「大口得意先からEDIに対応してほしいと言われた。一方で、昔からの小口得意先は今でもFAX注文。メールで注文する会社もあれば、営業担当へ電話する会社もある。さらに自社でWeb発注も始めたため、気付けば注文の入口が5つになっていた」
これは特定企業の実例ではなく、中小の卸売業・商社で起こりやすい状況をもとにした想定例です。
一見すると、FAXからEDIやWeb発注へ移行しているため「デジタル化が進んだ」ように見えます。
しかし、社内ではどうでしょうか。
FAXを見ながら販売管理システムへ入力する。メール添付の注文書を開いて入力する。EDIから届いたデータを確認する。Web発注の管理画面も確認する。電話注文はメモから入力する。
この状態では、受注チャネルがデジタル化されても、事務担当者の仕事はむしろ増える可能性があります。
卸売業の受注チャネル整理で重要なのは、「FAXをなくすこと」でも「すべての得意先をWeb発注へ移行させること」でもありません。
どの注文方法で届いても、社内では同じ形式の受注データとして扱える状態を作ること
です。
つまり、入口を完全に一本化できなくても、販売管理システムへ入れる直前の「出口」を一本化できれば、受注業務は大幅に整理しやすくなります。
この記事では、FAX・電話・メール・EDI・Web発注が混在している中小の卸売業・商社向けに、次のポイントを順番に解説します。
- 受注チャネル自体を減らす方法
- チャネルは残したまま裏側でデータを揃える方法
- Web発注へ移す得意先とFAXを残す得意先の分け方
- 販売管理システムへ取り込むCSVを中心にした設計
- AIを使いやすい部分と人が確認すべき部分
- 得意先への移行案内の進め方
結論からいえば、中小の卸売業では「全部Web化」よりも、得意先ごとに入口を使い分けながら、社内では共通データへ揃えるハイブリッド型が現実的なケースが少なくありません。
大口はEDI、小口はFAX——受注チャネルが5つになった商社の例

ある中小商社を想定してみましょう。
もともとの受注方法はFAXと電話が中心でした。
その後、大口得意先から「今後はEDIで発注したい」と依頼されました。取引額が大きいため、商社側も対応します。
別の得意先からは、注文書をメール添付で送ってくるようになりました。
さらに、自社でも受注業務を効率化するためにWeb発注を開始しました。
結果として、受注方法は次の5つになりました。
- FAX
- 電話
- メール
- EDI
- Web発注
「FAXしかなかった頃よりデジタル化されたのだから、楽になるはずだ」と考えたくなります。
ところが、実際には逆になることがあります。
チャネルを増やすたびに事務作業が増えた
問題は、注文の入口が増えたことだけではありません。
それぞれの入口ごとに、「注文が届いていないか確認する」「注文内容を読む」「得意先を確認する」「商品コードを確認する」「数量や納期を確認する」「販売管理システムへ登録する」という作業が必要になったことです。
たとえばFAXは複合機を確認し、メールは受信箱を確認し、Web発注は管理画面を確認する、といった具合です。
さらに、「A社はEDI」「B社はFAX」「C社はメール」と担当者が覚えている状態になると、受注確認そのものが属人化します。
担当者が休むと、「この得意先はどこから注文が来るのか」「どの画面を見ればいいのか」から確認しなければなりません。
デジタル化したはずなのに、窓口が増えたことで「見る場所」が増えてしまうのです。
本当の問題は「注文の入口」ではなく「社内処理がバラバラ」なこと
ここで考え方を変える必要があります。
FAX、メール、EDI、Web発注という「入口」が複数あること自体が、必ずしも悪いわけではありません。
大口企業が指定するEDIに対応することには取引上の理由があります。昔からFAXを使っている小口得意先に、無理にWeb発注を強制する必要もないかもしれません。
入口ごとに社内処理まで別々になっていることが問題です。
受注チャネル整理を考えるときは、「入口を何個まで減らすか」だけではなく、受け取った後をどう共通化するかまで設計することが重要です。
卸売の受注チャネル整理には2つの考え方がある

卸売業の受注チャネルを整理する方法は、大きく2つに分けられます。
方法1|得意先をWeb発注などへ移し、チャネル自体を減らす
1つ目は、注文方法そのものを減らす方法です。
たとえば現在、FAX、電話、メール、Web発注の4種類があるなら、FAX・電話・メールの得意先へWeb発注への移行をお願いします。
最終的に、「原則Web発注、例外のみ別対応」という状態を目指します。
