「AIに任せる」と説明したとき、職員から返ってくる反応はだいたい2つに分かれます。「じゃあ自分は何をすればいいのか」と「仕事がなくなるのか」。どちらも当然の疑問で、ここに答えを持っていないまま導入を進めると、まず定着しません。
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この記事は、社労士事務所でAIを使い始めたあとに人が担当する仕事が具体的に何になるのかを、業務名のレベルで整理したものです。一般論としての「AI時代の働き方」ではなく、勤怠の変換や届出前の確認といった実際の工程に沿って書いています。
この記事の結論
仕事はなくなりません。「処理する人」から「AIが処理できるように整えて、出てきた結果を承認する人」に変わります。整える仕事は5つ(依頼フォーマットを決める/顧問先別ルール表を作る/例外を定義する/出力を承認する/崩れたら直す)。この5つを誰がやるかを決めないまま導入すると、AIはあるのに使われない状態になります。

「処理する人」から「整える人」へ
今、職員がやっていること
社労士事務所の職員が月次で行っている作業を分解すると、おおよそ次のようになります。顧問先から届いたデータを読む、統一の形に直す、給与ソフトに入れる、計算結果を確認する、届出の内容を根拠資料と照合する、顧問先に問い合わせる、判断する、確定する。
この中で、AIに寄せられるのは「読む」「直す」「確認する(比較する)」の3つです。残りは人が担当し続けます。ただし、担当の仕方が変わります。
変わるのは「いつ」手を動かすか
これまでは、データが届いてから手を動かしていました。AIを入れると、データが届く前に手を動かすことになります。統一フォーマットを決める、顧問先ごとのルールを表にする、例外の扱いを書いておく——こうした準備を先にしておけば、届いたあとは承認するだけになります。
この「前にずれる」感覚が、職員にとっては最初分かりにくい部分です。作業量は減りますが、考える量はむしろ増えます。この点を最初に伝えておくと、期待値のずれが起きにくくなります。
| 工程 | これまで | これから |
|---|---|---|
| データを読む | 人が読んで意味を解釈する | AIが読む。人は例外だけ見る |
| 形式を直す | 人が転記・変換する | AIが変換する。人は変換ルールを決める |
| 確認する | 人が全件を目視する | AIが差異を出す。人は差異だけ見る |
| 判断する | 人が判断する | 変わらない(人が判断する) |
| 確定する | 人が確定する | 変わらない(人が確定する) |
整える5つの仕事
ここからが本題です。「整える」とは具体的に何をすることか。社労士事務所の実務に即して分けると、次の5つになります。
仕事1:依頼フォーマットを決める
顧問先から何を、いつまでに、どの形で送ってもらうかを決めて、文面にする仕事です。「勤怠は毎月◯日までに、この専用アドレスへ、エクセルまたはCSVで」という取り決めを作り、顧問先に伝えます。
ここで大事なのは、顧問先に大きな変更を求めないことです。様式はそのままでよく、送り先と時期だけ揃えてもらう。それだけで事務所側の処理は安定します。文面のひな型を1つ作れば、顧問先ごとに少し直して使えます。
仕事2:顧問先別ルール表を作る
顧問先ごとの締め日、時間の丸め単位と方向、所定労働時間、休暇区分の呼び方、手当・控除の独自ルール、特記事項。これを1顧問先1行で表にします。この表が、AIに渡す前提そのものになります。
この作業は、これまで担当者の頭の中にしかなかった知識を文字にする作業でもあります。実際に書き出してみると、「この顧問先のこの手当、なぜこの扱いなんだっけ」という疑問が出てくることがあります。それも含めて、整理する価値のある作業です。
仕事3:例外を定義する
イレギュラーな状況をどう扱うかを、あらかじめ3つに分けて書いておく仕事です。「AIが直してよい」「人に回す」「顧問先に確認する」の3区分。この定義があるかないかで、毎月の作業量が大きく変わります。
ただし、最初から完璧な定義を作る必要はありません。むしろ作れません。実際に運用して例外が出るたびに1行ずつ足していく、という前提で始めるのが現実的です。この積み上げが、事務所の判断基準そのものになっていきます。
仕事4:AIの出力を承認する
AIが出した変換結果や差異一覧を確認し、確定させる仕事です。ここが月次の中心的な作業になります。ポイントは、全件を見るのではなく、フラグの立った行や「判断要」に分類された案件だけを見ることです。
この「全部見ない」への移行が、実は最も難しい部分です。不安から全件確認を続けてしまう事務所は少なくありません。移行の条件を数字で決めておくこと(例:3か月連続で差が出なければ抜き取り確認へ)が効きます。
