棚卸のたびに、閉店後も店に残って商品を数え、紙の棚卸表へ数字を書き、その内容をパソコンのスプレッドシートへ転記していないでしょうか。
食品店、アパレル店、雑貨店、家具店などではPOSレジを導入していても、実際に棚に残っている商品の確認だけは紙で行っているケースがあります。
この方法で負担になりやすいのは、商品を数える作業だけではありません。
一度紙へ書いた数字を再びパソコンへ入力し、さらにPOS上の在庫と照合する作業が発生するためです。数字の読み間違い、入力する行のずれ、転記漏れがあれば、棚卸の差分そのものが入力ミスによって発生してしまうこともあります。
そこで考えたいのが、スマートフォン、音声入力、AI、スプレッドシートを組み合わせた棚卸です。
重要なのは、AIに棚卸をすべて任せることではありません。商品の数を確認するのは人が行い、その結果を「紙へ書いてから入力する」のではなく、写真や音声を使って最初からデータに近い形で記録します。
AIは、その記録を品目と数量の表へ整理したり、POS在庫との差分を抽出したり、差分の原因を分類したりする補助役として使います。
現在のPOSレジを入れ替えたり、高額な在庫管理システムを新しく導入したりしなくても、今使っているスマホとスプレッドシートから始められる可能性があります。
この記事では、棚卸を効率化する具体的な流れから、実在庫とPOS在庫がズレる原因、AIへ任せてよい作業と人が確認すべき作業、さらに毎月すべての商品を確認する方法から「差分の出やすい棚だけ週次で確認する方法」へ移行する考え方まで解説します。
棚卸を効率化するなら「数える作業」より転記から減らす
棚卸を効率化しようとすると、「商品を自動で数えられないか」と考えがちです。
しかし、小規模な店舗が最初に見直しやすいのは、商品を数える工程より、その後に発生している紙への記録とスプレッドシートへの転記です。
紙に書いてからスプレッドシートへ入力する二重作業が重い
従来の棚卸では、スタッフが棚を回り、商品の数量を確認し、紙へ記入します。
それだけで終わればよいのですが、多くの場合、その紙を事務所へ持ち帰り、スプレッドシートへ再入力します。その後、POSから出した在庫データと比較し、差分のある商品を探します。
つまり、同じ数量を「確認する」「紙に書く」「パソコンへ入力する」という複数の工程で扱っています。
たとえば実際の数量が「17個」だったとしても、棚では正しく17個と数えられたのに紙へ「11個」と書いてしまったり、紙には17個と書いたのにスプレッドシートへ「71個」と入力したりすれば、棚卸差異が発生します。
在庫そのものは正しいのに、記録方法のせいで差分を作っている状態です。棚卸効率化では、まずこの二重入力を疑う必要があります。
AIは棚卸を完全自動化するより「記録係」に向いている
スマートフォンで棚を撮影すれば、AIがすべての商品を完全に認識し、数量まで正確に数えてくれると期待するかもしれません。
しかし、実店舗では商品が重なっていたり、同じデザインの商品が色やサイズ違いで並んでいたり、棚の奥に商品が隠れていたりします。
食品なら外観が似た商品もあります。アパレルでは畳まれた商品やハンガー商品が混在します。家具や雑貨では、展示品と販売在庫を分けて考えなければならない場合もあります。
そのため、写真だけですべての数量を確定する方法は、店舗や商品によって精度に差が出ます。
そこで現実的なのが、人が商品を見ながら数量を確認し、その結果をスマホへ話す方法です。
「商品コード1234、黒、Mサイズ、6点」のように読み上げ、それを音声入力で文字へ変換します。AIには、その文字情報を決められた列へ整理させます。
AIを「数える人」にするのではなく、「書く人」「整理する人」にする考え方です。
POSレジを入れていても実棚の確認はなくならない
POSレジには販売した商品の記録が残るため、理論上は在庫数を計算できます。
それでも実際の店舗では、POS上の数量と棚にある数量が一致しないことがあります。
その理由は、店舗では販売以外にも商品が動くからです。返品、交換、破損、サンプル使用、展示、廃棄、スタッフ利用、入力間違いなど、POS上の売上だけでは把握できない動きが発生します。
そのため、POSがあっても実棚の確認は必要です。棚卸DXの目的は実棚確認を完全になくすことではなく、実棚を確認した後の記録・照合・原因調査を軽くすることだと考えると、導入方法を整理しやすくなります。

