NotebookLMを仕事で活用したいと考えたとき、多くの人が最初に思いつくのは「社内のPDFやマニュアルをアップロードして質問してみる」という使い方ではないでしょうか。
▶ あわせて読みたい:ChatGPT・Claude・Gemini等主要AI比較|法人向け導入ガイド
確かに、それはNotebookLMの代表的な活用方法の一つです。
しかし、会社で本当に役立つ仕組みにするためには、資料を入れることよりも、その前に「どの資料を正しい情報として使うのか」を整理することが重要です。
たとえば、社内に次のような資料が残っているケースを考えてみましょう。
- 3年前の就業規則
- 現在使用している就業規則
- 改訂途中の就業規則
- 「最新版」と書かれたマニュアルが3種類
- 担当者ごとに内容が違う業務手順書
- 会議によって結論が変わっている過去の議事録
これらをそのままAIへ渡しても、会社のナレッジがきれいに整理されるわけではありません。
むしろ、AIを使うことで「自社の資料そのものが整理されていなかった」という問題が見えてくることがあります。
この記事では、NotebookLMとは何かという基本から、仕事で相性のよい資料、ChatGPTなど一般的な生成AIとの違い、具体的な活用例まで解説します。
さらに最も重要なポイントとして、NotebookLMへ資料を入れる前に行いたい「社内資料の棚卸し」と「古い・重複・矛盾資料の整理方法」まで踏み込んで解説します。
NotebookLMを単なるAIツールとして導入するのではなく、「会社に蓄積されている知識を仕事で使える状態にする」ための入口として活用していきましょう。
NotebookLMとは?仕事で使う前に知っておきたい基本
NotebookLMは、Googleが提供する、資料を「ソース」として登録し、その内容をもとに質問したり、整理したりできるAIサービスです。
仕事で考えるなら、単に「何でも質問できるAI」というより、「自社が持っている資料を読みながら一緒に仕事をしてくれるAI」と捉えると分かりやすいでしょう。
Googleの公式ヘルプでは、NotebookLMに追加した資料を「ソース」と呼び、モデルはアップロード・インポートされたソースを使って質問や依頼に対応すると説明されています。
自分の資料を根拠に情報を確認・整理できる
NotebookLMを仕事で使う大きなメリットは、「一般論」ではなく、自分たちが用意した資料を軸に情報を確認できることです。
たとえば、社内の経費精算マニュアルを登録して、「出張時の交通費を精算するために必要な書類を整理してください」と質問できます。
商品資料を複数登録して、「AプランとBプランの対象顧客、機能、注意点の違いを比較してください」と整理することもできます。
過去の議事録を登録して、「このプロジェクトについて、これまでに決定した事項を時系列で整理してください」といった確認にも活用できます。
ここで重要なのは、AIの一般知識ではなく、自社が用意した情報を中心に仕事を進められることです。
回答の根拠となる資料へ戻って確認しやすい
会社でAIを使う場合、「AIがそう回答したから正しい」という運用にはできません。
重要なのは、その答えが、どの資料のどの情報を根拠にしているのかを確認できることです。
NotebookLMでは、ソースを基にした回答と引用を利用できるため、回答から元資料へ戻って内容を確認しやすい設計になっています。
たとえばAIが「申請期限は利用日の3日前です」と回答した場合でも、それだけで業務を進めるのではなく、引用元となった社内規程を開いて確認します。
AIで探す → 元資料を見る → 人が判断する
この流れが、仕事でNotebookLMを使う際の基本です。
PDFだけでなく、さまざまな資料を扱える
NotebookLMというと「PDFを読み込ませるAI」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
実際には、現在のNotebookLMはさまざまな形式のソースに対応しています。
Google公式ヘルプでは、Googleドキュメント、Googleスライド、Googleスプレッドシート、PDF、Word、PowerPoint、CSV、テキスト、Markdown、ePub、画像、音声、WebURL、字幕のある公開YouTube動画などが案内されています。
そのため、仕事では次のような複数種類の情報を一つのテーマにまとめて活用できます。
- 社内マニュアル
- 業務手順書
- 会議資料
- 過去の議事録
- 商品説明資料
- 営業資料
- 研修資料
- 規程
- FAQ
- Web上の参考資料
ただし、対応形式やファイルサイズ、ソース数などの上限はプランや仕様変更によって変わる可能性があります。実際に導入する際は、最新のGoogle公式情報を確認してください。
NotebookLMとChatGPTは何が違う?
