「IT企業なのだから、社内のDXも当然進んでいるのではないか」と思われるかもしれません。
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しかし、実際には通信キャリア、ISP、SIer、中小IT企業でも、ネットワーク設定、営業提案、要件定義、テスト、問い合わせ対応、社内申請、資産管理など、人の手に依存している業務は少なくありません。
特に深刻なのが、高度な専門スキルを持つエンジニアが、定型的な設定・確認・資料作成に多くの時間を使っている問題です。
この課題に対し、生成AIを専門業務の中へ組み込み始めている企業があります。代表例がKDDIです。KDDIでは従業員向け生成AIサービス「KDDI AI-Chat」を2023年5月に提供開始し、その後、社内で1万人規模が利用する環境へ発展させています。
ネットワーク関連業務では、高度なスキルを必要とするルーター設定用スクリプト作成に生成AIを活用し、検証・記述に要していた作業を7.5時間から2時間へ短縮した事例があります。削減率にすると約73%です。
重要なのは、これは「AIによってエンジニアを減らす」という話ではないことです。定型的な作業をAIに任せることで、熟練エンジニアを新規サービス開発、ネットワーク設計、高度な障害対応、顧客への技術提案といった、より付加価値の高い仕事へ振り向けることができます。
情報通信業のDXで目指すべきなのは、単に新しいツールを増やすことではありません。業務・データ・認証・セキュリティを整えたうえで、AIに任せる仕事と人が判断する仕事を再設計することが重要です。
この記事では、生成AIによるネットワーク設定自動化から、RAG、RFID、シングルサインオン、暗号化データベース、クラウドワークフローまで、情報通信業のDXを具体的に解説します。
情報通信業ではDXがどこまで進んでいる?
情報通信業は、他業種と比較してDXへの取り組みが進んでいる業界です。
IPA「DX動向2025」の業種別データでは、日本の情報通信業で「全社戦略に基づき全社的にDXへ取り組んでいる」が46.1%、「全社戦略に基づき一部部門で取り組んでいる」が23.6%、「部署ごとに個別で取り組んでいる」が13.5%です。これらを合計すると、何らかの形でDXに取り組んでいる情報通信業は83.2%です。
つまり、情報通信業では「DXをやるか、やらないか」という段階から、すでに次の段階へ進みつつあります。問われているのは、DXによって本当に作業時間が減ったのか、高度人材をより重要な業務へ移せたのか、部門ごとの部分最適に終わっていないか、AIまで含めて業務プロセスを変えられているか、というDXの質と成果です。
クラウドを導入した、チャットツールを導入した、生成AIを社員へ使わせた、というだけではDXは完成しません。その技術を実際の仕事の流れへ組み込み、人が行っていた作業そのものを変えられるかが次の課題になります。
生成AIは企業の実務へどこまで浸透している?
生成AIについても、試験利用から実務利用へ段階が変わっています。帝国データバンクが2026年3月に実施した調査では、生成AIを業務で「活用している」企業は34.5%でした。
| 企業規模 | 生成AIを活用している割合 |
|---|---|
| 大企業 | 46.5% |
| 中小企業 | 32.4% |
| 小規模企業 | 28.0% |
大企業だけの技術ではなく、中小企業でも約3社に1社が業務活用している状況です。一方で、使い方を見ると、まだ大きな伸びしろがあります。
- 文章の作成・要約・校正:45.1%
- 情報収集:21.8%
- 企画立案時のアイデア出し:11.0%
- データ集計・分析:7.4%
- コード生成などのプログラミング支援:5.9%
文章作成や情報収集は生成AIを始めるには適した業務です。しかし、情報通信業で生成AIの効果をさらに高めるなら、そこから一歩進み、営業→要件定義→設計→開発→テスト→保守という本来の業務プロセスへAIを組み込む必要があります。ネットワーク設定自動化は、その代表的な活用方法です。
情報通信業DXで注目したい5つの技術
1.生成AI・LLM