閉店後3時間かかっていた棚卸を「撮る・話す」に変えたアパレル店の想定例
ここでは、具体的な利用イメージとして小規模なアパレル店を想定します。実在企業の導入事例ではありません。
この店舗では、毎月末の営業終了後に店長とスタッフが商品数を確認していました。
従来は棚卸表へ記入してから翌日に再入力
以前の方法では、商品一覧を印刷し、スタッフが売場とバックヤードを回りながら数量を書き込んでいました。営業終了後に一通り確認するだけでも時間がかかりますが、その日の作業はそこで終わりません。
翌日、店長が紙の棚卸表を見ながらスプレッドシートへ入力し、POS在庫と比較します。そのため、閉店後の棚卸作業と翌日の転記作業を合わせると、大きな負担になっていました。
さらに、POSとの差分が見つかれば、前日の紙を再び確認する必要があります。
棚の写真と音声入力を実棚記録の材料にする
改善後は、棚やラックごとにスマートフォンで写真を残します。
そのうえでスタッフが商品を確認し、「棚A、商品コード1234、黒M、6点」「商品コード1235、黒L、4点」といった形で数量を読み上げます。音声入力された内容は、その場でテキストとして残します。
ここで写真は、AIにすべての商品を数えさせるためだけに使うのではありません。あとで数量に疑問が出たとき、「この棚を確認したときの状態」を振り返るための証拠としても役立ちます。
店長はAIが整理した表を最後に確認する
読み上げた内容をAIへ渡し、商品コード、商品名、サイズ、色、棚番号、実棚数量などの項目に整理します。
その表をPOSから出した在庫データと突き合わせれば、実棚とPOSの数量が異なる商品の候補を絞れます。店長は全商品をもう一度確認するのではなく、差分が出た商品やAIがうまく整理できなかった部分を中心に確認します。
この方法で重要なのは、棚卸を完全無人化していない点です。人が実物を見て数え、AIが記録と整理を補助し、最後は人が確認します。棚卸の正確性を維持しながら、二重入力を減らしやすい方法です。

実在庫とPOS在庫がズレるのは棚卸の数え間違いだけではない
「実在庫 POS ズレ」で悩んでいる店舗では、棚卸のたびに数え間違いを疑ってしまいがちです。もちろん数え間違いも原因になります。
しかし、毎月同じ商品や同じ棚で差分が発生しているなら、棚卸作業ではなく日常の店舗運用に原因がある可能性もあります。
返品や交換商品がPOSへ正しく戻っていない
返品を受けた商品が売場へ戻ったものの、POS上では在庫へ戻す処理が行われていないケースがあります。反対に、POSでは返品処理をしたものの、商品自体は破損などによって販売在庫へ戻せない場合もあります。
このような商品は、実在庫とPOS上の数量がずれやすくなります。返品や交換の処理手順がスタッフごとに異なる店舗では、特に差分が蓄積しやすくなります。
サンプル・展示品・破損品を在庫から落としていない
化粧品、食品、雑貨、家具、アパレルなどでは、販売用の商品をサンプルや展示へ回す場合があります。現場では「もう販売しない商品」だと分かっていても、POS上では通常在庫のまま残っていれば、棚卸時に差が発生します。
破損品も同様です。バックヤードへ移動して処分待ちになっている商品が、POS上では販売可能在庫として残っていることがあります。
レジ打ち間違いや商品コード間違いが残っている
似た商品が多い店舗では、本来の商品とは違う商品コードで販売処理してしまうケースがあります。たとえば色違いの商品を別の商品コードで登録している場合、店舗全体の販売点数は合っていても、商品別の在庫数はズレます。
一方の商品はPOS在庫が多く、もう一方は少なくなるためです。この差分は棚卸で初めて発見されることがあります。
値引き・廃棄・社内使用などの処理が漏れている
食品店では廃棄、試食、破損などが起こります。雑貨店やアパレル店では撮影用、展示用、スタッフ着用などによって商品が通常在庫から外れることもあります。
こうした動きを毎回正しく記録していなければ、月末の棚卸で差分になります。つまり、棚卸差異は「棚卸担当者が間違えた結果」とは限りません。棚卸によって、普段のレジ運用や在庫処理の問題が表面化している場合があります。
棚卸をスマホと音声で記録する基本手順
