ネットショップを運営していると、売上データは毎月たまっていきます。
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楽天市場などのモール、自社EC、決済サービス、広告管理画面などからCSVをダウンロードしているものの、「結局、売上合計しか見ていない」というEC事業者も少なくありません。
本当は、商品別の売上、在庫数、原価、広告費、リピート状況まで確認すれば、もっと数字に基づいて仕入を判断できます。
しかし、日々の受注処理、出荷、問い合わせ対応、商品登録に追われていると、データ分析まで手が回らないのが現実です。
そこで活用しやすいのがAIです。AIに売上CSVを読み込ませれば、集計や分類、比較、傾向の抽出を短時間で行いやすくなります。
ただし、重要なのは「AIに仕入を全部決めてもらうこと」ではありません。AIに任せるのは、数字の整理や比較、気になる商品の抽出までです。最終的な仕入判断は、季節性、取引条件、販促計画、在庫スペースなどを考慮して人が行う必要があります。
この記事では、売上・在庫CSVをAIで分析し、売れ筋・死に筋、商品別粗利、同梱傾向、リピート率などを把握する方法を解説します。
高度なBIツールや分析システムを最初から導入するのではなく、現在使っているCSVとExcel・Googleスプレッドシートを活かして、月1回の仕入判断につなげる方法を見ていきましょう。

モール別・商品別の粗利を出したら仕入商品が変わった【想定例】
ここでは、実際の企業事例ではなく、少人数EC事業者で起こりやすいケースをもとにした想定例を紹介します。
あるネットショップでは、自社ECと複数のモールで約300商品を販売していました。毎月確認していた数字は、主に次の3つです。
- モールごとの売上
- 商品別の販売個数
- 月末時点の在庫数
仕入担当者は、販売個数の多い商品を中心に追加発注していました。いわば「よく売れている商品だから多めに仕入れる」という判断です。
一見すると正しい方法ですが、問題がありました。商品ごとの原価率やモール手数料、広告費、送料負担まで含めた利益を比較していなかったのです。
そこで、毎月ダウンロードしていた受注CSVと商品一覧をスプレッドシートへ整理し、商品コードごとに売上、原価、販売個数、手数料などをまとめました。
そのデータをAIに読み込ませ、「商品別に売上高、販売個数、概算粗利を集計し、売上順位と粗利順位を比較してください」と依頼しました。
すると、これまで売れ筋だと思って優先的に仕入れていた商品の中に、売上は大きいものの、原価や販売コストを考えると利益があまり残っていない商品があることが分かりました。反対に、販売個数は中程度でも、粗利率が高く、広告に頼らず売れている商品も見えてきました。
その結果、店側では商品を次のように分類しました。
- 追加仕入を増やす商品
- 現状維持の商品
- 仕入数量を減らす商品
- いったん追加発注を止める商品
ここで大切なのは、AIが発注数量を勝手に決めたわけではないことです。AIはあくまで、「売上は大きいが粗利が少ない」「在庫数に対して販売ペースが遅い」といった事実を整理する役割です。その数字を見たうえで、人が仕入方針を決めます。
EC売上CSVのAI分析では、「集計・比較はAI、最終判断は人」という役割分担が重要です。
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EC売上CSVをAIで分析すると何が分かる?

