ChatGPTは、質問を入力して回答を得るだけの生成AIではありません。特にCodexを活用することで、対象となるコードやファイルを確認し、必要な作業を計画し、修正、テスト、レビューまで進める「ワークフロー型のAIエージェント」として利用できます。
これまで担当者が個別に行っていた調査、プログラム修正、データ加工、動作確認、報告といった工程を、AIに一連のタスクとして実行させられる点が特徴です。
本ページでは、ChatGPTとCodexの主な機能、業務自動化の具体例、料金プラン、デジタル化・AI導入補助金における共P-05と汎P-07の考え方を解説します。
ChatGPTは業務を実行するAIエージェント
一般的なChatGPTの利用では、文章の作成、要約、翻訳、情報整理などが中心です。一方、Codexは、ソフトウェア開発や社内システムの保守に必要な複数の工程を、連続したタスクとして処理します。
たとえば、担当者が「このシステムにCSV出力機能を追加し、既存機能に影響がないかテストしてください」と指示した場合、Codexは対象となるファイルやコードを確認し、修正方法を検討します。その後、コードの追加や変更、テストコードの作成、テストの実行、結果の整理まで進めます。
OpenAIはCodexについて、機能開発、複雑なリファクタリング、移行、コードレビュー、自動化などを、複数の並列ワークフローで処理できるAIコーディングエージェントと説明しています。
最終的な判断や本番環境への反映は人が行う必要がありますが、担当者はすべての作業を手作業で進めるのではなく、AIが実行した結果を確認・承認する役割に集中できます。
ChatGPTで解決できる業務課題
ChatGPTとCodexは、次のような業務課題の改善に活用できます。
- 社内システムの修正が特定の担当者に集中している
- 軽微な改修やデータ処理が後回しになっている
- プログラムのテストやレビューに時間がかかる
- 毎月同じ形式のデータ加工を手作業で行っている
- システム障害のログ調査や原因特定に時間がかかる
- 作業手順や品質が担当者ごとに異なる
- 開発担当者が単純作業に追われ、設計や改善に時間を使えない
Codexは、人の判断を完全に置き換えるものではありません。繰り返し発生する作業や、明確な条件に基づいて進められる工程をAIが担当し、人は要件の決定、リスク判断、品質確認を行う使い方が適しています。
Codexを中心としたChatGPTの主な機能
既存コードを確認して機能追加・修正を行う
Codexは、指定されたフォルダーやGitリポジトリ内のコードを確認し、指示された機能追加や修正を行います。
利用者は、変更したい内容、守るべき条件、対象となるシステムを伝えます。Codexは関連ファイルを探し、修正範囲を判断してコードを変更します。
単にプログラムの一部分を生成するだけでなく、既存の構成や関連処理を読み取ったうえで、複数ファイルにまたがる変更を進められる点が特徴です。CodexはChatGPTだけでなく、IDEやターミナルからも利用できます。
テストコードの作成と実行を支援する
システムの修正後には、既存機能に問題が起きていないかを確認する必要があります。
Codexは、変更したコードに対応するテストコードを生成し、実行結果を確認できます。テストでエラーが発生した場合には、原因を分析し、再修正するところまで進められます。
これにより、担当者が修正とテストを別々に行う業務から、修正・確認・再修正を一連のワークフローとして進める業務へ変えられます。ただし、テストを通過したことだけで、本番利用に問題がないとは限りません。要件への適合性やセキュリティ、例外処理については、担当者による確認が必要です。
コードレビューと不具合発見を支援する
Codexは、コードの変更内容を確認し、不具合の可能性、修正漏れ、互換性の問題などを指摘できます。
開発担当者が作成したコードを、別の担当者がすべて確認する体制を構築できない中小企業でも、一次確認をAIに任せることで、レビューの抜け漏れ防止につながります。
OpenAIの公式事例では、RampがCodexのPRレビューによって、チームが見逃した可能性のあるバグを検出できたと説明しています。AIによる指摘が必ず正しいとは限らないため、修正するかどうかは担当者が判断します。
複数の開発タスクを並行して実行する
Codexは、組み込みのワークツリーとクラウド環境を利用し、複数のプロジェクトやタスクを並行して進められます。たとえば、次の作業を別々のタスクとして同時に依頼できます。
- 顧客管理システムの表示修正
- 毎月の集計用スクリプトの更新
- 古いプログラムのリファクタリング
- 新機能のテストコード作成
- 不具合報告の調査
各タスクの作業環境を分けることで、変更内容が互いに競合するリスクを抑えながら処理できます。
