |
| 契約条件の自動判断 | 5 | 2 | 2 | 3 | 1 | 1 | 14 | 現時点では不向き |
顧客問い合わせへの自動返信は20点ありますが、誤りの影響と人間の確認の点数が低いため、そのまま自動化するのは適していません。
一方で、「顧客への自動返信」ではなく、「担当者が確認する回答案の作成」に変更すれば、誤りの影響と人間の確認の点数を上げられる可能性があります。
このように、評価結果を見ながらAIの役割を調整します。
AI導入の最初の業務として選びやすい例
ここでは、最初のAI導入として比較的検討しやすい業務を紹介します。実際の適否は、使用するデータ、社内ルール、確認体制によって異なります。
社内文書や議事録の要約
社内会議の議事録、報告書、長文資料などの要約は、最初の候補になりやすい業務です。
主な理由は次のとおりです。
- 社内利用に限定しやすい
- 元の文書と比較できる
- 担当者が内容を確認できる
- 作業時間を測りやすい
- 間違いがあっても共有前に修正できる
ただし、機密情報を含む文書を外部AIサービスへ入力する場合は、利用条件や社内ルールを確認してください。
メールや資料の初稿作成
メール、提案書、報告書、社内通知などの初稿作成も、生成AIを試しやすい業務です。
ポイントは、完成品をそのまま使用するのではなく、「下書きの作成」に限定することです。
AIに次の情報を与えると、出力を安定させやすくなります。
- 誰に送る文章か
- 文章の目的
- 必ず含める情報
- 避ける表現
- 希望する長さ
- 過去の参考例
- 出力形式
担当者が最終確認する運用にすれば、誤りの影響を限定できます。
情報の分類・整理・タグ付け
大量の問い合わせ、アンケート回答、社内文書などを分類する業務も候補になります。
例えば、次のような活用方法があります。
- 問い合わせ内容をカテゴリ別に分ける
- アンケートの自由記述をテーマ別に整理する
- 営業日報から課題を抽出する
- 社内文書へタグを付ける
- 顧客の声を肯定、要望、不満などに分類する
まず一部のデータで試し、人の分類結果と比較すると効果を評価しやすくなります。
社内FAQの回答案作成
社内規程、マニュアル、手順書などを基に、社員からの質問への回答案を作る方法です。
最初から回答を完全自動化するのではなく、担当部署が確認してから回答する形が安全です。
次のような業務で検討できます。
- 経費精算の手順
- 休暇申請の方法
- 社内システムの利用方法
- 備品購入の申請
- 社内研修の案内
- 各種申請の提出先
情報が古い場合は誤回答につながるため、参照する文書の更新管理も必要です。
定型的なデータ集計やレポート作成補助
毎月同じ形式で作成するレポートや、定型的なデータ集計も候補になります。
ただし、数値計算を生成AIだけに任せるのではなく、表計算ソフト、BIツール、既存システムと組み合わせることが重要です。
AIには、集計結果の説明文作成、変化点の抽出、報告書の構成案作成などを任せる方法があります。
| 内部リンク設定:中小企業のAI導入事例(URLを設定) |
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最初のAI導入には向かない業務
AIの導入効果が期待できても、最初の業務としては適さないものがあります。
誤りが顧客や取引先へ直接影響する業務
次のような業務を最初から完全自動化するのは慎重に判断しましょう。
- 顧客への問い合わせ回答
- 見積金額の提示
- 納期の確約
- 契約条件の提示
- クレーム対応
- 商品やサービスに関する重要説明
まずは回答案の作成や、担当者向けの参考情報提示に限定し、人の確認を入れる方法が適しています。
法務・人事・医療など重要判断を伴う業務
法律、契約、採用、人事評価、健康、安全などに関する判断は、誤りの影響が大きくなります。
AIを情報整理や文書の初稿作成に使うことはできますが、最終判断をそのまま任せるべきではありません。利用する場合は、専門家や責任者の確認を前提にします。
業務手順や判断基準が整理されていない業務
担当者によって作業方法が違う、判断理由を説明できない、例外が多すぎるといった業務は、先に標準化が必要です。
AI化を急ぐより、次の改善を進めましょう。
- 手順書を作る
- 入力項目を統一する
- 判断基準を共有する
- 不要な工程を削除する
- 承認フローを見直す
- データの保存場所を統一する
業務を整理した結果、AIを使わずに改善できる場合もあります。
正解を判断できる担当者がいない業務
AIの出力品質を確認できる担当者がいない場合、検証を進められません。
ベンダーが技術的にシステムを構築できても、業務として正しいかどうかは自社で判断する必要があります。対象業務の知識を持つ現場担当者を、企画段階から参加させましょう。
発生頻度が低く、改善効果を測れない業務
年に数回しか発生しない業務は、AI導入の設定や教育にかかる負担に対して、効果が小さくなることがあります。