NotebookLMを初めて知った方が迷いやすいのが、「ChatGPTに資料を渡すのと何が違うのか」という点です。
どちらもAIに資料を渡して質問できるため、表面的にはよく似ています。
しかし、仕事で使い分ける場合は、目的を分けて考えると分かりやすくなります。
普通の生成AIは「質問する」、NotebookLMは「資料を軸に確認する」
一般的な生成AIは、文章作成、アイデア出し、分析、要約、相談、企画など幅広い用途で利用できます。
たとえば、「新入社員向けの研修プログラムを考えてください」「この営業メールを改善してください」「売上が落ちている原因の仮説を出してください」といった、答えやアイデアを作る仕事に向いています。
一方、NotebookLMを社内で活用する場合は、「この会社の資料には何と書いてあるのか」を確認する用途が大きな強みになります。
たとえば、「当社の育児休業制度について、社員向けに分かりやすく整理してください」という質問をするなら、一般論としての育児休業制度ではなく、会社の就業規則や社内規程を根拠に回答してほしいはずです。
このような用途では、資料をソースとして扱うNotebookLMの考え方が合います。
社内規程やマニュアルでは「一般的な正解」より「自社のルール」が重要
たとえば社員から、「有給休暇は何日前までに申請すればいいですか?」と質問されたとします。
世の中一般の制度を説明しても、会社の業務では役に立たない場合があります。必要なのは、「自社ではどう決めているか」です。
営業でも同じです。顧客から、「このサービスは何人まで使えますか?」と聞かれたとき、AIの一般知識ではなく、現在の自社商品資料に基づいて回答する必要があります。
就業規則、商品仕様、業務マニュアル、社内ルール、過去の決定事項などを確認する仕事では、会社が指定した資料を基準にAIを利用する考え方が重要になります。

NotebookLMは「自分で入れた資料しか使えないAI」ではない
NotebookLMについて、「自分でアップロードした資料だけに回答範囲を限定するAI」と説明されることがあります。
仕事での基本的な考え方としては分かりやすい説明ですが、現在の機能を考えると少し説明が足りません。
NotebookLMでは現在、アクセス可能なGoogleDriveやWebから関連ソースを検索する機能に加えて、Web上の情報を調査してレポートとソースをまとめるリサーチ機能も提供されています。
つまり現在は、自分で資料を追加するだけでなく、GoogleDriveから資料を探したり、Webから関連資料を探したり、外部情報を調べたりする使い方もできます。
ただし、この記事で強調したい「仕事での使い方」は、会社が正しいと認めた社内資料を根拠に、社員が情報を確認しやすくするという用途です。
外部情報の調査と、社内の正式情報を混ぜる必要がない業務では、参照するソースを明確に分けた方が管理しやすいでしょう。
▶ 関連記事:NotebookLMに社内資料を入れて大丈夫?企業利用で確認したい情報管理のポイント
ChatGPTとNotebookLMはどちらが上ではなく、仕事で使い分ける
NotebookLMを導入したからといって、ChatGPTなど他の生成AIが不要になるわけではありません。
| NotebookLMが向く場面 | 一般的な生成AIが向く場面 |
|---|---|
| 社内資料を調べる | 新しい企画を考える |
| 複数の資料を比較する | 文章を作る |
| 過去の決定事項を確認する | アイデアを広げる |
| マニュアルから手順を探す | 壁打ちをする |
| 根拠資料を確認する | 業務フローを改善する・新しい視点を得る |
実務では両方を組み合わせることもできます。
たとえばNotebookLMで「現在の社内規程と過去1年間の議事録から、テレワークに関する現在のルールを整理する」ところまで行い、その結果をもとに別の生成AIで「新入社員向けに分かりやすい説明文を作る」という進め方もあります。
ツールを一つに統一することより、仕事の目的によってAIを使い分けることの方が重要です。
NotebookLMは仕事で何に使える?代表的な活用例
