廃棄ロスを減らすには1年分のデータ蓄積から
「需要予測AIを導入すれば、食品の廃棄を減らせるのではないか」
そう考えて、AI需要予測ツールを調べている中小食品メーカーもあるでしょう。
- 需要予測AIは大手食品メーカーが使うものではないか
- 自社のような小さな工場でも効果があるのか
- Excelでも需要予測はできないのか
- AIを導入するほどデータがそろっていない
- 高額なシステムを入れて失敗したくない
と迷うケースも少なくありません。
結論からいうと、中小食品メーカーが需要予測を始める場合、最初にAIツールを導入する必要はありません。
先に取り組みたいこと
「受注・出荷・廃棄の実績を、同じルールで記録すること」です。
できれば、季節変動を一巡して確認できるよう、まず1年分を一つの目安としてデータを蓄積します。
そのデータをExcelで確認するだけでも、曜日別の違い、繁忙期、特売時の増減、廃棄が多い商品などが見えるようになります。
SKU数や得意先が増え、Excelだけでは分析や製造計画が難しくなった段階で、専用の需要予測AIを検討しても遅くありません。
この記事では、中小食品メーカーにとって現実的な「記録する → Excelで見る → 生成AIを補助的に使う → 必要なら需要予測ツールへ進む」という順番で解説します。
結論|中小食品メーカーは需要予測AIより先に1年分のデータをためる
中小食品メーカーが需要予測に取り組むとき、最初に考えたいのは「どのAIを導入するか」ではありません。

AIへ渡せる実績データがあるかどうかです。
需要予測AIは、何もないところから翌日の注文数を正確に言い当てる仕組みではありません。過去の販売・受注実績や曜日、季節、販促などのデータから傾向を探し、将来の需要を予測します。
そのため、元になる記録が残っていなければ、AIを導入しても十分な分析材料がありません。
AIを導入しても元になるデータがなければ予測できない
例えば、ある惣菜を毎日製造している会社を考えてみましょう。
- 金曜日は少し多めに出る
- 雨の日は注文が減る
- 月末の特売では通常より多めに必要
といった経験則が担当者の頭の中に蓄積されていても、データとして残されていなければ、担当者が退職・異動した時点でノウハウが失われる可能性があります。
また、「金曜日は本当に何%多いのか」「雨の日に減るのは全商品なのか、一部だけなのか」「特売時にはどの得意先から何個増えるのか」といった検証も困難です。
需要予測を始める第一歩は、担当者の経験を否定することではありません。経験をデータで確認できる状態にすることです。
最低限残したいのは「受注・出荷・廃棄」の3つ
需要予測のために最初から大量の項目を記録する必要はありません。最低限、商品ごと・日ごとに次の3つを残すところから始めます。
- 受注数
- 出荷数
- 廃棄数
可能であれば、次の情報も追加します。
- 製造数
- 欠品数
- 得意先
- 曜日
- 特売・キャンペーンの有無
- 天候
- 気温
- 祝日・連休
- 製造上のトラブル
- 臨時受注などの特記事項
大切なのは項目数より、毎日同じルールで継続して残せることです。
なぜ「1年分」を一つの目安にするのか
食品需要は年間を通して一定ではありません。
- 夏に売れる飲料
- 冬に需要が高まる鍋物関連商品
- 年末に増える惣菜
- お盆や大型連休で変動する商品
- 学校行事や地域イベントに左右される商品
数週間や数か月だけでは、このような季節性を確認できない場合があります。そのため、まず年間サイクルを一巡できる1年分を一つの目安に蓄積すると、前年同時期との比較がしやすくなります。
ただし、1年なければ何もできないわけではありません。3か月しかデータがなくても、曜日別平均や直近の変動を見ることはできます。逆に季節変動が大きい商品では、2〜3年分のデータがあるほうが判断材料は増えます。
「1年」は絶対条件ではなく、需要予測を本格化するための分かりやすいスタートラインと考えるとよいでしょう。
食品製造で廃棄と欠品が起きるのは「需要が見えないまま製造する」から
食品メーカーの製造計画では、単純に廃棄だけを減らせばよいわけではありません。製造量を減らしすぎれば、今度は欠品が増えます。難しいのは、廃棄を抑えながら必要な数量を確保することです。
農林水産省も食品廃棄物について発生抑制を重視しており、食品製造業の一部業種には発生抑制の目標値が設定されています。廃棄削減は環境面だけでなく、原材料費や製造費の削減にもつながる経営課題です。