例外的に、1回あたりの負担が非常に大きい場合は検討できますが、最初の候補としては、繰り返し発生する業務を優先した方が成果を測りやすくなります。
選定した業務を4つに分類する
6項目で評価した後は、対象業務を次の4つに分類します。点数だけで分類するのではなく、技術的な複雑さ、システム連携、セキュリティ、要件の明確さも確認します。
| 【画像5 挿入位置】選定した業務を進め方別に分ける4分類 alt:AI導入候補業務を進め方別に分ける4分類 |
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1.社内だけで試せる業務
既存の生成AIや業務ツールを使い、小さな範囲で試せる業務です。
主な条件は次のとおりです。
- 社内利用に限定できる
- 誤りの影響が小さい
- 担当者が出力を確認できる
- 大規模なシステム連携が不要
- 汎用的なAI機能で対応できる
- 対象データの取り扱いを管理できる
- 効果を短期間で測定できる
業務例としては、次のものがあります。
- 会議議事録の初稿
- 社内文書の要約
- メールの下書き
- アイデアの整理
- 報告書の構成案
- 社内向けFAQの回答案
- アンケート回答の仮分類
社内で試す場合でも、入力してよい情報、利用者、確認方法、保存方法などのルールを決めておきましょう。
| 内部リンク設定:生成AIの社内ガイドラインの作り方(URLを設定) |
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2.ベンダーへ相談した方がよい業務
対象業務と目的は明確ですが、技術やセキュリティの面で専門的な確認が必要な業務です。
次の条件に該当する場合は、AIベンダーやシステム会社への相談を検討します。
- 基幹システムや顧客管理システムと連携したい
- 複数のAIツールを比較する必要がある
- 大量の文書やデータを処理したい
- アクセス権限を細かく設定したい
- 操作履歴や監査ログが必要
- 自社データを検索・参照させたい
- セキュリティ要件を整理する必要がある
- 導入費用と運用費用を比較したい
業務要件がある程度明確であれば、複数のベンダーへ同じ条件を提示して比較しやすくなります。
| 内部リンク設定:AIベンダーの選び方|比較項目と失敗しない選定ポイント(URLを設定) |
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3.自社とベンダーで共同設計する業務
事業効果は期待できるものの、業務プロセスや必要な機能がまだ明確ではない場合は、自社とベンダーで共同設計します。
次のような業務が該当します。
- 複数部署をまたぐ
- 現在の業務フロー自体を変更する必要がある
- 現場の判断をどこまでAIへ任せるか決まっていない
- 自社独自のデータやルールが多い
- 既存システムとの複雑な連携がある
- PoCを通じて要件を明確にする必要がある
- 将来的な全社展開を想定している
共同設計では、自社が業務知識を提供し、ベンダーが技術的な選択肢を提示します。
ベンダーへすべて任せるのではなく、次の点は自社で決める必要があります。
- 解決したい業務課題
- 対象となる利用者
- AIに任せる範囲
- 人が判断する範囲
- 成功と判断する指標
- 利用できるデータ
- 許容できる誤り
- 本番化の条件
4.現時点ではAI化しない方がよい業務
AIを導入しないことも、重要な判断です。
次のような業務は、現時点でのAI化を見送る方がよい場合があります。
- 発生量が少ない
- 導入効果を測れない
- 誤りの影響が非常に大きい
- 人による確認が難しい
- 必要なデータが存在しない
- データの利用条件が不明
- 業務ルールが整理されていない
- 通常のシステム化で解決できる
- 作業自体を廃止できる
- AIを使うより手順変更の方が効果的
「AI化しない」という結論は、検討の失敗ではありません。まず業務を標準化する、データを整備する、不要な工程を削除するなど、準備を進めた後に再評価できます。
4分類の判断表
| 判断項目 | 社内だけで試せる | ベンダーへ相談 | 共同設計 | 現時点ではAI化しない |
|---|---|---|---|---|
| 業務要件 | 明確 | おおむね明確 | 未整理部分が多い | 不明確 |
| 誤りの影響 | 小さい | 管理方法の検討が必要 | 設計次第 | 大きい |
| 人の確認 | 容易 | 可能 | 確認方法から設計 | 困難 |
| システム連携 | 不要または簡単 | 必要 | 複雑 | 判断できない |
| データ | 利用可能 | 専門確認が必要 | 整備も含めて設計 | 不足・利用不可 |
| 適した進め方 | 小規模な社内試行 | 要件を整理して相談 | PoCを含む共同検討 | 業務整理を優先 |
4分類後に取るべき次の行動