この方法のメリットは、受注確認する場所そのものを減らせることです。Web発注に集約できれば、受注履歴も探しやすくなります。
一方で、すべての得意先が移行してくれるとは限りません。特に次のような場合、無理な移行は得意先の負担になります。
- 長年FAXで注文している
- 注文回数が月1回程度
- パソコン操作が苦手
- 商品を相談しながら注文する
- 得意先側に新しい仕組みを覚えるメリットが少ない
方法2|入口は複数残し、裏側ですべて同じデータへ揃える
2つ目は、FAXやメールなどの入口を残しつつ、社内処理を共通化する方法です。
FAXで来ても、メールで来ても、Web発注で来ても、最終的に次のような共通項目へ変換します。
- 得意先コード
- 商品コード
- 数量
- 単位
- 納品希望日
- 納品先
そして販売管理システムが取り込めるCSV形式へ揃えます。
注文の受け方は得意先に合わせるが、その後の社内処理は合わせない。
中小卸売では「完全一本化」よりハイブリッド型が現実的
実際には、この2つを組み合わせる方法が現実的です。
Web発注に向いている得意先は、少しずつWebへ移します。大手取引先からEDIを指定されているならEDIを残します。FAXを好む小口得意先は、無理に変更しません。
ただし、社内ではすべて共通の受注データへ揃えます。
入口は必要な数だけ残す。社内処理はできるだけ1つにする。
EDI・Web発注・FAX・メールはそれぞれ何が違う?
EDIとは
EDIは、企業間で注文や納品などの取引データを電子的にやり取りする仕組みです。
専門的に考えるより、「企業同士で決められた形の注文データを直接やり取りする仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。
大手企業や取引量の多い得意先からEDI対応を求められることがあります。取引先指定の場合、自社だけの都合で「Web注文にしてください」と変更できないケースもあります。
つまり、EDIは「なくす対象」ではなく、大口取引を続けるために残す必要があるチャネルになることがあります。
Web発注・BtoB ECとは
Web発注は、得意先がWeb上の注文画面から商品や数量を指定して発注する方法です。
BtoB ECとは、企業間取引をWeb上で行う仕組みの総称です。一般消費者向けECサイトの企業間取引版と考えると分かりやすいでしょう。
Bカートなど、企業間のWeb受発注に使われるサービスもあります。
ただし、本記事では個別製品の機能や料金比較には踏み込みません。受注チャネル整理という観点では、「どのWeb発注サービスを選ぶか」よりも、「Webで受けた注文を、その後どう販売管理へつなぐか」を先に考える必要があります。
FAX・メール・電話をすぐ廃止できない理由
「Web発注の方が便利なのだから、FAXをなくせばいい」という考え方は、社内だけを見れば合理的です。
しかし卸売業の受注業務は、得意先との関係で成り立っています。
得意先にとって、現在のFAX注文がそれほど負担ではない場合もあります。月に1回しか発注しない会社に、新しいIDとパスワードを管理してもらう方が負担になる可能性もあります。
電話注文についても、単なる注文ではなく、「この商品は在庫がありますか」「前回と同じ仕様で大丈夫ですか」「この代替品はありますか」という相談を兼ねていることがあります。
その場合、単純なWeb化だけでは解決しません。だからこそ、受注チャネルは「古いから廃止」「新しいから採用」という基準ではなく、得意先と注文内容に合わせて選ぶ必要があります。
受注チャネルを減らすべき会社・減らさなくてもよい会社
すべての会社が同じ形を目指す必要はありません。判断するときは、次のように考えると整理しやすくなります。
| 状況 | チャネルを減らす効果が大きい | 複数チャネルを残しやすい |
|---|---|---|
| 得意先数 | 多い | 少ない |
| 注文件数 | 多い | 少ない |
| 注文頻度 | 毎日・毎週 | 月数回以下 |
| 商品 | 定番品中心 | 個別品・相談商品が多い |
| 得意先のIT利用 | 慣れている | 慣れていない |
| FAXの割合 | 移行希望が多い | 長年FAX固定 |
| 社内転記 | 大きな負担 | 負担が小さい |
| 注文パターン | 定型 | 例外が多い |
たとえば毎日何十件もFAXを受け、同じ商品コードを販売管理へ打ち直しているなら、Web発注へ移行する効果は大きいでしょう。
一方、月に1回しか注文しない得意先を何十社もWebへ移行させるために、説明・登録支援・問い合わせ対応を増やすと、移行コストの方が大きくなる場合があります。
