FAX・電話受注と発注書の手入力をなくす|卸・スーパー相手の受発注をAIで取り込む手順
食品・飲料メーカーでは、卸会社やスーパー、飲食店、給食事業者などから届く注文を、いまだにFAXや電話で受け付けているケースが少なくありません。
問題は、FAXそのものではありません。
本当に時間がかかっているのは、届いた注文書を担当者が読み、FAX → 紙 → Excel → 販売管理システム → 出荷指示と何度も転記していることです。
「FAX受注の手入力をなくしたい」と考えながらも、取引先ごとに発注書の様式が違う、電話注文も混ざっている、Excelを今すぐなくすのは難しい、販売管理システムを入れ替える余裕はない、EDIは大手企業向けではないか、AIに任せて誤出荷が起きるのが怖い、といった理由で自動化を諦めている企業もあります。
しかし、すべての取引先に注文方法を変えてもらう必要はありません。
現在のFAXやメールを残したまま、届いた発注書をAIで読み取り、受注台帳の下書きを作り、人が確認して確定するところから始める方法があります。
この記事では、中小規模の食品メーカーを想定し、FAX・電話・メール・EDIが混在する受発注業務をどのような順番で自動化すればよいのかを具体的に解説します。
食品メーカーの受注業務は「FAXをなくす」より「転記をなくす」ことから始める
食品メーカーが受注業務を効率化するとき、最初から「FAXを廃止しよう」と考える必要はありません。取引先によっては長年FAXで発注しており、自社だけの都合でWeb注文やEDIへ切り替えてもらうことが難しいためです。

重要なのは、注文が届く方法ではなく、その後に人が何回入力しているかです。
FAX・電話・メール・EDIが混在するのは珍しくない
食品メーカーの取引先は一種類ではありません。たとえば、大手スーパーとはEDIで受発注している一方で、地域の卸会社からはFAX、飲食店からは電話、別の得意先からはExcelやPDFがメールで届く、といった状況があります。
そのため、「すべての注文方法を統一しないと自動化できない」と考えると、いつまでたっても改善が進みません。受注経路が複数あっても、自社に入ってきた後のデータ形式をそろえることはできます。
FAXなら画像やPDF、メールなら添付PDFやExcel、EDIなら電子データとして受け取り、最終的に同じ受注項目へ整理するという考え方です。
自動化すべきなのは「人が読んで入力している部分」
AI活用の入口として優先したいのは、人が見れば判断できるが、毎日繰り返している転記作業です。
- 得意先コード
- 商品コード
- 商品名
- 数量
- ケース数
- 納品希望日
- 納品先
発注書を見ながらこれらをExcelへ入力しているのであれば、その作業は自動化を検討しやすい部分です。
人が発注書を読む → 人が入力する から AIが発注書を読む → AIが下書きを作る → 人が確認する へ変えるのが現実的な第一歩です。
まず現在の転記経路を図にする
受注業務を自動化する前に、現在の業務フローを見える化します。ツール選びから始めるより、先に「どこで同じ情報を入力し直しているか」を確認した方が、自動化する場所を判断しやすくなります。
FAX→紙→Excel→販売管理→出荷指示を整理する
たとえば、次のような流れです。
| 工程 | 現在の作業 |
|---|---|
| 受信 | 複合機でFAXを受信 |
| 確認 | 発注書を担当者が紙で確認 |
| 一次入力 | Excelの受注台帳へ入力 |
| 二次入力 | 販売管理システムへ再入力 |
| 確認 | 在庫や納期を確認 |
| 出荷 | 倉庫・製造部門へ出荷指示 |
| 請求 | 販売実績から請求処理 |
この流れで重要なのは、同じ注文について何回「人がキー入力しているか」です。Excelへ入力し、販売管理システムへもう一度入力しているのであれば、すでに二重入力が発生しています。さらに出荷指示書を別途作成している場合は、三重入力になっている可能性もあります。
同じ情報を何回入力しているか確認する
- 取引先名
- 得意先コード
- 注文番号
- 商品コード
- 商品名
- 数量
- 単位
- 納品日
- 納品先
- 備考
同じ商品コードや数量を複数回入力しているのであれば、その間をデータでつなげられないか検討します。「受注 Excel コピペ システム」の状態を改善したい場合も、単にExcelを廃止することが答えとは限りません。まずExcelへの入力自体をAIで下書きし、その後に販売管理システムへつなぐ方法もあります。
電話注文も「記録→確認→登録」の流れで整理する
- 電話で注文を聞く
- メモを取る
- 内容を復唱する
- Excelへ入力する
- 販売管理へ登録する
電話注文も、聞いた内容をどう記録し、どう受注データへ変えるかを整理します。電話内容の録音や文字起こしを利用する場合は、取引先への案内や個人情報・通話データの管理方法なども含め、社内ルールを整える必要があります。