対象業務を分類したら、それぞれに合った次の行動を決めます。
社内で試す場合は内製と外注の範囲を決める
社内だけで試せる業務でも、すべてを内製する必要はありません。
例えば、実際の利用は社内で行い、次の部分だけ外部へ依頼する方法があります。
- 社内ガイドラインの作成
- セキュリティ確認
- 初期設定
- 研修
- プロンプトやテンプレートの作成
- 効果測定の設計
- 利用状況の分析
社内の人材、時間、必要な専門性を踏まえ、どこまで自社で対応するかを決めましょう。
| 内部リンク設定:AI導入は内製と外注のどちらがよい?判断基準と進め方(URLを設定) |
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外部支援が必要な場合はAIベンダーの選定基準を確認する
AIベンダーを選ぶ際は、技術力や実績だけでなく、自社業務を理解しようとする姿勢も重要です。
主な比較項目は次のとおりです。
- 対象業務に近い支援実績
- 業務分析の進め方
- PoCの設計方法
- セキュリティ体制
- データの取り扱い
- システム連携への対応
- 費用の内訳
- 導入後の運用支援
- 社員教育への対応
- 本番化後の改善方法
問い合わせ前に対象業務と評価指標を整理しておくと、提案内容を比較しやすくなります。
| 内部リンク設定:AIベンダーの選び方|比較項目と失敗しない選定ポイント(URLを設定) |
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| 内部リンク設定:AI導入の費用相場と予算の考え方(URLを設定) |
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小さなPoCを設計し、本番化の条件を決める
PoCは、技術的に動くかどうかだけを確認するものではありません。実際の業務で使えるか、本番運用に進む価値があるかを判断するために行います。
PoCを始める前に、次の点を決めておきましょう。
- 対象業務
- 利用者
- 実施期間
- 使用するデータ
- AIに任せる範囲
- 人が確認する範囲
- 評価指標
- 成功基準
- 中止基準
- 本番化した場合の運用方法
成功基準がないままPoCを行うと、「便利そうだった」という感想だけで終わることがあります。
| 内部リンク設定:AI PoCを本番化するには?検証項目と移行判断のポイント(URLを設定) |
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外部サービス利用前に契約条件を確認する
AIツールやベンダーのサービスを利用する際は、契約内容を確認します。
特に確認したい項目は次のとおりです。
- 入力データの利用範囲
- データの保存期間
- AIの学習への利用有無
- 成果物の知的財産権
- 秘密保持
- 再委託
- セキュリティ事故時の対応
- サービス停止時のデータ返却
- 契約終了後のデータ削除
- 出力結果に問題があった場合の責任範囲
契約条件はサービスや提供会社によって異なります。重要な業務に利用する場合は、法務担当者や専門家と確認しましょう。
| 内部リンク設定:AI導入契約で確認すべき項目|データ・知的財産・責任範囲(URLを設定) |
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| 【画像6 挿入位置】業務棚卸しからPoC・本番化までの導入ロードマップ alt:AI業務選定からPoCと本番化までの導入ロードマップ |
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選んだ業務を小さく試すための進め方
最初の対象業務を選んだら、範囲を限定して試します。
1.導入前の基準値を記録する
AIを使う前に、現在の業務状況を記録します。例えば、議事録作成であれば、次の数値を確認します。
- 1回あたりの作成時間
- 月間の会議回数
- 修正回数
- 完成までの日数
- 作成担当者数
- 議事録の共有率
- 内容確認にかかる時間
導入前の数値がなければ、改善効果を判断できません。
2.対象範囲と期間を限定する
最初は、1部署、1チーム、一定件数などに限定します。例えば、次のように範囲を決めます。
- 営業部の週次会議だけを対象にする
- 1か月間、20件の議事録で試す
- 社内向け文書だけを扱う
- 3人の担当者だけが利用する
- 顧客への送信には使用しない
範囲を限定すれば、問題が起きても影響を抑えられます。
3.AIに任せる範囲と人が確認する範囲を決める
AIへ業務全体を任せるのではなく、一部を担当させます。例えば、議事録作成では次のように分担できます。
| 工程 | 担当 |
|---|---|
| 音声の文字起こし | AI |
| 発言内容の要約 | AI |
| 決定事項の候補抽出 | AI |
