金融業・保険業では、生成AIの活用が単なる「文章作成」から、社内情報検索、問い合わせ対応、与信・審査支援など、より業務の中核へ広がり始めています。
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帝国データバンクが2026年3月に実施した調査では、生成AIを業務で「活用している」企業は全体の34.5%でした。業界別では金融が38.6%となっています。生成AIを活用している企業の86.7%が、業務に何らかの効果が出ていると回答しました。
一方、金融業は扱う情報の機密性が高く、融資、保険引受、法務、コンプライアンスなど、誤った判断が大きな問題につながる業務も少なくありません。
そのため重要なのは、「AIに全部任せること」ではありません。
大量の情報をAIに探させる → 必要な情報を整理させる → 判断材料を提示させる → 最終判断は人が行う
という役割分担が重要になります。
実際、金融庁も2026年3月に「AIディスカッションペーパー第1.1版」を公表し、金融機関におけるAI利用とともに、リスクマネジメントやガバナンスについて論点整理を進めています。
本記事では、金融業・保険業におけるAI導入について、融資審査AI、RAGによる社内検索、メガバンクの大規模AI活用事例を取り上げながら、地域金融機関、保険代理店、中小企業でも取り組める導入方法まで解説します。

金融業・保険業のAI導入は「実験」から業務実装へ
生成AIが登場した当初は、メールの文章作成、文書要約、アイデア出しなど、比較的リスクの低い用途から利用する企業が中心でした。現在もこうした用途が中心であることに変わりはありません。
帝国データバンクの2026年3月調査では、生成AIを利用している企業の主な用途として最も多かったのが「文章の作成・要約・校正」の45.1%です。続いて「情報収集」が21.8%、「企画立案時のアイデア出し」が11.0%となっています。
つまり現時点では、生成AIが人間に代わって重要な経営判断をしているというより、次のような用途が中心です。
金融・保険業でも、この考え方は非常に重要です。融資を例にすると、AIに「この会社へ融資するか」を全面的に決めさせることと、決算書や取引情報を分析して「審査担当者が確認すべきポイント」を整理させることは、大きく異なります。
後者であれば、人間の判断能力を残しながら、大量の確認作業を効率化できます。金融AI導入を考える場合は、まず「判断の自動化」ではなく「判断までに必要な作業の効率化」から考えることが現実的です。
金融・保険業でAIを活用できる3つの領域

金融業・保険業のAI活用は、大きく3つに整理できます。
| 領域 | 主な業務 | AIの役割 |
|---|---|---|
| 判断支援 | 融資、与信、リスク分析、保険引受 | 情報整理、分析、候補提示 |
| 知識検索 | 社内規定、通達、マニュアル、FAQ | 必要情報の検索、要約、根拠提示 |
| 業務処理 | 申請、承認、顧客管理、文書作成 | 入力・転記・文章作成等の効率化 |
この3つを区別することが、AI導入を考えるうえで非常に重要です。
たとえば「融資審査を効率化したい」という課題でも、本当に時間がかかっている部分を調べると、「融資判断そのもの」ではなく、「必要な情報を集める作業」「過去の取引情報を探す作業」「稟議書を作る作業」「関連する社内ルールを確認する作業」に時間を取られている可能性があります。
その場合、いきなり高度な融資審査AIを開発する必要はありません。社内検索や文書作成、データ集約から始めるだけでも、大きな業務改善につながる可能性があります。
融資審査AIとは?AIは何を判断できるのか

融資審査AIとは、企業や個人の信用情報、財務情報、取引情報などを分析し、融資審査に必要な判断材料を提供するAIシステムの総称です。ただし、「融資審査AI=AIが融資可否を完全自動で決定するもの」と考えるのは適切ではありません。金融機関におけるAI活用では、人間による最終判断との役割分担が重要です。
従来の融資審査で時間がかかる理由
法人融資であれば、担当者はさまざまな情報を確認します。
情報が複数のシステム、Excel、PDF、紙資料、過去の稟議書などに分散していれば、審査担当者は「判断」以前に大量の確認作業を行わなければなりません。AIが力を発揮しやすいのは、この部分です。
