WordPress入稿用
印刷会社で「新規受注を増やしたい」と考えたとき、最初に思いつきやすいのが新規営業やSNS集客です。
Instagramを始める、LINE公式アカウントを作る、営業担当者に新規訪問を増やしてもらう、Web広告を出すといった方法を検討している会社も多いでしょう。
しかし、従業員数名〜数十名程度の印刷会社では、営業担当者が営業だけに集中できるとは限りません。見積もり、仕様確認、原稿の受け取り、校正、納期調整、外注先との連絡、納品後の対応まで抱えていることも珍しくありません。
この状態で新しいSNS運用や新規営業を追加すると、結局は「忙しくて続かない」という結果になりやすくなります。
そこで最初に見直したいのが、過去に一度でも取引した顧客の再版フォローです。
印刷物の中には、名刺、封筒、パンフレット、カタログ、メニュー、商品ラベル、チラシなど、一定期間が経過すると再び必要になるものがあります。それにもかかわらず、「前回のお客様から連絡が来るのを待つ」という受注方法だけになっていないでしょうか。
前回の受注日や注文間隔を確認し、そろそろ必要になりそうな時期にこちらから連絡できれば、営業担当者が毎日新規営業をしなくても受注機会を増やせます。さらに、フォローする顧客の抽出、LINEやメールの文面作成、Instagram投稿案の作成などは、AIや自動化を組み合わせることで負担を減らせます。
この記事では、再版フォローを優先する理由、過去案件データの整理方法、LINEとメールの使い分け、再版フォロー文面のテンプレート、Instagramやショート動画の活用、展示会や問い合わせ後のフォロー、AIで営業を効率化する方法、自動化してよい業務と人が判断すべき業務を順番に解説します。
「SNSを頑張る」ことを目的にするのではなく、少ない営業人数でも受注機会を逃しにくい仕組みを作ることを目指しましょう。
印刷会社の新規受注は「新規営業」より再版フォローから始める

受注が減っていると、新しい顧客を探さなければならないと考えがちです。もちろん新規開拓も必要です。しかし、営業人員が限られている印刷会社の場合、最初に優先したいのは、すでに接点のある顧客です。
- 自社の存在を知っている
- 過去に見積もりを受け入れている
- 印刷品質や納品対応を経験している
- 担当者との接点がある
- 過去の仕様データが残っている可能性がある
まったく面識のない会社へ営業するよりも、再接触するハードルは低くなります。
印刷物には「次に必要になる時期」がある
印刷会社の営業で活用しやすい情報の一つが、過去の受注時期です。たとえば、次のような印刷物は再注文や更新が発生する可能性があります。
- 名刺
- 封筒
- 会社案内
- 商品カタログ
- 飲食店のメニュー
- ショップカード
- 商品ラベル
- 包装資材
- DM
- 季節チラシ
- 定期刊行物
- 採用パンフレット
もちろん、すべてが一定周期で再版されるわけではありません。しかし、「去年の春に会社案内を印刷した」「3か月おきにラベルの追加注文がある」「毎年秋に次年度版のカタログを作っている」といった履歴が残っていれば、次の連絡時期を考える材料になります。
重要なのは、AIに未来を完璧に予測させることではありません。
前回いつ注文されたか → 過去にどれくらいの間隔で注文されたか → 次はいつ頃必要になりそうか → その少し前に連絡する
この単純な仕組みだけでも、「思い出したときだけ連絡する営業」から脱却できます。
文面作成と配信準備はAI・自動化へ任せる
再版フォローが続かない理由の一つは、1件ずつ連絡文を考えなければならないことです。営業担当者が毎回ゼロから文章を考えていると、対象が増えた段階で止まりやすくなります。
顧客を特定できる情報を不用意に入力しない前提で、前回の案件種別、最終注文からの経過期間、今回伝えたい内容、文体、文字数、売り込み感を弱めたいといった条件をAIへ渡せば、フォロー文の下書きを短時間で作れます。その下書きを営業担当者が確認して送れば、ゼロから文章を書く必要はありません。
AIに任せる仕事と営業担当者が判断する仕事
| AIに任せやすい仕事 | 人が判断すべき仕事 |
|---|---|
| メールやLINE文面の下書き | 印刷仕様の確定 |
| 過去案件メモの要約 | 見積金額の判断 |
| 顧客分類の整理 | 特殊加工の可否 |
| Instagram投稿案 | 納期回答・価格交渉 |
| 問い合わせ内容の要約 | クレーム対応・最終送信判断 |