取引先ごとに発注書の様式が違ってもAIなら読み取りやすくなった
FAX受注を自動化できない理由としてよく挙げられるのが、「得意先ごとに発注書のレイアウトが違う」という問題です。ある取引先では左上に注文番号があり、別の取引先では右上にある。商品コードの列名も「品番」「商品CD」「商品番号」など異なる、といったケースです。
従来のOCRとAIを組み合わせた読み取りの違い
OCRは、画像やPDFに含まれる文字を読み取ってテキスト化する技術です。ただし、「文字を読めること」と「その文字が何を意味するか理解できること」は別です。
そこでAIを組み合わせると、「この数字は数量らしい」「これは納品日である可能性が高い」「この列は商品コードを表している」といった形で、文書の構造や周辺の情報をもとに整理しやすくなります。
文字を読む → 項目の意味を判断する → 受注データの形に整理する
これにより、発注書の様式が複数ある場合でも、一種類ずつ完全固定された入力フォームを作らなければならないケースを減らせます。ただし、どんな書類でも100%正確に読み取れるという意味ではありません。
AIが読み取る主な受注項目
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 取引先 | 得意先名、店舗名 |
| 注文番号 | 発注番号、伝票番号 |
| 商品情報 | 商品コード、商品名 |
| 数量 | ケース、個、箱など |
| 納品日 | 指定納品日、希望日 |
| 納品先 | 店舗、センター、倉庫 |
| 備考 | 時間指定、特記事項など |
AIが読み取った結果を、あらかじめ決めた受注データの形式へそろえます。取引先ごとに「発注書の見た目」が異なっていても、社内で必要になる受注データは共通していることが多いためです。
FAXの画質・手書き・略称は完全にはなくならない
- FAX画像がかすれている
- 原稿が傾いている
- 手書き修正がある
- 「1」と「7」などが判別しにくい
- 商品名が社内略称になっている
- 単位が省略されている
食品の受注では、数量や商品を間違えると誤出荷や欠品につながります。そのため最初は、AIの読み取り結果をそのまま確定データにせず、担当者が確認してから登録する設計が安全です。
FAX・メール注文をAIで読み取り、受注台帳の下書きを作る
「発注書の転記をAIで自動化したい」という場合、最初から販売管理システムへ直接登録する必要はありません。次の4段階で考えると導入しやすくなります。
ステップ1|FAXやPDFをデータとして取り込む
最初のポイントは、紙になる前にデータとして扱える状態にすることです。たとえばFAXを複合機で紙出力するだけではなく、PDFとして保存できるようにします。メールで届くPDFは、そのまま読み取り対象にできます。AIに読ませるために、まず注文書をデジタルデータとして集められる状態を作ることが重要です。
ステップ2|AIが注文内容を項目ごとに整理する
次に、注文書から必要な受注情報を抽出します。たとえば、取引先、商品コード、商品名、数量、納品日などを整理します。この段階では「受注確定」ではなく、あくまでAIが作った候補データです。
ステップ3|受注台帳やExcelへ下書きを作る
現在Excelで受注管理している場合、すぐにExcelを廃止する必要はありません。AIが読み取った情報をExcel、スプレッドシート、クラウド型受注台帳、データベースなどへ受注の下書きとして登録する方法があります。これだけでも、発注書を見ながら一行ずつExcelへコピペ・手入力する作業を減らせます。
ステップ4|担当者が確認して受注を確定する
最後に担当者が、取引先、商品コード、数量、単位、納品日、備考などを確認します。問題がなければ受注確定です。この方式であれば、AIに全面的な判断を任せるのではなく、「入力作業をAIに任せ、責任が必要な確認は人が担当する」ことができます。
Excelへのコピペを減らしたら販売管理システムとの連携を考える
受注台帳への手入力を減らせたら、次に考えたいのが販売管理システムとの連携です。
最初からExcelを捨てる必要はない
DXというと「今使っているExcelを全部やめなければならない」と思われがちです。しかし、現場で長年使っているExcelを突然廃止すると、かえって混乱する場合があります。第一段階では「FAX → AI → Excelの受注台帳」でも構いません。そのうえで「Excel → 販売管理システム」の転記が残っているのであれば、第二段階として連携を検討します。
CSV連携・API連携・RPAの違い
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| CSV連携 | ファイルを出力・取り込みしてデータを移す |