重要なのは「Web化率100%」を目標にすることではありません。受注1件あたりの社内処理時間を減らせるか、という視点で判断しましょう。
どの得意先をWeb発注へ移し、誰をFAXのまま残すか
Web発注へ移行しやすい得意先
- 注文回数が多い
- 定番商品の注文が中心
- 商品コードが決まっている
- 同じ商品を繰り返し注文する
- PCやスマートフォンの利用に抵抗がない
- 注文履歴を自分で確認したい
- 発注担当者が複数いる
こうした得意先では、Web発注へ移行することで、得意先側にもメリットを説明しやすくなります。たとえば「過去の注文を確認しやすい」「注文書をFAXする必要がなくなる」「営業時間外でも注文を登録できる」といった利点です。
自社の業務効率化だけを理由に移行をお願いするより、相手にもメリットがある形で提案することが大切です。
FAXを当面残した方がよい得意先
- 注文頻度が低い
- 少量注文が中心
- 長年FAXで問題なく運用している
- パソコン操作が苦手
- 商品コードではなく商品名や手書き指示で注文する
- 注文と同時に細かな相談がある
- Web移行を強制すると取引関係に影響する可能性がある
FAXが残ること自体を「DXの失敗」と考える必要はありません。FAX注文を受けても、社内で手入力を減らせればよいのです。
得意先ごとの判断表
| 得意先の特徴 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 大口でEDI指定がある | EDIを維持 |
| 大口・中口で定型注文が多い | Web発注を検討 |
| 小口だが注文頻度が高い | Web発注を提案 |
| 小口で注文頻度が低い | FAX継続も選択肢 |
| IT操作が苦手 | FAX・電話を残す |
| 個別相談が多い | 電話・メール併用 |
| 商品コードが明確 | Web・データ化しやすい |
| 手書き・自由記載が多い | 人による確認を残す |
この分類をすると、「会社としてFAXをやめるか」という大きすぎる問題が、「どの得意先からWeb発注を提案するか」という実行可能な課題へ変わります。
重要なのは「入口」ではなく販売管理へ入るデータを一本化すること

ここが受注チャネル整理で最も重要な部分です。新しいWeb受発注システムを検討する前に、まず現在使っている販売管理システムを確認してください。
どのようなCSVを取り込めるかを先に確認します。
どのチャネルから来ても最終的には同じ項目へ揃える
たとえば販売管理へ受注データを登録するために、次の情報が必要だとします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 得意先コード | 誰からの注文か |
| 商品コード | 何を注文したか |
| 数量 | いくつ必要か |
| 単位 | 個・箱・ケースなど |
| 単価 | 適用する販売単価 |
| 納品希望日 | いつ納品するか |
| 納品先 | どこへ送るか |
| 備考 | 特別な指示 |
注文の入口が違っても、販売管理に必要な情報は大きく変わらないことが多いはずです。そこで、「最終的にこの項目へ揃える」という共通受注フォーマットを決めます。
そうするとチャネル別に考えるのは、「FAXをどう処理するか」ではなく、「FAXから共通項目をどう取り出すか」になります。EDIなら「EDIデータをどう共通項目へ変換するか」、Web発注なら「Web受注データをどう共通項目で出力するか」です。
入口ごとの問題を、共通のゴールから逆算できるようになります。
販売管理システムのCSV取込仕様を先に確認する
ここで失敗しやすいのが、先にWeb受発注ツールを選んでしまうことです。画面が見やすい、得意先が使いやすそう、注文機能が豊富、といった点だけで選び、導入後に「今の販売管理へどう入れるのか」を考えると、結局Web注文を見ながら人が販売管理へ入力することになりかねません。
これでは新しい受注チャネルが1つ増えただけです。そのため、順番は次のようにします。
- 現在の販売管理システムを確認する
- 受注CSV取込ができるか確認する
- 必要な列・形式を確認する
- 共通受注データの形を決める
- 各チャネルからそこへどう変換するか考える
- 必要に応じてWeb受発注や連携ツールを選ぶ
「新しいシステムから考える」のではなく、今使っている販売管理の入口から逆算するのがポイントです。
受注チャネル別データをCSVへ揃えるイメージ
全体像は次のようになります。
EDI → 必要項目へ変換 → 共通の受注データ
Web発注 → 受注データを出力 → 共通の受注データ
メール注文 → 注文内容を抽出・整形 → 共通の受注データ