AIに期待できるのは「判断材料の整理」
AIやデータ分析システムを利用すれば、一般的には次のような作業を効率化できる可能性があります。
SMBCグループも公開資料の中で、生成AIへの500億円の投資枠を設けるとともに、「AIを活用した与信審査」をAIプロジェクトの具体例として挙げています。
ただし、今回確認した一次資料では「融資審査が10分になった」「審査精度98%になった」という数値までは確認できませんでした。そのため、こうした数値をSMBCグループ等の実績として断定することは避けるべきです。融資審査AIには審査時間の短縮、確認漏れの低減、判断材料の標準化などが一般的な期待効果として考えられますが、実際の成果は利用するデータ、対象業務、審査ルール、システム設計などによって異なります。
なぜ融資の最終判断を人に残す必要があるのか
AIが高度になったとしても、融資のような重要判断では、人が担うべき役割があります。数字だけでは説明できない事情があるからです。
一方、財務数値だけを見ると問題がなくても、経営者との面談から重要なリスクが見つかるケースもあります。
AI=判断者 ではなく AI=判断材料を整理するアシスタント
として設計することが重要です。特に金融業務では、「AIがそう判断したから」という説明だけでは不十分です。何を根拠に判断したのかを追跡できる仕組み、人間による確認、責任の所在をあらかじめ決めておく必要があります。
RAGとは?金融業で注目される理由
金融・保険業のAI導入で、融資審査AIと並んで重要なのがRAG(検索拡張生成)です。RAGとは、生成AIが回答する前に、企業が保有する資料やデータを検索し、その情報をもとに回答を生成する仕組みです。
質問 → 社内文書を検索 → 関連文書を抽出 → その文書をもとに回答 → 必要に応じて参照元を提示
金融業では、社内規定、通達、業務マニュアル、商品情報、コンプライアンスルール、過去のFAQ、契約関連文書、手続き資料など、大量の文書が存在します。さらに、それらは頻繁に更新されます。
「知識がない」のではなく、必要な知識が社内のどこにあるのか分からないことが大きな問題になりやすい業界なのです。この問題とRAGは非常に相性があります。
SMBC-GAIは約130万ファイルの社内文書を横断検索

RAGを大規模に活用している事例の一つが、SMBCグループです。SMBCグループでは、2023年に独自のAIアシスタント「SMBC-GAI」を導入しました。
その後、規程、通達、業務マニュアルなど約130万ファイルの社内文書を対象としたRAG検索機能へと拡張しています。SMBCグループは、学習ファイル量や利用規模の面で国内企業最大級のRAG活用事例と説明しています。
SMBC-GAIは、2023年7月のリリース当初は1日あたり約6,000件の投稿でしたが、公開時点では1日約7万~8万件まで利用が拡大しています。
重要なのは、単に「生成AIを導入した」ことではありません。社員が必要な社内情報へアクセスできるように、AIと社内ナレッジを接続した点です。
「個別AIを大量に作る」のではなく全社基盤へ
SMBC-GAIのRAG拡張には興味深い背景があります。各部署からAIを業務効率化に使いたいという要望が増え、それぞれの部署が自分たちのデータだけを利用したAIを作ろうとする動きが出てきたといいます。
こうした問題を避けるため、社内情報を横断して利用できる共通基盤を整備する方向へ進みました。これは地域金融機関や一般企業にも参考になる考え方です。AI導入を各社員や部署へ完全に任せるのではなく、共通して利用する情報、ルール、AI環境を整えていく必要があります。
RAGでは「答え」より「根拠」が重要
金融業におけるRAGで特に重要なのは、単に答えを返すことではありません。「どの資料を根拠に回答したのか確認できること」です。
たとえば社員が「この手続きではどの書類が必要ですか?」と質問した場合、AIが必要書類を3つ回答したとしても、それだけでは十分とはいえません。規定が変更されている可能性があるからです。
そこで、「この規定を参照しました」「このマニュアルの該当箇所です」と参照元へ戻れる設計が重要になります。AIを「正解を教えてくれるシステム」にするのではなく、「正しい情報へ素早くたどり着くための検索アシスタント」として利用する考え方です。
RAGを導入すればハルシネーションはなくなる?
