「Web予約を導入したのに、電話が思ったほど減らない」
「電話で予約変更を受けるたびに、予約システムへ手入力している」
「AI電話も気になるが、症状について相談される電話までAIに任せてよいのか分からない」
無床クリニックや歯科医院では、このような状況が珍しくありません。
最初に結論を言うと、電話が残っていること自体は問題ではありません。
高齢の患者さん、スマートフォン操作が苦手な患者さん、受診前に症状について確認したい患者さんにとって、電話は必要な窓口だからです。
見直したいのは「電話を受けること」ではなく、その後です。
電話を切ったあと、受付スタッフがメモを見ながら予約システムへ入力し、電子カルテや患者対応表にも書き、院長への伝言を残し、必要なら折り返しリストにも転記している。この電話後の二重・三重入力に時間がかかっています。
電話を受ける → AIで内容を整理する → 登録用の下書きを作る → 人が確認する → 既存システムへ反映する
実際、2026年には国立がん研究センター中央病院が初診予約・キャンセルにAI電話を導入し、順天堂医院でも予約取得・変更・キャンセル・日時確認などを対象とした予約専用AI電話を導入しています。国立成育医療研究センターでは予約変更・キャンセルをAI電話で一次受付し、後日スタッフが確認・連絡する運用です。AI電話を導入する場合でも、「何でもAIに答えさせる」のではなく、用途を絞って人につなぐ設計が現実的です。
参考:国立がん研究センター中央病院:AI電話による予約受付
この記事では、院長+スタッフ10名以下程度のクリニック・歯科医院を想定し、今使っている電話や予約システムをやめずに、電話後の入力作業をAIで減らす手順を解説します。
予約システムを入れてもクリニックの電話対応が減らない3つの理由
「Web予約を導入したら電話が大幅に減る」と期待していたのに、実際にはあまり変わらなかったという医院があります。
これは、予約システムが機能していないとは限りません。クリニックの電話には、予約システムだけでは置き換えにくい役割があるからです。
高齢患者・Web操作が苦手な患者は電話を選ぶ
1つ目は、Web予約を使いにくい患者さんがいることです。
スマートフォンを日常的に使っていても、医療機関の予約となると「間違えたくないので電話したい」と考える人もいます。特に地域密着型のクリニックや歯科医院では、長年通っている患者さんが「いつものように電話する」ケースもあるでしょう。
その患者さんまで強制的にWeb予約へ移そうとすると、受付業務は減っても患者さんの利便性が下がってしまう可能性があります。そのため、目標を「電話ゼロ」にする必要はありません。
症状について確認してから予約したい患者がいる
2つ目は、医療機関への電話が単純な予約受付だけではないことです。
「この症状は診てもらえますか」「今日受診した方がよいですか」「この前の治療後に気になることがあります」「薬について確認したいことがあります」といった電話は、単純に空いている時間を予約するだけでは完結しません。
医療上の判断が必要になる可能性もあるため、一般的な予約受付と同じようにAIだけで完結させるのは適切ではありません。
予約変更・キャンセルは電話へ戻りやすい
3つ目は、予約を取るときはWebを使えても、変更やキャンセルになると電話する患者さんがいることです。特に診療日が近い場合や、「この検査は別の日でも大丈夫か」といった確認を伴う場合は、患者さんが電話を選びやすくなります。
AI電話を導入している医療機関でも対象範囲を限定している例があります。たとえば関東労災病院では、再診予約の変更・キャンセルなどをAI電話の対象とする一方、対象外の診療科や条件を設定しています。大阪公立大学医学部附属病院でも、再診予約の変更・キャンセル・確認を対象とし、体調相談については代表電話へ連絡する運用です。
参考:関東労災病院:AI電話による再診予約変更等
参考:大阪公立大学医学部附属病院:再診予約変更専用AI電話
つまり、AI電話を導入するとしても「すべての電話をAIへ任せる」のではなく、AIに向く電話と人が対応する電話を分けることが重要です。
| 電話の内容 | AI・自動受付との相性 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 診療時間・アクセスなどの定型案内 | 向きやすい | 定型回答へ誘導しやすい |
| 予約内容の確認 | 向きやすい | 予約情報との連携方法を確認する |
| 予約変更・キャンセル | 条件付きで向く | 対象となる予約を事前に決める |
| 折り返し希望の一次受付 | 向きやすい | 用件を整理して人へ引き継ぐ |
| 症状についての相談 | 人を基本にする | 医療判断が必要な内容は人へつなぐ |