EC事業者がCSVをAIで分析する最大のメリットは、「合計売上を見る」だけの状態から「商品ごとに判断する」状態へ進みやすくなることです。売上データは、単なる過去の記録ではありません。見方を変えれば、次の仕入や販売方針を決める材料になります。
売上集計から「商品ごとの判断」へ進める
一般的な売上確認では、「今月は300万円売れた」「先月より20万円増えた」という全体数字で終わりがちです。しかし、仕入判断に必要なのは全体売上だけではありません。
たとえば商品別に見ると、A商品は100個、B商品は30個、C商品は10個売れたという違いが分かります。さらに在庫数を組み合わせれば、A商品は販売数100個・残在庫20個、B商品は販売数30個・残在庫200個、C商品は販売数10個・残在庫5個といった状態まで見えてきます。
B商品はA商品より売れていないにもかかわらず、大量の在庫を抱えているかもしれません。こうした商品を早めに見つけることが、仕入改善の第一歩です。
売上ランキングと利益ランキングは違う
ECでは「一番売れている商品=一番儲かっている商品」とは限りません。販売価格や原価に加え、モール手数料、決済手数料、広告費、送料、梱包費などを考えると、売上順位と利益順位が逆転することがあります。
そのため、AIには販売個数ランキングだけでなく、商品別粗利も一緒に集計させることが重要です。
AIは「分析担当者」ではなく集計・比較を助ける道具
AIは大量の表を読み、集計したり傾向を説明したりする作業に向いています。一方で、AIの分析結果が必ず正しいとは限りません。
- 原価列を税込価格と誤認する
- 返品データを通常売上として含める
- 空欄を0として扱う
- 手数料計算の前提を誤解する
AIへCSVを渡したら結果をそのまま信用するのではなく、代表的な商品を数点選び、元データと計算結果を照合してください。
まずECから出せるCSVを3種類に整理する
AI分析を始める前に、手元にどんなCSVがあるか整理しましょう。最初から全データを統合する必要はありません。基本は「受注データ」「商品データ」「広告データ」の3種類に分けて考えると分かりやすくなります。
受注CSV
受注CSVには注文ごとの情報が含まれます。一般的には、分析に次のような項目を使います。
- 注文番号
- 注文日
- 商品コード
- 商品名
- 購入数量
- 販売単価
- 売上金額
- 顧客を識別するID
受注データがあれば、商品別売上だけでなく、注文番号単位で「一緒に購入されやすい商品」も分析できます。
ただし、受注CSVには氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が含まれていることがあります。売上分析では、こうした情報は通常必要ありません。AIへ渡す前に削除するか、必要に応じて分析用IDへ置き換えましょう。
商品CSV
商品データには、商品自体の情報をまとめます。分析に使いやすい項目は次のとおりです。
- 商品コード
- 商品名
- カテゴリー
- 販売価格
- 仕入原価
- 現在庫数
- 発注単位
特に重要なのが商品コードです。複数モールやスプレッドシートをまたいで分析する場合、商品コードが共通しているとデータをつなぎやすくなります。
商品名だけで結合すると、「白シャツM」「白シャツ Mサイズ」「WHITE SHIRT M」のように表記が違い、別の商品として扱われることがあります。できるだけ商品コードを共通キーとして使いましょう。
広告CSV
広告費まで含めて商品別利益を見る場合は、広告データも必要になります。主に確認したいのは次のような項目です。
- 広告費
- 広告経由売上
- 対象商品
- 注文件数
ただし、この記事では広告運用そのものの改善方法や入札方法までは扱いません。目的は、商品別の収益性を見るために広告費を加えることです。
最初から全部のCSVを統合しなくてもよい
データ分析と聞くと、複数のCSVをすべて一つに統合しなければならないと思うかもしれません。しかし、最初は受注CSVと商品CSVだけでも十分です。
- 何が売れているか
- 何が売れていないか
- どの商品に在庫が残っているか
- どの商品で粗利が取れているか
この運用に慣れてから広告データを追加したほうが、途中で挫折しにくくなります。
ネットショップの売上分析はスプレッドシート+AIから始められる
高度な分析環境を用意しなくても、ECの売上分析はExcelやGoogleスプレッドシートから始められます。ただし、AIへデータを渡す前に最低限の整理は必要です。
AIへ渡す前に列名をそろえる
複数のCSVを扱う場合、同じ意味の列でも名前が違うことがあります。たとえば「商品番号」「商品コード」「SKU」「管理番号」などです。最初に分析用スプレッドシート側で名称を統一しておくと、AIが理解しやすくなります。