| 決定事項の確定 | 人 |
| 担当者と期限の確認 | 人 |
| 社内共有 | 人 |
AIの役割を「候補の提示」「初稿の作成」「情報整理」にすると、導入初期のリスクを抑えられます。
4.成功・継続・中止の基準を事前に決める
検証後の判断基準を事前に設定します。例として、次のような基準があります。
- 作業時間を30%以上削減できる
- 重大な誤りが発生しない
- 修正時間を含めても従来より短い
- 担当者の一定割合が継続利用を希望する
- 1件あたりのコストが許容範囲内である
- 社内のセキュリティ要件を満たす
- 他部署へ展開できる見込みがある
目標を達成できなかった場合でも、すぐにAIが使えないと判断する必要はありません。対象業務、入力データ、指示内容、利用方法のどこに問題があったかを確認します。
5.結果だけでなく修正内容を記録する
AIの出力を担当者が修正した場合は、修正箇所を記録します。例えば、次のように分類します。
- 固有名詞の誤り
- 数値の誤り
- 重要事項の抜け
- 不要な情報の追加
- 表現が不自然
- 社内ルールに合わない
- 出力形式が違う
- 判断基準を満たしていない
同じ修正が繰り返される場合は、指示文や入力方法を改善できます。修正しても改善しない場合は、別のツール、別のデータ、別の業務を検討します。
AI導入の業務選定を成功させるポイント
現場担当者を業務選定に参加させる
AI導入を経営層や情報システム部門だけで決めると、現場の業務に合わない可能性があります。
現場担当者は、次の情報を持っています。
- 実際に時間がかかっている工程
- 例外処理
- 顧客や取引先との関係
- 品質を判断する基準
- 過去に起きたミス
- 利用するデータの場所
- 現在のシステム上の制約
少なくとも、業務担当者、管理者、システムやセキュリティの担当者を含めて検討しましょう。
完全自動化ではなく人の作業を補助するところから始める
AI導入というと、人が行っている業務をすべて自動化するイメージを持たれることがあります。
しかし、最初から完全自動化を目指すと、確認方法や例外対応が複雑になります。まずは次のような補助から始めましょう。
- ゼロから作る作業を初稿作成に変える
- 大量の文書を読む前に要約させる
- 情報を探す前に候補を提示させる
- 分類作業を仮分類にする
- 判断前の情報を整理させる
- 報告書の構成案を作らせる
人が最終判断を行う設計にすれば、現場も導入しやすくなります。
成功しやすさと事業効果のバランスを見る
簡単すぎる業務では、AIを導入しても事業への効果がほとんど出ない場合があります。
一方、最も重要な業務では、リスクや技術的な難易度が高すぎることがあります。最初の業務は、次の中間にあるものを探します。
- 一定の業務量がある
- 効果を測定できる
- 入力と出力が整理されている
- 誤りを人が確認できる
- 失敗しても影響を限定できる
- 将来的に他業務へ展開できる
「小さいが意味のない業務」ではなく、「小さく始められ、次につながる業務」を選びましょう。
見送った業務も理由を記録する
今回は対象にしなかった業務についても、理由を残します。例えば、次のように記録します。
- データが不足している
- 業務ルールが未整備
- 誤りの影響が大きい
- 確認担当者がいない
- 現在システムを更新中
- 費用対効果が見込めない
- 通常の業務改善を優先する
半年後や1年後に状況が変われば、再評価できます。
最初から全社展開を前提にしない
一部の業務で成功しても、全社で同じように使えるとは限りません。部署によって、扱うデータ、求める品質、業務ルール、セキュリティ要件が異なります。
最初の業務で得た知見を基に、類似業務へ段階的に広げましょう。
1.1業務で試す
2.同じ部署の類似業務へ広げる
3.別部署で再評価する
4.共通ルールや教育を整備する
5.全社展開を検討する
この順番で進めることで、現場に定着しやすくなります。
AI導入の業務選定に関するよくある質問
AI導入はどの部署から始めるのがおすすめですか?
特定の部署から始めるのではなく、効果を測りやすく、誤りの影響を限定でき、現場担当者が結果を確認できる業務がある部署を選ぶのがおすすめです。営業、総務、マーケティングなど部署名だけで決めず、「議事録の初稿作成」「社内文書の要約」のような業務単位で評価しましょう。
生成AIを無料プランで試してから検討してもよいですか?
小規模な検証で利用することは可能ですが、個人情報、顧客情報、未公開情報、契約書などを安易に入力しないよう注意が必要です。利用規約、入力データの取り扱い、保存設定、管理機能を確認し、社内で入力可能な情報を決めたうえで試してください。
| 内部リンク設定:生成AIの社内ガイドラインの作り方(URLを設定) |
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業務データが整理されていなくてもAIを導入できますか?