| 緊急性に関する判断 | 人を基本にする | AI任せにせず医院のルールに沿って対応する |
| 治療や薬についての相談 | 人を基本にする | 医師・歯科医師など適切な担当者へつなぐ |
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本当に減らしたいのは「電話」ではなく電話の後に発生する手入力

ここがこの記事で最も重要なポイントです。
電話が1日に20件あるとしても、すべての電話をなくす必要はありません。確認したいのは、その20件の電話を切ったあと、スタッフが何をしているかです。
たとえば電話で予約変更を受けた場合、紙へメモを書き、その内容を予約システムへ入力し、必要に応じて電子カルテにもメモを残しているかもしれません。院長への質問であれば、電話メモを書いたあと、院長へ伝言し、さらに「折り返し待ち」の一覧へ追加することもあります。
つまり、1回の電話が問題なのではなく、1回の電話から複数の入力作業が派生しています。
| 電話の内容 | 電話後に発生しやすい作業 |
|---|---|
| 予約変更 | メモ、予約システム変更、必要に応じてカルテ記載 |
| キャンセル | 予約取消、再予約確認、院内共有 |
| 折り返し依頼 | 電話メモ、担当者への伝言、折り返しリスト登録 |
| 受診前の質問 | 内容記録、担当者への確認、回答後の記録 |
| 院長への伝言 | メモ作成、院長へ共有、対応済み確認 |
ここをAIで整理すると、電話窓口を残したまま受付業務を軽くできる可能性があります。
「どうすれば電話をなくせるか」ではなく、「電話後に同じことを何回入力しているか」を見る。
電話後の入力をAIで減らす基本手順
大がかりなAI電話システムを導入しなくても、電話後の入力整理から始められます。小規模クリニックでは、最初から完全自動化を目指すより、今ある業務の間にAIを入れて「人が入力する回数」を減らす方が始めやすいでしょう。
手順1|トリガーは「電話が終わった直後」にする
最初に決めるのは、AIを使うタイミングです。おすすめは電話中ではなく、電話が終わった直後です。
電話中に受付スタッフが新しいシステムを操作するルールにすると、患者さんと会話しながら複数画面を操作する必要が生まれ、かえって負担が増えることがあります。まずは今までどおり必要な内容をメモします。そして通話終了後、そのメモを見ながらAIへ内容を渡します。
手順2|受付スタッフが電話メモを見ながらAIへ話す
文字を打ち直す必要はありません。利用環境が許せば、受付スタッフが音声入力で内容を伝える方法があります。
たとえば予約変更であれば、「再来患者。来週火曜日午前の予約を木曜日午後へ変更希望。折り返し不要。予約変更用の記録に整理してください」というように話します。
大切なのは、AIへ長い会話をそのまま理解させようとするのではなく、受付スタッフが一度内容を確認してから必要事項を短く渡すことです。そうすると、聞き間違いの確認もしやすくなります。
患者情報を生成AIへ入力する際は、利用しているサービスの契約内容、データの取扱い、医院内の運用ルールなどを確認する必要があります。厚生労働省は2026年6月に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」を公表しており、医療情報を扱うシステムについて適切な安全管理を求めています。個人情報保護委員会からも医療・介護関係事業者向けの個人情報取扱いガイダンスが示されています。
参考:厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
この記事では患者情報の具体的な入力可否までは深掘りせず、別記事で詳しく扱います。
手順3|AIに反映先ごとの下書きを作らせる
AIへ渡した内容から、次に使う文章を整理します。ポイントは、AIに「何をしたらよいですか」と考えさせるのではなく、決められた形式へ整えてもらうことです。
| AIへ渡す情報 | AIが作るもの | 反映先 |
|---|---|---|
| 予約変更の電話メモ | 新しい予約日時を整理した登録用文面 | 予約システム |
| 受診前の連絡 | 短い対応記録 | カルテ・受付メモ |
| 院長への質問 | 誰から・用件・対応期限を整理した伝言 | 院長への伝言欄 |
| 折り返し依頼 | 相手・連絡先・用件・期限を整理した記録 | 患者対応表 |
| キャンセル | 取消内容と再予約の要否を整理 | 予約管理 |
これまで4回書いていたものを、電話後に1回整理し、それを必要な場所へ反映するイメージです。予約システムや電子カルテと直接連携できる環境なら、将来的にさらに自動化できる可能性があります。
ただし、最初から連携開発まで進める必要はありません。まずは「AIが登録用の下書きを作る」だけでも、手入力の負担を確認できます。