RAGを導入したからといって、AIの誤回答が完全になくなるわけではありません。RAGでは社内資料を検索して回答させるため、一般的な生成AIよりも社内情報に即した回答を作りやすくなります。
こうした可能性は残ります。つまりRAGの精度を高めるには、AIモデルだけではなく、文書管理そのものを整備する必要があります。最新版はどれか、誰が更新するのか、廃止された規定をどう扱うのか、誰がどの文書へアクセスできるのか。この部分が整理されていなければ、高性能なAIを導入しても正しい回答は得にくくなります。
500億円の生成AI投資から分かる「全社AI化」の考え方
SMBCグループでは、次期中期経営計画期間までの合計で500億円の生成AI専用投資枠を設定しています。また、2024年度下期には30件を超えるAI関連プロジェクトを承認し、AIを活用した与信審査などの取り組みを進めています。
地域金融機関や保険代理店からすると、「500億円も必要なら自社には無理だ」と感じるかもしれません。しかし、ここから学ぶべきなのは金額ではありません。重要なのは、AI活用を単発のツール導入ではなく、組織全体の経営テーマとして捉えていることです。
AI推進専任組織「LLM-CoE」
SMBCグループでは、日本総合研究所が2024年に組織横断型の専門組織「LLM-CoE」を設置しています。生成AIに関して各部門が個別に取り組むのではなく、情報、ノウハウ、人材育成などを集約して共有することを目的としています。
当初14人で始まった組織は、公開時点で31人体制へ拡大しています。また、グループ向けLLM勉強会には延べ800名超が参加しています。
中小企業なら「AI担当者1人」からでもよい
もちろん、中小企業や保険代理店で30人規模の専門組織を作る必要はありません。考え方を小さく適用すればよいのです。
これだけでも、社員が完全にバラバラにAIを使う状態とは大きく変わります。重要なのは、AIのノウハウを個人の経験で終わらせず、会社の知識にすることです。
三菱UFJ信託銀行では年間最大6万5,000時間の効率化を見込む

金融AIのもう一つの注目事例が、三菱UFJ信託銀行とカサナレによる生成AI活用です。2024年4月に市場取引業務への導入を開始し、最初の取り組みでは社内問い合わせ対応業務を50%削減し、90%以上の正答率を達成したと公開されています。
その後、別業務へ利用範囲を広げ、さらにリテール業務でAIアシスタントを導入しました。問い合わせ対応部署と支店社員による3か月の実証実験を経て全社導入が決まり、年間最大6万5,000時間の業務効率化が見込まれています。
1業務で導入 → 効果を測定 → 改善 → 別業務へ展開 → 全社展開
ここで重要なのは、「AIを導入したら突然6万5,000時間削減できた」という話ではないことです。最初の業務で検証し、段階を踏んで利用範囲を拡大しています。これは中小企業でもそのまま参考にできます。
金融AI導入の本当の効果は「検索時間削減」にもある
AI導入というと、「融資審査をAIが行う」「保険の査定をAIが行う」といった高度な仕組みに注目しがちです。しかし、中小規模の金融機関や保険代理店では、まずもっと身近な業務を見ることをおすすめします。
仮に1回10分の検索が1日20件発生すれば、1日200分です。こうした小さな時間の積み重ねが、会社全体では大きな工数になります。大規模な融資審査AIより先に、「社員が情報を探している時間」を減らせないかを調べてみることが、AI導入の第一歩になる場合があります。
金融業で生成AIを使う際の4つのリスク
生成AIには大きな可能性がありますが、金融・保険業ではリスク管理をセットで考える必要があります。帝国データバンクの2026年3月調査でも、生成AI活用における最大の課題は「情報の正確性」で50.4%でした。
1.情報の正確性
生成AIは、もっともらしい文章を作ることが得意です。しかし、文章が自然だからといって正しいとは限りません。金融商品、法律、社内規定、融資基準などで誤った回答を利用すれば、重大な問題につながる可能性があります。そこで、「AIの回答 → 参照元確認 → 担当者確認」という流れを業務に組み込む必要があります。
2.情報漏洩
顧客情報や融資情報、健康情報、契約情報などを、利用条件を確認しないまま外部の生成AIへ入力することは避けなければなりません。利用するAIのデータ保持条件、学習利用の有無、アクセス権限、ログ管理などを確認し、社内ルールを定める必要があります。
3.ハルシネーション
AIが事実とは異なる情報を生成する現象をハルシネーションと呼びます。RAGを利用しても完全にゼロになるとは限りません。そのため、重要な判断ではAIの回答を一次情報として扱わず、根拠文書へ戻って確認できる設計が必要です。
4.責任の所在
AIが作った回答を社員がお客様へ伝え、それが間違っていた場合、誰が責任を持つのでしょうか。「AIが回答したから」は理由になりません。
をあらかじめ決める必要があります。
融資審査AI・RAG・汎用生成AIの違い
金融AI導入を検討するときは、すべてを「AI」と一括りにしないことが重要です。
| 項目 | 融資審査・判断支援AI | RAG検索基盤 | 汎用生成AI |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 判断材料の分析 | 社内情報検索 | 文書作成・要約 |
| 主なデータ | 財務・取引等 | 社内文書 | 利用者の入力等 |
| 向く業務 | 与信・リスク分析 | 規定・FAQ・マニュアル | メール・要約・企画 |
