「メールの内容を表へ転記する」「問い合わせが来たら担当者へ通知する」「複数のシステムから情報を集める」。こうした定型作業を自動化できるのが「n8n(エヌエイトエヌ)」です。
▶ あわせて読みたい:デジタル化・AI導入補助金とは?対象者や補助額、申請の流れを解説
n8nは、複数のアプリやAIをつないで業務フローを自動化できるノーコード・ローコードツールです。単純なデータ転記だけでなく、条件分岐や生成AIを組み合わせたAIエージェントの構築にも対応しています。
この記事では、中小企業の経営者やDX担当者向けに、n8nの機能、料金、Zapier・Makeとの違い、デジタル化・AI導入補助金2026の活用について解説します。
n8nとは?複数のアプリとAIをつなぐ業務自動化ツール
n8nは、複数のシステムやクラウドサービスをつなぎ、一連の業務を自動化する「ワークフロー自動化ツール」です。
たとえば、
「問い合わせフォームに情報が入る」
↓
「内容をAIが分類する」
↓
「顧客情報を登録する」
↓
「担当者へ通知する」
といった処理を、一つのワークフローとして構築できます。
画面上で処理を組み合わせられるため、基本的な自動化はノーコードで作成できます。一方、JavaScriptやPython、APIなどを使ったローコード・開発者向けの拡張にも対応しており、簡単な自動化から複雑な社内システム連携まで対応できる点が特徴です。

n8nの主な機能
ノーコード・ローコードで業務を自動化
n8nでは、「何をきっかけに」「どの処理を行い」「次に何をするか」を組み合わせてワークフローを作ります。
たとえば、毎朝決まった時間にデータを取得したり、問い合わせが届いたときだけ処理を開始したりできます。
500以上のアプリ・サービスと連携
n8nは多数の外部サービスと連携できます。公式のIntegrationディレクトリでは、2026年9月時点で2,000を超えるIntegrationが掲載されています。
Google系サービス、データベース、CRM、チャット、AIなどを組み合わせられるため、「今使っているシステムを全部入れ替える」のではなく、既存サービスの間をn8nでつなぐ使い方ができます。
AIエージェントを構築できる
n8nでは、生成AIをワークフローの途中へ組み込み、内容の分類、要約、文章作成、情報検索などを行わせることができます。
さらにAI Agentを使えば、AIに外部ツールを利用させたり、条件に応じて次の処理を選択させたりすることも可能です。n8nはAI Agentにルールや人による確認を組み込める仕組みも提供しています。
分岐・スケジュール実行・Webhook
n8nでは、「金額が一定以上なら上司へ通知」「毎週月曜日に集計」「フォームへの入力をきっかけに処理開始」といった設定ができます。
If・Switchなどによる条件分岐、Schedule Trigger、Webhookなどを組み合わせられるため、実際の業務ルールに合わせた自動化が可能です。
自社サーバーでセルフホストできる
n8nの特徴の一つがセルフホストです。
n8nが提供するCloud版だけでなく、自社が用意したサーバーやクラウド環境にn8nを構築できます。Community Editionも標準的なセルフホスト版として提供されています。
ただし、Community Editionを利用しても、サーバー費用、保守、バックアップ、セキュリティ対策、外部AIのAPI利用料などが別途発生する場合があります。
中小企業ではn8nを何に使える?
| 業務 | n8nの活用例 |
|---|---|
| 問い合わせ | フォーム→AIで分類→担当者へ通知 |
| 営業 | 商談情報→CRM登録→フォロー通知 |
| 総務 | 申請→条件分岐→承認依頼 |
| 経理 | データ取得→整理→担当者が確認 |
| AI活用 | メールをAIで要約・分類→次の処理 |
| 情報共有 | 複数サービスの情報を集約 |
ポイントは、何でも「完全自動」にしないことです。
たとえば「AIが内容を判断→人が確認→送信」のように、人による確認を途中へ残したほうが安全な業務もあります。
▶ 関連記事:Difyとは?機能・料金・補助金を中小企業向けに解説
n8nの料金【2026年9月20日時点】
n8n公式サイトで確認できる年払い時の料金は次のとおりです。料金やプラン内容は変更される可能性があるため、契約前には公式サイトで最新情報を確認してください。
| プラン | 料金 | 月間実行回数 | 提供形態 |
|---|---|---|---|
| Starter | 20ユーロ/月 | 2,500回 | n8n Cloud |
| Pro | 50ユーロ/月 | 10,000回 | n8n Cloud |
| Business | 667ユーロ/月 | 40,000回 | セルフホスト |
| Enterprise | 個別見積もり | カスタム | Cloud/セルフホスト |
| Community Edition | n8n本体は無料 | ― | セルフホスト |
n8nの特徴は、処理の一つひとつではなく「ワークフロー全体が1回動くと1 execution」として数える点です。途中に多数のステップがあっても、ワークフローが一度実行されれば基本的に1回として計算されます。
そのため、料金を比較するときは「利用者数」だけでなく、「ワークフローが月に何回動くのか」を確認することが重要です。