| API連携 | システム同士が直接データを受け渡す |
| RPA | 人が画面で行っている操作を自動化する |
どれが最適かは、現在利用している販売管理システムによって異なります。CSV取り込み機能があれば比較的シンプルに連携できる場合があります。APIを提供しているシステムなら、よりリアルタイムな連携を検討できます。一方、外部連携機能が乏しい古いシステムでは、RPAなど別の方法が必要になることがあります。
二重入力をなくすことが次の改善ポイント
AIでExcelへの入力だけを自動化しても、その内容を担当者が販売管理システムへ再入力していれば、まだ効率化の余地があります。理想的には「発注書 → 受注データ → 販売管理」と、同じデータを再利用できる状態を目指します。
誤読・誤出荷・二重登録を防ぐチェック設計
FAX受注の自動化で重要なのは、自動化率を上げることだけではありません。間違った受注を確定させない仕組みを作ることの方が重要です。
AIに確定させない項目を決める
- 商品コード
- 商品名
- 数量
- 単位
- 納品日
- 納品先
食品の場合、「10個」と「10ケース」では出荷量が大きく異なります。読み取り自体が成功していても、単位の解釈を誤れば重大なミスにつながります。
マスターデータと照合する
- 存在しない商品コード
- その取引先では通常注文されない商品
- 通常より極端に多い数量
- 存在しない納品先
- 廃番商品
単に「AIが読み取った文字が合っているか」を確認するだけではなく、業務上あり得る注文かどうかもチェックします。
同じ注文を二重登録しない仕組みを作る
FAXでは、送信側が「届いたか不安だから再送する」ということがあります。AIが届いた書類をすべて新規注文として処理すると、同じ発注書を二重登録する危険があります。注文番号、取引先、発注日、納品日、商品、数量などを組み合わせて、既存注文との重複を確認します。再送された可能性がある注文は、自動登録せず確認対象へ回す設計が安全です。
「例外だけ人が見る」運用を目指す
導入直後は全件確認でも構いません。運用を続けて読み取り精度やチェック条件が安定してきたら、通常案件の確認を簡略化し、読み取り信頼度が低い、数量が異常、未登録商品、手書き修正あり、重複の可能性あり、といった注文だけを重点確認する方式へ移行できます。目標は「人をゼロにする」ことではなく、人が確認しなくてよい通常案件を増やすことです。
AIエージェントを使うと受注後の処理までつなげられる
受注データを正しく取り込めるようになると、自動化の対象を後工程へ広げられます。

受注→在庫引当→出荷指示→請求を一本の流れにする
- 注文を受け取る
- 受注データを作る
- 在庫を確認する
- 在庫を引き当てる
- 出荷指示を作る
- 出荷実績を記録する
- 請求データへつなげる
AIエージェントを利用する場合も、単に文章を作るだけではなく、定められた業務手順に沿って複数の処理を進め、必要な場面で人へ確認を求める設計が重要です。
人は判断や例外処理だけを担当する
通常の注文なら自動で処理を進め、「在庫が足りない」「通常と比べて注文数が極端に多い」「新しい納品先が指定されている」といった例外だけ、人へ確認を求める仕組みにします。
いきなりエージェント化せず受注入力から始める
発注書読み取り → 受注台帳 → 販売管理 → 在庫 → 出荷 → 請求
受注から請求までを最初から一気に自動化するのはおすすめしません。受注データ自体が正しく作れなければ、その後の在庫・出荷・請求もすべて間違ってしまうためです。
EDI対応は大手だけの話ではない|中小食品メーカーの現実的な対応方法
食品業界の受発注を考えるうえで避けて通れないのがEDIです。「EDI対応 食品 中小」と検索している方の中には、「大手スーパーと取引する会社だけの仕組みではないか」と感じている方もいるでしょう。
EDIとは取引先と注文データを直接やり取りする仕組み
EDIは、企業間で受発注などの取引データを電子的に交換する仕組みです。FAXでは人が注文書を見て入力しますが、EDIでは受発注データを電子データとして受け渡せます。流通業界ではEDIが長く活用されており、流通BMSもそのための標準的な仕組みの一つです。
すべての取引先を一度にEDI化する必要はない
- 大手スーパー:EDI
- 地域卸:FAX
- 飲食店:電話やメール
- その他:Web注文
混在状態でも問題ありません。重要なのは、入口が違っていても、最終的に自社の受注データへまとめられることです。
取引先からEDI対応を求められたときに確認すること
- 指定されているEDI方式
- 必要なデータ形式
- 接続方法
- 初期費用・月額費用
- 自社の販売管理システムとの連携可否
- 受注だけか、出荷・請求まで対象か
- 導入期限