| 導入難易度 | 高い | 中~高 | 比較的低い |
| 自社データ整備 | 重要 | 非常に重要 | 必須ではない場合もある |
| 人による確認 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 初期導入向き | △ | ○ | ◎ |
最初から最も高度なAIを導入する必要はありません。まず汎用生成AIによって文章作成や情報整理の効果を体験し、その後RAG、さらに必要であれば業務システムに組み込まれたAIへ進む方法もあります。
地域金融機関・保険代理店が今日から始めるAI導入5ステップ
ここまで紹介したメガバンクの事例は大規模ですが、考え方そのものは中小規模の組織でも活用できます。
STEP1 業務を「検索・判断・処理」に分ける
最初にAI製品を探してはいけません。まず現在の仕事を整理します。たとえば保険代理店なら、次のように分けます。
この中でAI化しやすいのは、まず「検索」と「処理」です。
STEP2 機密情報を使わない業務から始める
最初から顧客情報をAIへ投入する必要はありません。
などから試します。AI活用の効果と限界を社員が理解してから、より高度な業務へ進む方が安全です。
STEP3 社内資料を整理する
RAGを導入したい場合、AIより先に資料整理を行います。
「社内資料がぐちゃぐちゃなのでAIで何とかしたい」という会社ほど、まず情報整理が必要になります。
STEP4 一つの業務で小さく検証する
おすすめは「1部署・1業務・1データ群」から始める方法です。たとえば「商品問い合わせだけ」「社内規定検索だけ」「会議議事録作成だけ」に限定します。
を確認します。
STEP5 成功したら横展開する
効果が確認できたら、対象部署や業務を広げます。三菱UFJ信託銀行の事例でも、一つの導入から始まり、別業務、リテール業務、全社展開へと段階的に拡大しています。
小さく始めて、効果を数字で確認し、成功したものだけ広げること
AI導入で見るべきKPI
AIを導入したら「社員が使っている」という状態だけで満足してはいけません。効果を測定します。
たとえばRAGなら、次の指標が考えられます。
文章作成AIなら、文書作成時間、修正回数、月間利用回数、1人当たり削減時間などです。最終的には、AI導入前とAI導入後で、仕事の時間がどれだけ変わったかを見ることが重要です。
デジタル化・AI導入補助金2026を活用できる可能性
中小企業や小規模事業者がAIやITシステムを導入する場合、「デジタル化・AI導入補助金2026」を利用できる可能性があります。同制度は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツールの導入を支援する制度です。対象となるITツールは事前に事務局の審査を受け、登録されたものである必要があります。
通常枠では、事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムが対象です。2026年度の通常枠では、ソフトウェア購入費や最大2年分のクラウド利用料のほか、対象となるオプションや役務も補助対象として整理されています。
ただし、「AIであれば何でも補助対象になる」という制度ではありません。
などによって変わります。また、2026年度の通常枠では、1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアが必要で、汎用プロセスのみでは申請できない要件があります。
どの業務を改善するのか → どのITツールが必要か → そのツールが補助対象として登録されているか
の順で確認することが重要です。
補助金申請前に確認しておきたいこと
デジタル化・AI導入補助金2026を利用する場合、準備も必要です。交付申請にはGビズIDプライムが必要です。また、SECURITY ACTIONについても所定の自己宣言が申請要件となっています。
さらに、IT導入支援事業者と導入するITツールを選定し、共同して交付申請を進める仕組みです。補助金だけを先に考えるのではなく、次の順番が基本です。
制度内容、登録ツール、申請条件、スケジュールは変更される場合があります。申請時には必ず最新の公募要領と公式サイトを確認してください。採択や補助を保証する制度ではありません。
金融・保険業でAI導入を成功させる5つのポイント
1.AIを導入する前に業務課題を決める
「生成AIが流行っているから導入する」では失敗しやすくなります。「社内検索に1人1日30分かかっている」「問い合わせが特定社員へ集中している」など、具体的な課題から始めます。
2.AIに任せる部分と人に残す部分を決める
特に金融業では重要です。情報収集や文章作成はAI、重要判断と最終確認は人、といった分担を明確にします。
3.データを整える
AI導入の成果は、AIモデルだけでは決まりません。社内資料やデータの品質が非常に重要です。「AI導入プロジェクト」の前半が、実際には「データ整理プロジェクト」になることもあります。
4.社内ルールを作る
最低限、利用できるAI、入力してよい情報、入力してはいけない情報、出力結果の確認方法、最終責任者、問題が起きた場合の対応を決めます。
5.一度導入して終わりにしない
AIは導入した瞬間がゴールではありません。利用ログや社員の意見を確認し、導入→利用→評価→改善を繰り返します。
金融・保険業のAI導入前チェックリスト
3つ以上「分からない」がある場合は、AIツールを選ぶ前に業務整理から始めることをおすすめします。
よくある質問
金融機関でも生成AIを安全に利用できますか?