棚卸をスマホと音声で効率化するときは、一気に完全自動化しようとしないことが重要です。現在の棚卸方法を大きく変えず、「紙へ書く部分だけスマホへ置き換える」ことから始めると現場へ定着しやすくなります。
手順1|スマホで棚を撮影する
最初に、棚や売場の単位を決めます。「食品棚A」「婦人服ラック2」「バックヤード棚3」のように、あとでどこを確認したのか分かる単位にします。
棚卸を始める前にスマホでその棚を撮影します。ここで写真を撮る理由は、必ずしも写真だけで商品数を自動認識するためではありません。棚卸時点の状態を残し、差分が出たときに確認できるようにする意味があります。
手順2|商品名と数量を声で読み上げる
商品を確認したら、紙へ数字を書く代わりにスマートフォンへ読み上げます。商品コードがある店舗では、商品コードを優先して使うと後の照合が安定します。
商品名だけでは、「黒Tシャツ」「黒色Tシャツ」「Tシャツ黒」のような表記揺れが発生しやすいからです。読み上げ方法も店舗内で統一しておくと扱いやすくなります。
手順3|AIが品目と数量をスプレッドシート形式へ整える
音声入力した内容をそのままスプレッドシートへ貼り付けるだけでは、まだ整理が必要です。そこでAIへ、決められた列へ分けるよう指示します。
| 棚番号 | 商品コード | 商品名 | 実棚数量 | 確認状態 |
|---|---|---|---|---|
| A-01 | 100123 | 商品A | 12 | 確認済み |
| A-01 | 100124 | 商品B | 7 | 確認済み |
| A-02 | 100125 | 商品C | 4 | 要確認 |
AIの役割は、音声入力された文章から列を分けたり、不要な言葉を除いたり、データ形式をそろえたりすることです。ただし、AIが出した数量をそのまま正式な棚卸数として確定するのは避けます。聞き間違いや商品コードの認識ミスがないか確認する工程を残します。
手順4|POS在庫をCSVで出して実棚との差分を表示する
次にPOSレジから在庫データをCSV形式などで出力します。POS側の商品コードと棚卸データの商品コードを合わせれば、スプレッドシート上で照合できます。
| 商品コード | 商品名 | 実棚数量 | POS数量 | 差分 |
|---|---|---|---|---|
| 100123 | 商品A | 12 | 12 | 0 |
| 100124 | 商品B | 7 | 9 | -2 |
| 100125 | 商品C | 4 | 3 | +1 |
差分がゼロの商品は、基本的には再確認の優先度を下げられます。差分が大きい商品だけを抽出すれば、店舗全体をもう一度数え直す必要がありません。
手順5|大きな差分だけ人が再確認する
AIやスプレッドシートが差分を表示した後は、人が原因を確認します。たとえばPOS在庫が10個、実棚が9個なら、まず棚を再確認します。
数え間違いでなければ、返品、破損、廃棄、別の商品コードでの販売などを調べます。棚卸を効率化するときのポイントは、すべての商品を何度も確認するのではなく、問題が起きている商品だけを重点的に確認できる状態を作ることです。

棚卸スプレッドシートは「実棚・POS・差分」を横並びにする
棚卸用スプレッドシートを複雑に作りすぎる必要はありません。重要なのは、人が数えた実棚数量、POS上の在庫数量、その差分が同じ行で確認できることです。
最低限そろえたい列
店舗によって必要な項目は異なりますが、最初は必要最低限の項目から始めます。
| 項目 | 役割 |
|---|---|
| 棚番号 | どこで数えた商品かを特定する |
| 商品コード | POSデータとの照合に使う |
| 商品名 | 人が内容を確認する |
| 実棚数量 | 店舗で実際に数えた数量 |
| POS数量 | POS上の理論在庫 |
| 差分 | 実棚数量とPOS数量の違い |
| 差分原因 | 後から原因を分類する |
| 確認日 | いつ確認したデータかを残す |
こうしておけば、「差分がある商品だけ表示する」「同じ棚で差分が繰り返されていないか確認する」といった使い方ができます。
商品名だけではなく商品コードで照合する
AIを使う場合でも、POSデータとの照合は商品コードを基準にした方が安定しやすくなります。商品名は人によって呼び方が変わるからです。
アパレルであれば、商品名だけではなく色やサイズまで区別しなければならないこともあります。商品コードがあるなら、音声入力でも商品コードを読み上げる運用を検討します。