参考:農林水産省「食品廃棄物等の発生抑制」
欠品を怖がって多めに作ると廃棄が増える
食品製造の現場では、「足りなくなるくらいなら、多めに作っておこう」という判断が起きやすくなります。
例えば翌日の受注見込みが100個だったとしても、欠品を避けるため120個作る運用です。結果として100個売れれば、20個が余ります。保存できる商品なら翌日に回せる場合もありますが、日配品や賞味期限の短い商品では廃棄につながります。
逆に100個しか作らず、実際の需要が120個なら20個の欠品です。つまり重要なのは、製造数を増やすか減らすかではなく、実際の需要に近づけることです。
季節・曜日・天候で食品の注文量は変わる
食品需要はさまざまな外部要因で変動します。
- 月曜日より金曜日の注文が多い
- 気温が上がると冷たい商品の需要が増える
- 雨になると一部店舗の客数が減る
- 給料日前後で売れ方が変わる
- 祝日の前日は注文が増える
- 学校の長期休暇で業務用需要が変わる
担当者は経験からある程度把握していても、SKUが増えるほど人の記憶だけでは管理できなくなります。そこで、日付や曜日などと販売実績を紐づけて残しておくことが重要になります。
特売やスーパーの販促では通常の平均値が使いにくい
通常日に100個売れている商品でも、スーパーの特売日に300個売れることがあります。一方、前回300個売れたからと今回も300個作ればよいとは限りません。
- 特売価格
- チラシ掲載位置
- 店舗数
- 開催曜日
- 天候
- 競合商品の特売
- 季節
などが異なるためです。そのため、「販売数量」だけを残すのではなく、なぜその日に数量が増減したのかを後から確認できるよう、特売やイベント情報も残しておくと需要予測に役立ちます。
食品製造の需要予測はExcelでも始められる
「食品製造の需要予測には専門的なAIが必要」と思われがちですが、小規模な段階ならExcelでも十分始められます。重要なのは高度な計算式を作ることではありません。まず、実績を並べて違いを比較できる状態にすることです。
最初に作るのはSKU別・日別の実績表
例えば、次のような表を作ります。
| 日付 | SKU | 商品名 | 得意先 | 受注数 | 製造数 | 出荷数 | 廃棄数 | 欠品数 | 特売 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4/1 | A001 | 商品A | 得意先A | 100 | 110 | 100 | 10 | 0 | なし |
| 4/2 | A001 | 商品A | 得意先A | 120 | 120 | 120 | 0 | 0 | なし |
| 4/3 | A001 | 商品A | 得意先A | 180 | 170 | 170 | 0 | 10 | 特売 |
これだけでも、どの商品で廃棄が多いか、どの商品で欠品が起きているか、受注数と製造数の差はどの程度か、特売時にどの程度増えるかを確認できます。
前年同月・曜日別平均・直近平均から始める
Excel需要予測の最初の段階では、複雑なAIモデルは必要ありません。例えば次のような比較ができます。
前年同月との比較
昨年9月に平均200個売れていた商品が、今年8月には220個まで伸びているなら、前年実績をそのまま使うのではなく成長率を加味できます。
曜日別平均
月曜日平均120個、金曜日平均180個なら、一週間平均150個を毎日製造するよりも曜日別に計画したほうが実態に近づきます。
直近4週間平均
前年から商品構成や得意先が変わっている場合、直近のデータを重視したほうがよいケースもあります。必要であれば、移動平均、前年比、廃棄率、欠品率、予測誤差なども順番に追加します。最初から複雑にしすぎないことが重要です。
製造計画と実績の差を残すと改善できる
需要予測を改善するには、「実際に何個売れたか」だけでは不十分です。予測時点で何個売れると思っていたかも残しましょう。
例
予測100個 → 製造110個 → 出荷90個 → 廃棄20個 なら、製造数が多かったことが分かります。
一方、予測100個 → 製造100個 → 出荷100個 → 欠品20個 なら、実際の需要は少なくとも120個あった可能性があります。
予測と結果をセットで残すことで、「どのような場面で予測が外れやすいか」を改善できます。
ExcelとAI需要予測ツールはどちらが中小食品メーカーに向いている?