FAX注文 → 注文内容を読み取り・確認 → 共通の受注データ
共通の受注データ → 販売管理システムへCSV取込
この状態を作れれば、チャネルが4種類あっても、最後の処理は1種類にできます。受注チャネルを整理する目的は、「入口の数をゼロに近づけること」ではありません。社内で何度も同じ情報を打ち直さない状態を作ることです。
AIを使うなら「受注判断」ではなくデータ整形から始める
複数チャネルを共通データへ揃える工程では、AIを使える場面もあります。ただし、最初から注文処理を完全自動化しようとすると危険です。中小卸売では、得意先ごとの独自ルールや例外が少なくないからです。
まずはAIを「人の代わりに最終判断するもの」ではなく、確認しやすい形まで整理する補助役として使う方が安全です。
AIに任せやすい部分
表記揺れの整理
得意先が「○○しょうゆ」「○○醤油」「○○しょう油」のように異なる名称で注文してくる場合、同じ商品候補として整理できます。
商品コード候補の提示
注文書の商品名から、自社の商品マスタを参照して商品コード候補を出す使い方です。ただし、似た商品がある場合は人が確認します。
列順や形式の変換
Web発注から出力したCSVの列順と、販売管理が要求する列順が違う場合、所定形式へ整形する処理です。
不一致候補の抽出
商品コードが存在しない、数量が通常より大きい、納期が過去日になっている、といった「確認した方がよい注文」を抽出する使い方も考えられます。
人が確認すべき部分
- 商品コードの最終確定
- ケース・箱・個などの単位
- 得意先別の特別単価
- 値引条件
- 納期回答
- 欠品時の代替品
- 得意先別の配送条件
- 特注品
- 大量注文
- 曖昧な手書き指示
特に卸売では、「10」と書いてあっても「10個」なのか「10ケース」なのかで金額や出荷量が大きく変わります。
AIが候補を出す → 人が例外を確認する → 確定データだけ販売管理へ入れる
という形から始めるのがおすすめです。
BtoB EC・Web発注を入れても二重入力を残さないための条件
導入前に販売管理への出口を見る
最初に確認したいのは、受注後のデータをどう取り出せるかです。Webで注文を受けても、その注文を人が画面で見ながら基幹システムへ入力するなら、受注業務そのものの負担は十分に減りません。
CSV出力や既存システムとの連携など、販売管理へ受け渡す方法まで確認します。
CSV出力・連携方法を確認する
- CSVで受注データを出せるか
- 必要項目が含まれるか
- 自社販売管理用の形式へ変換できるか
- 一括処理できるか
- データ連携の選択肢があるか
「連携できる」と書かれていても、自社の販売管理システムへそのまま接続できるとは限りません。何と何が、どの範囲まで連携するのかを具体的に確認してください。
Web注文だけ別管理にしない
よくある失敗は、FAX注文とメール注文は販売管理へ入る一方、Web注文だけWeb受注サービス内に残る状態です。最終的な受注残、出荷、売上を販売管理で管理しているのであれば、Web注文もそこへ流す仕組みを考えます。
Bカート等の選定では「注文画面」だけを見ない
BtoB EC・Web受発注サービスにはさまざまな選択肢があります。ただし本記事では、Bカートを含む個別製品の機能・料金比較は扱いません。
製品選定をするときは、「得意先が使いやすそうか」だけでなく、「自社の現在の販売管理へどうつなげるか」を同じくらい重要な比較項目にしてください。
得意先へWeb発注への移行をお願いするときの進め方
受注チャネルを減らす場合、システムより難しいのが得意先への移行です。ここで一斉にFAXを停止すると、得意先からの問い合わせが集中します。段階的に進めましょう。
ステップ1|まず得意先を分類する
全得意先を一覧にして、月間注文件数、注文チャネル、定番品の割合、担当者、IT利用状況などを確認します。
そして、「優先してWebへ移行」「声をかけて反応を見る」「FAXを維持」の3段階程度に分類します。
ステップ2|協力してくれそうな得意先から始める
最初から全社へ案内しない方が安全です。関係性が良く、注文数も多く、Web利用に抵抗が少ない得意先から試します。
実際に利用してもらうと、「商品を探しづらい」「いつもの注文をもっと簡単にしたい」「納品先を毎回入力したくない」といった改善点が見えてきます。最初の数社で改善してから対象を広げた方が、後の問い合わせを減らせます。
ステップ3|FAXとの併用期間を設ける
「来月からFAX注文は受けません」と急に変更するより、「今後Web発注もご利用いただけます。○月までは従来のFAXもご利用いただけます」と併用期間を作る方が移行しやすくなります。