バックグラウンドで定型作業を実行する
Codexは、課題のトリアージ、アラート監視、CI/CDなどの日常的な作業を、バックグラウンドタスクとしてスケジュール実行できると案内されています。たとえば、システムから出力されるエラーログを定期的に確認し、対応が必要な問題を分類する業務が考えられます。
従来は担当者がログを開き、問題の有無を確認していました。Codexを利用すれば、AIが内容を分析し、対応優先度や修正候補を整理します。担当者は、AIが抽出した問題を確認して対応方針を決定します。
社内データ処理用のスクリプトを作成する
Codexは、ソフトウェア開発会社だけでなく、一般企業のデータ処理にも活用できます。たとえば、複数のCSVファイルを統合し、不要な行を削除し、指定された形式へ変換するスクリプトを作成できます。
毎月同じ形式で受け取る売上データや実績データがある場合、一度処理手順を定義すれば、同じ条件に基づく加工を繰り返し実行できます。ただし、ChatGPT自体が会計、受発注、在庫管理などの業務データを正式に管理する基幹システムになるわけではありません。データ加工や補助処理を担うツールとして整理する必要があります。
導入前後の業務フロー

導入前
- 担当者が修正依頼を確認する
- 関連するファイルやコードを探す
- 修正方法を検討する
- プログラムを変更する
- テストコードを作成する
- テストを実施する
- エラーがあれば再修正する
- 別の担当者がレビューする
- 変更内容を報告する
導入後
- 担当者が目的、対象、条件をCodexへ指示する
- Codexが関連ファイルやコードを確認する
- Codexが修正計画を作成する
- コードの修正とテストを実行する
- エラーがあれば原因を分析して再修正する
- 変更内容、テスト結果、確認事項を出力する
- 担当者が結果をレビューして承認する
導入後も、要件の決定、権限付与、本番環境への反映、最終承認は人が行います。
デジタル化・AI導入補助金上の対応

通常は汎P-07として整理される
ChatGPTは、文章生成、情報整理、データ分析、コード生成、チャット、自動化など、特定の部門や業務に限定されない汎用的な機能を持っています。そのため、デジタル化・AI導入補助金では、一般的に「汎P-07:汎用・自動化・分析ツール」として整理される可能性が高いツールです。
汎P-07には、汎用ツール、RPA、チャットボット、業務スクリプト、データ分析などが含まれます。ただし、通常枠では汎P-07のソフトウェアだけで交付申請することはできません。共P-01から各業種P-06までの業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる必要があります。
Codexを中心に共P-05を検討できる場合
ChatGPTをCodex中心のワークフロー型AIエージェントとして登録する場合は、「共P-05:総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務」での登録を検討できる可能性があります。ただし、生成AIやAIエージェントであることだけを理由に、P-05へ登録できるわけではありません。P-05として説明するには、少なくとも次の内容を明確にする必要があります。
- どの部門が利用するか
- 導入前にどのような課題があるか
- どの情報を入力するか
- Codexがどの工程を実行するか
- どのような成果物を出力するか
- 人がどこを確認・承認するか
- 導入後に業務フローがどのように変わるか
たとえば、情シス部門における社内システム保守業務として、「改修依頼の確認→対象コードの抽出→修正計画の作成→コード修正→テスト生成・実行→エラー修正→レビュー結果の作成→担当者承認」という一連の工程を説明できる場合です。2026年のITツール登録では、業務プロセスまたは汎用プロセスのいずれかに該当する機能を持つ必要があり、生成AIや生成AI以外のAI技術を搭載するソフトウェアも、該当プロセスを実際の機能で示さなければなりません。
P-05とP-07は同一登録で併用しない
業務プロセスと汎用プロセスは、同一ソフトウェアの登録で同時に選択できない点に注意が必要です。そのため、ChatGPTの登録時には、次のどちらかを選択します。
- 汎用的な生成、分析、自動化ツールとして汎P-07で登録する
- Codexによる特定の情シス・統合業務ワークフローとして共P-05で登録する
公開ページ、機能説明資料、料金表、実際の登録申請内容も、この選択と一致させる必要があります。
インボイス対応機能には該当しない