ExcelとAI需要予測ツールのどちらが優れているか、単純に決めることはできません。会社の規模、SKU数、賞味期限、需要変動などによって適した方法は変わります。

Excelが向いている会社
- SKU数が少ない
- 得意先数が限定されている
- 工場が1拠点
- 担当者が日々のデータを確認できる
- 特売がそれほど多くない
- まず低コストで検証したい
- 需要予測に使えるデータを蓄積し始めた段階
特に、「これまで需要予測自体をしていなかった」という会社では、専用AIより先にExcelで現状を見える化するメリットがあります。
AI需要予測ツールを検討したい会社
- SKU数が数十・数百と増えている
- 複数店舗・複数得意先の需要を個別に見る必要がある
- 日配品や賞味期限の短い商品が多い
- 毎週のように特売がある
- 複数工場・倉庫を運営している
- Excelの集計だけで何時間もかかる
- 担当者しかファイルの仕組みを理解していない
- 天候などの外部データも使いたい
- 毎日大量の組み合わせを予測する必要がある
この段階になると、人がExcelを更新し続けること自体が業務負担になります。
ExcelとAI需要予測ツールの比較
| 比較項目 | Excel | AI需要予測ツール |
|---|---|---|
| 導入ハードル | 低い | 初期設定や連携が必要 |
| 初期コスト | 抑えやすい | 導入費用が必要な場合がある |
| 少数SKU | 管理しやすい | 過剰になる場合がある |
| 多数SKU | 管理負荷が増える | 自動処理しやすい |
| 季節変動 | 人が確認 | モデル化しやすい |
| 天候・外部要因 | 手動で追加 | 連携できる製品もある |
| 特売対応 | 手動補正が中心 | 条件を組み込みやすい |
| 属人化 | 起こりやすい | 標準化しやすい |
| データなしでの利用 | 難しい | AIでも難しい |
| 向いている段階 | 初期〜小規模 | データ蓄積後・複雑化後 |
重要なのは、「AIのほうが高性能だからAIを選ぶ」のではなく、「Excelでは管理負荷が大きいからAIへ進む」という判断です。
需要予測AIの中小企業での現実|入れれば自動的に当たるわけではない
「AIなら人間より正確に予測できる」と考えたくなりますが、需要予測AIにも限界があります。農林水産省はAIやICTによる食品需要予測を食品ロス削減につながる新技術として紹介しており、人流・気象データ等を活用したAI需要予測で食品廃棄や欠品の減少につながった事例も紹介しています。
参考:農林水産省「食品産業における新技術活用の事例」
ただし、特定事例の成果がそのまま自社でも再現されるとは限りません。中小企業が需要予測AIを検討するときは、特に次の3点を理解しておく必要があります。
予測精度を左右するのはAI以前にデータ品質
- 商品コードが途中で変更されている
- 同じ商品なのに表記が複数ある
- 廃棄数を記録していない日がある
- FAX注文を一部入力していない
- 特売実績が分からない
- 欠品した数量が記録されていない
といった問題があれば、分析結果にも影響します。「高性能なAIを選べばデータの問題まで解決する」と考えないことが重要です。
新商品や突発的な特売は過去実績だけでは読みにくい
需要予測は基本的に過去データを利用します。そのため、発売したばかりの新商品には十分な過去実績がありません。
- テレビで突然商品が紹介された
- SNSで商品が急に話題になった
- 競合商品が欠品した
- 災害や交通障害が発生した
といった特殊要因を完全に予測することも困難です。AIを導入しても「予測が外れる日」はあります。
最終的な製造判断は現場情報と組み合わせる
需要予測AIの数字は、製造計画を決める材料の一つとして使うのが現実的です。例えばAIが「明日は1,000個」と予測していても、「主要得意先から特売中止の連絡が来た」という情報を営業担当者が把握しているなら、人が修正する必要があります。