n8nとZapier・Makeの違い
業務自動化ツールとしては、ZapierやMakeも有名です。
| 比較項目 | n8n | Zapier | Make |
|---|---|---|---|
| 始めやすさ | △〜○ | ◎ | ○ |
| 複雑な処理 | ◎ | ○ | ◎ |
| ローコード拡張 | ◎ | ○ | ○ |
| AI連携 | ◎ | ○ | ○ |
| セルフホスト | ○ | × | × |
| 向くケース | 自由度重視 | 手軽さ重視 | 視覚的な自動化 |
※各サービスの機能や料金は変更される場合があります。
簡単な業務をすぐ自動化したいならZapier、視覚的に複雑なフローを組みたいならMakeも候補になります。
一方、n8nはAPI連携やプログラムによる拡張、AIエージェント、セルフホストまで含めて設計したい企業に向いています。
n8n導入前の注意点
n8nは自由度が高い反面、複雑なワークフローになるほど設計・保守の知識が必要です。
特にセルフホストでは、サーバー管理やアップデート、バックアップ、アクセス権限なども考える必要があります。
また、生成AIを利用する場合は、AIが出した結果をそのまま契約・支払い・重要な顧客対応などに利用せず、必要に応じて人が確認する工程を入れましょう。
「何を自動化するか」だけでなく、「失敗した場合は誰が確認するか」まで決めておくことが重要です。
n8nはデジタル化・AI導入補助金2026の登録ITツール

n8nは、デジタル化・AI導入補助金2026のITツールとして登録されています。
登録プロセスは共P-05「総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務」です。
2026年の公募資料では、共P-05の対象機能例としてノーコード・ローコードの「ビジネスアプリ作成ツール」や、入力フォーム、フロー作成、承認・決裁、通知、連携を行う「ワークフロー」が示されています。
また、AI区分は「生成AI」です。デジタル化・AI導入補助金2026では、対象プロセスを持ち、生成AIなどを搭載したソフトウェアも登録可能とされています。
n8nは会計・受発注・決済ソフトのいずれにも該当しないため、補助金を利用する場合は基本的に通常枠を前提として検討します。
補助金登録されているn8nは3プランで、登録価格は44,463円〜1,482,821円(税抜)です。
ここで注意したいのは、n8n公式サイトで直接契約するStarterやProなどの一般向け料金と、補助金へ登録されているプラン・価格は別に確認する必要があることです。
補助対象になるプラン、契約期間、対象経費などは申請前に必ず確認してください。登録されているITツールであっても、申請すれば必ず採択・補助されるわけではありません。
n8nが向いている企業・向いていない企業
n8nが向いているのは、複数のクラウドサービスを利用していて、サービス間の転記や確認作業が多い企業です。
特に「AIと既存システムを連携したい」「複雑な条件分岐を作りたい」「自社環境で運用したい」という場合には有力な選択肢になります。
一方、単純な自動化を1〜2個だけ行いたい場合や、IT担当者がおらず最短で簡単に設定したい場合は、ZapierやMakeなども含めて比較するとよいでしょう。
n8nについてよくある質問
n8nは無料で使えますか?
セルフホスト型のCommunity Editionがあります。ただし、サーバー費用や保守費用、外部AIのAPI利用料などは別途考える必要があります。
n8nはプログラミングできなくても使えますか?
基本的なワークフローはノーコードで構築できます。複雑な処理や独自APIとの連携では、プログラミングやAPIの知識があると活用範囲が広がります。
n8nとZapier・Makeはどれを選べばよいですか?
手軽さ、複雑な処理の必要性、セルフホストの有無、社内のIT担当者の有無などで比較します。単純な料金だけでなく、実際に自動化したい業務を基準に選ぶことが重要です。
n8nでAIエージェントを作れますか?
はい。生成AIと外部サービスを組み合わせ、情報を判断してツールを実行するAIエージェントを構築できます。
n8nはデジタル化・AI導入補助金2026の対象ですか?
登録ITツールがあります。ただし、対象プランや契約内容、申請要件を満たす必要があります。申請前に最新の登録内容と公募要領を確認してください。
まとめ|n8nならAIと業務システムをつないで自動化できる
n8nは、複数のアプリ、データ、生成AIをつなぎ、業務フローを自動化できるツールです。
ノーコードからローコードまで対応し、条件分岐、スケジュール、Webhook、AIエージェント、セルフホストまで利用できます。
一方、自由度が高いからこそ、「どの業務をどこまで自動化するか」「誰が運用するか」を事前に整理することが重要です。
デジタル化・AI導入補助金2026を利用してn8nを導入したい場合は、一般向け料金ではなく、補助金に登録されている対象プランや価格、対象経費を確認しましょう。
n8nの補助金活用を検討している方へ
「自社の業務にn8nを使えるか」「どの登録プランが合うか」「デジタル化・AI導入補助金2026を活用できる可能性があるか」を確認したい方は、導入前にご相談ください。