「EDI対応してください」と言われただけで、すぐ特定のシステムを契約するのではなく、相手が求めている仕様を確認する必要があります。
FAX自動取り込みとEDIは対立するものではない
FAXのAI取り込みを進めた後にEDIへ対応したとしても、それまでの改善が無駄になるとは限りません。FAXでもEDIでも、最終的に必要なのは、取引先、商品、数量、納期、納品先などを正しい受注データとして販売管理へ渡すことだからです。受注データを共通化する設計ができていれば、新しい受注チャネルを追加しやすくなります。
補助金の活用を検討する場合は、その時点の公募要領、対象ツール、対象経費、申請条件、事務局の最新情報を確認してください。制度内容は変更される可能性があり、採択や補助を保証するものではありません。
FAX受注のAI自動化で得られるメリット
手入力とコピペを減らせる
最も分かりやすい効果は、発注書を見ながらExcelへ入力する作業を減らせることです。受注件数が増えるほど、1件あたり数分の入力作業でも大きな負担になります。
入力ミスや転記漏れを減らしやすい
人による入力では、一桁間違える、行を飛ばす、別の商品へ入力する、納品日を間違えるといったミスが起こり得ます。AIも誤読する可能性はありますが、マスター照合や異常値チェックと組み合わせれば、多段階で確認できます。
受注処理から出荷指示までを早めやすい
FAXが届いてから担当者が入力するまで注文情報が止まっている場合、受注データ化を早めることで、在庫確認や出荷準備にも早く着手できます。
属人化を減らし、繁忙時間帯にも対応しやすくなる
「あの得意先の発注書は○○さんしか分からない」という状態も改善対象です。取引先ごとの読み方や入力ルールを仕組みとして整理すれば、担当者個人の経験だけに依存しにくくなります。
導入前に知っておきたい注意点
FAXの画質次第では読み取り精度が下がる
AIを使っても、元データが読めなければ正確な抽出は困難です。かすれ、傾き、黒つぶれなどが頻繁に発生する場合は、FAXの受信方法自体も見直す必要があります。
商品マスターが整理されていないと自動化しにくい
同じ商品なのに複数の名称で呼んでいる、得意先コードと社内商品コードの対応が整理されていない、といった状態では、自動化後も判断が難しくなります。AI導入と同時に、商品・得意先・納品先マスターの整理も進めることが重要です。
例外注文まで最初から自動化しない
定番商品の通常注文と、特注品・新商品・返品・訂正注文では処理方法が異なります。まずは件数が多く、ルールが明確な通常注文から始めましょう。
現在の販売管理システムが外部連携できるか確認する
CSVインポート、API、データベース連携、RPAなど外部操作の可否を確認します。システムの仕様によって、実現できる自動化の範囲は変わります。
取引情報を扱うためセキュリティも確認する
AIサービスを利用する場合は、データの保存先、入力データの利用条件、アクセス権限、ログ、契約上のデータ管理条件なども確認してください。
食品メーカーが受注自動化を始める5ステップ
1.受注経路をすべて書き出す
FAX、電話、メール、Excel、Web、EDIなど、現在の受注方法を取引先ごとに整理します。
2.転記している場所を洗い出す
「誰が・どこから・どこへ入力しているか」を書き出します。特に同じ情報を2回以上入力している場所が自動化候補です。
3.まず1種類の発注書で読み取りを試す
いきなり全取引先を対象にせず、件数が多く、書式が比較的安定している取引先を一社選び、過去の発注書を使って読み取りを試します。
4.AIが下書き、人が確定する運用を作る
最初から自動登録せず、「AI抽出 → 下書き → 人が確認 → 確定」という運用にします。誤読が起こりやすい箇所が分かれば、チェック条件を追加します。
5.販売管理・在庫・出荷へ段階的につなげる
受注読み取りが安定したら、「受注台帳 → 販売管理 → 在庫 → 出荷」と連携範囲を広げます。この順番なら、一度に大規模なシステム変更を行うリスクを抑えやすくなります。
自社の受注業務を自動化できるか判断するチェックリスト
□ FAXやPDFで届く注文が一定数ある
□ 発注書を見ながらExcelへ入力している
□ Excelから販売管理システムへ再入力している
□ 受注入力に毎日まとまった時間がかかっている
□ 繁忙時に受注処理が遅れる
□ 商品コードや数量の入力ミスが起きることがある
□ 商品マスターや得意先マスターが存在する
□ 特定の担当者に受注処理が集中している
□ 大手取引先からEDI対応を求められている
□ 受注から出荷までの情報連携を改善したい
複数該当する場合は、FAXや発注書の読み取りから受注台帳作成までを自動化できないか、一度検討する価値があります。重要なのは、「AIを導入できるか」ではなく、「現在どこで人が転記しているか」を見ることです。
よくある質問
取引先ごとに発注書の様式が違ってもAIで読めますか?