AIに全てを任せるのではなく、データによる予測と現場が持っている最新情報を組み合わせます。
生成AIなら需要予測そのものより「製造数を考える補助」に使う
専用の需要予測システムを導入しなくても、ChatGPTなどの生成AIを業務の補助に使う方法があります。ただし、生成AIを「正確な需要予測システム」と考えるのは避けましょう。向いているのは、過去データを見ながら担当者が考える作業を補助することです。
過去の受注・出荷・廃棄実績を要約させる
- 「直近12か月について、廃棄率が高い月と曜日を整理してください」
- 「商品Aについて、曜日ごとの平均出荷数を比較してください」
- 「特売日と通常日の出荷数の違いを整理してください」
といった分析の壁打ちに利用できます。大量の行をそのまま投入するより、必要な期間や商品に絞って分析させるほうが確認しやすくなります。
情報管理上の注意
顧客名、取引先情報、原価、個人情報、機密性の高い情報などを生成AIへ入力する場合は、利用しているサービスのデータ取り扱いや社内ルールを確認してください。
特売・天候・曜日を加えた製造数案を壁打ちする
例えば、過去4週間の金曜日平均、前年同週、今週の特売有無、天候、前回同条件の実績などを整理したうえで、「どの情報を重視して製造数を判断すべきか」と生成AIに検討材料を整理させる使い方があります。
これは「AIが240個と言ったから240個製造する」という使い方ではありません。担当者が判断する前に、考慮漏れがないか壁打ちするために使います。
生成AIの数字をそのまま製造指示にしない
生成AIは誤った計算や事実と異なる説明を出す可能性があります。そのため、次の点を人が確認します。
- 元データと一致しているか
- 計算結果が正しいか
- 条件が抜けていないか
- 極端な数値になっていないか
最終的な製造数量は、責任者が確認して決定する運用にしましょう。
製造計画の廃棄ロス削減にAIを使うなら「予測精度」だけをKPIにしない
需要予測を導入すると「何%当たったか」に注目しがちです。しかし食品製造で最終的に改善したいのは、予測モデルそのものではありません。廃棄・欠品・製造負荷などの経営指標です。
KPI① 廃棄率
例えば「廃棄数 ÷ 製造数 × 100」で商品別の廃棄率を確認します。金額まで把握できるなら、数量だけでなく廃棄金額も確認しましょう。原価が高い商品では、数量が少なくても損失が大きい場合があります。
KPI② 欠品率・欠品回数
廃棄削減のために製造数を減らしすぎると、欠品が増える可能性があります。したがって、欠品した回数、欠品数量、欠品による機会損失も合わせて確認します。
KPI③ 予測と実績の差
例えば「予測200個 → 実績210個」なら差は10個です。一方、「予測200個 → 実績350個」なら大きく外れています。この差を商品別、曜日別、イベント別に記録すると、「どんな日に外れやすいのか」が分かります。
廃棄だけを減らすと欠品が増える可能性がある
目標を「廃棄ゼロ」だけに設定すると、現場は製造数量を抑える方向へ動きやすくなります。しかし欠品が増えれば、売上機会を失う、得意先への供給責任を果たしにくくなる、売場から商品がなくなるといった影響が出る可能性があります。
したがって、廃棄率と欠品率をセットで改善するという考え方が重要です。
需要予測の第一歩はFAX・電話受注をデータとして残すこと
食品メーカーで需要予測を始めようとしても、そもそも受注実績がデータ化されていないケースがあります。例えば「FAXを受け取る → 担当者が製造担当へ伝える → 出荷する → FAXをファイルへ保存する」という運用です。業務そのものは回っていますが、需要予測に使えるデータが蓄積されにくい状態です。
紙の発注書を処理して終わると需要予測データが残らない
1年間に数千件の発注書を受け取っていても、紙のまま保管しているだけでは、「去年の9月の金曜日に商品Aを何個受注していたか」をすぐに集計できません。