NotebookLMを仕事で活用するイメージが湧かない場合は、まず「会社の中で何度も探している資料」を思い浮かべてみてください。そこにNotebookLMを活用できる可能性があります。
社内マニュアルから必要な手順を探す
マニュアルは存在しているのに、社員が毎回担当者へ質問している会社は少なくありません。原因の一つが、「マニュアルのどこに答えが書いてあるか分からない」ことです。
経理マニュアル、人事マニュアル、システム利用マニュアルなどを整理してNotebookLMへ登録しておけば、「取引先を新規登録するときの手順を教えてください」「出張費精算の流れを順番に整理してください」などと確認できます。
ただし、「AIの回答を見ればマニュアルを読まなくてよい」と考えるのは危険です。重要な手続きでは引用元まで確認する運用にしましょう。
就業規則や社内規程を確認する
総務や人事部門には、「このケースはどういう扱いになりますか?」という質問が集中しがちです。
有給休暇、在宅勤務、慶弔休暇、出張、経費精算、副業、情報セキュリティ、社内端末などの規程を整理しておけば、社員自身が必要な情報を確認しやすくなります。
ただし、就業規則などは判断を伴う場合もあります。AIが示した内容だけで人事判断を行わず、必要に応じて担当部署や専門家へ確認することが重要です。
商品資料を横断して確認する
営業担当者が複数の商品を扱っていると、「A商品とB商品の違いは何だったか」「このプランではどこまで対応できたか」という確認作業が頻繁に発生します。
商品資料、料金表、FAQ、提案資料などを整理したうえでNotebookLMへ登録すれば、「飲食店向けに説明する場合、AプランとBプランの違いを整理してください」などと確認できます。
営業資料を一つずつ開いて探す作業を減らしやすくなります。
過去の議事録から決定事項を探す
議事録は「作って保存して終わり」になりやすい資料ですが、本来は非常に価値のある社内ナレッジです。
たとえば1年間のプロジェクト議事録が残っていれば、「○○機能について最初に議論された会議を教えてください」「このプロジェクトでこれまでに決定した事項を時系列で整理してください」「未解決の課題として残っている項目を抽出してください」といった使い方ができます。
大量の議事録を一つずつ読み直すよりも、過去の経緯を確認しやすくなります。
研修資料を社員教育に活用する
研修資料は、一度研修を受けた後にほとんど見返されないことがあります。
NotebookLMを利用すれば、「この研修で覚えるべきポイントを5つに整理してください」「新入社員が理解しにくそうな専門用語を説明してください」「この資料をもとに復習問題を作ってください」など、資料を再利用できます。
NotebookLMには、資料をもとにした学習・理解支援につながる複数の生成機能も提供されていますが、利用可能な機能や上限は更新される可能性があるため、実際の利用時には公式情報を確認してください。
営業資料から提案に必要な情報を整理する
営業担当者が「どの資料を顧客へ見せればよいか」を探す時間も意外と大きな負担になります。
商品紹介資料、業種別提案資料、FAQ、導入ガイドなどを整理しておけば、「美容業向けに説明するときに確認すべきポイントを整理してください」などと質問できます。
ここでも重要なのは、営業担当者個人の記憶ではなく、会社として正式に管理した資料を根拠にすることです。
よくある質問を社内問い合わせに活用する
総務、経理、情報システム、人事などには、似た質問が繰り返し届くことがあります。
FAQと関連規程、マニュアルをまとめておけば、「パソコンを紛失した場合、最初に何をすべきですか?」などと社員が自分で確認しやすくなります。
すべてをAI任せにするのではなく、「自分で調べる入口を作る」という位置づけで利用するとよいでしょう。
業務手順書から作業の流れを確認する
担当者しか分からない業務がある会社では、引き継ぎのたびに同じ説明が繰り返されます。
業務手順書が整理されていれば、「新規顧客を登録して請求書を発行するまでの流れを順番に整理してください」といった確認が可能です。
これは新人教育や担当者変更時の引き継ぎにも活用できます。
NotebookLMと相性がよい仕事・資料の特徴
何度も参照される資料