AIは営業担当者の代わりではなく、営業担当者が判断する前の準備を軽くする役割として使うと導入しやすくなります。
【画像2挿入位置】 この見出しの直後。課題解決図「注文を待つ → 再版時期を確認 → 先回りして連絡」。
印刷会社の受注が細る原因は「受け身の再版待ち」と担当者依存
前回顧客から連絡が来るまで待っている
再版案件について「必要になったらお客様から連絡が来るだろう」という運用になっている場合があります。しかし、顧客側も常に前回の印刷会社を覚えているとは限りません。担当者が変わったり、過去の発注先を探すのが面倒になったり、検索で見つけた別の会社へそのまま見積もりを依頼したりする可能性があります。
再版を失う理由は「前回の仕事に不満があったから」だけではありません。必要になったタイミングで思い出してもらえなかった、という理由でも受注を失います。
「そろそろ注文が来る」は担当者の記憶の中にある
ベテラン営業担当者が「あの会社は毎年この時期にカタログを刷る」「この店舗は3か月くらいでショップカードがなくなる」と覚えている会社もあります。問題は、その情報が会社の資産ではなく担当者の頭の中にしかないことです。営業を効率化するには、「担当者が覚えている」から「誰でも次回フォロー日を確認できる」へ変える必要があります。
忙しい顧客ほど前回の印刷会社を忘れる
顧客にとって印刷物の発注は、本業の一部にすぎません。印刷物の残量が少なくなった段階で「そういえば前はどこに頼んだっけ」となることがあります。その少し前に「前回ご注文いただいたパンフレットですが、残部はいかがでしょうか」と連絡が来れば、発注先を探す手間を減らせます。再版フォローは単なる営業ではなく、顧客へのリマインドという役割も持ちます。
展示会・紹介・問い合わせの見込み客も放置されやすい
展示会で名刺交換した、Webサイトから相談が来た、紹介で一度見積もりを出した。しかし、その後発注にならなかった。こうした見込み客がそのまま放置されていないでしょうか。重要なのは「今回決まらなかった=終了」ではなく、「次にいつ連絡するか」を残すことです。
まず案件データから「次の再版時期」を割り出す
再版フォローを仕組み化するとき、最初から高機能な営業管理システムを入れる必要はありません。まずはExcelやスプレッドシートでも構いません。大切なのは、過去案件から「次に連絡する日」を作ることです。
最低限整理したい案件データ
| 項目 | 管理する内容 |
|---|---|
| 顧客名 | 会社名や店舗名 |
| 担当者 | 窓口となる担当者 |
| 案件名 | 名刺、パンフレット、ラベルなど |
| 前回受注日 | 最後に注文を受けた日 |
| 納品日 | 実際に納品した日 |
| 数量 | 前回の印刷部数やロット |
| 過去の注文間隔 | 再版周期を判断する材料 |
| 営業担当 | 社内の担当者 |
| 次回フォロー予定日 | 次に連絡する日 |
| フォロー結果 | 返信、見積もり、保留など |
最初からすべての過去案件を入力しようとすると大変です。まずは直近1〜2年、再版可能性が高い案件、取引金額が大きい顧客、定期的な注文があった顧客などに絞って始めるとよいでしょう。
再版周期を商品別に仮設定する
履歴が十分に残っていない場合は、最初から正確な再版周期を求める必要はありません。「毎月確認する」「3か月後に確認する」「半年後に確認する」「11か月後に確認する」「年度替わり前に確認する」のように仮のルールを作り、実際の反応を次回予定へ反映して徐々に精度を上げます。
再版候補を「今月連絡する顧客」に絞る
営業担当者へ大量の顧客一覧を渡しても行動にはつながりません。毎月初めに、今月フォロー予定の顧客、前月に返信がなかった顧客、見積もり提出後に保留中の顧客だけを一覧にします。これなら「顧客管理のためのデータ」ではなく、「今日の営業行動につながるデータ」になります。
再版フォローをLINE・メールで仕組み化する
再版候補を整理したら、次はどのチャネルで連絡するかを決めます。中小印刷会社で使いやすいのは、主にメールとLINEです。どちらか一方に統一する必要はなく、顧客との関係性に応じて使い分けます。
LINEとメールはどちらを使うべきか
| 比較項目 | LINE | メール |
|---|---|---|
| 向いている相手 | 店舗、小規模事業者、継続取引先 | 法人担当者、企業窓口 |
| 即時性 | 高い | 中程度 |