需要予測で重要なのは、過去に注文があった事実だけではありません。後から検索・集計できる形で残っていることです。
受注データがそのまま将来の需要予測の土台になる
FAXやメールなどから受注情報をデータとして取り込めるようになると、受注業務の効率化だけでなく、需要予測のデータ蓄積にもつながります。
データ活用の流れ
FAX受注をデジタル化 → 日々の受注データが蓄積 → Excelで分析 → 需要の傾向が見える → 将来的にAI需要予測にも利用
「需要予測をしたいから需要予測システムを買う」のではなく、まず日常業務のデジタル化を進めることが、結果的にAI活用の土台になる場合があります。
受注・出荷・廃棄を同じ商品コードでつなぐ
データを残す際に重要なのが商品コードです。同じ商品が「商品A」「A商品」「A-001」「得意先向けA」など複数の名前で登録されていると、後から集計する際に手間がかかります。
可能であれば、一つの商品に一つの商品コードを決め、受注・製造・出荷・廃棄で共通して利用します。これはAI導入以前に取り組める、重要なデータ整備です。
中小食品メーカーが需要予測を始める5ステップ
需要予測を始めるときは、いきなり完成形を目指す必要はありません。次の5段階で進めると整理しやすくなります。
STEP1|現在どんなデータが残っているか確認する
FAX、紙、Excel、販売管理システム、会計システム、生産管理システムなど、現在どこに情報があるか確認します。「データがない」と思っていても、請求・出荷データなどに利用できる情報が残っていることがあります。
STEP2|商品コードと記録項目を統一する
商品コード、商品名、日付、得意先、受注数、製造数、出荷数、廃棄数などの入力ルールを決めます。担当者ごとに入力方法が変わらないようにすることが重要です。
STEP3|受注・出荷・廃棄を毎日蓄積する
最初から高度な分析をしなくても構いません。毎日の業務の中でデータが自然にたまる仕組みを作ります。手入力が大きな負担になる場合は、FAXや発注書のデジタル取り込みなども検討します。
STEP4|Excelで月・曜日・SKU別に比較する
ある程度データがたまったら、商品別、曜日別、月別、得意先別、特売別などで比較します。まず廃棄が多いSKUから分析する方法も有効です。全商品を一度に高度化する必要はありません。
STEP5|Excelの限界が見えたらAI需要予測ツールを比較する
データが蓄積され、「毎日Excelを集計するのが大変」「SKUと得意先の組み合わせが多すぎる」「天候や販促情報まで人では追えない」となったら、専用ツールを比較する段階です。
この順番なら、ツール選定時にも、どんなデータがあるか、何を改善したいか、どの作業に時間がかかっているか、どのKPIを改善したいかを具体的に説明できます。ベンダー任せのシステム導入にもなりにくくなります。
こんな状態なら需要予測ツールを検討するタイミング
次の項目を確認してみてください。
- □ SKUが増え、Excel集計に時間がかかっている
- □ 日配品・短期賞味期限の商品が多い
- □ 特売のたびに製造数量が大きく変わる
- □ 複数の担当者が同じExcelを更新している
- □ 複数工場・倉庫・販売拠点を管理している
- □ 過去実績が継続的に蓄積されている
- □ 廃棄数や廃棄金額を把握できている
- □ 欠品の発生状況も記録している
- □ Excel作業そのものが属人化している
- □ 天候・販促など複数条件を考慮したい
該当項目が多いほど、専用需要予測ツールを検討する意味が大きくなります。一方、「受注実績すらまとまっていない」という場合は、ツール比較より先にデータを蓄積する仕組みを作るほうが優先です。
中小食品メーカーの需要予測で大切なのは「AIを使うこと」ではない
食品製造の需要予測というと、AIや高度なシステムの話に見えます。しかし、中小食品メーカーが最初に取り組むべきことはもっとシンプルです。