毎月、毎週、あるいは毎日のように社員が確認する資料は効果が出やすい候補です。就業規則、社内規程、業務マニュアル、商品FAQ、営業資料、システム操作手順などが該当します。
複数資料を横断して確認したいもの
一つのPDFを読むだけなら、人が検索した方が早い場合もあります。NotebookLMの価値が出やすいのは、過去12回分の会議議事録、商品資料+FAQ+営業マニュアル、就業規則+関連規程、研修資料+業務マニュアルなど、複数の資料をまたいで情報を探す必要がある業務です。
過去情報が蓄積されているもの
会社には、作ったものの再利用されていない資料が大量にあります。議事録や研修資料はその典型です。NotebookLMを活用することで、「保存してある資料」から「質問できる資料」へ変えることができます。
根拠を確認する必要がある業務
仕事では、もっともらしい回答よりも根拠のある回答が必要です。その意味で、「どの資料に書いてあるのか」を確認したい業務とNotebookLMは相性があります。
資料を入れるだけでは会社のナレッジ活用にならない
ここがNotebookLMを仕事で利用するときに最も重要なポイントです。
会社にある資料を大量にNotebookLMへ登録したとしても、それだけで「社内ナレッジ」が完成するわけではありません。
なぜなら、会社に保存されている資料には、「古い・重複している・矛盾している」という問題があるからです。
AIを導入する前に、元となる情報を整理する必要があります。
古い資料を入れると古いルールも検索対象になる
たとえば社内フォルダに、「就業規則2023」「就業規則2024」「就業規則2026」が残っていたとします。
2026年の規程だけが現在有効なのに、すべてをNotebookLMへ登録すると、AIから見ればどれも「資料」です。
人間ならファイル名や作成年月から「これは昔の資料だろう」と推測できます。しかし、会社として正式に「現在有効なのはこれ」と整理しておかなければ、AI活用以前に情報管理が曖昧な状態です。
古い資料を残したい場合は削除する必要はありません。「現行」「廃止」「過去版」「参考資料」など、役割を分けて管理することが重要です。
同じ内容の資料が何種類もあると「正式版」が分からない
社内共有フォルダでよく見かけるのが、「営業マニュアル最新版」「営業マニュアル最新版2」「営業マニュアル最終」「営業マニュアル最終修正版」「営業マニュアル田中修正版」のような状態です。
人間が見ても、どれが正式版か分かりません。この状態でAIへ「営業時の正式な手順を教えてください」と質問しても、そもそも会社側で正式版が決まっていないのです。
AIに資料を読ませる前に「会社として正式に使用する資料」を決める
資料同士が矛盾している場合はAI以前の問題
たとえば、営業マニュアルAには「見積書は担当者判断で提出可能」、営業マニュアルBには「見積書は上長承認後に提出」と書かれていたとします。
ここでAIに「どちらが正しいですか?」と聞いても、本来の正解は出せません。なぜなら、会社の意思決定がされていないからです。
必要なのは「現在の会社ルールはどちらなのか」を責任者が決めることです。NotebookLMは矛盾を発見するためには役立ちますが、会社のルールを最終決定する役割まで任せるべきではありません。

NotebookLMへ入れる前に行う「資料の棚卸し」5ステップ
NotebookLMを仕事で本格活用するなら、最初におすすめしたいのが資料の棚卸しです。難しい作業にする必要はありません。次の5ステップで進めてみてください。
STEP1.何のためにNotebookLMを使うのか決める
最初にやってはいけないのは、「とりあえず社内資料を全部入れる」ことです。まず目的を一つ決めましょう。
- 総務への問い合わせを減らしたい
- 営業が商品情報を探す時間を減らしたい
- 新人教育を楽にしたい
- 過去の議事録を活用したい
- 業務マニュアルを探しやすくしたい
目的が決まれば、必要な資料も自然と絞られます。たとえば「総務問い合わせを減らす」が目的なら、就業規則、経費規程、出張規程、勤怠マニュアル、よくある質問から始めればよいでしょう。営業資料も製造マニュアルも全部入れる必要はありません。