AIが作った数値をそのまま確定しない
音声認識では「15」と「50」、「A12」と「A20」のような聞き違いが起こる可能性があります。写真認識でも、商品同士が重なっていれば正しく判別できない場合があります。
したがって、AIが整理した表には確認工程を入れます。特にPOSとの差分が大きい商品、AIが商品コードを確定できなかった行、不自然に数量が多い・少ない商品は人が再確認します。AIによって確認をなくすのではなく、確認すべき範囲を絞るのが現実的です。
AIに差分原因を分類させるとレジ運用の直しどころが見える
棚卸データを毎月保存していくと、単なる月末作業ではなく、店舗運用を改善する材料として使えるようになります。特に重要なのが、差分の原因を残すことです。
毎回同じ商品でズレるなら数え方以外を疑う
ある商品で毎月のようにマイナス差分が発生しているなら、単純な数え間違いだけではない可能性があります。同じ棚だけ差分が多ければ、その棚での販売方法や商品移動に問題があるかもしれません。
同じスタッフの勤務日に差分が発生しているからといって、すぐ個人の責任にするのも適切ではありません。レジ画面が分かりにくい、商品コードが似ている、返品手順が統一されていないなど、仕組みに原因があることもあります。
返品・破損・レジミスなどへ原因を分類する
差分を確認したら、原因を自由記述だけで終わらせず、分類して残します。たとえば「返品処理」「破損」「廃棄」「レジ登録ミス」「棚移動」「数え直しで解消」「原因不明」のように店舗で分類を決めます。
AIは過去の確認メモを読み、どの分類に近いか候補を出す用途に使えます。すると、月ごとにどの原因が多かったのかを集計しやすくなります。
棚卸を「在庫確認」から「業務改善」に変える
仮に毎月の差分の多くが返品処理から発生していると分かれば、棚卸の方法を変えるより返品時のPOS操作を見直した方が効果があります。廃棄処理が原因なら、閉店時に廃棄登録するルールを見直します。商品コード間違いが多ければ、レジでの選択方法や商品マスタの表示を改善します。
棚卸は、月末に在庫数を合わせるためだけの作業ではありません。差異を蓄積して原因を分析すれば、日々の店舗運営で修正すべき場所を発見する仕組みに変えられます。
棚卸効率化でAIに任せてよい作業・人が確認する作業
小売店の棚卸効率化では、AIへ任せる範囲と人が判断する範囲を分けることが重要です。AIが便利だからといって、在庫数量をすべて自動確定させる必要はありません。
| 作業 | AI・自動処理との相性 | 人の確認 |
|---|---|---|
| 音声を文字へ変換する | 高い | 聞き間違いを確認する |
| 読み上げ内容を表へ整形する | 高い | 商品コードや数量を確認する |
| POS在庫との差分を抽出する | 高い | 元データの対応関係を確認する |
| 差分原因を分類する | 高い | 実際の原因を最終判断する |
| 商品の実数を確定する | 店舗・商品による | 原則として人が確認する |
| 返品や破損の事実を確認する | 低い | 人が確認する |
| 正式な棚卸数量を確定する | 補助用途 | 責任者が最終確認する |
AIが得意なのは、大量の文字や表を整理し、比較し、候補を絞る処理です。一方、「実際に棚に何個あるか」「なぜ商品がなくなったのか」といった現実世界の事実は、人が確認する必要があります。この線引きを最初に決めると、AI導入によって逆に確認作業が増えるのを防ぎやすくなります。
月次棚卸から「差分の出やすい棚だけ週次確認」へ変える
棚卸効率化の次の段階は、「毎月全部を同じ頻度で確認する」という発想を見直すことです。商品や棚によって、差分の発生頻度は異なります。
最初は従来どおり全棚を確認する
AIやスプレッドシートを導入した直後から確認範囲を減らす必要はありません。まずは従来どおり全体を確認し、どの商品、どの棚で差分が発生しているのか記録します。最初の数回は、棚卸データを蓄積する期間と考えます。
差分履歴を棚別・商品別に残す
棚卸のたびに前月のデータを上書きしてしまうと、差分の傾向が分からなくなります。確認日、棚番号、商品コード、差分数量、原因を履歴として残します。すると、同じ棚で繰り返し差分が出ているのか、特定の商品だけ問題が起きているのかを確認できます。