| 短いやり取り | 向いている | 向いている |
| 長文説明 | やや不向き | 向いている |
| 見積書などの案内 | 関係性による | 向いている |
| 定期案内 | 向いている | 向いている |
| 個別フォロー | 関係性ができていれば有効 | 幅広く使いやすい |
| 履歴管理 | 運用方法次第 | 比較的行いやすい |
重要なのは印刷会社側の都合ではなく、顧客が普段使いやすい連絡方法を選ぶことです。
一斉配信ではなく「再版時期」で分ける
LINE公式アカウントやメール配信では、一斉配信よりも「今月名刺の再版時期になりそうな顧客」「春にパンフレット更新の可能性がある顧客」「毎年秋にカタログを作る顧客」「半年以上発注がない顧客」といった条件で対象を分けます。必要性の高い顧客へ必要な時期に連絡することで、一斉営業の印象を弱められます。
売り込みではなく「在庫確認」を入口にする
「そろそろ印刷しませんか」と発注を促すより、「前回納品した○○の残部はいかがでしょうか」「年度替わりに向けて修正箇所がないか、早めに確認されますか」など、顧客側の確認を助ける文章にすると自然に会話を始めやすくなります。
印刷会社で使える再版フォロー文面テンプレート
以下は、そのまま調整して使いやすいフォロー文面の例です。顧客名、案件名、時期などを変更して使用してください。AIへ文章作成を依頼する場合も、個人情報や機密情報を不用意に入力しないよう、社内ルールや利用するAIサービスの条件を確認してください。
名刺・封筒など消耗品の再版確認
いつもお世話になっております。 以前ご注文いただいた名刺について、その後の残部はいかがでしょうか。 残りが少なくなっているようでしたら、前回と同じ仕様での再版も可能です。 部数変更や記載内容の修正がある場合も対応できますので、必要になりましたらお気軽にご連絡ください。
ポイントは「注文してください」ではなく、残部確認から入ることです。
パンフレット・会社案内の更新確認
いつもお世話になっております。 前回制作した会社案内について、そろそろ内容の見直し時期かと思いご連絡しました。 住所、サービス内容、採用情報、スタッフ情報などに変更がある場合は、再版前に修正内容を整理することも可能です。 今すぐの再版予定がなくても、変更予定がありましたらご相談ください。
店舗向けメニュー・販促物の確認
いつもありがとうございます。 以前お作りしたメニュー・販促物について、季節変更や価格改定のご予定はありますでしょうか。 内容変更がある場合は、前回データをもとに修正して再印刷することも可能です。 繁忙期前に準備される場合は、早めにご相談いただければ進行しやすくなります。
しばらく注文のない顧客への掘り起こし
ご無沙汰しております。 以前、○○の印刷でお世話になりました。 最近、印刷物や販促物でお困りのことはありませんでしょうか。 再版だけでなく、仕様変更や小ロットでのご相談も承っています。 何かございましたら、いつでもお声がけください。
休眠顧客への連絡では、無理に案件を作ろうとせず、「相談できる会社として思い出してもらう」程度の温度感で始めます。
AIへフォロー文を作らせるプロンプト例
中小企業向け印刷会社の営業フォローメールを作成してください。 前回は会社案内を約1年前に印刷しています。 売り込み感を弱くし、内容変更や在庫状況の確認を目的にしてください。 200文字程度、丁寧なです・ます調で作成してください。 「注文してください」と直接促す表現は避けてください。
前回の案件、経過期間、連絡目的、文体、文字数、避けたい表現を指定すると、使いやすい下書きを作りやすくなります。
Instagramでは完成品だけでなく「頼める仕事」を見せる
既存顧客フォローを整えた後は、SNSによる新規顧客との接点を増やします。印刷会社とInstagramは比較的相性のよい組み合わせです。印刷物、加工、紙、パッケージ、製本などは視覚的に見せやすいためです。
ただし、単に完成品写真を投稿するだけでは、新規受注につながるとは限りません。重要なのは、閲覧者が「この会社には何を相談できるのか」を理解できる投稿にすることです。
制作事例を営業資料として使う
パンフレットの写真だけを投稿するのではなく、どのような用途だったか、何に困っていたか、どのような紙や加工を選んだか、なぜその仕様にしたか、同じような相談ができるかまで説明すると、営業資料としての価値が高くなります。顧客の印刷物をSNSへ掲載する場合は、事前に掲載可否を確認してください。