手順4|受付スタッフが氏名・日時・連絡先を確認する
AIの下書きをそのまま予約システムへ登録してはいけません。特に確認したいのが、患者氏名、予約日時、曜日、午前・午後、折り返し先などです。
音声入力では、「火曜日」と「木曜日」、「10時」と「11時」など、患者対応に影響する聞き間違いが起こる可能性があります。AIを入れる目的は、人の確認をゼロにすることではありません。人が文章を作る作業を減らし、人は重要な部分の確認に集中するという役割分担にします。
手順5|確認済みの内容だけ既存システムへ反映する
最後に、受付スタッフが確認した内容を予約システム、電子カルテ、患者対応表などへ反映します。
ここで大切なのは、AIのために新しい台帳を増やさないことです。予約は今使っている予約システム、診療記録は既存のカルテ、折り返しは医院で決めた対応表というように、最終的な情報の置き場所を決めます。
AIは新しい情報管理場所ではなく、電話と既存システムの間をつなぐ下書き担当と考えると運用しやすくなります。
折り返し・院長への伝言もAIで整理する
電話対応で意外と時間がかかるのが、「予約以外の電話」です。
「院長に聞いてほしい」「先生から電話をください」「昨日の件について確認したい」といった電話は予約システムへ入力できないため、紙の電話メモや付箋、チャット、口頭などへ分散しがちです。そこで、伝言の型を揃えます。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 誰から | 患者・関係者など |
| 何について | 用件を短く整理 |
| 誰に | 院長・担当スタッフなど |
| 対応方法 | 折り返し・確認のみなど |
| 期限 | 本日中・次回来院時など |
| 対応状況 | 未対応・確認中・対応済み |
電話メモをAIへ渡し、この形式に揃えるだけでも、「誰に伝えればよいか分からない」「付箋がなくなった」「折り返したか分からない」という状態を減らしやすくなります。
ここで注意したいのは、AIに医療上の緊急度を判断させないことです。たとえば「痛みが強いから優先度A」とAIに決めさせるのではなく、「本日中の折り返し希望」「予約変更のみ」「担当者確認後に連絡」といった事務上の対応区分を整理する用途にします。症状や治療に関する判断が必要な電話は、あらかじめ決めた院内ルールに従って医師・歯科医師など適切な担当者へつなぎます。
AI電話を入れる場合も「電話を全部任せる」設計にしない

電話後の作業を整理したうえで、電話そのものの一次受付にもAIを使いたい場合はAI電話を検討できます。ただし、AI電話を導入するだけで受付業務が自動的になくなるわけではありません。
AI電話が予約変更を受け付けても、その内容をスタッフが紙で確認し、予約システムへ手入力しているなら、二重管理は残ります。
先に予約システム側の運用を決める
AI電話導入前に確認したいのは、「電話を受けた後、その情報がどこへ行くのか」です。理想は、予約変更を受け付けた内容が予約業務につながることです。
システム同士が直接連携できない場合でも、AI電話で受けた内容を一定の形式で一覧にし、担当者が確認して予約システムへ登録するだけで、自由形式の電話メモより処理しやすくなります。
実際に北里大学病院ではAI電話を診察予約、予約変更、キャンセル、予約内容確認などに利用していますが、AI電話は「受付のみ」とし、担当者が内容を確認したうえで電話またはSMSで連絡する運用を案内しています。AI受付と人による最終確認を組み合わせるという考え方です。
参考:北里大学病院:AI電話受付
予約・変更・定型案内から始める
最初からすべての電話をAIへ振り分ける必要はありません。予約内容の確認、予約変更、キャンセル、診療時間など、回答や処理方法が決まっている電話から対象にします。
順天堂医院では2026年7月から予約取得・変更・キャンセル・日時確認などを予約専用AI電話の対象としています。信州大学医学部附属病院でも、新規予約、再診予約、予約変更、キャンセル、予約確認を予約専用AI電話で受け付けています。こうした実例を見ても、まず定型的な予約関連業務から切り分ける考え方が分かります。
参考:順天堂医院:予約専用AI電話
症状相談は最初から人へつなぐ
「腹痛があります」「治療した歯が痛みます」「薬を飲んでから体調がおかしいです」といった電話は、一般的な予約変更とは性質が異なります。AIに回答させることを目的にせず、人が対応するルートへつなぐ設計にします。
大阪公立大学医学部附属病院でも、再診予約変更専用AI電話について「体調相談に関する案内は承っていない」と明記しています。重要なのは、AI電話を高性能にすることよりも、AIが対応してよい範囲を狭く、明確に決めることです。
参考:大阪公立大学医学部附属病院:再診予約変更専用AI電話