一般的な文章の下書きやアイデア整理であれば、自社データが十分に整理されていなくても始められる場合があります。一方、自社文書の検索、問い合わせ回答、予測などに活用する場合は、データの整理、更新、利用権限、品質確認が必要です。データ整備をAI導入の準備段階として進めましょう。
事業効果が最も大きい業務を最初に選ばない方がよいのですか?
事業効果だけで決めるのは避けた方がよいでしょう。効果が大きくても、誤りが顧客や契約に影響する業務や、人が結果を確認できない業務は、最初の対象として難易度が高くなります。効果の測りやすさ、誤りの影響、人間による確認を合わせて判断することが重要です。
社内で試すか、AIベンダーへ相談するか迷った場合はどうすればよいですか?
システム連携、機密情報、大量データ、複数部署、個別開発が関係する場合は、早めにベンダーへ相談する方が安全です。ただし、相談前に対象業務、現在の作業時間、利用データ、期待する効果を整理しておくと、提案を比較しやすくなります。業務要件自体が決まっていない場合は、共同設計に対応できるベンダーを検討しましょう。
まとめ|AI導入は測りやすく、低リスクで、評価できる業務から始める
AI導入は、特定のツールを契約することから始めるのではありません。まずは自社業務を棚卸しし、AIを適用する対象と優先順位を整理します。
最初の業務を選ぶ手順は次のとおりです。
1.部署ではなく具体的な業務単位で洗い出す
2.入力・処理・出力に分解する
3.事業効果、発生量、標準化度、データ準備度、誤りの影響、人間の確認の6項目で評価する
4.合計点だけでなく、誤りの影響と確認体制を重視する
5.最初の候補を1〜3業務に絞る
6.社内試行、ベンダー相談、共同設計、見送りの4つに分類する
7.小さな範囲で試し、効果を数値で確認する
最初に選ぶべきなのは、最も規模が大きい業務ではありません。
| 記事の要点 効果を測りやすく、失敗しても顧客や事業への影響が限定的で、現場担当者が評価できる業務を選ぶことが、AI導入を次の段階へ進めるための重要なポイントです。 |
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| 【画像7 挿入位置】自社業務をAI導入の進め方別に分類する業務選定診断 alt:自社業務をAI導入の進め方別に分類する業務選定診断 |
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| 自社のどの業務からAIを試すべきか整理しませんか? AI導入では、ツールを選ぶ前に、対象業務と進め方を整理することが重要です。 「AIを活用できそうな業務はあるが、優先順位を決められない」「社内だけで試せるのか、ベンダーへ相談すべきか分からない」という場合は、業務選定の段階からご相談ください。 業務の発生量、標準化度、データの状態、誤りが起きた場合の影響、人による確認体制などを整理し、自社業務を次の3つに分類します。 今すぐ小さく試せる業務 自社と専門家による共同設計が必要な業務 現時点ではAI化より業務整理を優先すべき業務 共同設計が必要な業務については、さらに「ベンダーへ相談すれば進められる業務」と「業務フローから共同で設計する業務」に分けて検討します。 AIの導入を前提に押し進めるのではなく、現時点ではAI化しない方がよい業務も含めて整理します。 相談前に整理しておくとスムーズな項目 候補となる業務名 担当部署 月間の発生件数 現在の作業時間 入力に使うデータや資料 AIが誤った場合の影響 出力結果を確認できる担当者 現在利用しているシステム 希望する導入時期 CTAボタン文言案 自社のAI対象業務を相談する AI業務選定について問い合わせる AI導入の優先順位を整理する |
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| 内部リンク設定:AI導入で使える補助金・支援制度(URLを設定) |
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自社のどの業務からAIを試すべきか整理しませんか?
AI導入では、ツールを選ぶ前に、対象業務と進め方を整理することが重要です。「AIを活用できそうな業務はあるが、優先順位を決められない」「社内だけで試せるのか、ベンダーへ相談すべきか分からない」という場合は、業務選定の段階からご相談ください。業務の発生量、標準化度、データの状態、誤りが起きた場合の影響、人による確認体制などを整理し、自社業務を「今すぐ小さく試せる業務」「自社と専門家による共同設計が必要な業務」「現時点ではAI化より業務整理を優先すべき業務」の3つに分類します。AIの導入を前提に押し進めるのではなく、現時点ではAI化しない方がよい業務も含めて整理します。まずは お問い合わせフォーム から、自社のAI対象業務についてお気軽にご相談ください。