ChatGPTは、請求書の文章作成やデータ分析を支援できますが、会計帳簿、受発注、売掛・買掛、決済を正式に管理する専用ソフトウェアではありません。そのため、インボイス対応類型の会計、受発注、決済には、原則として該当しません。ChatGPTで請求書のひな形や処理用コードを作成できることと、インボイス対応ソフトウェアとして登録できることは別です。
ChatGPTに搭載されているAI・技術
ChatGPTは、文章、要約、資料、コード、テストコードなどを新たに作成するため、生成AIを搭載しています。Codexでは、コードやログを分析し、対象ファイルを抽出し、必要な処理を選択し、次のタスクを実行します。そのため、利用方法や登録資料によっては、生成AI以外の分類・分析・判断・ワークフロー実行型AIも搭載するツールとして整理できます。AI以外の技術としては、次のものがあります。
- クラウド実行環境
- GitおよびGitHubとの連携
- ワークツリーによる作業環境の分離
- IDE拡張機能
- CLI
- SAML SSOなどの認証機能
- 通信時・保存時の暗号化
ChatGPTの公式料金ページでは、通信時にTLS 1.2、保存時にAES-256を利用すると説明されています。
ChatGPTの料金プラン
ChatGPTには、個人向けの無料版、Go、Plus、Proと、企業向けのBusiness、Enterpriseがあります。2026年7月15日時点の公式料金ページでは、無料版は月額0米ドル、Goは月額8米ドル、Plusは月額20米ドル、Proは月額100米ドルからと表示されています。プランや利用量によって、Codexの利用上限が異なります。
企業向けのBusinessとEnterpriseは、2名以上で利用できます。Businessには専用ワークスペース、管理機能、法人向けのデータ保護などがあり、企業で複数人が利用する場合に適しています。料金、機能、利用上限は変更される可能性があります。また、デジタル化・AI導入補助金へ登録する価格は、公式料金を基にした登録価格、契約期間、アカウント数、為替換算方法などとの整合が必要です。
| プラン名 | 公式表示価格 | 利用人数 | Codex | 向いている利用者 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 無料版 | 0米ドル/月 | 1名 | 制限あり | 試用・軽い利用 | 補助金登録対象外想定 |
| Go | 8米ドル/月 | 1名 | 公式条件を要確認 | 日常利用 | 広告表示の可能性あり |
| Plus | 20米ドル/月 | 1名 | 利用上限拡大 | 高度な個人利用 | 法人管理機能なし |
| Pro | 100米ドル/月から | 1名 | 最大タスク数 | 高頻度の調査・開発 | 利用量別価格を確認 |
| Business | 公式契約画面で確認 | 2名以上 | 利用可能・追加クレジットあり | 中小企業・チーム | 登録価格・税区分を要確認 |
| Enterprise | 要問い合わせ | 2名以上 | 個別条件 | 大規模企業 | 正式見積もりが必要 |
補助金を使ったChatGPT・Codexの導入費用を確認したい方へ
自社の利用方法がP-05またはP-07のどちらに該当する可能性があるか、どのプランが適しているか、補助金を活用した場合の導入費用について確認したい方は、お問い合わせください。
補助対象や採択を保証するものではありません。対象可否や申請条件は、最新の公募要領、ITツール登録要領および事務局の判断をご確認ください。
ChatGPT・Codexの導入事例
Harvey:開発初期の反復時間を短縮
リーガルテック企業のHarveyは、Codexを開発業務に導入しています。OpenAIの公式事例では、Codexによって初期の反復作業にかかる時間を30〜50%短縮し、エンジニアがシステム設計や重要な意思決定へ集中できるようになったと説明されています。

Sierra:長期間を要する開発を短期間で実施
AIソフトウェア企業のSierraは、Codexを開発プロジェクトに活用しています。公式ページでは、従来約3か月かかっていた作業を週末でリリースできるようになったとの担当者コメントが掲載されています。この数値はSierraの特定事例によるものであり、すべての企業で同じ期間短縮が実現することを示すものではありません。

Ramp:コードレビューでバグを発見
フィンテック企業のRampは、CodexをPRレビューに利用しています。公式事例では、Codexがチームだけでは見逃した可能性のあるバグを検出し、より確信を持ってリリースできるようになったと説明されています。

Cisco Meraki:リファクタリングとテスト生成
Cisco Merakiでは、別チームのコードベースを更新する際にCodexを利用しています。Codexがリファクタリングとテスト生成を担い、追加リスクを抑えながら、予定どおり機能を進められたと紹介されています。