LLMとは「Large Language Model」の略で、日本語では大規模言語モデルと呼ばれます。大量の文章やコードなどから学習し、自然言語による指示に対して文章、要約、コード、分析案などを生成するAIです。
情報通信業では、ネットワーク設定案の生成、コード生成、設計書のたたき台作成、テストケース作成、障害報告の要約、顧客問い合わせ回答案、営業提案書の構成作成などに利用できます。これまで人がゼロから作っていたものについて、AIに「最初の案」を作らせ、人間がチェックする形に変えることで、作業開始までの時間を短縮できます。
2.RAG
RAGは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、生成AIが社内文書などを検索したうえで回答を生成する仕組みです。
社内規程、過去案件、技術仕様書、FAQ、障害対応履歴、マニュアル、提案資料、設計標準などを検索対象として用意し、必要な情報を検索してから生成AIへ渡します。これにより、一般論を答えるAIから、社内情報を探しながら回答する業務支援AIへ変えられます。ただし、古い文書や誤った資料が登録されていれば、それを検索する可能性があるため、RAG導入と同時に社内データの整理も必要です。
3.RFIDタグ
RFIDは、電波を利用してタグの情報を非接触で読み取る技術です。
IT企業や研究機関では、ノートPC、スマートフォン、ネットワーク機器、測定機器、研究設備、貸与機器、検証用端末など大量の資産を管理するケースがあります。RFIDタグを取り付ければ、複数の対象物を効率的に読み取り、所在確認や棚卸しを省力化できます。
4.シングルサインオン
シングルサインオン(SSO)は、一度の認証によって複数のクラウドサービスや社内システムへアクセスできるようにする仕組みです。
クラウド利用が増えるほど、IDや権限管理は複雑になります。サービスごとのIDを個別に管理するのではなく、社員IDを起点として認証・権限を集中管理することで、退職者アカウントの残存や異動後の不要権限を減らしやすくなります。生成AIの全社導入でも、会社が認めたAI環境を会社アカウントで利用することがシャドーAI対策につながります。
5.暗号化データベースとクラウドワークフロー
DXを進めると、紙やExcelに分散していた情報がクラウドへ集約されます。便利になる反面、一か所へ集める情報量が増えるため、情報漏洩時の影響も大きくなります。
通信時・保存時の暗号化、アクセス権限、操作ログ、バックアップ、端末管理などを組み合わせます。さらにクラウドワークフローを組み合わせれば、申請→承認→記録→保存という流れもデジタル上で標準化できます。

【KDDI事例】生成AIでネットワーク設定作業を約73%削減
生成AIを専門業務へ組み込んだ分かりやすい例がKDDIです。KDDIは2023年5月に従業員向け生成AIサービス「KDDI AI-Chat」を提供開始しました。その後も内製開発・運用を進め、社内で1万人が日常的に利用する生成AI環境へ成長させています。
この活用の中で注目したいのが、ネットワーク設定業務です。ルーターを設定するためのスクリプト作成には、ネットワーク構成や機器仕様などに関する専門知識が必要です。従来は熟練したエンジニアが内容を確認しながら記述・検証する必要がありました。
そこで生成AIを活用し、設定内容の作成を支援させたところ、従来7.5時間かかっていた作業を2時間まで短縮できました。削減率は約73%です。
なぜこの事例が重要なのか
注目すべきなのは、「AIがコードを書ける」という点だけではありません。会社にとって希少な熟練エンジニアの時間を、新サービス開発、新しいネットワーク設計、高度なトラブル解析、技術検証、顧客への改善提案へ使えるようになることに本当の価値があります。
例えば1人のエンジニアが月10件、同様の作業を担当しているとします。1件当たり5.5時間削減できれば、単純計算で月55時間を別の仕事へ振り向けられます。生成AIのROIを考えるときは、AI利用料だけを見るのではなく、「誰の何時間を、どの高付加価値業務へ移せるのか」まで考える必要があります。

生成AIによるネットワーク設定自動化はどう進める?