録音・保存・確認方法を決めておく
AI電話によっては通話内容を録音・保存する仕組みがあります。実際、大阪公立大学医学部附属病院の再診予約変更専用AI電話でも、折り返し連絡のため録音することが案内されています。
導入する場合は、録音の有無だけでなく、患者への案内方法、保存場所、保存期間、誰が確認できるのか、委託先がどのようにデータを扱うのかなどを事前に確認します。最新の厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」なども確認し、自院の情報管理ルールに合わせて運用することが必要です。
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AIから予約システムへ反映する前に人が確認する場所
AIを受付業務へ使う場合、人が確認する工程をなくしてはいけません。むしろAIに文章作成や整理を任せることで、スタッフは重要な確認へ集中しやすくなります。
患者氏名の取り違えを確認する
同姓同名や似た名前の患者さんがいる可能性があります。氏名だけで判断せず、医院で決めている本人確認方法に従って患者を特定します。
予約日時・曜日・午前午後を確認する
電話予約では、日時の聞き違いがそのまま来院トラブルにつながります。特に音声認識を使う場合、「何月何日」「何曜日」「午前・午後」「何時」をスタッフが確認する工程を残します。
折り返し先を確認する
患者本人の電話番号なのか、家族など別の連絡先なのかによって対応が変わることがあります。AIが文字に起こした電話番号をそのまま信用せず、必要に応じて元の記録と照合します。
症状や治療内容は要約だけで判断しない
AIによる要約は便利ですが、診療判断のために必要なニュアンスまで完全に再現できるとは限りません。医療判断に関わる場合は、元の情報や患者さん本人への確認を含め、医師・歯科医師など適切な担当者が判断します。
LINE・Web予約へ誘導する患者と電話を残す患者を分ける
電話負担を減らしたい場合、AIだけでなく患者側の入口も整理します。ただし、「今日から全員Web予約にしてください」というやり方ではありません。患者ごとに、利用しやすい窓口を分けます。
| 患者・用件 | 向いている入口 |
|---|---|
| スマートフォン操作に慣れた再来患者 | Web予約・LINEなど |
| 定型的な予約・変更 | Web予約・AI電話など |
| 診療時間や場所の確認 | Web・自動案内など |
| Web操作が苦手な患者 | 電話を残す |
| 症状について相談したい患者 | 人による電話対応 |
| 医療上の判断が必要な連絡 | 人へつなぐ |
たとえば受付で次回予約を取った患者さんに、「今後の予約変更はこちらからできます」とWeb予約やLINEの利用方法を案内できます。一方で、それを使えない患者さんにはこれまでどおり電話を残します。
Webで完結できる患者はWebへ。電話が必要な患者には人が対応する。
こうすると、受付スタッフはすべての患者に同じ対応をするのではなく、人の対応が必要な電話へ時間を使いやすくなります。
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小規模クリニックなら最初は「電話後の3分」を減らすところから始める
院長+スタッフ10名以下のクリニックであれば、いきなり高額なAI電話システムや大規模なシステム連携を導入する必要はありません。最初にやることは、1週間だけ電話後の作業を記録することです。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 電話の内容 | 予約、変更、問い合わせ、伝言など |
| 電話後の作業 | 予約入力、カルテ入力、伝言、折り返しなど |
| 入力した場所 | 予約システム、カルテ、紙、表など |
| 同じ内容を書いた回数 | 二重・三重入力になっていないか |
| 人が判断する必要性 | 定型処理か、医療判断が必要か |
すると、「予約変更の電話が多い」というだけではなく、「予約変更1件につき、電話メモ、予約システム、カルテの3か所へ書いている」という本当の負担が見えてきます。
そこから、一番多い転記作業を1つだけAIに渡します。たとえば最初は、「電話メモ → AIで予約登録用に整える → 人が確認 → 予約システムへ入力」だけで構いません。
運用できることが分かってから、「伝言整理 → 折り返し管理 → AI電話 → システム連携」と範囲を広げればよいのです。
AI導入で重要なのは「どれだけ自動化したか」ではありません。受付スタッフが患者さんと話す時間を確保しながら、人がやらなくてもよい転記作業をどれだけ減らせたかを見ることが大切です。
よくある質問
Web予約を導入すればクリニックの電話はなくなりますか?