対応できる可能性があります。AIを利用すると、決まった位置にある文字だけではなく、文書内の項目名や周辺情報をもとに注文内容を整理しやすくなります。ただし、すべての書式を100%正確に読み取れるわけではありません。実際の発注書を使ったテストと、人による確認工程が必要です。
手書きのFAX注文書にも対応できますか?
手書き文字を読み取れる技術もありますが、活字より読み取り難度は高くなります。文字の癖、FAXの画質、訂正線などによって精度が変わるため、手書き部分は確認対象へ回す運用が現実的です。
現在使っているExcelはそのまま使えますか?
使い続けながら自動化できるケースがあります。AIが読み取った受注情報を現在のExcel台帳と同じ列構成へ出力できれば、現場の運用を大きく変えずに始められます。ただし、複雑なマクロや独自仕様がある場合は事前確認が必要です。
中小食品メーカーでもEDIへ対応できますか?
中小企業だからEDIが利用できないというわけではありません。ただし、取引先が指定する方式や必要なシステム、費用、自社の販売管理との連携方法によって導入難度は変わります。まず取引先が求める仕様を確認し、FAX・メール受注との併用も含めて設計することが重要です。
受注を完全自動化して人の確認をなくしても大丈夫ですか?
最初から人の確認を完全になくすことはおすすめしません。特に商品・数量・単位・納品日は誤りが出荷事故につながるため、導入初期は人が確認する運用が安全です。運用実績がたまり、チェック条件が安定してから、通常注文の確認工程を徐々に簡略化する方が現実的です。
まとめ|FAXをなくせなくても「手入力」は減らせる
食品メーカーの受注業務を効率化するために、すべてのFAXをなくしたり、取引先全社をEDIへ切り替えたりする必要はありません。
最初に見るべきなのは、届いた注文を人が読んで、Excelや販売管理システムへ打ち直している工程です。
現在「FAX → 紙 → Excel → 販売管理 → 出荷指示」という流れになっているのであれば、まずFAXやPDFをAIで読み取り、受注台帳の下書きを作るところから始められます。
そして、「AIが読み取り → 人が確認 → 販売管理へ連携 → 在庫・出荷・請求へ広げる」という順番で段階的に進めます。
EDIを利用する取引先とFAXを利用する取引先が混在していても構いません。重要なのは、入口を無理に統一することではなく、自社に入ってきた注文情報を共通の受注データとして扱える状態を作ることです。
「取引先ごとに発注書が違うから無理」と判断する前に、まず現在の受注フローを書き出し、人が何回転記しているかを確認してみてください。そこが、食品メーカーの受注DXを始める最初のポイントです。
受注業務の自動化について相談する
FAXや電話注文が残っていても、受注業務全体を一度に入れ替える必要はありません。まずは、「どこで人が注文書を読み、どこへ転記しているか」を整理すると、自動化できる範囲が見えてきます。
「取引先ごとに発注書が違う」「今のExcelや販売管理を残したい」「EDIへの対応も含めて考えたい」という場合は、現在の受注フローをもとに、自社ではどこから改善できるか整理してみることをおすすめします。