STEP2.関係する資料を集める
目的が決まったら、関連する資料を一度集めます。この段階では、すぐNotebookLMへ登録しません。まず、「会社に何があるのか」を確認します。
- 商品カタログ
- 料金資料
- 提案資料
- FAQ
- 営業マニュアル
- 過去の研修資料
- 顧客対応ルール
GoogleDriveだけでなく、社内サーバー、個人パソコン、メール添付、チャット、紙資料に分散している場合もあります。
この作業だけでも、「同じ資料をみんなが別々に持っていた」「正式版が共有フォルダに入っていなかった」といった問題が見つかることがあります。
STEP3.古い資料を分ける
次に、古い資料を分けます。確認したい項目は次のとおりです。
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 作成日 | いつ作られた資料か |
| 更新日 | 最終更新はいつか |
| 適用期間 | 現在も有効か |
| 後継資料 | 新しい版が存在しないか |
| 所有部署 | 誰が管理している資料か |
| 現在の利用状況 | 現場でまだ使われているか |
「古いから削除する」と単純に判断する必要はありません。過去の経緯を確認するために残したい資料もあります。大切なのは、現在の正式情報と過去資料を区別することです。
STEP4.重複・類似資料を整理する
次に確認するのが重複です。次のような状態がないか確認してください。
- 同じ資料のコピーが複数ある
- 少しだけ修正された版が複数ある
- 担当者ごとの個人版が存在する
- PDF版とWord版で内容が異なる
- 正式版と作業途中版が混ざっている
ここで決めたいのは、「正式版はどれか」です。理想は、「この業務について確認するときは、この資料を見る」という状態です。NotebookLM以前に、会社として情報の参照先が決まっていることが重要です。
STEP5.矛盾を解消して正しい資料を決める
最後に、資料同士で内容が矛盾していないか確認します。特に次の項目は違いが出やすいため、注意してください。
- 金額
- 日付
- 期限
- 担当部署
- 承認者
- 手続き方法
- 使用するシステム
- 申請方法
- 例外条件
- 対象者
もし違いが見つかったら、「どちらをAIに入れるか」ではなく、「会社としてどちらを正しいルールにするか」を決めます。そのうえで元資料を修正します。これで初めて、NotebookLMへ入れる資料が「会社のナレッジ」として使える状態になります。
NotebookLM自身を資料整理にも使える
資料整理をすべて人力で行う必要はありません。候補資料を確認する段階でNotebookLMを利用し、矛盾や重複を見つけるという使い方もできます。
- 「これらの資料の中で、同じ項目について異なる説明をしている箇所を一覧にしてください」
- 「申請期限について記載されている箇所をすべて抽出し、資料ごとに比較してください」
- 「同じ業務手順について重複して説明している資料を整理してください」
ただし、AIが「資料Aが正しいです」と回答したとしても、それだけで正式版と決定してはいけません。
NotebookLMには「違いを発見してもらう」。正式ルールは人が決める。
NotebookLMを仕事で使い始める基本手順
1.利用テーマごとにノートブックを考える
最初から全社資料を一つにまとめるのではなく、人事・総務、営業、商品情報、新入社員研修、プロジェクトA、経理業務など、テーマを分けます。利用者が「この質問はどこで聞けばよいか」を判断できる大きさにすると管理しやすくなります。
2.整理した資料をソースとして追加する
棚卸しした正式資料を追加します。NotebookLMでは複数形式のファイルやGoogleDriveのファイルなどをソースとして扱えます。利用環境によって更新方法や連携の挙動が異なる可能性があるため、運用開始時には最新の公式情報を確認しておきましょう。
3.最初は「答えを作る」より「資料を確認する」
最初から「営業戦略を考えてください」と質問する必要はありません。まずは「この資料では返品についてどのように定められていますか?」「申請手順を順番に整理してください」のような、資料確認型の質問から始めましょう。AIの回答と元資料を見比べることで、どの程度実務で利用できるか確認できます。