仕事5:崩れたら直す
顧問先が様式を変えた、法改正で項目が増えた、新しい顧問先が加わった。こうした変化に合わせて、統一フォーマットやルール表を直す仕事です。頻度は多くありませんが、これをやる人がいないと仕組みは数か月で使われなくなります。
| 整える仕事 | やること | 頻度 | 担当の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 依頼フォーマットを決める | 送付先・時期・形式を決めて顧問先に伝える | 導入時+新規顧問先ごと | 担当者+所長承認 |
| 2. 顧問先別ルール表を作る | 締め日・丸め・手当・控除を1行で書く | 導入時+変更時 | 担当者 |
| 3. 例外を定義する | 3区分の基準を書き、運用しながら足す | 毎月少しずつ | 所長(基準の決定) |
| 4. 出力を承認する | 差異一覧・判断要を確認して確定する | 毎月 | 担当者 |
| 5. 崩れたら直す | 様式変更・法改正に合わせて前提を直す | 随時 | 整備担当 |

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顧問先への依頼をどう伝えるか
お願いするのは3点だけ
「AIを入れるので協力してほしい」という伝え方は避けたほうがよいと思います。顧問先にとってはこちらの都合であり、動く理由になりません。伝えるのは、事務処理を確実にするための3点だけです。
| お願いすること | 顧問先の負担 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 送付先を1つにする | ほぼゼロ | 勤怠は今後こちらのアドレスへお願いします |
| 提出時期を決める | 小さい | 締め日から◯営業日以内にいただけると確認時間が確保できます |
| 訂正は再送で | 小さい | 訂正がある場合は差し替えファイルを再送してください |
文面のひな型
実際に送る文面は、次のような構成にすると伝わりやすくなります。①いつから変わるか、②何をどこへ送るか、③期限、④訂正時の扱い、⑤問い合わせ先。長い説明は不要で、5項目を箇条ではなく短い段落で書けば十分です。
このひな型を作る作業自体も、AIに下書きさせることができます。ただし送信前に人が読むことは必ず工程に入れてください。顧問先に届く文章は事務所の名前で出るものです。
AI利用そのものを伝えるか
顧問先のデータをAIで扱う以上、その事実は伝えておくほうが健全です。伝える内容は、①渡すのは氏名を伏せたデータであること、②AIがするのは変換と比較であって判断ではないこと、③最終確認は従来通り人が行うこと。この3点で足ります。

担当者1人で始める役割設計
全員が同時に覚える必要はない
導入時によくある失敗が、全職員にアカウントを配って研修を開くパターンです。個人の使い方は業務に組み込まれないため、忙しくなると使われなくなります。組み込む対象は人ではなく工程なので、まず1人が1工程を担当する形が現実的です。
整備担当を1人決める
整える5つの仕事のうち、1〜3と5を担当する人を1人決めます。適任は、確認作業をいちばん多くやっている職員です。工程の実態を知っているので、ルール表も例外定義も現実に合ったものになります。
他の職員は、仕事4(出力の承認)から入ります。出てきた結果を見て承認するだけなので、覚えることは多くありません。慣れてきたら例外の記録に参加してもらう、という段階を踏むと無理がありません。
所長がやること
所長の役割は2つです。1つは、例外の3区分の基準を決めること。もう1つは、「全件見なくてよい」と明示することです。後者は職員には決められません。責任者が線を引かないと、職員は不安から全件確認に戻ります。
| 役割 | 担当する仕事 | 関わり方 |
|---|---|---|
| 整備担当(1人) | フォーマット決め、ルール表、例外定義、修正 | 仕組みを作り、維持する |
| 他の職員 | 出力の承認、例外の記録 | 結果を見る側から入る |
| 所長 | 3区分の基準決定、確認範囲の明示 | 判断基準と責任範囲を決める |

整える仕事を実際に始める3か月
1か月目:書き出す
最初の1か月は、手を動かすというより書き出す期間です。対象の顧問先を1社選び、その1社について「どんな形でデータが届くか」「どんなルールで処理しているか」を書き出します。担当者が普段無意識にやっている判断を、言葉にしていく作業です。
この段階で必ず出てくるのが、「なぜこう処理しているのか説明できない」項目です。慣習で続いている扱いや、前任者から引き継いだまま検証されていないルール。それを見つけること自体に価値があります。
2か月目:突き合わせる