印刷会社と相性のよいInstagram投稿テーマ
- 紙質による見え方の違い
- マット加工と光沢加工の違い
- 折り加工の種類
- 小ロット印刷の活用例
- パンフレット制作の流れ
- 入稿データでよくある不備
- 色校正で確認するポイント
- 製本方法の違い
- ラベル印刷の活用例
- パッケージ制作の工程
- 展示会で使える印刷物
- 店舗リニューアル時に必要な販促物
- 採用活動で使える印刷物
ショート動画では「工程」を見せる
Instagramのリールなど、短い動画も活用できます。印刷、断裁、折り、製本、箔押し、型抜き、梱包、完成品をめくる様子など、工程そのものがコンテンツになります。派手な動画を作るより、「この加工はこうやって作られる」「完成前はこうなっている」といった情報が伝わることを優先します。
Instagramから問い合わせへつなげる導線
投稿 → プロフィール → Webサイト・問い合わせ・LINE → 相談 → 見積もり
プロフィールには、どのような印刷会社か、どのような相談に対応しているか、対応エリア、問い合わせ方法を分かりやすく載せます。投稿の最後でも、プロフィールから相談できることを自然に案内します。
AIで投稿文・動画構成案を量産する
一つの制作案件から、完成品写真のInstagram投稿、紙を選んだ理由を解説する投稿、印刷工程のショート動画、Webサイトの制作事例、既存顧客向けメールの事例紹介などへ展開できます。AIには「この制作事例をInstagram用150文字、Web事例用500文字、ショート動画30秒の構成に分けてください」といった下書きを依頼できます。
展示会・問い合わせ後のフォローを自動化する

新規顧客を獲得するために展示会へ出展したり、Webサイトからの問い合わせを増やしたりしても、その後のフォローが一度で終わっていては十分に活かせません。
問い合わせ直後だけ返信して終わらせない
問い合わせ後に「社内で検討します」「まだ時期が決まっていません」「今回は予算が合いませんでした」となった場合も、今回の失注で終了せず次回フォロー日を設定することが重要です。
見込み客を温度感で分類する
| 分類 | 状況 |
|---|---|
| A | すぐ見積もり・受注の可能性が高い |
| B | 数週間〜数か月以内に発注可能性がある |
| C | 情報収集中 |
| D | 今回は予定なし・長期フォロー |
Aなら営業担当者がすぐ対応し、Bなら数週間後に状況確認、Cなら制作事例や役立つ情報を案内、Dなら無理に追わず数か月後に一度確認するなど、次の行動を変えます。
フォローを3段階で設計する
- 1回目:当日〜翌日にお礼を送る
- 2回目:数日後に相談内容に関連する制作事例や参考情報を案内する
- 3回目:数週間後に「その後、印刷物のご計画はいかがでしょうか」と状況を確認する
営業担当者には「返信が必要な顧客」だけ通知する
営業効率化の目的は、顧客対応を全部自動にすることではありません。自動化したいのは、誰に連絡するか探す、いつ連絡するか思い出す、毎回文章をゼロから書く、問い合わせ内容を読み返すといった準備作業です。返信があった、見積もり相談が来た、仕様確認が必要になった段階では人が対応します。
【画像3挿入位置】 この見出しの後。業務フロー図「フォロー予定」を中心に「再版」「問い合わせ」「制作事例」を配置。
印刷会社の営業効率化でAIを使える業務
再版候補の整理
過去案件を一覧化できている場合、商品カテゴリや最終注文時期ごとに分類する作業を補助できます。ただし、個人情報や顧客の機密情報をAIサービスへ入力する場合は、利用条件や社内ルールを必ず確認してください。
メール・LINE文面の下書き
再版確認、休眠顧客の掘り起こし、展示会後のお礼、見積もり後の状況確認など、用途別にテンプレートを作れます。営業担当者は文章を書くところからではなく、確認・修正から始められます。
Instagram投稿案の作成
制作案件の概要をもとに、投稿タイトル、本文、投稿の切り口、ショート動画構成、FAQ投稿などの案を作れます。
問い合わせ内容の要約
問い合わせメールが長い場合に、商品、数量、サイズ、納期、希望加工、未確認事項などに整理する使い方も考えられます。
営業日報から次回アクションを整理
営業メモや商談記録から、「見積もり提出」「来週連絡」「サンプル送付」といった次の行動を抽出すれば、タスク漏れを減らせます。
展示会名刺・問い合わせ情報の分類