商品コードを共通キーにする
商品コードは、売上データと商品マスタをつなぐ重要な項目です。可能であれば「モールが違っても同じ商品は同じ管理コード」という状態を作っておきます。これができていない場合は、AI分析を始める前に商品コード対応表を作ることをおすすめします。
日付・金額・数量の形式をそろえる
AIが分析しやすいように、日付、金額、数量の形式も統一します。たとえば金額欄に「¥3,980」「3980円」「3,980」が混在していると処理しにくくなります。できれば数値だけに統一しましょう。
まず1か月分から試す
最初から過去3年分のデータを分析する必要はありません。まずは直近1か月分で試します。正しい結果が出ることを確認できたら、3か月、6か月、12か月へ広げます。この順番のほうが、データ不備や集計ミスにも気付きやすくなります。
AIに聞く質問の型|そのまま使えるコピペ例

EC売上CSVをAIへ読み込ませても、「分析してください」だけでは、欲しい結果が出ないことがあります。重要なのは、何を判断したいのか具体的に伝えることです。ここでは、そのまま応用できる質問の型を紹介します。
売れ筋商品を見つける質問
以下のCSVを商品コード単位で集計してください。
確認したい項目は、・商品別売上金額・販売数量・注文件数・1注文あたり平均購入数量です。
売上金額、販売数量、注文件数について、それぞれ上位20商品を一覧にしてください。また、売上金額は高いものの販売数量が少ない商品と、販売数量は多いものの売上金額が低い商品も分けてください。集計結果を出した後、元データとの確認が必要な項目があれば指摘してください。
売れ筋を見るときは、売上だけでなく販売数量と注文件数を分けて見るのがポイントです。
死に筋商品を見つける質問
商品別の販売数量と現在庫数を比較してください。
次の条件に該当する商品を抽出してください。・直近30日間の販売数量が少ない・現在庫数が多い・販売数量に対して在庫が過剰と思われる
ただし、在庫過多の判断を断定せず、販売ペースから見て確認が必要な商品として一覧にしてください。商品コード、商品名、販売数量、現在庫数を表示してください。
「死に筋」と断定させるのではなく、「確認候補」として出させることが重要です。季節商品やイベント商品は、直近30日だけでは判断できない場合があるからです。
一緒に買われやすい商品を見つける質問
注文番号ごとに、一緒に購入されている商品の組み合わせを分析してください。
同じ注文番号に含まれる商品コードの組み合わせを集計し、一緒に購入される回数が多い組み合わせを上位20件表示してください。単品購入しかない注文は除外してください。
結果は、・商品A・商品B・同時購入回数の形式で整理してください。
同梱傾向が分かると、セット商品、関連商品の表示、送料無料ライン対策、クロスセルなどを考える材料になります。
リピート率を調べる質問
このデータの顧客IDをもとに、期間内の購入回数を集計してください。
・1回のみ購入・2回購入・3回以上購入
の3グループに分類し、それぞれの顧客数と構成比を出してください。また、2回以上購入している顧客が購入することの多い商品を一覧にしてください。氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどは分析に使用しないでください。
リピート分析では個人名は必要ありません。分析用の顧客IDだけで十分です。
広告費対効果を見る質問
商品別売上データと広告費データを商品コードで照合してください。
商品ごとに、・売上金額・広告費・広告費÷売上金額・売上金額÷広告費を計算してください。
広告費がある商品と広告費がない商品を分けて表示してください。数値だけで良し悪しを断定せず、確認優先度が高い商品を指摘してください。
実際に広告を増額・減額する判断には、利益率や新規顧客獲得など他の要素も関係します。広告運用そのものについては別途検討してください。
商品別粗利を比較する質問
各商品について、売上金額-商品原価-販売手数料-広告費-送料負担で概算粗利を計算してください。
そのうえで、・売上金額ランキング・概算粗利ランキング・粗利率ランキングをそれぞれ作成してください。
売上順位と粗利順位の差が大きい商品を抽出し、その理由をデータから説明してください。計算に必要な値が欠けている場合は推測せず、「未計算」としてください。
最後の「推測せず未計算にする」という指示は重要です。AIに数字を補完させず、元データに存在する数字だけを使わせましょう。
売上だけでは分からない|商品別粗利の出し方
仕入判断を改善するうえで、販売個数と同じくらい重要なのが商品別粗利です。売上が多くても、利益が少なければ資金は残りません。