適切な環境、アクセス権限、入力ルール、人による確認などを整備したうえで利用することが重要です。金融庁もAIディスカッションペーパー第1.1版で、金融機関におけるAI活用とリスクマネジメント・ガバナンスについて論点整理を進めています。一般向け生成AIへ顧客情報などを無条件に入力するのではなく、利用するサービスの契約条件やデータ管理方法を確認してください。
RAGを導入すればハルシネーションはなくなりますか?
なくなるとは限りません。RAGは社内文書などを検索して回答を作るため、回答精度向上が期待できますが、検索ミスや元資料の不備、AIによる解釈ミスは起こり得ます。重要な回答では、参照した元文書へ戻って人が確認できる設計が必要です。
AIに融資判断を完全に任せることはできますか?
技術的な自動化可能性と、実際にどこまでAIに任せるべきかは別問題です。融資では定量情報だけでなく、事業背景、経営者の状況、例外事項なども考慮する必要があります。AIは分析や判断材料整理へ活用し、重要な最終判断については人間の確認と責任を残す設計を基本に考えることが重要です。
中小規模の金融機関や保険代理店でもRAGを導入できますか?
可能です。SMBCのように約130万ファイルを対象とした大規模基盤から始める必要はありません。まず一つの業務マニュアル、一つのFAQ、一つの部門から小さく検証し、検索時間や問い合わせ件数が減るか確認する方法があります。
AI導入にデジタル化・AI導入補助金は使えますか?
導入するツール、対象業務、登録されているプランなどの条件を満たせば、活用できる可能性があります。デジタル化・AI導入補助金2026では、事務局に登録されたITツールが対象となります。AIサービスすべてが自動的に対象になるわけではありません。申請前に登録状況と公募要領を確認してください。
まとめ|金融AI導入は「AIに判断させる」前に情報基盤を整える
金融業・保険業では、生成AIの利用が急速に広がっています。帝国データバンクの2026年3月調査では、生成AIを業務で活用する企業は34.5%、金融業では38.6%でした。利用企業の86.7%が何らかの業務効果を実感しています。
大手金融機関では、さらに一歩進んだ活用が始まっています。SMBCグループでは生成AI専用の500億円の投資枠を設け、SMBC-GAIでは約130万ファイルの規程・通達・業務マニュアル等をRAGで検索できる環境を整備しています。
三菱UFJ信託銀行とカサナレの取り組みでは、リテール業務へのAIアシスタント導入により、年間最大6万5,000時間の業務効率化が見込まれています。
しかし、これらの事例から学ぶべきなのは、「大規模なAIを導入すればよい」ということではありません。
業務を整理する → データを整える → 小さくAIを試す → 人が結果を確認する → 効果を測定する → 成功した業務を広げる
という順序です。金融業・保険業のAI導入では、AIそのもの以上に、AIが利用できる情報基盤、アクセス権限、人による確認、ガバナンス、継続的な改善体制が重要になります。
地域金融機関、保険代理店、中小企業の場合も、メガバンクと同じ規模の投資をする必要はありません。「社員が毎日探している情報は何か」「何度も繰り返している問い合わせは何か」「文章作成や情報確認に何時間使っているか」という身近な業務から調べてみてください。
そこから、生成AIで十分なのか、RAGが必要なのか、業務システムとの連携まで進めるべきなのかを判断することが、AI導入を成功させる第一歩になります。
自社では「生成AI・RAG・業務システム」のどこから始めるべき?
金融・保険業のAI導入では、最初から大規模なAI基盤を構築する必要はありません。まず現在の業務を整理し、次の4つを分けることが重要です。
また、中小企業・小規模事業者であれば、導入するITツールによってデジタル化・AI導入補助金を検討できる場合があります。
という方は、まず現在の業務と課題を整理するところからご相談ください。
主な参考情報
出典:帝国データバンク「生成AIの活用状況に関する企業アンケート」
出典:金融庁「AIディスカッションペーパー第1.1版」
出典:SMBCグループ「SMBC-GAI/RAG活用」
出典:SMBCグループ「AI投資・与信審査等の取り組み」
出典:SMBCグループ「LLM-CoE」
出典:三菱UFJ信託銀行×カサナレ事例
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 申請の流れ
※制度内容、対象ツール、登録情報、申請条件等は変更される場合があります。最新情報は各公式サイト・公募要領をご確認ください。
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