ChatGPTが向いている企業
ChatGPTとCodexは、次のような企業に向いています。
- 社内に情報システムや開発の担当者がいる
- 社内システムや業務ツールを内製している
- 軽微な改修や保守作業が蓄積している
- 毎月繰り返すデータ処理がある
- コードレビューやテストを標準化したい
- AIが作成した成果物を確認できる担当者がいる
- 開発ルールや業務手順を文書化できる
一方、社内に成果物を確認できる担当者がいない場合や、すべての処理を完全に無人化したい場合には適しません。
導入前に確認したい注意点
ChatGPTやCodexを導入する際は、AIに何を任せ、人が何を確認するかを決めておく必要があります。特に、次の点を事前に整理してください。
- AIが生成したコードをそのまま本番へ反映しない
- 機密情報や個人情報の入力ルールを決める
- GitHubや社内ファイルへのアクセス権限を必要最小限にする
- テスト、レビュー、承認の担当者を決める
- 利用するプランとアカウント数を確認する
- Codexの利用上限や追加クレジットを確認する
- 個人向けプランと法人向けプランの管理機能を比較する
- 補助金の登録プランと実際の契約プランを一致させる
ITツール登録申請では、実際の製品画面を用いて、入力、処理、出力、人の確認工程を示す必要があります。AIで作成した架空の画面を、正式な機能説明資料として使用することはできません。
よくある質問
ChatGPTはデジタル化・AI導入補助金の対象ですか?
ChatGPTが補助対象になるかどうかは、登録されているプラン、登録プロセス、利用期間、価格などによって異なります。デジタル化・AI導入補助金では、IT導入支援事業者がITツール登録申請を行い、事務局の承認を受けたツールだけが交付申請に使用できます。最新のITツール検索と登録情報を確認してください。
ChatGPTはP-05とP-07のどちらに該当しますか?
一般的な文章生成、分析、チャット、自動化として利用する場合は、汎P-07として整理される可能性が高いです。Codexを利用し、情シスや統合業務の特定ワークフローを、入力から成果物まで一連で実行する登録内容であれば、共P-05を検討できる可能性があります。ただし、同一ソフトウェアでP-05とP-07を同時選択することはできません。
Codexはプログラミング以外にも利用できますか?
Codexの中心用途は、コードの作成、修正、テスト、レビュー、開発業務の自動化です。CSVの整形、複数ファイルの統合、データ変換など、コードを利用して行う社内業務にも活用できます。ただし、会計や在庫などの業務データを正式に管理する専用システムではありません。
ChatGPT PlusとBusinessはどちらが法人向けですか?
Plusは個人向けプランです。Businessは企業向けに設計され、専用ワークスペース、管理機能、法人向けのセキュリティ・データ保護を備えています。複数人で利用し、会社としてアカウントやデータを管理する場合は、BusinessまたはEnterpriseを検討するのが基本です。
AIが作成したコードはそのまま使用できますか?
そのまま使用することは推奨されません。AIが生成したコードには、要件とのずれ、不具合、脆弱性、既存機能への影響が含まれる可能性があります。テスト、コードレビュー、セキュリティ確認を行い、担当者が承認してから利用してください。
まとめ
ChatGPTは、質問に回答するだけの生成AIではありません。Codexを活用することで、コードやファイルを確認し、修正、テスト、レビューまで進めるワークフロー型AIエージェントとして利用できます。特に、社内システムの保守、データ処理、コードレビュー、テスト作成など、複数工程を伴う情シス・開発業務の効率化に適しています。
デジタル化・AI導入補助金では、一般的な利用は汎P-07として整理されやすい一方、Codexによる特定の情シス・統合業務ワークフローを明確に説明できる場合は、共P-05での登録を検討できる可能性があります。ただし、P-05とP-07は同一登録で併用できません。実際の登録機能、対象業務、料金プラン、機能画面を整理し、公開ページと登録申請内容を一致させることが重要です。
補助金を活用したChatGPT・Codexの導入についてご相談ください
自社の業務がP-05またはP-07のどちらに該当する可能性があるか、どのプランを選ぶべきか、補助金を利用した場合の導入費用を確認したい方は、お問い合わせください。
補助対象や採択を保証するものではありません。対象可否や申請条件は、最新の公募要領、ITツール登録要領および事務局の判断をご確認ください。