ズレが多い棚だけ確認頻度を上げる
たとえば毎月差分が出る棚については、月末だけでなく週に一度簡易確認します。一方、半年間ほとんど差分が出ていない棚を毎週確認する必要はありません。
ここで目指すのは、棚卸回数をむやみに増やすことではありません。問題が起きやすい場所だけ早めに確認し、月末に大きな差分として発覚するのを防ぐことです。
差分が少ない棚は月次のまま維持する
すべての棚を週次確認にすると、棚卸効率化どころか仕事が増えてしまいます。差分履歴を使い、確認頻度を変えることが重要です。差分が多い棚は短い周期で確認し、安定している棚は従来どおり月次確認にします。
こうすると、「全商品を一律で管理する棚卸」から「問題が起きやすい場所へ時間を使う棚卸」へ変えられます。
スマホ棚卸を始める前に決めておきたい運用ルール
スマホとAIを入れれば、自動的に棚卸が楽になるわけではありません。紙の運用がバラバラなままスマホへ置き換えると、デジタル上でバラバラな記録が増えるだけです。
棚番号や売場単位を固定する
最初に「どこからどこまでを一つの棚として扱うか」を決めます。棚番号を固定すると、写真、音声記録、スプレッドシートの行を対応させやすくなります。差分履歴を分析するときも、「A棚だけ差分が多い」といった見方ができるようになります。
音声で読み上げる順番を統一する
スタッフごとに読み上げ方が違うと、AIによる表への変換が難しくなります。店舗内で「棚番号→商品コード→数量」など、一定の順番を決めます。商品の色やサイズが必要な場合は、その位置も固定します。AIを高度にするより、人の入力方法をそろえる方が精度向上につながるケースもあります。
誰が最終確認するか決める
棚卸データは経営や会計にも関わる重要な情報です。AIが表を作ったからといって、そのまま正式な棚卸数量にするのではなく、店長や責任者が最終確認する運用を決めます。特に差分がある商品は、再確認したのか、原因が判明したのか、未解決なのかを残しておくと後から追いやすくなります。
商品写真や業務データをAIへ入力する際のルールを決める
外部の生成AIサービスを利用する場合は、店舗内の情報をどこまで入力してよいか確認が必要です。顧客の個人情報や、公開する必要のない取引情報などが写真へ写り込まないよう注意します。
利用するAIサービスのデータ利用方針や法人向け設定も確認し、社内で入力可能な情報と入力しない情報を決めておくことが重要です。サービスの仕様やプラン内容は変更される可能性があるため、実際の利用時には公式情報を確認してください。
棚卸のスマホ・AI化が向いている店舗と向いていない店舗
スマホとスプレッドシートを使った棚卸は、すべての店舗に同じように適しているわけではありません。現在の業務と商品の性質を見て判断します。
| 店舗の状況 | 向き・不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 紙へ書いた後にスプレッドシートへ転記している | 向いている | 二重入力を減らす余地が大きい |
| POSからCSVを出力できる | 向いている | 実棚との照合をしやすい |
| 商品コードが整理されている | 向いている | POSデータと結び付けやすい |
| 棚番号や売場区分を決められる | 向いている | 写真や履歴を管理しやすい |
| 商品の見た目だけでは種類を区別できない | 工夫が必要 | 商品コードなど別の識別方法が必要 |
| 棚の中の商品が常に重なっている | 写真だけでは不向き | 人による数量確認が必要 |
| 写真だけですべて自動判定したい | 不向き | 認識結果の確認が必要 |
| 現在の棚卸ルール自体が決まっていない | 先に運用整理が必要 | AI導入前に入力方法を統一する必要がある |
特に効果が出やすいのは、「棚卸はすでに行っているが、記録方法だけが紙のまま」という店舗です。現場で数える方法を大きく変えず、紙と転記を減らすところから始められます。
よくある質問
スマホで棚を撮るだけで商品数まで自動で数えられますか?
商品や棚の状態によってはAIで数量を推定できる場合がありますが、正確性を保証できるものではありません。商品が重なっている場合や色・サイズ違いが似ている場合は、人が実数を確認し、AIには記録と整理を任せる方法が適しています。
音声入力を間違えた場合はどうしますか?