基本は「売上-原価-販売に直接かかる費用」
簡易的な商品別粗利を見る場合、まず次の形で考えます。
商品別概算粗利 = 売上 - 商品原価 - 販売手数料 - 広告費 - 送料などの直接費
たとえば10,000円で売れた商品でも、原価6,000円、手数料1,000円、広告費1,000円、送料800円がかかれば、残るのは1,200円です。一方で5,000円の商品でも販売コストが低ければ、同程度の利益が残ることがあります。
モール手数料を加える
複数モールを運営している場合、同じ商品でも販売チャネルによって利益が変わることがあります。そのため、「商品別」だけでなく「商品別×販売チャネル別」でも見られるようにすると判断しやすくなります。
ただし、手数料体系は契約やサービスによって異なります。実際の費用は自社の請求明細や契約内容を確認してください。
広告費を商品別にどう割り振るか決める
広告費を商品別に取れる場合は、その数字を使います。商品別に分けられない広告費は、無理に正確に配賦しなくても構いません。
たとえば、売上比率で割る、広告経由売上比率で割る、共通販促費として別管理するなど、自社内でルールを決めます。大切なのは、毎月ルールが変わらないことです。
送料・梱包費をどこまで含めるか決める
送料無料商品や地域別送料がある場合、送料の扱いも難しくなります。最初から完璧を求めると集計が続きません。たとえば「平均送料700円」「梱包費1注文100円」のように管理用の基準を決める方法もあります。
完璧な原価計算より毎月同じルールで比較する
ここで行う商品別粗利は、必ずしも会計上の正式な利益計算と同じである必要はありません。目的は、商品同士の収益性を比較し、仕入判断に使うことです。
毎月同じルールで集計すれば、「この商品の利益が悪化している」「こちらの商品は安定して利益が残っている」という変化を見つけやすくなります。
「売れているのに利益が少ない商品」を見つける
AI分析で特に確認したいのが、売上ランキングと利益ランキングの差です。
売上順位と粗利順位を並べる
商品ごとに、売上順位、販売数量順位、粗利順位、粗利率順位を横並びにします。売上2位なのに粗利20位という商品があれば、確認優先度は高いでしょう。
広告依存の商品を確認する
売上は大きいものの、広告を止めると売れない商品もあります。広告費込みで見ると利益が小さい場合は、「売上があるから仕入を増やす」という単純な判断は危険です。
ただし、その商品が新規顧客の入口になっている場合は、低粗利でも残す意味があります。
送料負担の大きい商品を確認する
大型商品、重量商品、低単価商品などは、送料負担によって利益が変わります。販売価格だけでなく、「1個売れたとき実際にいくら残るか」で比較する必要があります。
低粗利でも残す商品を人が判断する
粗利が低い商品を全部やめればよいわけではありません。
- 新規顧客が最初に買いやすい商品
- 他の商品と一緒に買われる商品
- 店舗の品ぞろえ上必要な商品
- 定期的なリピートにつながる商品
こうした商品は、単品利益が低くても重要な場合があります。ここはAIだけでは判断しにくい部分です。数字を整理した後、商品の役割まで考えて人が決定してください。
AI分析を仕入・在庫判断につなげる方法
分析結果を出しただけでは業務は変わりません。最後に仕入判断へ落とし込む必要があります。
「増やす・維持・減らす・止める」の4分類にする
増やす:販売ペースが安定し、粗利も確保でき、在庫不足になりやすい商品です。
維持:現在の仕入数量で大きな問題がない商品です。
減らす:販売ペースに対して在庫量が多い、または利益が低下している商品です。
止める:追加発注を一時停止し、現在庫の販売を優先する商品です。
この分類をAIへ提案させても構いませんが、最終判断は人が行います。
直近1か月だけで決めない
1か月だけ売れなかったからといって、すぐに死に筋とは限りません。季節商品、イベント商品、ギフト商品、欠品期間があった商品、セール対象だった商品などは通常月と動きが違います。可能であれば3か月、6か月、前年同月なども比較しましょう。
在庫回転も合わせて確認する
販売数量だけでなく、現在庫とのバランスを見ることが重要です。月10個売れる商品でも在庫が15個なら問題ありません。しかし在庫が200個あれば、追加仕入を急ぐ必要はないでしょう。
AIには「直近30日の販売数量に対して現在庫が何か月分あるか計算してください」と依頼することもできます。
AIの提案をそのまま発注数量にしない
発注数量には数字以外の条件も関わります。
- 最低発注ロット
- 仕入先の納期
- 季節要因
- 販促予定
- 資金繰り
- 保管スペース
- 欠品リスク