4.複数資料の共通点・違いを確認する
次に、「資料Aと資料Bの違いを整理してください」「過去3回の会議で共通して課題になっている項目を教えてください」など、複数資料を横断する質問を試します。この段階からNotebookLMらしい価値を感じやすくなります。
5.回答だけでなく引用元を見る
仕事ではここを習慣にしてください。答えが自然だから正しいとは限りません。重要な内容については、必ず元資料を確認するルールを作ることをおすすめします。
6.問題が見つかったら元資料を直す
NotebookLMを使っていると、「この資料、内容が古い」「この説明と別資料の説明が違う」と気づくことがあります。これは失敗ではありません。むしろ、NotebookLMを使ったことで社内資料の問題を発見できたと考えましょう。
NotebookLMを使う → 資料の問題が見つかる → 元資料を修正する →再び利用する
仕事で使えるNotebookLMの質問例
NotebookLMは「何を質問するか」で活用範囲が変わります。実務で使いやすい質問例を紹介します。
マニュアルを確認する質問
- 「新規取引先を登録するときの手順を、作業順に整理してください」
- 「経費精算で必要となる書類を一覧にしてください」
- 「この手続きを初めて行う社員が間違えやすそうなポイントを整理してください」
複数資料を比較する質問
- 「この3つの商品資料について、対象顧客・主な機能・注意点の違いを整理してください」
- 「2025年版と2026年版の規程で変更された内容を整理してください」
過去の決定事項を探す質問
- 「このプロジェクトについて、これまでに決定した事項を日付順に整理してください」
- 「料金変更について最初に議論された会議を特定してください」
- 「現在も未解決と思われる課題を、議事録を根拠に整理してください」
新入社員向けに整理する質問
- 「新人が最初に理解すべき内容を5つにまとめてください」
- 「この業務で使用されている専門用語を初心者向けに説明してください」
資料の問題を発見する質問
- 「複数の資料で内容が食い違っている箇所を抽出してください」
- 「同じ制度について、異なる期限が記載されている資料がないか確認してください」
- 「似た内容を説明している資料をグループ化してください」
- 「内容が古い可能性がある記述を、日付や制度名を手掛かりに候補として挙げてください」
NotebookLMを、資料から答えをもらうだけのAIとしてではなく、会社の情報を整理するためのAIとして使えるようになります。
NotebookLMを仕事で使うメリット
資料を探す時間を減らしやすい
「どのファイルに書いてあったか」を思い出して、一つずつ資料を開く時間を減らせます。特に資料数が増えるほど効果を感じやすくなります。
複数資料を横断して確認できる
人間が10件の議事録を読み直すのは大変です。AIに横断的に整理してもらえば、確認の入口を早く作れます。
根拠資料へ戻りやすい
仕事では「答え」だけでは不十分です。引用元へ戻れることで、人間による最終確認を行いやすくなります。
過去に蓄積した資料を再利用できる
今まで保存するだけだった議事録、研修資料、報告書などを、検索・比較・確認のために再活用できます。
属人化したナレッジを共有しやすくなる
ただし、ベテラン社員の頭の中にしかない情報は、NotebookLMにもありません。まず人の知識をマニュアルやFAQなどの形にし、その資料を整備する必要があります。AI導入と業務の標準化はセットで考えましょう。
NotebookLMを仕事で使うときの注意点
AIの回答をそのまま正解にしない
NotebookLMを含む生成AIは、常に完全な回答を保証するものではありません。重要な判断では、AIが示した情報を元資料で確認してください。特に契約、人事、労務、法務、会計、金額、顧客への正式回答などでは、人による確認が必要です。
入れてよい情報と入れてはいけない情報を決める