毎日残したい基本情報
今日、何個注文が入り、何個作り、何個出荷し、何個余ったのか。
これを毎日残します。そして、「金曜日は本当に多いのか」「夏になると何%増えるのか」「特売時には通常日の何倍必要なのか」「どの商品で廃棄が多いのか」をExcelで確認します。
その作業を続けて、Excelでは処理しきれなくなったところでAI需要予測ツールを検討します。AIを導入すること自体がDXではありません。経験と勘だけに頼っていた判断を、記録されたデータでも確認できるようにすること。そこから食品製造の需要予測は始まります。
農林水産省では事業系食品ロス量などの推計を公表しており、食品ロス削減は引き続き食品産業全体の重要な課題です。
参考:農林水産省「食品ロスの削減・食品廃棄物等の発生抑制」
中小食品メーカーでも、まず一つの商品、一つの得意先からなら始められます。「記録 → Excel → 生成AIによる補助 → 必要に応じて専用需要予測ツール」という順番で、自社に合った需要予測の仕組みを作っていきましょう。
よくある質問
中小食品メーカーでもAI需要予測は使えますか?
はい。会社規模だけでAI需要予測が使えるかどうかが決まるわけではありません。ただし、重要なのは過去の受注・出荷などのデータがあることです。データが十分にない場合は、先に日々の実績を記録する仕組みを整え、Excelで傾向を見るところから始めるほうが現実的です。
需要予測には何年分のデータが必要ですか?
一律に決まっているわけではありません。この記事では季節性を一巡して確認するため、まず1年分を一つの目安としています。3か月程度でも曜日別や直近傾向の分析はできますし、季節変動が大きい商品なら2〜3年分あるほうが比較しやすくなります。データ期間だけでなく、欠損が少なく、同じルールで記録されていることも重要です。
食品製造の需要予測はExcelだけでもできますか?
SKUや得意先が比較的少ない段階なら、Excelでも始められます。前年同月、曜日別平均、直近平均、廃棄率、欠品回数などを確認するだけでも製造計画改善の材料になります。SKU数や拠点数が増え、毎日の集計作業が大きな負担になった段階で専用ツールを検討するとよいでしょう。
天候や特売も需要予測に入れられますか?
可能です。Excelで管理する場合でも、特売の有無、曜日、天候などを列として記録しておけば、「雨の日」「特売日」と通常日の実績を比較できます。専用需要予測ツールの中には外部データとの連携に対応するものもありますが、対応範囲は製品によって異なるため、導入前に最新の仕様を確認してください。
生成AIだけで翌日の製造数を決めてもよいですか?
おすすめできません。生成AIは実績の整理、条件の洗い出し、製造数を検討するときの壁打ちには活用できますが、誤った計算や不正確な回答を出す場合があります。最終的な製造数は、元データ、得意先からの最新情報、在庫状況などと照合したうえで、人が確認して決定してください。
相談前に、次の情報を分かる範囲で整理しておくと、検討を進めやすくなります。
需要予測AIを導入することが最初のゴールではありません。受注・出荷・廃棄の記録状況、SKU数、賞味期限、現在の受注方法によっては、まずExcelによる見える化やFAX受注のデジタル化から始めたほうがよい場合もあります。
「うちの規模で需要予測AIは必要なのか」「どのデータから残せばよいのか」「Excelを続けるべきか、ツールへ移行すべきか」「受注業務のデジタル化と一緒に進めたい」と迷っている場合は、現在の業務フローを整理するところからご相談いただけます。
SKU数
主な商品と賞味期限
月間のおおよその受注件数
FAX・電話・メールなど現在の受注方法
製造計画をどのように決めているか
何か月・何年分の実績データがあるか
廃棄数・廃棄金額を把握しているか
自社に合う進め方を相談する
▶ 相談前に、次の情報を分かる範囲で整理しておくと、検討を進めやすくなります。