ネットワーク設定自動化で注意したいのは、生成AIに最初から最後まで任せないことです。現実的には、次の5段階に分けます。
ステップ1.設定条件を構造化する
対象機器、ネットワーク構成、VLAN、IPアドレス、ルーティング条件、セキュリティポリシー、冗長化条件、接続先などの条件を整理します。生成AIの精度は入力条件の品質に大きく左右されるため、必要条件を構造化して渡すことが重要です。
ステップ2.AIが設定案を生成する
生成AIへ設定スクリプトやコマンドの原案を作らせます。ここでの位置づけは「完成品」ではなくたたき台です。ゼロからエンジニアが記述する時間を減らします。
ステップ3.RAGで社内標準を参照する
社内ネットワーク設計標準、過去の設定、機器別ルール、セキュリティ基準、過去の障害例などをRAGで参照できるようにします。これによって一般論ではなく、自社ルールに沿った設定候補を作りやすくなります。
ステップ4.検証環境でテストする
生成AIが作った設定をいきなり本番ネットワークへ投入せず、検証環境やシミュレーション環境で、構文、接続性、ルーティング、セキュリティ、想定外の通信などを確認します。
ステップ5.人が承認して本番反映する
最後はエンジニアが確認します。情報通信インフラでは、誤設定によって通信停止やセキュリティ事故につながる可能性があるため、AIが生成→システムで検証→人が承認という責任分界を明確にすることが重要です。

【NICT事例】RFID・クラウド・SSOでバックオフィスをDX
情報通信業のDXというと、AIやネットワークなど技術部門だけに目が向きがちです。しかし、もう一つ重要なのがバックオフィスDXです。
情報通信研究機構(NICT)のDX事例では、クラウドサービスの全面導入に伴い、全職員IDをシングルサインオンによって一元管理する仕組みを整備しています。端末ログの監視やファイル暗号化も組み合わせ、クラウド化によって利便性を高めるだけでなく、情報管理を強化する考え方です。
また、約700名の組織のうち約300名が関係する研究資機材管理では、RFIDタグを活用した自動管理システムを構築しています。研究機関では、多数の研究設備、端末、機材を管理する必要があります。RFIDを利用すれば、資産とデータを紐づけ、管理を効率化できます。
さらに会議のオンライン化と録画データ共有を進め、会議後に改めて議事録を作成する業務を廃止するなど、事務作業そのものの見直しも行っています。NICTではこうした取り組みを含め、令和10年度までに事務業務時間を20%削減する方針を掲げています。
この事例から分かることは、DXとは単に「紙をクラウドへ置き換える」ことではないという点です。ID管理、セキュリティ、資産管理、会議、申請などを一つずつ見直し、そもそも不要な作業をなくしていくことが重要です。

情報通信業で生成AIを導入するときの5つの課題
生成AIは生産性向上に有効ですが、導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。帝国データバンクの調査では、生成AI活用に関する懸念・課題として次の項目が上位に挙がっています。
| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 情報の正確性 | 50.4% |
| 専門人材・ノウハウ不足 | 41.3% |
| 生成AIを活用すべき業務の範囲 | 40.0% |
| 情報漏洩のリスク | 33.5% |
| トラブル時の責任所在などのルール整備 | 25.5% |
課題1.部門ごとにツールが乱立する
営業部門はAのAI、開発部門はBのAI、社員個人は無料版のCを利用する、といった状態になると、データの分散、契約管理の複雑化、重複投資、セキュリティ基準の不統一が起きます。まず「AIを何個導入するか」ではなく、業務ごとに必要な機能を整理する必要があります。
課題2.シャドーAIが発生する
シャドーAIとは、会社が管理・許可していない生成AIを社員が業務利用する状態です。全面禁止だけでは隠れて使われる可能性があります。会社が使ってよいAIを用意し、入力禁止情報を決め、アカウントを会社管理にし、利用ログを残し、研修する仕組みづくりが重要です。
課題3.知的財産・機密情報をAIへ入力してしまう
IT企業では、顧客の仕様書、未公開サービス情報、ソースコード、ネットワーク構成、顧客データ、認証情報、障害情報などを日常的に扱います。契約条件、利用規約、データ保持条件、学習利用の有無などを確認し、扱うデータによってAI環境を分けることも検討します。
課題4.AI品質管理が必要になる
生成AIは、それらしい誤回答を出すことがあります。ネットワーク設定、セキュリティ設定、プログラムコード、顧客への技術回答では誤りが事故へつながる可能性があります。AIが間違えることを前提に、人やシステムで検出できる業務フローをつくることが重要です。
課題5.高度人材不足
生成AIを活用するために、全社員をAIエンジニアへ育てる必要はありません。業務を理解する人、AIの特性を理解する人、データを管理する人、最終判断を行う専門家を組み合わせます。
情報通信業に必要なAIガバナンスとデータガバナンス
AIへ入力できる情報を決める
最低限、入力可/要承認/入力禁止の3段階程度に分けると運用しやすくなります。一般公開情報は入力可、社内限定資料は会社指定AIのみ、顧客機密・認証情報は入力禁止、といったルールです。
個人アカウントから会社管理へ移行する
全社利用するなら、誰がどのAIを利用しているか把握できる状態をつくります。SSOやID管理基盤との連携ができれば、入社・異動・退職に合わせたアクセス権管理もしやすくなります。
RAGへ登録する情報の管理者を決める
RAGを導入しても、登録情報が古ければ正しい回答にはなりません。更新責任者、有効期限、廃止文書の扱い、アクセス権、バージョンまで決めます。
AIの生成結果を誰が承認するか決める
営業提案は営業責任者、要件定義はプロジェクト責任者、コードは開発担当者、ネットワーク設定はネットワークエンジニア、顧客回答はサポート責任者など、業務ごとの承認責任を明確にします。