書き出したルールをもとに、AIで変換や突合を試します。人の結果と並べて、差が出たところを調べる。この作業を通じて、書いたルールが実態と合っているかが検証されます。
差が出るのは失敗ではありません。むしろ差が出るからこそ、ルールの書き方が不十分だった箇所が分かります。この期間は作業が一時的に増えますが、ここを飛ばすと3か月目以降に信用されない仕組みになります。
3か月目:任せる
差が出なくなったら、承認だけの運用に切り替えます。ここで所長が「全件は見なくてよい」と明示することが必要です。この一言がないと、職員は自主的に全件確認を続けます。
| 期間 | 職員がやること | 所長がやること |
|---|---|---|
| 1か月目 | 1社分のルールと例外を書き出す | 対象の顧問先を選び、時間を確保する |
| 2か月目 | AIの結果と自分の結果を突き合わせる | 差が出た原因の判断に付き合う |
| 3か月目 | 承認だけの運用に切り替える | 確認範囲を明示する |
| 4か月目以降 | 2社目・3社目へ広げる | 評価軸を新しいものに変える |
うまくいかない事務所に共通すること
整える担当を決めていない
「みんなで使ってみよう」で始めると、誰も整えません。整える仕事は日常業務の外側にあるため、担当が決まっていないと後回しになります。1人でよいので明示的に決めることが必要です。
整える時間を業務時間に入れていない
ルール表を作る時間を「空いた時間でやっておいて」にすると、まず進みません。月に数時間でよいので、業務時間として確保することが必要です。この確保は所長にしかできません。
評価軸を変えていない
処理件数で評価される状態のまま「整えてほしい」と言っても、職員は動けません。評価軸を変えるか、少なくとも「整備の時間は評価上マイナスにならない」と明示する必要があります。
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 整える担当を決めていない | 誰も整えず、AIが使われない | 1人を明示的に指名する |
| 整える時間を確保していない | 後回しになり進まない | 月に数時間を業務時間として確保する |
| 評価軸を変えていない | 整備がマイナス評価になる | 整備数・例外率を評価に入れる |
| 全職員に同時展開する | 個人利用にとどまり定着しない | 1工程・1顧問先から始める |
職員の評価をどう変えるか
処理件数で測ると逆効果になる
処理件数を評価軸にしていると、仕組みを整えて処理を減らした職員の評価が下がります。これでは誰も整えようとしません。評価軸を変えないまま導入すると、制度が導入を邪魔することになります。
新しい評価軸の例
| これまでの評価軸 | これからの評価軸 | 測り方 |
|---|---|---|
| 処理した顧問先の件数 | ルール表を整備した顧問先の数 | 整備済み顧問先の一覧を数える |
| 作業時間の長さ | 例外率の低下 | 「人に回す」件数の推移を見る |
| ミスを出さなかったこと | 差異一覧で検出できた件数 | 提出前に見つかった件数を数える |
| 担当した業務量 | 他の職員でも回せる顧問先の数 | 担当者以外が承認できた件数を数える |
属人化の解消そのものを評価する
いちばん価値のある変化は、「その人しかできない」状態が減ることです。ルール表と例外定義が揃えば、担当者が休んでも他の職員が回せます。これは業務効率化以上に、事務所の継続性に関わる部分です。
ただし、属人化の解消は当人にとって「自分の価値が下がる」ように見えることがあります。整備した本人を明確に評価する仕組みがないと、無意識のうちに整備が進まなくなります。ここは所長が意識的に扱うべき部分です。

「整える5つの仕事」を毎月の予定に落とす
月次のどこに入れるか
整える仕事は、締め日直後の繁忙な時期に入れると必ず後回しになります。おすすめは、給与確定が終わって次の締め日までの、いちばん落ち着いた期間に固定することです。多くの事務所では月の中旬から下旬にあたります。
この時期に「今月出た例外を書き足す」「1顧問先分のルール表を作る」といった作業を30分〜1時間だけ入れる。毎月続けば、半年でかなりの量が整います。まとめてやろうとすると永遠に着手できません。
| 時期 | 整える仕事 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 締め日直後 | (整える仕事は入れない) | — |
| 給与確定前 | 出力の承認(仕事4) | 通常業務の一部 |
| 月中旬〜下旬 | 例外の追記、ルール表の作成(仕事2・3) | 30分〜1時間 |
| 四半期に1回 | フォーマットの見直し、崩れの修正(仕事1・5) | 1〜2時間 |
例外は「その場でメモ、月末に反映」