人は新しい仕組みに「失敗したら注文できなくなる」という不安を感じます。しばらく従来方法を残しておけば、心理的な抵抗を下げられます。
ステップ4|移行率を確認する
Web発注を案内した後は、案内した得意先数、登録した得意先数、実際に注文した得意先数、Web注文比率、FAX注文件数、問い合わせ件数などを確認します。
登録数だけで判断しないことがポイントです。アカウントを作っただけで、実際にはFAXへ戻っているケースもあります。
ステップ5|例外チャネルだけを残す
一定期間運用した後、「Webへ移せる得意先は移した」「EDI指定の得意先はEDI」「FAXを必要とする得意先だけFAX」という状態を作ります。
FAXが残っていても構いません。重要なのは、なんとなく5チャネルを受け続けるのではなく、「なぜこのチャネルを残しているか」が説明できる状態にすることです。
得意先へのWeb発注移行案内の文面例
Web発注へ移行してもらうときは、「当社の効率化のため」という説明だけでは協力を得にくいことがあります。得意先側のメリットも伝えましょう。
例文1|まず協力をお願いする柔らかい案内
いつもお取引いただき、ありがとうございます。 このたび、よりスムーズにご注文いただけるよう、Webからご注文いただける方法をご用意いたしました。 従来のFAXによるご注文も当面は引き続きご利用いただけますが、Web発注ではご都合のよい時間にご注文いただけるため、ぜひ一度お試しください。 ご利用方法についてご不明な点がございましたら、担当者までお気軽にお問い合わせください。 今後もご注文いただきやすい環境づくりに努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
例文2|Web発注を基本にしていきたい得意先向け
いつもお世話になっております。 弊社では、注文受付の迅速化と入力間違いの防止を目的として、順次Web発注への切り替えを進めております。 今後のご注文につきましては、可能な範囲でWeb発注をご利用いただけますと幸いです。 操作方法や初回登録については弊社でもご案内いたしますので、ご不明な点がございましたらお申し付けください。 なお、切り替え期間中は従来のご注文方法もご利用いただけます。 ご不便をおかけしないよう段階的に移行してまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
例文3|移行期限を設定する場合
平素よりお取引いただき、誠にありがとうございます。 弊社では受注業務の正確性向上と受付体制の見直しに伴い、○月○日よりWeb発注を基本のご注文方法とさせていただく予定です。 移行期間として○月○日までは、従来のFAXによるご注文も受け付けます。 Web発注の登録方法・操作方法については弊社担当者がご案内いたします。 特別な事情によりWeb発注への切り替えが難しい場合は、個別に対応方法を確認いたしますので、担当者までご相談ください。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
受注チャネル整理で失敗しやすい5つのパターン
1.FAXをいきなり廃止する
社内ではFAXを減らしたくても、得意先にとっては長年の業務フローです。特に注文頻度が低い得意先ほど、「新しい仕組みを覚えるくらいなら今までどおりFAXしたい」と感じる可能性があります。移行対象を分け、併用期間を設けましょう。
2.Web発注を導入してチャネルが1つ増えただけになる
これは最も避けたい状態です。FAX、メール、電話に加えてWeb注文が増え、担当者が見る画面だけ増えてしまいます。Web受発注導入と販売管理への取込設計はセットで考えます。
3.販売管理との接続を後から考える
「使いやすそうだから」という理由だけでサービスを先に契約し、後から連携を考えると、必要なデータが取り出せない可能性があります。現在の販売管理システムのCSV仕様を先に確認しましょう。
4.すべて自動化しようとする
受注には例外があります。得意先独自単価、納期調整、欠品、特注、ケース単位などです。100%無人化を最初から目指すと、例外処理の設計が複雑になります。「定型注文だけ自動化する」「例外だけ人が見る」くらいから始める方が現実的です。
5.得意先ごとの例外ルールを整理しない
受注データを共通化しても、「A社だけ商品名が違う」「B社はケース単位」「C社だけ納品先コードが特殊」といったルールが担当者の頭の中に残っていると、属人化は解消しません。得意先別の略称、商品コード、単位、納品ルールなどは、変換ルールとして共有できる状態にしておきましょう。
受発注ツールは補助金の対象になることがある