中小IT企業は5つの業務から生成AI活用を始める
中小IT企業では、大規模なAIシステムを一気に開発する必要はありません。既存の生成AIやクラウドサービスを使いながら、効果が出やすい業務から段階的に進める方法があります。
ステップ1.営業提案を標準化する
過去提案やヒアリング情報をもとに、提案書の構成、顧客課題の整理、質問事項、サービス説明文、打ち合わせ内容の要約などをAIに作らせます。営業担当者による資料品質のばらつきを減らす効果も期待できます。
ステップ2.要件定義を標準化する
打ち合わせの記録から、顧客の要求、現状課題、必須要件、希望要件、未決定事項、次回確認事項を整理します。AIに最終的な要件を決めさせるのではなく、要件を決める前の整理作業へ利用するのがポイントです。
ステップ3.テスト仕様を標準化する
仕様書や要件をもとに、正常系、異常系、境界値、権限別、入力条件別などのテスト観点をAIに洗い出させます。最終的なテスト範囲は担当者が決めます。
ステップ4.問い合わせ対応を標準化する
顧客からの問い合わせ内容をAIで分類し、問い合わせの要約、原因候補、追加確認事項、回答案を作ります。過去FAQやマニュアルをRAGへ接続すれば、社内情報を参照しながら回答案を作ることもできます。
ステップ5.社内ナレッジ検索へ広げる
「類似案件は?」「このエラーは過去に発生したか?」「この機能の標準仕様は?」といった質問を自然言語で検索できるようにします。RAGは、情報が誰かのPCや頭の中にあり見つけられない、というナレッジの属人化を減らす手段になります。
情報通信業DXの導入前・導入後を比較
情報通信業のDXは、次のように仕事そのものを変えることがポイントです。
| 業務 | 従来 | DX・生成AI活用後 |
|---|---|---|
| ネットワーク設定 | エンジニアがゼロから記述 | AIが原案、人が検証 |
| 社内情報検索 | フォルダ・担当者を探す | RAGで横断検索 |
| 資産管理 | 目視と台帳 | RFIDで読み取り |
| ID管理 | サービスごとに管理 | SSOで統合 |
| 申請・承認 | メール・Excel | クラウドワークフロー |
| AI利用 | 社員個人の判断 | 会社ルールとIDで管理 |
| テスト仕様 | 担当者が一から作成 | AIが観点案を生成 |
| 問い合わせ | 経験者に確認 | AI+社内ナレッジ検索 |
大切なのは「人の仕事をすべてAIへ置き換えること」ではありません。作る・探す・転記する・整理する作業をデジタル化し、判断と責任を人へ残すことです。
情報通信業DXを失敗させない6つの導入手順
1.現在の業務を棚卸しする
まずツールを探すのではなく、「誰が、何を、何分かけて行っているか」を整理します。特に、繰り返し発生する、時間がかかる、高度人材が担当している、情報検索が多い、転記が多い業務を探します。
2.時間がかかっている工程を特定する
「営業をAI化する」のように業務全体で考えるのではなく、営業の中の「議事録作成」「提案骨子作成」など、工程単位まで細かくします。
3.AIへ任せる工程と人に残す判断を分ける
例えばネットワーク設定なら、AI:設定案作成、システム:構文・接続検証、人:最終承認という形に分けます。
4.データ・権限・ログを設計する
AI導入前に、何を入力してよいか、誰が利用できるか、どのデータへアクセスできるか、ログを残すかを決めます。
5.小さな業務で試す
いきなり全社展開せず、1業務・1部門から試します。例えば「営業提案書の構成作成時間を30%減らす」といった具体的な目標を設定します。
6.成果を測って対象業務を広げる
利用者数だけをKPIにせず、作業時間、修正時間、エラー数、問い合わせ処理時間、提案作成時間、検索時間などを測ります。DXの目的はツールを使うことではなく、業務成果を変えることだからです。
デジタル化・AI導入補助金を活用できる可能性もある
中小IT企業が生成AI、クラウドサービス、業務システムなどを導入する場合、デジタル化・AI導入補助金2026を活用できる可能性があります。
2026年度から、従来の「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更されました。中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的として、AIを含むITツールの導入を支援する制度です。
通常枠をはじめ、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠などがあります。ただし、市販されている生成AIやクラウドサービスが何でも補助対象になるわけではありません。
- 補助金事務局へ登録されたITツールか
- 登録されている対象プランか
- 対象となる業務プロセスを満たすか
- 対象経費に該当するか
- 申請条件を満たしているか
一般販売されているプランと、補助金へ登録されているプランが異なる場合もあります。制度内容、公募要領、登録ITツール、申請条件は変更される場合があるため、申請前には必ず最新の公募要領と事務局の登録情報を確認してください。採択や補助を保証する制度ではありません。
情報通信業DXで重要なのは「AI導入」より業務再設計
生成AIが注目されると、「どのAIを導入するか」から検討を始めてしまいがちです。しかし、本来の順番は逆です。
まず、どの業務に時間がかかっているのかを調べます。次に、どの工程をAIやシステムへ任せられるかを考えます。そして、どこを人が判断しなければならないかを決めます。
その結果として、生成AI、RAG、RFID、SSO、クラウドワークフローなど必要な技術を選択します。つまり、経営課題 → 業務 → データ → 技術の順番です。情報通信業では技術に詳しい人が多いからこそ、ツール起点にならないことが重要です。
よくある質問
情報通信業では、どの業務から生成AIを導入すべきですか?