「NotebookLMは便利だから、会社の資料を全部アップロードしよう」という運用は避けた方がよいでしょう。個人情報、顧客情報、契約情報、人事情報、機密情報、未公開情報などの扱いを会社として決める必要があります。GoogleはNotebookLMにおけるデータ利用・プライバシーについて公式情報を公開していますが、利用するアカウント種別や契約によって取り扱いが異なる場合があります。会社利用では、最新の公式規約と自社の情報管理ルールを確認したうえで利用してください。
古い資料を放置しない
一度資料を整理しても、半年後には新旧資料が混ざる可能性があります。AI導入時の一回だけではなく、更新運用を決めてください。
NotebookLMだけ整理して元資料を放置しない
AI側だけをきれいにしても、会社の共有フォルダがぐちゃぐちゃのままでは根本解決になりません。NotebookLMで問題が見つかったら、元のマニュアルや規程を修正することが重要です。
管理責任者を決める
NotebookLMを誰が管理するかも決めておきましょう。特に、どの資料を追加するか、どれを削除するか、資料をいつ更新するか、誰が正式版を判断するかを明確にします。AIの管理者というより、「元資料の責任者」を決めることが重要です。
NotebookLMを社内ナレッジとして定着させる方法
最初から全社展開しない
まず一つの業務で試しましょう。たとえば「総務へのよくある問い合わせ」だけでも構いません。小さく始めて、役立つことを確認してから広げます。
一つの業務から試す
資料がある、同じ質問が繰り返される、情報を探す時間がかかっている、担当者へ問い合わせが集中している、誤回答のリスクが比較的小さい、といった条件に当てはまる業務がおすすめです。
「社員からよく聞かれる質問」を集める
AI導入では、最初にプロンプトを考えるより、社員が実際に何を知りたがっているのかを集める方が重要です。質問が分かれば、必要な資料も見えてきます。
元資料の責任者と更新ルールを決める
就業規則は人事責任者、経費規程は経理責任者、商品資料は商品責任者、営業マニュアルは営業責任者というように、情報の所有者が内容の正しさに責任を持つ形が理想です。
定期的に不要資料・旧版を見直す
月1回、四半期に1回など、利用状況に合わせて見直します。古くなった資料はないか、新版へ差し替える必要はないか、似た資料が増えていないか、内容が矛盾していないか、誰も使っていない資料はないかを確認します。
▶ 関連記事:NotebookLMで社内資料を検索できる?マニュアル・規程・過去資料を活用する方法
NotebookLM導入ではなく「会社の知識を整理するプロジェクト」と考える
NotebookLM活用で本当に価値があるのは、AIに質問できることだけではありません。
導入をきっかけに、「会社にはどんな資料があるのか」「正式版はどれなのか」「このルールは今も正しいのか」「誰がこの資料の責任者なのか」を見直せることにも大きな意味があります。
逆にいえば、資料が整理されていない会社ほど、AIを入れる前に改善すべきことが見えてくるということです。
NotebookLM導入プロジェクトではなく「会社の知識を整理し、社員が使える状態にするプロジェクト」と考える
こう捉えると、AIが目的化することを防げます。
NotebookLMを仕事で使うなら最初に何をすればよい?
ここまで読んで、「結局、何から始めればいいの?」と思った方は、次の3つだけ実行してください。
1.一つの業務を選ぶ
「会社全部」から始めないことです。「新入社員からの総務問い合わせ」「営業の商品確認」「過去の会議内容の確認」など、一つに絞ります。
2.関連する資料を10〜20件程度集めて棚卸しする
10〜20件という数字はNotebookLMの仕様上の上限ではなく、最初の検証を複雑にしすぎないための実務上の目安です。集めたら、古くないか、重複していないか、内容が矛盾していないか、正式版かを確認します。
3.整理した資料だけで試す
最初から完璧な環境を作る必要はありません。実際に質問して、欲しい回答が出るか、引用元を確認できるか、元資料に問題がないか、業務時間を減らせそうかを検証しましょう。それで効果があれば、次の業務へ広げればよいのです。
よくある質問
NotebookLMとChatGPTはどちらを仕事で使えばよいですか?