例外が出たその瞬間に定義を書き直そうとすると、業務が止まります。おすすめは、その場では一行メモを残すだけにして、月末にまとめてルール表へ反映する運用です。メモの置き場所を1つ決めておけば、記録漏れも防げます。
記録の粒度は「次の人が読んで分かるか」
ルール表や例外定義を書くとき、どこまで細かく書くか迷います。基準は「担当者以外が読んで、同じ判断ができるか」です。自分だけが分かる略語や、前提が省略された記述は避けてください。ここが甘いと、属人化の解消という最大の効果が得られません。
ベテランと若手で役割が変わる
ベテランは「言葉にする人」になる
経験のある職員は、資料をひと目見て「これはおかしい」と気づきます。この判断は過去の事例の蓄積によるものですが、本人も言語化していないことがほとんどです。整える仕事は、この暗黙知を言葉にする作業と重なります。
ベテランにとっては、自分の勘を手放すように感じるかもしれません。しかし実際には、勘を書き出せる人は事務所の中でその人しかいません。処理量では若手に抜かれても、この役割は代わりが利かない領域です。
若手は「差異を見て学ぶ」
従来、若手は全件を自分で処理することで経験を積んできました。この方法は時間がかかります。差異一覧を見る運用に変わると、「どういうときに問題が起きるか」だけを集中的に見ることになり、学習効率が上がります。
ただし、全件処理の経験が完全に不要になるわけではありません。最初の数か月は、あえて人の目でも処理させて、AIの結果と比べる。この並行期間が若手にとっての訓練期間になります。
| 立場 | これまでの強み | これからの役割 |
|---|---|---|
| ベテラン職員 | 処理の速さと勘 | 勘を言葉にし、判断基準を作る |
| 中堅職員 | 安定した処理量 | ルール表の整備と例外の判断 |
| 若手職員 | —(経験を積む段階) | 差異を見て判断のパターンを学ぶ |
| 所長 | 最終判断 | 基準の決定と確認範囲の明示 |
職員の不安にどう答えるか
「仕事がなくなるのでは」への答え
減るのは変換と転記と目視確認の作業で、増えるのは前提を決める仕事と判断の仕事です。しかも前提を決める仕事は、業務を知っている人にしかできません。未経験者に置き換えられる性質のものではないので、経験のある職員ほど必要になります。
「自分にできるのか」への答え
必要なのはプログラミングではなく、業務を工程に分ける力と、ルールを言葉にする力です。「この顧問先は15分単位切り捨て」と書けるなら、それが整える仕事の中身です。日常的にやっている判断を文字にするだけと考えて差し支えありません。
「AIが間違えたらどうするのか」への答え
だからこそ承認の工程があります。AIは変換と比較をするだけで、確定はしません。責任の所在は従来と変わりません。むしろ、これまで人が全件を目視していたときのほうが、見落としのリスクは高かったかもしれません。
| 職員の不安 | 答え方 |
|---|---|
| 仕事がなくなるのでは | 減るのは処理、増えるのは前提づくりと判断 |
| 自分にできるのか | 必要なのは業務を工程に分け、ルールを言葉にする力 |
| AIが間違えたら | 確定は人が行う。責任の構造は変わらない |
| 覚えることが増えるのでは | まず承認だけ。整備は1人が担当する |
| 忙しくて手が回らない | 1顧問先・1工程から。全社展開はしない |
整えることで「情報の線引き」も自然に決まる
渡す情報を工程に組み込む
社労士事務所は顧問先従業員の要配慮な情報を扱うため、AIに何を渡すかの判断が必要になります。ただ、これを人が毎回考えるのは現実的ではありません。整える仕事の中に組み込んでしまうのが確実です。
具体的には、統一フォーマットを設計する段階で「氏名は社員コードに置換する」「マイナンバー列は出力から除外する」と決めてしまいます。そうすれば、毎月の処理では判断が発生しません。「渡さない」ではなく「渡る経路がない」設計です。
| 情報 | 工程での扱い | 決める人 |
|---|---|---|
| マイナンバー | 出力段階で列ごと除外 | 整備担当(所長承認) |
| 氏名 | 社員コードへ置換、対応表は事務所内のみ | 整備担当 |
| 傷病・診断に関する情報 | 該当項目を除外 | 所長 |
| 勤怠・賃金の数値 | 社員コードとセットで渡す | 整備担当 |
線引きを決めるのは所長の仕事
何を渡してよいかの判断は、責任を伴うため所長が決めるべき部分です。整備担当が案を作り、所長が承認する形にしておけば、あとから「誰が決めたのか」があいまいになりません。この記録を残しておくことも、整える仕事の一部です。
整えた事務所が次に持てるもの
データが毎月整っている状態