AIが「50個発注」と回答しても、そのまま注文しないでください。AIには販売実績と在庫状況から目安を出させ、実際の発注数量は担当者が決める運用が安全です。
月1回30〜60分の「商品レビュー」を運用にする
売上分析は、1回だけ行っても大きな効果は出にくいものです。重要なのは、毎月同じ手順を繰り返すことです。
毎月同じCSVを出す
月初や月末など、タイミングを決めます。たとえば毎月5日に、前月受注CSV、最新商品一覧、在庫データ、必要なら広告データを準備します。
毎月同じ質問をAIへ投げる
質問も毎月同じにします。基本は次の5項目です。
- 売れ筋
- 死に筋候補
- 商品別粗利
- 同梱傾向
- リピート状況
前月との変化を比較する
単月だけでなく、「前月より販売数量が30%以上減った商品」「3か月連続で在庫が増えている商品」など、変化を見ると問題商品を見つけやすくなります。
仕入判断を記録する
分析後は、商品コード、判断、理由、次回確認日を簡単に残しておきます。たとえば「追加仕入を半分へ。3か月連続で販売数減少」という程度で構いません。
翌月に結果を検証する
翌月には前回の判断が正しかったか確認します。仕入を減らした結果「欠品した」のであれば減らしすぎだった可能性があります。反対に「在庫が適正水準まで減った」のであれば判断が機能したことになります。
この振り返りを続けることで、AI分析が実際の仕入改善へつながります。
ECの顧客情報をAIへ入力するときの注意
受注CSVをAIへ入力するときは、個人情報の扱いに注意が必要です。
氏名・住所・電話番号は原則として分析に不要
売上分析で氏名、住所、電話番号を見る必要はほとんどありません。使用しない列は削除してからAIへ渡しましょう。
メールアドレスも削除・置換を検討する
リピート分析では顧客を識別する必要があります。しかし、識別にメールアドレスそのものを使う必要はありません。顧客番号や匿名化したIDへ置き換えれば分析できます。
顧客IDは分析用IDへ置き換える
たとえばC0001、C0002、C0003のように分析用IDへ変換します。AIが「同じ顧客かどうか」を判別できれば十分です。
利用するAIサービスの契約・データ利用条件を確認する
生成AIサービスによって、入力データの扱い、保存期間、学習利用の有無、管理機能などは異なります。法人利用の場合は、利用前に最新の利用規約、管理設定、契約条件を確認してください。機密情報や個人情報の扱いについて、社内方針も確認しておく必要があります。
社内ルールを決めてから継続利用する
担当者ごとに判断が違う状態は避けましょう。たとえば氏名、住所、電話番号、メールアドレスは削除し、商品情報と匿名化IDのみ利用可とするなど、簡単でも構わないのでルールを決めておくと安全です。
AI分析が向いているEC事業者・向いていないケース
AI分析が向いているケース
- ECからCSVを取得できる
- 商品コードが整理されている
- 商品別の原価が分かる
- 月1回レビューする担当者を決められる
- 商品数が増えて勘だけでは判断しにくくなった
- 複数モールの売上をまとめて見たい
特に「データはあるけれど、分析する時間がない」という事業者と相性がよい方法です。
先にデータ整理が必要なケース
- 同じ商品に複数の商品コードがある
- 原価が登録されていない
- CSVの項目が毎月変わる
- 返品やキャンセルの扱いが整理されていない
- 在庫数が実際と大きくずれている
AIは元データ以上に正確な分析はできません。入力データに問題があれば、結果も不安定になります。
EC売上CSV分析を始める5ステップ
STEP1 受注・商品CSVを出す
まずは直近1か月分の受注CSVを用意します。あわせて、商品コード、商品名、原価、現在庫を含む商品一覧を準備します。最初は広告データがなくても構いません。
STEP2 個人情報を除く
氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど、分析に不要な個人情報を削除します。リピート分析を行う場合は匿名化した顧客IDを残します。
STEP3 スプレッドシートで項目を整える
商品コード、日付、金額、数量の形式を統一します。同じ商品なのに商品コードが違う場合は、この段階で対応表を作ります。
STEP4 AIへ5つの基本質問をする
まずは、売れ筋、死に筋候補、粗利、同梱、リピートの5つを確認します。一度に大量の分析をさせるより、テーマごとに質問したほうが結果を確認しやすくなります。
STEP5 仕入方針を記録する
分析結果を見て、増やす、維持、減らす、止めるに分類します。そして翌月、判断結果がどうなったかを確認します。この月1回の繰り返しが、勘中心の仕入から数字中心の仕入へ変える第一歩です。
FAQ
楽天RMSなどから出したCSVもAIで分析できますか?