最初は、失敗しても重大事故につながりにくく、効果を測りやすい業務がおすすめです。営業提案の構成作成、会議内容の要約、要件整理、テスト観点作成、問い合わせ回答案、社内情報検索などから始め、その後、ネットワーク設定や開発工程など専門性が高い業務へ広げます。
生成AIにネットワーク設定を完全に任せても大丈夫ですか?
完全自動化から始めるのはおすすめできません。生成AIが設定案を作成し、検証環境でテストしたうえで、専門エンジニアが最終承認する流れが現実的です。
RAGを導入すれば生成AIの誤回答や情報漏洩を防げますか?
RAGだけですべてを解決することはできません。検索対象の資料が古ければ誤った回答につながります。また、アクセス権限やAIサービス側のデータ管理も別途必要です。文書管理、権限管理、暗号化、ログ管理、人による確認を組み合わせることが重要です。
中小IT企業でもRFIDやSSOを導入する意味はありますか?
管理対象が多い場合は検討価値があります。大量のPCや貸与端末、検証機器を管理している会社ではRFIDが役立つ可能性があります。また、クラウドサービス数が増えている企業ではSSOによってID管理を統合しやすくなります。
生成AIやクラウドツールはデジタル化・AI導入補助金の対象になりますか?
対象になるITツールもあります。ただし、利用したいサービスが一般販売されているだけでは対象とは限りません。事務局へ登録されたITツール、対象プラン、業務プロセス、対象経費などを申請前に確認する必要があります。
まとめ|情報通信業DXは高度人材を高付加価値業務へ移すために進める
情報通信業ではDXへの取り組み率がすでに高く、IPA「DX動向2025」では日本の情報通信業の83.2%が何らかの形でDXへ取り組んでいます。次の課題は、導入したデジタル技術をどこまで実際の業務へ組み込めるかです。
KDDIのネットワーク設定事例のように、高度なエンジニアが行っていた作業の一部を生成AIへ任せることで、人の時間を新規開発や設計などへ振り向けられます。
一方、生成AIだけを導入してもDXは完成しません。生成AI・LLM、RAG、RFID、シングルサインオン、暗号化、クラウドワークフロー、データガバナンス、AIガバナンスを必要に応じて組み合わせることが重要です。
中小IT企業であれば、最初から大規模なAIシステムを開発する必要はありません。まずは、営業提案→要件定義→テスト仕様→問い合わせ対応→社内ナレッジ検索という順番で、小さな成功事例をつくる方法があります。
生成AIの目的は「AIを使っている会社になること」ではありません。社員の作業時間を減らし、限られた専門人材を、より価値の高い仕事へ集中させることです。そのためには、AIツールを探す前に自社の業務を整理し、「AIに任せる仕事」と「人が判断する仕事」を明確にしましょう。
情報通信業のDX・AI導入をどこから始めるか整理したい方へ
「生成AIを導入したいけれど、ネットワーク設定、開発、営業、問い合わせ対応、社内ナレッジ検索など、どの業務から始めるべきか分からない」という企業は少なくありません。
ツールを選ぶ前に、現在の業務とデータを整理すると、自社に適したDX・AI導入の方向性が見えやすくなります。また、導入するITツールによっては、デジタル化・AI導入補助金を活用できる可能性があります。
自社の業務のどこからAI・DXを進めるべきか、補助金を含めて相談したい場合は、導入前の段階からご相談ください。
【DX・AI導入について相談する】
補助金を含めてDX・AI導入を相談する
参考情報
- IPA「DX動向2025」業種別データ:https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/
- 帝国データバンク 生成AI活用に関する2026年3月調査:https://www.tdb.co.jp/
- KDDI 技術情報・KDDI AI-Chat関連公開情報:https://tech-note.kddi.com/
- NICT 情報通信研究機構:https://www.nict.go.jp/
- デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト:https://it-shien.smrj.go.jp/
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