大量の見込み客が発生した場合も、すぐ商談、後日フォロー、情報提供、長期見込みといった分類作業を補助できます。AIに営業判断を丸投げするのではなく、営業担当者が優先順位をつける材料を作ることがポイントです。
AI・LINE・Instagramを導入するときの注意点
顧客情報を生成AIへそのまま入力しない
顧客名、担当者名、住所、メールアドレス、電話番号、未公開の商品情報、見積価格、契約内容、入稿データ、顧客固有のデザインなどには注意が必要です。AIサービスごとにデータの取り扱いや契約条件が異なるため、業務利用する場合は最新の利用規約や管理設定を確認してください。必要であれば「A社」「食品メーカー」「会社案内」のように匿名化して文章だけ作る方法もあります。
LINEやメールは配信ルールを決める
- どの顧客へ送るか
- どの頻度で送るか
- どんな内容を送るか
- 誰が内容を確認するか
- 配信停止希望へどう対応するか
投稿前に顧客の制作物掲載可否を確認する
印刷会社のInstagramでは、顧客の制作物がそのままコンテンツになります。しかし、納品したからといって自由にSNSへ掲載してよいとは限りません。発売前の商品、新製品パッケージ、顧客名、個人情報、未公開キャンペーン、社内向け資料などが含まれる場合は、掲載可否を事前に確認します。
AIが作った文章をそのまま送らない
AIは事実と異なる内容を含む文章を生成することがあります。「前回と同じ仕様で印刷できます」と書かれていても、実際には用紙が廃番になっている可能性があります。案件履歴、仕様、価格、納期、顧客名、文面の温度感を人が確認してから送信します。
ツールを増やしすぎない
AI、CRM、LINE、MAツール、SNS管理ツールなどを一度に導入すると、「どこに何を入力するのか分からない」という状態になりがちです。まずは「過去案件データ+メール」または「過去案件データ+LINE」のように小さく始めることをおすすめします。
印刷会社の営業はどこまで自動化すべきか
自動化しやすい業務
- フォロー予定日の通知
- 定型メールの下書き
- LINE配信の予約
- 顧客分類
- 投稿文の下書き
- 問い合わせ内容の整理
- 営業タスクのリマインド
- 定期フォロー対象者の抽出
人が残るべき業務
- 価格交渉
- 特殊な印刷仕様
- デザイン相談
- 色や紙の提案
- クレーム対応
- 短納期の可否
- 大口案件
- 顧客との関係性を踏まえた対応
- 納期や製造能力に関わる判断
小規模印刷会社は完全自動化より「半自動」が現実的
AIが候補を出す → AIが文章を下書きする → 人が確認する → 送信する → 返信が来たら人が対応する
この流れなら営業担当者が顧客との関係づくりに集中できます。
最初の30日で始める印刷会社の受注掘り起こし
1週目|過去案件を一覧化する
直近1〜2年程度の受注履歴を確認し、再版の可能性がある案件を中心に、顧客、商品、前回受注日、数量、担当者を一覧にします。
2週目|再版候補を50〜100件程度抽出する
定期注文があった、そろそろ在庫が減っていそう、季節的に需要がありそう、1年以上連絡していないといった顧客を選びます。会社規模によっては50件より少なくても問題ありません。実際にフォローできる量にすることが重要です。
3週目|フォロー文面を3パターン作る
消耗品の残部確認、年次更新の確認、休眠顧客の掘り起こしの3種類を作り、AIで下書きを作って自社らしい表現に修正し、テンプレートとして保存します。
4週目|配信し、反応を記録する
- 返信あり
- 見積もり依頼
- 今回は不要
- 数か月後
- 連絡なし
返信がなかったことも重要なデータです。
翌月からInstagram・問い合わせフォローへ広げる
既存顧客フォローが回り始めてから、Instagram投稿、ショート動画、展示会後フォロー、Web問い合わせ後フォローへ広げます。この順番なら、運用負担が急に増えにくくなります。
印刷会社のSNS・営業効率化で見るべきKPI
再版フォロー件数
今月何件へフォローできたかを確認します。フォローしなければ反応は生まれません。
返信率
送った顧客のうち、どれだけ返信があったかを確認します。「まだ在庫があります」「来月お願いします」といった反応も、顧客の状況が分かる重要なデータです。
見積もり依頼数
フォロー後、何件が見積もりにつながったかを見ます。
再受注件数
最終的に再版や関連案件を受注できた件数を確認します。
Instagram経由の問い合わせ数