受発注システムやBtoB ECを導入する場合、デジタル化・AI導入補助金を利用できる可能性があります。
2026年の「デジタル化・AI導入補助金」では、インボイス枠(インボイス対応類型)で、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェア等が支援対象として案内されています。
また、インボイス枠(電子取引類型)では、発注側の事業者がインボイス制度に対応した受発注ソフトを導入し、取引先である中小企業・小規模事業者等へ利用させる一定の仕組みが対象とされています。
ただし、「受発注に使うツールだから自動的に補助対象になる」という意味ではありません。実際に申請するときは、次の点を確認する必要があります。
- そのITツールが制度上登録されているか
- どの申請枠に該当するか
- 対象となるプランはどれか
- 何の経費が補助対象になるか
- 契約・発注・支払いの時期
- 自社が申請要件を満たすか
2026年制度では、ソフトウェア間でデータの共有・連携・同期を行う「データ連携ツール」という区分も公式のITツール登録案内に記載されています。そのため、受発注だけでなく、既存システムとの連携まで含めて検討する場合は、導入する構成全体について確認するとよいでしょう。
制度内容や対象ITツール、申請スケジュールは変更される場合があります。申請時には最新の公募要領、ITツール登録情報、事務局の案内を必ず確認してください。採択や補助を保証するものではありません。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)
受注チャネル整理を始めるときのチェックリスト
1.現在の受注チャネルを全部書き出す
まず、FAX、電話、メール、EDI、Web発注、営業担当への直接注文など、現在受けている方法をすべて書き出します。非公式な注文方法も含めることがポイントです。会社としてはメール注文を想定していても、実際には営業担当の携帯電話へ注文が入っていることがあります。
2.チャネルごとの月間注文件数を出す
次に、「どのチャネルが何件あるか」を確認します。ここで初めて、どこから改善する価値が高いか分かります。FAXが問題だと思っていたものの、実際にはメール添付注文の転記に時間がかかっている、と分かることもあります。
3.転記時間を確認する
1注文あたり数分でも、月500件なら大きな時間になります。「FAX何枚」という枚数だけでなく、受注してから販売管理へ登録するまで何分かかっているかを確認しましょう。
4.販売管理システムのCSV仕様を確認する
確認したいのは、CSV取込が可能か、必須項目は何か、商品コードは何桁か、日付形式は何か、得意先コードが必要か、ヘッダーが必要か、一度に何件取り込めるか、などです。ここが分かれば、どの受注チャネルからも同じゴールへ向けてデータを整えられます。
5.得意先を「移行」「維持」「要相談」に分ける
最後に得意先ごとに、「Webへ移行する」「現在の方法を維持する」「一度相談する」の3つ程度に分けます。この時点で初めて、「Web受発注システムを入れるべきか」「FAX処理を効率化した方がよいか」「EDIとのデータ変換を優先すべきか」が見えてきます。
まとめ|チャネルを一本化するより「データの出口」を一本化する
FAX、電話、メール、EDI、Web発注。得意先が増え、取引方法が多様化すると、卸売業の受注チャネルは自然に増えていきます。
だからといって、すべての得意先へ同じ注文方法を強制する必要はありません。大手得意先からEDIを指定されることもあります。小口得意先にはFAXを残した方がよい場合もあります。定型注文の多い得意先はWeb発注へ移行した方が、お互いに便利になる可能性があります。
重要なのは、「何で注文してもらうか」だけを考えないことです。先に、「受けた注文を社内でどのデータへ揃えるか」を決めます。
現在の販売管理システムがCSVを取り込めるなら、その形式を共通のゴールにします。そのうえで、EDI、Web発注、メール、FAXの各チャネルから共通データへ変換する流れを作ります。
そしてWeb発注へ移行しやすい得意先から段階的にチャネルを減らします。この順番なら、大掛かりな基幹システム刷新を前提にせず、現在の販売管理を活かしながら受注業務を整理できる可能性があります。
最初に目指すべきなのは、「FAXゼロ」ではありません。どのチャネルから注文が来ても、担当者が何度も同じ内容を打ち直さなくてよい状態です。
自社の受注方法を一度棚卸しし、「残す入口」「移行する入口」「共通化する出口」の3つに分けるところから始めてみてください。
よくある質問
FAXは完全になくした方がよいですか?