どちらか一方に決める必要はありません。社内マニュアル、議事録、規程など「指定した資料を根拠に確認する仕事」ではNotebookLMが使いやすい場面があります。一方、企画、文章作成、壁打ち、アイデア出しなどでは一般的な生成AIが便利です。「どちらが優れているか」ではなく、業務目的で使い分けましょう。
NotebookLMにはどんな資料を入れると仕事で役立ちますか?
何度も参照する資料、複数資料を横断して確認したいもの、過去情報が蓄積されている資料と相性があります。具体的には、社内マニュアル、就業規則、商品資料、過去の議事録、研修資料、営業資料、FAQ、業務手順書などです。ただし、登録前に古い・重複・矛盾資料を整理してください。
古い資料もNotebookLMへ入れてよいですか?
過去の経緯を調べる目的であれば、古い資料にも価値があります。ただし、現在有効な資料と混在させる場合は注意が必要です。「現行資料」「過去資料」などを明確に区別し、AIの回答を利用するときもどの時点の資料を根拠にしているのか確認しましょう。
社内資料をNotebookLMへ入れても大丈夫ですか?
情報の内容と利用環境によって判断が必要です。GoogleはNotebookLMのデータ利用・プライバシーについて公式情報を公開しています。ただし、「技術的にアップロードできる」と「会社としてアップロードしてよい」は別問題です。個人情報、顧客情報、契約情報、機密情報などについて、自社の情報管理ルールを確認してから利用してください。
NotebookLMを導入すれば社内ナレッジを自動化できますか?
導入するだけではできません。NotebookLMが扱う元資料が古かったり、重複していたり、内容が矛盾していたりすれば、利用者も判断しにくくなります。「正式な情報を決める→ 資料を整理する → NotebookLMで使う →問題が見つかったら元資料を改善する」という運用を作ることが重要です。
まとめ|NotebookLM活用は「AI導入」より先に資料整理から始めよう
NotebookLMは、社内マニュアル、就業規則、商品資料、議事録、研修資料、営業資料、FAQ、業務手順書など、会社に蓄積されている資料を仕事で再活用するための有力な選択肢です。
資料を一つずつ開いて探すのではなく、AIへ質問し、複数のソースを横断して情報を整理し、必要に応じて引用元へ戻るという新しい資料の使い方ができます。
ただし、本当に重要なのはNotebookLMの操作方法ではありません。AIに何を読ませるかを会社側で決めることです。
古い資料、重複した資料、内容が矛盾している資料、誰が作ったのか分からない資料。これらを整理せずにAIへ入れても、会社のナレッジ活用にはつながりません。
まず一つの業務を選び、関連資料を集め、「古い・重複・矛盾」の3点を確認してください。
そのうえで正式な資料をNotebookLMへ登録し、実際の社員から出ている質問を試します。そして、NotebookLMを使って資料の問題が見つかったら、AIの設定だけを直すのではなく元資料を改善します。
この循環ができれば、NotebookLMは単なる「資料を読むAI」ではなく、会社の知識そのものを整えるきっかけになります。
AI導入を成功させる第一歩は、新しいツールを増やすことではありません。まず、自社がすでに持っている知識を「使える状態」にすることから始めてみましょう。
NotebookLMを仕事で活用するなら、ツールの操作を覚える前に「どの業務の、どの資料を、どう整理するか」を決めることが重要です。
AIを導入したものの、社員がどこで使えばよいか分からない、社内資料が整理されていない、ChatGPTやNotebookLMをどう使い分ければよいか分からない、AIを使って実際に仕事時間を減らしたい、という場合は、まず現在の業務を整理し、「AIに任せられる部分」と「人が判断する部分」を見える化するところから始めると進めやすくなります。
参考情報
- Google NotebookLMヘルプ:ソースの追加・対応形式・引用機能に関する公式案内
- Google NotebookLMヘルプ:データ利用・プライバシーに関する公式案内
※NotebookLMの機能、対応形式、利用上限、プラン内容、データ取り扱いは変更される可能性があります。導入時はGoogleの最新公式情報をご確認ください。
ご相談はこちら:AI導入支援サービス/お問い合わせ