フォロワー数より、「Instagramを見たという問い合わせが何件あったか」の方が営業上重要です。
問い合わせから見積もりへの移行率
SNS、Web、展示会など、入口ごとに見積もり率を比較すると、どの施策が有効か判断しやすくなります。
こんな印刷会社はAI営業・SNS活用を検討しやすい
- 過去顧客が一定数いる
- 再版案件が多い
- 「そろそろ注文が来る時期」を営業担当者が記憶している
- 営業担当者が見積もりや校正対応にも追われている
- 半年以上連絡していない顧客が多い
- 展示会へ出展している
- 問い合わせ後のフォローが一度で終わる
- Instagramを更新しているが問い合わせ数を測っていない
- LINE公式アカウントを作ったが十分活用できていない
- 営業担当者を増やす余裕がない
複数該当する場合、営業担当者の能力不足というより、フォローの仕組みが不足している可能性があります。その場合は、新しい営業施策を増やす前に、「誰に、いつ、何を送るか」を整理することから始めるとよいでしょう。
印刷会社が新規受注を増やしたいと考えたとき、InstagramやLINE、新規営業を始めること自体は間違いではありません。しかし、営業に割く人手が少ない会社ほど、その前に見直したいのが既存顧客です。
過去案件を整理する → 次の再版時期を決める → LINE・メールで連絡する → 反応を記録する → 必要な顧客だけ営業担当者が対応する
この流れを作ることで、営業担当者の記憶だけに頼らないフォローが可能になります。そのうえで、制作事例をInstagramやショート動画へ展開すれば、新規顧客へ「この会社には何を頼めるのか」を伝える営業資産として活用できます。
AIを使う目的も、営業担当者をなくすことではありません。顧客を探す、文面を考える、投稿案を作る、次の行動を整理するといった準備作業を減らし、営業担当者が顧客との相談や提案に使える時間を増やすことが目的です。
まずは大きなシステムを入れる前に、直近の過去案件を一覧化し、「今月フォローする顧客」を決めるところから始めてみてください。
印刷会社でもInstagramから受注につながりますか?
つながる可能性はあります。ただし、完成品写真を投稿するだけではなく、「どんな印刷物を頼めるのか」「どのような課題に対応できるのか」が分かる内容にすることが重要です。Instagram内のフォロワー数だけでなく、プロフィール閲覧数、Webサイトへの遷移、問い合わせ件数なども確認しましょう。
LINEとメールはどちらを使えばよいですか?
顧客との普段の連絡方法に合わせるのが基本です。店舗や小規模事業者など、日常的にLINEでやり取りしている顧客ではLINEが使いやすい場合があります。一方、法人担当者や見積書・仕様書を扱う場合はメールが向いているケースがあります。
再版フォローを自動化すると営業感が強くなりませんか?
内容と頻度によります。「ご注文ください」という営業文ではなく、「前回の印刷物の残部はいかがですか」「年度替わり前に変更箇所はありませんか」といった確認型の連絡にすると、顧客の業務を支援する案内として送りやすくなります。
顧客データをAIに入力しても大丈夫ですか?
利用するAIサービスの規約、データの取り扱い、会社の情報管理ルールによって異なります。顧客名、担当者名、見積価格、未公開商品、入稿データなどを不用意に入力しないことが重要です。必要に応じて匿名化し、最新の利用条件や管理設定を確認してください。
小規模な印刷会社でも導入できますか?
大きなシステムを導入しなくても始められます。まずはExcelやスプレッドシートなどで過去案件、前回受注日、次回フォロー日を整理し、メールやLINEの文面作成にAIを使う方法があります。最初から完全自動化を目指さず、一部から始める方が運用しやすいでしょう。
「再版フォローを自動化したい」「Instagramを受注につなげたい」「AIを営業のどこに使えばよいか分からない」という場合は、最初から大きなシステムを導入する必要はありません。現在の案件管理や営業フローを整理すると、どの顧客をフォローすべきか、どの業務をAIに任せられるか、LINE・メール・Instagramのどれから始めるべきか、今使っているExcelや顧客管理を活かせるか、営業担当者の負担を減らせる部分はどこかを整理できます。
相談前に、現在の顧客数、再版案件の割合、過去案件の管理方法、営業担当者数、利用中のLINE・Instagram・メール環境などを確認しておくとスムーズです。