必ずしも完全になくす必要はありません。注文頻度が低い得意先や、長年FAXを利用している得意先まで無理にWeb発注へ移行させると、得意先側の負担が増える場合があります。重要なのはFAXの有無ではなく、FAXで受けた注文を社内で何度も手入力しなくてよい状態を作ることです。Webへ移行しやすい得意先から段階的に切り替え、必要なFAXだけを残す方法も検討しましょう。
EDIとWeb発注はどちらを選ぶべきですか?
どちらか1つを全得意先に適用する必要はありません。大口取引先からEDIを指定されている場合はEDIを利用し、自社主導で受注方法を整えられる得意先にはWeb発注を案内する、といった使い分けが現実的です。入口の種類より、最終的に販売管理へ同じ形式で取り込めるかを重視してください。
小規模な卸売会社でもBtoB ECは必要ですか?
必須ではありません。注文件数が少なく、得意先数も限られている場合は、現在の受注方法を残したままCSV取込やデータ整形を改善した方が費用対効果が高いこともあります。反対に、定番商品の繰り返し注文が多く、FAX転記が大きな負担になっている会社ではWeb発注の導入効果を期待しやすくなります。自社の月間注文件数や転記時間を確認したうえで判断しましょう。
Web発注を導入すれば二重入力はなくなりますか?
Web発注を導入しただけでは、二重入力がなくなるとは限りません。Webで受けた注文を担当者が画面で確認し、販売管理システムへ手入力している場合は二重入力が残ります。導入前に、CSV出力やデータ連携など、現在の販売管理へどう取り込めるかまで確認することが重要です。
受発注システムに補助金は使えますか?
対象になる可能性はあります。2026年のデジタル化・AI導入補助金では、インボイス制度に対応した受発注ソフト等を対象とする申請枠が設けられています。ただし、すべての受発注システムが対象になるわけではありません。対象ITツールの登録状況、申請枠、自社の要件、契約時期、対象経費などを確認する必要があります。制度内容は変更される場合があるため、申請時には最新の公募要領・事務局情報を確認してください。
ご相談・お問い合わせ
FAX、メール、EDI、Web発注が混在している場合でも、最初からすべてのチャネルを廃止する必要はありません。
まず現在の受注方法と、販売管理へ登録するまでの流れを整理すると、「Webへ移した方がよい得意先」「残した方がよい受注方法」「CSV化・連携した方がよい部分」が見えてきます。
特に、次のような場合は、ツール選定の前に現在の受注フローを整理することをおすすめします。
- Web発注を導入しても二重入力が残りそう
- 大口取引先からEDI対応を求められている
- FAXをなくしたいが得意先にお願いしにくい
- 現在の販売管理システムはできるだけ変えたくない
- どこまでAIやデータ連携を使えばよいか分からない
- 補助金も含めて導入方法を検討したい
相談時には、現在利用している販売管理システム、受注チャネルの種類、月間のおおよその注文件数、CSV取込の可否などが分かると、改善方法を具体的に検討しやすくなります。