POS在庫との差分や不自然な数量を手掛かりに人が再確認します。棚の写真も残しておけば、入力ミスや確認漏れを調べる材料として利用できます。
POS在庫との照合は自動化できますか?
商品コードや在庫数量をCSVなどで出力できるPOSであれば、スプレッドシート上で実棚データと照合できる可能性があります。出力できる項目や形式はPOSによって異なるため、現在利用しているサービスの仕様を確認してください。
無料のスプレッドシートでも始められますか?
実棚数量、POS数量、差分を管理する基本的な仕組みであれば、一般的な表計算ソフトやクラウド型スプレッドシートから始められるケースがあります。最初から専用の在庫管理システムを導入する必要はありません。
毎月すべての商品を棚卸する必要がありますか?
正式な棚卸方法や頻度は、会計処理や店舗の運用ルールによって異なります。本記事の「差分が出やすい棚だけ週次確認する方法」は正式な棚卸を省略する意味ではなく、日常的な簡易確認によって大きな差異を防ぐための運用です。
まとめ|棚卸は「紙に書いて後から入力する」作業から減らす
棚卸をAIで効率化すると聞くと、カメラを向けるだけでAIがすべての商品を自動で数える仕組みを想像しがちです。
しかし、小規模な小売店が最初に取り組みやすいのは、もっと身近な部分です。商品を人が確認することは残したまま、紙へ数量を書き、その数字をパソコンへ入力し直す作業を減らします。
スマートフォンで棚を撮影し、数量を音声で読み上げ、AIで商品コードや数量をスプレッドシート形式へ整えます。そこへPOS在庫を組み合わせれば、実棚とPOSの差分を確認できます。
さらに、差分の原因を返品、破損、廃棄、レジ登録ミスなどに分類して履歴を残せば、棚卸は単なる在庫確認から店舗運営を改善するためのデータへ変わります。
差分が出やすい棚だけ週次で確認し、安定している棚は従来の確認頻度を維持する方法も考えられます。
大切なのは、AIへ在庫の最終判断まで任せないことです。AIには文字化、表への整理、差分抽出、原因分類などを任せ、実際の数量や原因は人が確認します。
POS、スマホ、スプレッドシートがすでにある店舗なら、大規模なシステム刷新を検討する前に、まず一つの棚だけで「撮る・話す・表にする」という方法を試してみると、自店に合うか判断しやすくなります。
スマホで棚を撮るだけで商品数まで自動で数えられますか?
商品や棚の状態によってはAIで数量を推定できる場合がありますが、正確性を保証できるものではありません。商品が重なっている場合や色・サイズ違いが似ている場合は、人が実数を確認し、AIには記録と整理を任せる方法が適しています。
音声入力を間違えた場合はどうしますか?
POS在庫との差分や不自然な数量を手掛かりに人が再確認します。棚の写真も残しておけば、入力ミスや確認漏れを調べる材料として利用できます。
POS在庫との照合は自動化できますか?
商品コードや在庫数量をCSVなどで出力できるPOSであれば、スプレッドシート上で実棚データと照合できる可能性があります。出力できる項目や形式はPOSによって異なるため、現在利用しているサービスの仕様を確認してください。
無料のスプレッドシートでも始められますか?
実棚数量、POS数量、差分を管理する基本的な仕組みであれば、一般的な表計算ソフトやクラウド型スプレッドシートから始められるケースがあります。最初から専用の在庫管理システムを導入する必要はありません。
毎月すべての商品を棚卸する必要がありますか?
正式な棚卸方法や頻度は、会計処理や店舗の運用ルールによって異なります。本記事の「差分が出やすい棚だけ週次確認する方法」は正式な棚卸を省略する意味ではなく、日常的な簡易確認によって大きな差異を防ぐための運用です。
紙の棚卸表をすべて廃止したり、新しい在庫管理システムへ全面移行したりしなくても、現在使っているPOS、スマートフォン、スプレッドシートを活用して棚卸を効率化できる場合があります。
現在の棚卸方法やPOSから出力できるデータを確認しながら、どこからデジタル化・AI活用を始めれば負担を減らしやすいか整理したい店舗は、まず現状の業務フローから確認すると進めやすくなります。
相談前には、現在使っているPOS、棚卸表の形式、商品点数、店舗数、POSから出力できるCSV項目、棚卸にかかっている人数と時間が分かると、改善方法を整理しやすくなります。