CSVとして取り出せるデータであれば、一般的にはAI分析へ活用できます。ただし、CSVの項目名や形式はサービスやデータ種類によって異なります。そのまま複数ファイルを組み合わせるより、商品コードや日付、金額などの項目をスプレッドシートで整理してから分析したほうが安定します。利用しているサービスから取得できるCSVの種類や仕様は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式案内を確認してください。
ExcelとGoogleスプレッドシートのどちらがよいですか?
どちらでも構いません。すでに社内で使っているものを優先するとよいでしょう。重要なのはツールよりも、商品コードを統一する、列名をそろえる、毎月同じ形式で保存するという運用です。大量データを扱う場合や複数人で共有する場合は、データ量や権限管理も考えて選んでください。
AIだけで仕入数量まで決められますか?
AIに発注数量の目安を計算させることはできますが、最終判断をそのまま任せることはおすすめしません。仕入には、最低発注数量、納期、季節性、販促予定、資金繰り、在庫スペースなど、CSVだけでは分からない条件があるためです。AIには数字の整理と候補抽出を任せ、人が最終判断する運用が基本です。
顧客情報が入った受注CSVをそのままAIへ入れてよいですか?
そのまま入力するのではなく、分析に不要な個人情報を削除することをおすすめします。氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどは売上分析では通常必要ありません。リピート分析が必要な場合も、匿名化した顧客IDで対応できます。また、利用するAIサービスの契約条件、データ利用条件、社内の情報管理ルールも事前に確認してください。
毎日分析する必要がありますか?
仕入判断が目的なら、まずは月1回でも十分です。商品回転が非常に速いECや季節変動が大きい業種では、週1回など頻度を上げる場合もあります。最初から頻繁に分析するより、毎月確実に続けられる運用を作ることを優先しましょう。
まとめ|ECのCSVは「保存するデータ」から「仕入判断の材料」へ変えられる
ECでは、売上、商品、在庫、広告、顧客など、日々大量のデータが蓄積されています。しかし、CSVを保存しているだけでは仕入判断は変わりません。
まずは直近1か月の受注CSVと商品データを使い、売れ筋、死に筋候補、商品別粗利、同梱傾向、リピート状況をAIで整理するところから始めてみてください。
特に重要なのは、売上順位だけではなく、商品別粗利と在庫量を一緒に見ることです。「よく売れているから追加発注する」という判断から、「どのくらい利益が残り、現在庫が何か月分あり、今後も仕入れるべきか」という判断へ変えられます。
ただし、AIは最終決定者ではありません。AIには集計・比較・候補抽出を任せ、人が季節性、販促計画、仕入条件などを加えて判断します。
高額な分析システムを導入する前でも、現在使っているCSV、Excel、GoogleスプレッドシートとAIを組み合わせれば始められることはあります。まず月1回、30〜60分の商品レビューを作るところから始めることが、仕入判断を勘から数字へ変える現実的な第一歩です。
売上CSVはあるのに、毎月の仕入判断へ十分に活用できていないEC事業者は少なくありません。
現在利用しているECやCSVの種類を整理すれば、高額な分析システムを導入する前に改善できる業務が見つかる場合があります。
「自社のCSVなら何が分析できるのか分からない」「商品別粗利まで見えるようにしたい」「AIを使いたいが、データをどう整えればよいか分からない」という場合は、現在の運用を整理するところからご相談ください。
相談前に、利用しているEC・モール、月間注文件数、商品点数、現在取得しているCSV、現在の仕入判断方法、分析したい内容を分かる範囲で整理しておくとスムーズです。