完全になくすことを前提にしない方が現実的です。Web予約を利用できる患者さんは移行できますが、高齢患者、スマートフォン操作が苦手な患者、症状相談や個別確認が必要な患者などは電話を選ぶことがあります。電話件数ゼロを目標にするより、「Webで完結できる用件をWebへ移し、電話後の手入力を減らす」と考える方が業務改善につながりやすくなります。
AI電話に症状相談を任せてもよいですか?
予約受付や定型的な案内と、症状・治療に関する相談は分けて考える必要があります。実際の医療機関でも、AI電話を予約取得・変更・キャンセルなど特定用途に限定する例があります。体調相談など医療判断が必要になる内容については、院内ルールに従って人へつなぐ設計が重要です。
電子カルテと予約システムが連携していなくてもAIは使えますか?
使い始めることはできます。最初から完全自動連携を目指す必要はありません。電話内容をAIに渡して「予約登録用の下書き」「カルテメモ用の下書き」「院長への伝言」などに整え、人が確認して既存システムへ登録するだけでも、電話後の文章作成や整理にかかる時間を減らせる可能性があります。まずは、今あるシステムをやめずに「人が何度も文章を作っている部分」を探すことが重要です。
患者情報を生成AIへ入力してもよいですか?
利用するAIサービス、契約内容、データの保存・利用条件、院内ルールなどによって確認すべき事項が異なります。医療機関では、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」や、個人情報保護委員会の医療・介護関係事業者向けガイダンスなども踏まえて運用を設計する必要があります。患者情報を無条件に一般向けAIへ入力するのではなく、使用環境やルールを先に確認してください。具体的な線引きについては別記事で詳しく解説します。
まとめ|クリニックの電話をなくすより「電話後の入力」をなくす
予約システムやWeb予約を導入しても電話が残っているからといって、デジタル化に失敗したわけではありません。
高齢患者やWeb操作が苦手な患者、症状について相談したい患者にとって、電話は今後も重要な窓口です。そのため、小規模クリニック・歯科医院では「電話をゼロにする」ことだけを目標にしない方がよいでしょう。
見直したいのは、電話の後です。電話で予約変更を受け、紙へメモし、予約システムへ入力し、カルテへ書き、院長への伝言を作る。このように同じ情報を何度も入力しているのであれば、AIを間に入れる余地があります。
電話を受ける → AIに渡す → 登録用の下書きを作る → 人が確認する → 既存システムへ反映する
さらに電話自体を効率化する場合も、予約・変更など定型的な用件と、症状相談など人が担当する用件を分けます。
電話が必要な患者には電話を残す。Webで完結できる患者にはWebやLINEを案内する。そして、人が電話を受けた後の二重入力をAIで減らす。
この順番なら、患者さんの利便性を大きく変えずに、受付スタッフの負担を減らすところから始められます。
AIは導入して終わりではありません。現在の電話対応、予約システム、電子カルテ、受付業務の流れを確認しながら、どこをAIへ任せ、どこを人が確認するのかを整理して運用まで伴走します。