整える5つの仕事を回している事務所は、副次的に「顧問先の労務データが毎月整った状態で手元にある」という状況を作ります。勤怠が統一フォーマットで揃い、給与が突合され、届出の履歴が残っている。この状態は、意外なほど多くの事務所が持っていません。
顧問先の社内AIには作れない
顧問先が社内で生成AIを使い始めると、一般的な法令の質問は自社で解決できるようになります。しかし「その会社の勤怠・給与・届出履歴に基づく判断」は、データを整えている事務所にしかできません。整える仕事は、業務効率化にとどまらず、顧問料の根拠にも関わってきます。
ベストプランナーでは、ITコーディネータが「整える5つの仕事」の設計(依頼フォーマット、顧問先別ルール表、例外定義、承認フロー、保守の体制)から職員への定着までを一緒に進める伴走型の支援を行っています。デジタル化・AI導入補助金の活用可否もあわせて確認できます。AI導入・活用のご相談はこちら
よくある質問
Q. 整備担当には誰が向いていますか
確認作業をいちばん多くやっている職員です。ITに詳しいかどうかより、業務の実態を知っているかどうかが重要です。RPAの設定経験がある職員も、工程を分解して考える習慣があるので向いています。
Q. 職員が2人しかいません。役割を分けられますか
分けられます。1人が整備担当、もう1人が承認、所長が基準を決める。3つの役割を3人で担う形が最小構成です。所長が整備担当を兼ねることもできます。
Q. ルール表を作る時間が取れません
全顧問先分を一度に作ろうとすると確かに時間が足りません。1顧問先分だけ作って運用してみてください。1社分なら数時間で書けます。2社目以降は列構成が決まっているので、埋めるだけになります。
Q. 例外の定義は何行くらい必要ですか
最初は5行もあれば始められます。運用しながら足していき、半年で20〜30行程度になれば十分に実用的です。行数を目標にするのではなく、「同じ判断を2回したら書く」というルールで運用するのがおすすめです。
Q. 職員が全件確認をやめてくれません
やめる条件を所長が数字で決めてください。「3か月連続で、AIの結果と人の結果に差がなければ抜き取り確認に切り替える」といった形です。職員個人の判断に任せると、不安から全件確認が続きます。
Q. 整備した職員が辞めたらどうなりますか
ルール表と例外定義が文字で残っているので、引き継ぎは従来より容易です。むしろこの仕組みは、属人化を解消するための作業でもあります。整備担当が抜けても、書かれたものを読めば運用は継続できます。
Q. 顧問先に「AIを使っている」と伝えたら不安がられませんか
伝え方によります。「AIに任せています」ではなく「確認の一部を機械化し、最終確認は従来通り人が行っています」と伝えれば、不安より安心につながることのほうが多いはずです。氏名を伏せたデータしか渡していないことも添えてください。
Q. 顧問先ごとに担当者が固定されています。整備は誰がやるべきですか
最初の1社は、その顧問先の担当者がやるのが自然です。実態を知っているためルール表が正確になります。ただし2社目以降は、整備そのものを1人に集約したほうが表の形式が揃い、後の展開が早くなります。担当者がルールの中身を提供し、整備担当が表に落とす、という分担も有効です。
Q. パート職員にも整える仕事を任せられますか
承認の仕事(仕事4)は任せられます。ルール表や例外定義は判断基準に関わるため、経験のある職員か所長が担当したほうが安全です。ただし「今月出た例外をメモする」ところまでは誰でもできるので、記録の役割から入ってもらう形は有効です。
Q. 整える仕事にどのくらい時間がかかりますか
1社目のルール表で数時間、例外定義の初版で1〜2時間程度です。そこから毎月30分〜1時間の追記を続ける形になります。2社目以降は1社あたり1時間前後で済むようになります。初月がいちばん重く、その後は軽くなる性質の作業です。
まとめ|仕事はなくならず、担当する工程が前にずれる
AI導入後の社労士事務所で、職員の仕事はなくなりません。変わるのは、手を動かすタイミングです。データが届いてから処理するのではなく、届く前に前提を整えておき、届いたあとは承認する。これが「整える人」への変化です。
整える仕事は5つ。依頼フォーマットを決める、顧問先別ルール表を作る、例外を定義する、出力を承認する、崩れたら直す。この5つを誰が担当するかを決めるところから始めてください。1人でも整える担当を決められれば、小規模な事務所でも十分に回ります。
そして、この5つを回している事務所は、顧問先の労務データが毎月整った状態を持つことになります。それは顧問先の社内AIには作れないもので、事務所の提供価値そのものに関わってきます。
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